『ドクター・ストレンジ』は教科書だ

 「魔法」……この言葉を聞くと何が頭に浮かびますか?

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箒に乗って空を飛ぶ、というのは古すぎる発想かもしれませんが、杖を持って呪文を唱え、現実にはあり得ないような奇跡を起こす、というような光景を考え付くのではないでしょうか。

少しばかり真面目に考えてみた結果、僕にとっての魔法とは「不可能を可能にする」技術、という結論になりました。なにやら少年漫画の熱血主人公などにあてはまりそうな文句ですが……少しだけ言い換えるならば、魔法とは一見不可能に見える事を実現して見せること、でもあるでしょう。

たとえば、スイッチ一つをカチッと押すだけで安定した光が灯る電灯。この21世紀の現代では当たり前のことですが、今から200年過去に遡った時代では、まだ蝋燭やたき火といった、天然の火に頼っていました。また、現代ではスイッチ一つで食べ物が温めることができ、お風呂を沸かし、遠い外国の最新情報が手軽に入手できます。しかし、これらの当たり前とは、過去ではすべて「奇跡」です。そしてなぜそれが可能になったのかと言えば、「科学」が発展したからでしょう。科学とは、自然界の仕組みを知る事。様々な自然現象を「公式」の形にまとめることで、誰でも学習・理解・使用することを可能とし、様々な新しい技術の開発に繋がりました。

一見、科学と魔法は対極にあるものとされ、魔法など非科学的……という意見もありますが、僕はむしろ科学の発展形こそ魔法であり、魔法は科学を包括するという、相互的な関係にあると思います。敢えて科学と魔法に線引きを行うならば、「説明・実証」が可能か?という点でしょうか。

ちなみに、『2001年宇宙の旅』などで有名なSF作家アーサー・C・クラーク氏が提唱した「クラークの3法則」というものが存在します。それによれば、

クラークの三法則(クラークのさんほうそく)とは、SF作家アーサー・C・クラークが定義した以下の三つの法則のこと。

  1. 高名で年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
  2. 可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
  3. 十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。

出典:クラークの三法則 - Wikipedia

よって、いよいよ科学⇔魔法という関係が僕の中で固まりました。

以上、僕の魔法に対する見解です。

そして、その魔法を現実と地続きに描くことでリアリティある説得力を持たせ、新しいヒーローのオリジンを描いた作品が『ドクター・ストレンジ』なのです。

 

今や膨大な数の映画やドラマを制作し、自社のキャラクター達を実写化しているマーベル・スタジオは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)という一つの巨大な世界を作り上げている……というのは、本ブログをよく読んでくださっている方々はもうご周知でしょうか。その作品群は、SF, コメディ, ファンタジー, クライムサスペンス……といった様々なジャンルを扱い、非常に「懐が広い」と言えるものの、すべての作品が一定の高いクオリティを保ち、まさにハズレが無いのです。

マーベルのヒーローの代表としてよく挙げられるのが、アイアンマン, キャプテン・アメリカ, スパイダーマン など。

アイアンマンやスパイダーマンは機械工学を主として、物理・化学を駆使して作り上げたスーツを身にまとって戦う、(地球の)科学の最先端を行くヒーローです。

一方で、ソーといった北欧神話からやってきたヒーローは、高度な文明を持つ異星人という解釈がとられ、雷を自由自在に召喚するハンマー・けた外れの身体能力、といったコミック的要素が現実に落とし込まれています。

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MCUではコミックの実写化に際し、「そこに実在するのだから、そこには何か理屈があるはずだ」というスタンスが根底にあります。よってヒーローの動機から、その能力の仕組みといった全てに対して説明がつくように、設定が練りこまれているのです。

一見現実では起こりえないむちゃくちゃな絵面(例えば怒ると体が緑に変色してごりマッチョに膨れ上がる中年男性)でもしっかり現代科学に基づいたものとして、理系の方でも安心して楽しめるのですね。

もっとも、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のしゃべるアライグマ・人型の樹木、といったキャラクターはやはり一際異彩を放ちますが……

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そして、ついにそのMCUが『ドクター・ストレンジ』を製作する=「魔法」を扱うとして僕は前々から非常に楽しみにしていました。

結果として、僕は大満足です!ついにMCUに参戦してきた摩訶不思議なドクター・ストレンジ。今回はその魅力を書いていこうと思います。

 

 スティーブン・ストレンジという男

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』にて、テロ組織ヒドラの抹殺対象として名前が言及されたスティーブン・ストレンジ(日本語字幕だと彼の名前は省略されています)。そんな彼はどんな人間なのか?

