『RIDER TIME 龍騎』補完・考察計画~なぜ2002年の幻影が蘇ったのか~

こんにちは、the-Writerです。

現在放送中の『仮面ライダージオウ』、平成ライダー20作分の完結編という事で、その見どころといえば今までのライダーシリーズのキャラクターの登場ではないでしょうか。「オリキャス」、「レジェンド」と称される俳優たちがもう一度だけ、あの時の役として登場していくとファンは否が応でも気になり、次のレジェンドを心待ちにし、「ライブ感」に踊らされることとなりました。

○○編と称される二部作構造の各話は、1年間のドラマを通して戦い抜いたライダー本人(もしくはその関係者)が、主人公たちにその経験から言えることを授けることで、蘇った過去作に一つの然るべき結末を与えたり、主人公たちの物語を形作ってきました。話によっては当該ライダーのファンの望む以上の見事な展開に、もしくは真逆のレジェンドがほとんど出てこず予想を裏切る展開に転んだりしています。

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サノスが抱える「正義/悪」の均衡

2019年4月末、2008年から始まった一大巨編の物語が完結を迎えました。アイアンマンに始まり、個性的ないきさつをたどりながらそれぞれヒーローへと成長を果たしていった人物たちがそれぞれの困難に直面し、時に絡み合いながらそれぞれの物語が一つ一つの映画としてパッケージされています。僕は何度も言うのですが、このマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に「ハズレはない」んです。f:id:the-Writer:20190512113539j:plainこの2008年からのMCUの一連の歴史の常に裏におり、時に直接地球に干渉し、影響を与えていたのがサノスという人物でした。MCUを統一する軸の1つであった彼には「最強を超える敵」という謳い文句がふさわしく、2012年の『アベンジャーズ』に始まり、各作品でその存在感を少しずつ出しながら監督のルッソ兄弟らが手掛ける二部作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』,『アベンジャーズ/エンドゲーム』でその全貌がこれでもかと明らかにされました。ジョシュ・ブローリンの演技、クリストファー・マルクス,スティーブン・マクフィーリーの書く台本、ルッソ兄弟の演出、トレント・オパロックの撮影、VFXスタッフらの尽力によって、この映画史に残るヴィランは完成されています。

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「時間泥棒」計画解説_『アベンジャーズ/エンドゲーム』

f:id:the-Writer:20190515210659j:plain2019年4月26日、『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開されました。これまで続いてきたMCU「インフィニティ・サーガ」の実質の完結編であると共に、観た人ならお分かりの通り、これからのMCUを永遠に変えてしまうほどの大激震が起こしています。公開前からファンの間で散々言われていた「タイムトラベル」……それがこのMCUにも大々的に持ち込まれたのです。製作にかかわっている中でこの展開を知っていたスタッフたちはよく誰一人としてこれを漏らさなかったなと切に関心を覚えました。

その中で、EGで行われた歴史への介入は他のSF作品とはまた違ったルールが設定されています。言ってしまえばこの作品に込められている情報量が尋常ではないので、完璧に理解しないでも十二分に楽しむことはできるのですが……このタイムトラベルについて理解を深めることこそ僕なりに十二分に楽しむ事です。という事で、過去に既に2本のタイムトラベルについての記事を書いた僕が三本目に着手しようと思います(`・ω・´)

映画本編だけではよくわからなかった方は、これが映画中の描写を理解する助けになれば幸いです。また、可能な限り監督や脚本家といった公式の関係者による発言も元にしますが、それでもわからない所は僕独自の推測で補う事があります、それをご了承していただける方のみ下にどうぞお進みください。

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「希望」のDCフィルムズ・ユニバース、その軌跡

※本記事では『マン・オブ・スティール』,『バットマンvsスーパーマン』,『ジャスティス・リーグ』,『スーサイド・スクワッド』,『ワンダーウーマン』の作品名に対してMoS,BvS,JL,SS,WWという略称を使っていきます