事故によってその輝けるキャリアも技術も失った、天才外科医。

溢れる知性とユーモア、スタイリッシュな佇まいの彼の唯一の欠点は、その傲慢さ。

出典:ドクター・ストレンジ|ドクター・ストレンジ|映画|マーベル

この特徴的なキャラクターは、一見すると非常にコミック的なわかりやすいものです。しかし、物語が進むと「傲慢」というのはあくまで表面的なものであり、ストレンジはそこまで浅いキャラクターではなく、味わい深いキャラクターだと気付かされました。

トニー・スタークと同じように、彼には本当は繊細で臆病な一面があります。臆病故、失敗したくないからと必死に勉強して天才外科医という異名をとるまでになった、というのは本人の口から説明されていました。恐らくそれを隠したいがゆえに、無意識のうちに傲慢不遜ととられるような立ち振る舞いをするようになり、頭も良いので会話によくジョークも交える現在の性格になったのでは、と思います。

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一方で、彼は一度こうと決めたら、絶対にそれを曲げない不屈の意志を持っています。香港での最終決戦にてドルマムゥとの「交渉」に向かった彼は、ドルマムゥと自分自身をアガモットの眼の力で「ループする時間」という牢獄に閉じ込めました。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の主人公ケイジのごとく、ドルマムゥに何十回と殺されようとも、ドルマムゥが根負けして手を引くまでストレンジはあきらめませんでした。どんな魔術大戦か、と期待していくと拍子抜けするような展開なのですが、このストレンジの粘り強さは既に序盤の方から伏線が貼られているんですね。

 

まず、天才外科医に至るまで、彼によれば「勉強と実践を何年も繰り返した」そうです。特に脳神経という分野は医療でも複雑困難をきわめるところでしょうが、それを丹念にずっと学び続けたからこそ、脳外科として働けたのでしょう。また、その手術自体も、一秒一秒、細心の注意と集中を絶やすことができない、大変負担がかかるものでしょうが、彼は一見それを難なくやってのけます。これも粘り強さによるものと解釈できます。次に、一度エンシェント・ワンによってカマー・タージから追い出された時、彼はあきらめて放浪するでもなく、5時間以上も門の前に座り込んで門を開けてもらえるのを待っています。修行中にヒマラヤ山脈に置き去りにされたときも、カマー・タージへの口があくまでずっとスリング・リングを構えて右腕を回し続けていたことでしょう。絶対に笑ったりしないウォンに対しても、なんとか笑わせようとギャグをかまし続けます。床に就いた後でも、アストラル次元でひたすらに書物を読んで知識をどん欲に蓄えていきます。

確かに、彼には瞬間記憶力という天性の特殊な能力がありますが、ストレンジは決してその天性の能力の上に胡坐をかかずに、実は結局地道な方法で能力を高めようと頑張ってきたんだ、と僕は思いました。その愚直ともいえる粘り強さが、エンシェント・ワンに認められてマスターの称号を授かり、最終的に強大なドルマムゥをも根負けさせるまでに至ったのです。ここに一種の感慨深さまで覚えてしまいます。

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また、それに加えて彼には自分の美学を固持し続けるとともに、内に秘めた正義感があります。作中、ストレンジは「ミスターじゃない、ドクターだ」と2回ほど訂正する場面があります。アメリカ本国のTVスポット(CM)ではここのみが切り取られてギャグシーンかのように扱われていましたが、実はここにストレンジのこだわりがあるのです。意図的ではないものの敵の命を奪ってしまった時。

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医者となり、ドクターをかたくなに名乗るのは人の命を救うため。従ってドクター・ストレンジは、もはやMCUでは珍しくなってしまった「優しき不殺のヒーロー」なのです。それが、最終的に負けることで勝利する、という結末を迎えました。

「人のためにあれ」という、師であるエンシェント・ワンの最後の教え。最初、ストレンジは腕を直して元の地位に返り咲きたい、という自分中心の願い(決して悪いことではないですが)を持ってカマー・タージに来ました。最終的に彼は、天才外科医としての輝かしい日々や、クリスティーンへの未練を断ち切り、自分に与えられた使命、そして運命を受け入れます。今はもう動かないクリスティーンからのプレゼントである時計は、「失ったものはもう帰ってこない」という戒めをこめて改めて腕につけたものだと思います。アガモットの眼を使って時間を操った男だからこそ、更にグッと来る静かな決意です。NYサンクタムの丸い窓辺に立ち尽くす彼は、世界の守り手であり、番人として覚悟を決めた、一人のヒーローの様を呈していました。

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MCUに持ち込まれた「魔法」

 厳密に言うと、MCUに魔法が持ち込まれたのは『ドクター・ストレンジ』が初めてではなくて『マイティ・ソー』から、と思っています。

例を挙げるならばソーのハンマーであるムジョルニア。その成り立ちに関する設定などはしっかり存在していますが、雷を自由自在に召喚・吸収・放出、ご主人様呼ぶ所どこでも駆け付ける、高潔な者しか持ち上げられないなど、僕ら地球人からすればどう見ても魔法そのものです。

また、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のオマケシーンに初登場し、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で活躍したワンダ・マキシモフは、作中では呼ばれないものの「スカーレット・ウィッチ」という名前を持っています。また、その力は赤いエネルギーを操って、人に幻を見せたり、物体を動かしたり、エネルギー自体を攻守に使えるというのですから、れっきとした魔法です。

よって、あれだけワンダが暴れまわった後なので、同じ魔法使いとして続くドクター・ストレンジはどのように差別化を図るのだろう……というのが公開前の懸念でした。

 

ワンダと、ストレンジたちカマー・タージの魔術師たちの魔法の根本は、エネルギーを操るという点です。ここは共通しているのですね。

ワンダは6つのインフィニティ・ストーンの一つ、マインド・ストーンによって体に備わったエネルギーを、自分の意志で自由に使います。一方で、カマー・タージの魔術師たちは、異次元から引き出したエネルギーを操る、と説明されています。

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視覚的には、ワンダは赤い流動的なエネルギーを使っていますが、魔術師たちは手先から火花が散る直線的なオレンジ色のエネルギーを、様々な決められた形にして使っています。ワンダはある意味独学で自由に魔法を使っている一方で、ストレンジは既に確立された方法に従い、効率的に魔法を使っているわけですね。

MCUは、ドクター・ストレンジが持ち込んだ魔法を「異次元から引き出したエネルギーによるもの」、と説明をつけたわけです。たとえば物理学では、アイザック・ニュートンをはじめとした物理学者たちによって、自然界の運動法則が様々な公式としてまとめらました。そのおかげで、高層ビルにいても、窓から落としたボールが地表につくまでの時間を知るだけで、自分が今いるおおよその高さがわかるのです。MCUでは文明の始まりと共に、アガモットという人物が異次元からエネルギーを引き出す方法を発見し、魔術として確立したようです。従って、ワンダと違う直線的なエネルギー、魔法陣といった表現は、引き出したエネルギーを最大限効率的に使う方法が確立・マニュアル化された事を表しているのだと思います。残念ながら、どうやったら異次元からエネルギーが引き出せるのか、という方法は観客には明かされませんが……(´・ω・`)

また、ストレンジが初めてカマー・タージを訪れた際、彼はエンシェント・ワンに向かって「信念の力、などというものは信じない」「我々は全部物質からできている」と典型的な、西洋的な思想をぶちまけています。確かに、歴史を参照すると医学などに関しては東洋より西洋の方が発展していました。医療に関しては、西洋は肉体に根差した直接的な方法を見つけ、東洋は精神を主とする(一見)間接的な方法です。言い換えれば、ストレンジがエンシェント・ワンに向かって文句をまくしたてる場面は、「西洋vs東洋」=「物質vs精神」という争いの比喩でもあった、ととれますね。