「希望」___それは2013年から始まったDC映画の主要なテーマの一つである、と思っています。2013年にはウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給の元、マーベル・スタジオが自社の保有するコミックのキャラクター達が同じ世界観で活躍する数々の映画群(MCU)を成功させてきたので、その企画の成り立ちは配給を行うワーナー・ブラザースによる後追いという印象があります。2019年5月現在、『マン・オブ・スティール』,『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』,『スーサイド・スクワッド』,『ワンダーウーマン』,『ジャスティス・リーグ』そして『アクアマン』,『シャザム!』が公開されてきました。今や立派な映画群ともいうべき数です。緻密な計画に基づいて着実に成功を収めてきたMCUに比べると、DCはかなり前衛的な試みがみられる計画でした。配給に当たっていたワーナー・ブラザースによって複数にわたる方針転換などの政策の結果、映画の製作過程などはかなり揺れていたと言えるでしょう。f:id:the-Writer:20190327170308j:plainこのDC映画群の正式名称、実は未だに正式決定されていません。人によってDC Extended Universe, DC Films Universe, Worlds of DC……などなど、呼ぶところは様々です。また映画に対する評価の変動が顕著であります。このDC映画の世界を築くうえで、ザック・スナイダー監督の功績の大きさは誰もが認めるところでしょう。過去の記事に書いた通り、僕はザック・スナイダー監督の描いてきた物語が好きです。DC映画の、世に公開されるまでの波乱万丈さが最も現れたのが大作『ジャスティス・リーグ』でした。その結果がワーナーの思うようにいかなかったことで、DC映画の制作にあたる部門の人員が変わった結果、『アクアマン』や『シャザム!』が公開され、上々な評価を受けています。見方によれば、ワーナー・ブラザーズのDC映画部門はようやく安定したレールが見えてきた、と言えるでしょう。
今回の記事では、DC映画のこれまでの体系の分析、これからの辿る道筋について書いていこうと思っております。

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シビル・ウォーはなぜ起きたのか___アベンジャーズ分裂・真の黒幕

f:id:the-Writer:20190303121923j:plainマーベル・スタジオ公式が史上に類を見ないほど情報統制を敷いている超大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』、公開まで1カ月を切りました。マーベル・スタジオの今や定番となっているのは宣伝方法は、映画本編公開前にティーザー予告・予告映像を出すというものです。ケヴィン・ファイギ社長に至っては「予告編ですか?映画公開前には出ますよ」なんてふざけた茶目っ気たっぷりな発言をした事もありましたし、その発言をメディアも一大ニュースとして取り上げるほどですから、いかにこの現状が情報に飢えているかがよくわかります。f:id:the-Writer:20190228200013j:plain『エンドゲーム』の監督を務めるルッソ兄弟は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の監督を務めてきました。スティーブ・ロジャースというキャラクターに注力するような履歴ですね。そしてMCUファンの方なら気づくかもしれませんが、彼らが手掛けてきた映画はどれもMCU全体に及ぶ大変革を描いています。『ウィンター・ソルジャー』ではそれまでの各作品をつなぎ留め、超人たちが結集するための公的組織が崩壊。『シビル・ウォー』では度重なるアベンジャーズの活動による犠牲を無視できなくなった結果、アベンジャーズは事実上の解散。『インフィニティ・ウォー』ではアベンジャーズの敗北に伴い、全宇宙の生命の半分が抹殺されました。

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幻の?『エイリアン:コヴェナント』続編の構想書き起こし

f:id:the-Writer:20190223092215p:plain↑『エイリアン: コヴェナント』を観終わった後の僕です。
まさか主役や話の焦点がここまで大々的にアンドロイドに切り替わるとはだれが予想したでしょうか。結果的には満足していますし面白い映画でした。エイリアンという名を冠しながら様々な内容がてんこ盛りの興味深い一本だったと思います。『プロメテウス』は地球から遥かかなたの惑星Lv-223でたった一人生き残ったショウ博士が、首だけになったアンドロイドのデヴィッドと共にエンジニアの船・ジャガーノート号でエンジニアたちの故郷とされる「楽園」へと旅立つシーンで幕を閉じました。f:id:the-Writer:20190223100832j:plain『プロメテウス』の一つの特徴として、エイリアンの起源・人間の精神の神秘・エンジニアの壮大な世界・アンドロイドの危うさ……といった続編に発展しうる様々な可能性をバランスよく配置されていた、というのがあると感じます。その続編である今作が『プロメテウス2(仮)』 やら『エイリアン: パラダイスロスト(仮)』と呼ばれていた初期のころは、そのどれを発展させてもよかった。完成してみた『エイリアン: コヴェナント』は、人間はあくまで狂言回しとして底知れない狂気と探求心でひたすら「完璧な生命体」を創り出すデヴィッドの物語でした。

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~平成ライダーよ、永遠に~『平成ジェネレーションズFOREVER』補完・考察計画

「あの頃、本当に俺のそばに仮面ライダーはいたんだ。覚えてる限り、ライダーはいる!」

こんにちは、the-Writerです。すごい素敵なセリフだな、と思います。

僕のライダーへの個人的な思い入れを書いても特に興味はないと思うのでここにはほとんど書きませんが、最近『仮面ライダージオウ』にはまりまして……前年度と今年度のライダーが共演する恒例の冬の劇場版、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』を観ました。非常に満足度の高い作品でした……気づけば20作も製作されてきた平成仮面ライダー、その総決算としても『ジオウ』の物語としても『ビルド』の物語としても見事なシナリオ、過去作品と現行作品の両方を丁寧に扱い、驚異的なバランスで完成された一本でした。

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