現実でも、僕らは生まれた時から「地球は丸く、太陽の周りをまわっている」「人間は脳で考え、心臓が体を動かす」といった、科学に基づいた(西洋的な)知識を与えられて育ちます。その一方で、(東洋的な)精神に関する話は、宗教にでも入らない限り「魂は存在する」などという教えは受けません。なぜならそれらは目には見えない世界であり、現在の科学では十分な立証が得られていないからです(それでも最近は、「平行世界」や「意思が体に与える影響」といった目に見えない世界の研究が盛んで、様々な成果が上がりつつあります)。

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(↑このシーンは、エンシェント・ワンがストレンジに留まらずに、観客にも向かって「目ざめよ」と説くメタ的なシーンともとれます)

したがって、あの場面のストレンジはこの世界で育った僕ら現代人の代表ともいえるでしょう。その後、彼はまずアストラル次元へとたたき出され、その後様々な次元を巡るツアーや、魔術の数々を学んでいきます。実際に目には見えない摩訶不思議な世界や概念の数々を見せられ、それを受け入れて学んでいくストレンジの姿は、僕らが魔法の世界へ入っていく案内人の役も務めているのです。

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外科医=理系(そして僕らと同じ一般人)だったストレンジが、自分の理解を超えた世界を学び、修行して魔術を少しずつ身に着けていく一連の修行のシーンは、『ドクター・ストレンジ』でも特にお気に入りシーンの一つです。

 

 

 

さて、ここで『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を参照してみましょう。

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ここで紹介したシーンは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の特徴が特によく表れている場面です。特に真ん中のシーンがそうですが、手持ちカメラによる臨場感あふれるカメラワーク、紺色や灰色が中心のモノトーンな色調、現代社会をキャラクターが動き回るリアルさ、それらを理解したヘンリー・ジャックマンによる音楽 などの要素が合わさり、非常にリアルで緊張が張り詰めるような雰囲気を醸し出しています(実際に本編を少しでも観てみるとわかりやすいと思います)。

一級品のサスペンスのようで、現代社会を動き回る『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』。

 

 

それを観た後に、『ドクター・ストレンジ』を観てみましょう。

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キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で描かれた、僕らが今生きている現代社会の向こう側には、こんなに不思議で壮大過ぎる世界が広がっている……この対照性や拡張性が楽しめるのも、MCUならではなのです。 

 

 

 

その他色々

 本作『ドクター・ストレンジ』の監督を務めたスコット・デリクソン氏は、ドクター・ストレンジというコミックの大ファンだったそうです。マーベル・スタジオにおいて、『ドクター・ストレンジ』製作の話が持ち上がった時に、何としてでも本作を監督したかった彼は、下記のような苦労をしたそうです↓

この熱意には、いやはや息を漏らすしかありません。彼がそこまでして実現したかった世界が本作である、ということを知ると今度観るときにまた違った楽しみがあります。

 

ドクター・ストレンジ』は大好きですが、決して100点満点の映画ではないと思います。空間を万華鏡のごとくガラガラ好き放題に変形させる映像を使う本作は、確かに個人の好みがわかれるところではあります。そんな中で、本作に対する批評をいくつかとりあげたいと思います。

「アクションがいまいち」……これは僕もそうだと思います。パッと浮かんだのが、NYのサンクタムのvsカエシリウス戦で、ドタドタと壁を走り回る様子にどんくささを感じ、アクションの動きには目覚ましいものはないと思います。ここは、次回作ではアクション担当の監督を増やし、スコット・デリクソンが盛り込みたい要素について話し合いつつ、まだまだ改善の余地はあるなと思いました。

ドルマムゥのデザインが期待外れ」……予告編では存在が伏せられていたため、実際に本編を観た方にとってはサプライズのラスボスだったことでしょう。強大な力と底なしの欲望を秘めた凶悪な存在であり、その姿は異次元に浮かぶ巨大な顔……しかし、目が大きく、ストレンジの術中にまんまとはまる、といった強いわりにどこか抜けている感じが何ともマスコットキャラクター的です。ここで、ドルマムゥのコンセプト・アートをご紹介しておきますね。

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神秘性と重圧を兼ね備えた人ならざる存在……といった不気味なデザインばかりです(それでいて芸術作品のごとく美しい)。

ここで、僕はドルマムゥはあれだけ強大な力を持っているのだから姿を変えるくらい容易いだろう、という解釈をしました。

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恐らく、時代を超えて(ドルマムゥは時間には支配されないものの)あるいは気分によってコンセプト・アートのような姿をとることもあったものの、いよいよ本腰を据えて地球侵略に乗り出した際は、劇中で観ることができたあの巨大な顔の姿をとった、ということです。ちなみに、ドルマムゥの顔の動きとセリフの一部は、ストレンジを演じるベネディクト・カンバーバッチモーション・キャプチャーなどを使って演じていたそうですが……また考察が膨らみそうな、興味深い情報です。

 

今回は作品の構成として、非常にまとまっているといいますか、「お手本」とも言うべきキレイさです。これこれこんな主人公が事情あって挫折して、そんな中で偶然から不思議な世界へ行き、次第にヒーローとして目覚めていく……という、言い方によっては「順調にヒーローになっていく」ストーリーなんですね。たしかにキレイなまとまり方をしているので、もっとこんなシーンを入れてほしかったという意見が出るのも不思議ではありません。

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しかし、僕はその構成含めて本作『ドクター・ストレンジ』の魅力だと思います。先に書いたように、スティーブン・ストレンジは現実の向こう側へ行く際の、僕らの案内人です。ならばこの作品自体が、今まで知り得なかったMCUの奇妙(ストレンジ)な世界への入門書、と言えるでしょう。また、摩訶不思議な描写や圧倒的な映像を実現できることは証明できたので、更にそれを発展……もしくはまた別の側面を見せてもらいたいです(漠然としていますね……)。原作コミックにはまだまだ映像化すべき面白いアイディアやストーリーが詰まっているはずですから。まさに優等生というか映画のお手本のような構成含めて、僕は本作が入門書もしくは教科書だなぁと思うのです。

 

最後に、お時間ある方は↓の感想も読んでみてはいかがでしょう?

ドクター・ストレンジ』を「合法ドラッグ」「四次元」と表現する文才溢れる(羨ましい)レビュー記事です。まだ『ドクター・ストレンジ』を一度しか見ていない、または未だそこまで好きではない、という方は上記のレビューを読んでみてはいかがでしょうか?まるでグルメ記事のようであり、作中の虹色の世界のごとく様々な言葉を使った上記のレビューは、また『ドクター・ストレンジ』が観たくなると思います。それで観直しているうちに本作のことがより好きになっていただければ幸いです(*´ω`*)

 

 

『ドクターストレンジ』が切り開いた可能性とは

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ドクター・ストレンジ』では恐らくMCU史上初の「異次元」という概念がもたらされました。今まで『マイティ・ソー』シリーズや『アベンジャーズ』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などで、地球から遠く離れた宇宙についてが描かれてきました。しかし、そのどれもは「一つの宇宙=世界」にとどまっています。よって、「異次元=異なる世界」という概念は、これまでの宇宙の概念をも超える大きいものなのです

MCUでは、「アース」という概念が取り入れられています。原作コミック、MCU以外のマーベル実写映画、ドラマ、そしてこのMCUも、それぞれ一つの平行世界という体がとられています。

ドクター・ストレンジ』では、無限の平行世界が存在するということを「マルチ・バース(多元宇宙)」と呼び、ミラー次元、アストラル次元、暗黒次元などが描かれました。ここで、MCUはマーベル・シネマティック・ユニバースと、一つの次元という名前です。よって、このマルチ・バースという多(次)元宇宙に、MCUも含まれるでしょう。

敢えて再度記述しますと、マーベルが創り出す多元宇宙の中には、原作コミック・MCU以外のマーベル実写映画・ドラマ・MCU・ミラー次元・アストラル次元・暗黒次元……とまさしく「無数の」平行世界が存在していることになります。ドクター・ストレンジ』は、MCUが異次元の存在に初めて踏み込んだ、ともいえる作品なのです。

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作中の描写を観る限り、スリングリングというどこでもドアによって、どんな場所にもすぐに行け、異次元への出入りすらも可能なようです。

今は不可能ですが、例えばX-MENといった権利上クロスオーバーがまだできないマーベル・ヒーローたちとも、製作会社間に何か大きく変化があれば。ドクター・ストレンジX-MEN達を連れてくる、という展開があるかも……?

 

 

 

 

以上、『ドクター・ストレンジ』の感想でした。

初見の際は「まぁ、映像はすごかったよね」という素っ気ない感想だったものの、MCUにおけるドクター・ストレンジの能力や立ち位置、その意味を後から冷静に考えてみると、非常に重要であることがわかりました。確かに単品映画の完成度としてはぶっちぎりで優秀……とまではいかずとも、ヒーローのオリジンとして十分楽しめました(個人的には『アイアンマン』と同じくらい)。

しかし、映画としての完成度とどれくらい好きか、というのは別物であり、僕は今作が大好きですし、だからとても楽しむことができます。『ドクター・ストレンジ』は教科書であり、僕はこれから何度でも読み返していきたい、と思うのです。

 

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marvel.disney.co.jp

 

『パワーレンジャー』感想 ~~最高の仲間を、ドラマをありがとう~~

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今回は7月15日に公開された『パワーレンジャー』についての感想なのですが、その前に僕の思い出メインの前置きを書かせてください。

 

東映のヒーローは、僕の最初で最高のヒーローなんです

今でこそ趣味は映画観賞、特に最近はアメコミ映画やスターウォーズといったシリーズにドはまりしている僕ですが……「その原点って何だろう」と考えてみると、幼少期から見てきたスーパー戦隊仮面ライダーといった、日本発祥の東映の特撮ヒーローなんですね。

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まだ小さかったので、細かくストーリーや映像のレベルといったところまではよくわかっていなかったのものの、とにかく「かっこいいなぁ」から始まるあこがれや興奮を覚えていました。僕が見ていた作品は、

スーパー戦隊

・『百獣戦隊ガオレンジャー

・『忍風戦隊ハリケンジャー

・『爆竜戦隊アバレンジャー

・『特捜戦隊デカレンジャー

・『魔法戦隊マジレンジャー

・『轟轟戦隊ボウケンジャー

・『炎神戦隊ゴウオンジャー』

・『侍戦隊シンケンジャー

・『天装戦隊ゴセイジャー

・『海賊戦隊ゴウカイジャー』

仮面ライダー

・『仮面ライダーブレイド

・『仮面ライダー電王

・『仮面ライダーキバ

・『仮面ライダーディケイド

・『仮面ライダーW

・『仮面ライダーオーズ

・『仮面ライダーフォーゼ

・『仮面ライダーウィザード

・『仮面ライダーTHE FIRST』,『仮面ライダーTHE NEXT』

ですね。これらに加えて、スーパー戦隊だと『VSシリーズ』といった2つの戦隊のクロスオーバーもの、仮面ライダーはTVシリーズは未視聴ながら、劇場版なら見たことあるものもたくさんあります(平成ライダーシリーズってTVシリーズから独立したパラレル作品が多いんですよね)。

こうして列挙してみると本当に膨大な数を観ていたんだなぁと自分でびっくりです!

多分、未だにここに挙がっているすべてのヒーローの変身の動きは完ぺきに再現できます(`・ω・´)

それほど、東映のヒーローに関しては思い入れが強く、大好きなシリーズだったわけです。今回は『パワーレンジャー』についてなので、スーパー戦隊に注目していきますが……

いつごろからか東映のヒーローから卒業し、何気なくレンタルビデオ店で借りた『アイアンマン』から洋画にはまっていったのですが、時々ふと東映のヒーローについて思い出したりし、いくつかお気に入りのもののDVDを再生して見直したりします。ある程度当時から成長して大人になり、やはり「ここはチャチだなぁ」「CGのクオリティが……」「役者の演技が……」と洋画で鍛えらえれたこともあり、まだ小さかった頃は全く気にならなかったところが色々目に着くようになりました。しかし、だからといって日本の作る番組や映画のクオリティが低いというわけではないと思います。文面化された設定を読んでいると、けっこう面白い発想やヒネリが満載で、むしろハリウッド以上にアイデアは素晴らしいのではないかと思いますね。

一概に比較できるものではありませんが、日本とアメリカで何が違うかと言えば、一つは予算でしょうか。至極単純な発想ですが、せめてもう少し予算があればビームなどのCG技術を補正するだけでグッとクオリティはアップするよなぁ、と思ったりします。特に超が付くほどの多額の予算を与えられた割にはつまらなかった洋画の超大作を観た時には、「その予算を1/10で良いから東映に流してくれ……」と思ったりもしました。恐らく予算以外にも、製作側の日本的なシステムにも様々な制約があるのでしょうが……

とにかく、スーパー戦隊などの日本のヒーローはその本質が優れていることは間違いないです。なぜなら、そのスーパー戦隊をアメリカでリメイクした『パワーレンジャーシリーズ』の大ヒットがそれを証明しているからです。

 

パワーレンジャーについても少々

パワーレンジャーとは、スーパー戦隊を原作にしたシリーズといっても過言ではないでしょう。ドラマ・パートを様々な人種で撮り直し、変身シーンのCGは新たに作られ、アクション・シーンはより派手に、オリジナルの要素まで付け加えられるなど、様々な面で「あっちの国」の観客受けするように進化しています。最も、街で巨大化した敵と戦隊のロボが戦うシーンはさすがに日本のものを流用していたそうですが……

今や様々な国々でヒットしており、日本で生まれたヒーローは世界中の人々の楽しめるほど優れている、と捉えて良いでしょう。ちなみに、機会あって『ハリケンジャー』から『ボウケンジャー』までの4作品を原作にしたシリーズを一部見たことがあるのですが、確かにクオリティがすごいんですよ。爆発やビームなどの特殊効果はより派手に丁寧に、アクションもキレがあり、オリジナルのレッド専用バトルアーマーもカッコよく、とにかく日本版で不満だった映像面が完璧なまでに改善されており、「悔しいけど、かっこいい……」という具合でした。

そもそも東映のヒーローというのは基本的に子供たち向けなので、卒業した人間は対象外ですよね。それでも、卒業した人間である僕は、「かつて自分を興奮させ、夢躍らせてくれたアツいヒーローたちを、僕ら卒業した人間たちが十分満足できるレベルで観たい」という願望を抱くこととなりました。それは、大量の資金投入で集めた優れた人材によるたハイクオリティな東映ヒーローの映画を観たいということでもあります。

 

 

そして、それがようやくかなったのが本作『パワー・レンジャー』ということなのです。原作になっているシリーズはあるものの、高校生5人が主役であり、よりシリアス、より洗練された本気の一本ということで前々から楽しみにしていたのです。

それをようやく観てきたので、今回はそれを感想にまとめてみました。待ちきれないのでここで書いてしまいますが、これは傑作ですBlu-rayの予約が始まれば即刻でAmazonの購入ボタンをポチりますし、家に届いた日には吹き替え・字幕と何度でも見返したいです。

 

レンジャーである前に、彼は5人の「高校生」

本編が終わり、劇場から出ると胸に感じるのは「物足りない」という感覚。しかし、人間ドラマのパートは十分すぎるほど丁寧に、充実していたし、スーツやメカもハリウッドが本気出しただけあって(超)かっこいい。もう映像面では文句のつけようがありません。それでは、なぜそんな感情が湧くのか?

冷静に振り返ってみると、肝心の変身シーンが映画で言うと終盤のシーンなんですね。極端なことを言うと、変身、ザコ敵を倒し、巨大化した敵と戦い、新たに戦う決意を胸にする_______というのがラスト15分。そこに至るまでは、メンバーの5人の群像劇なわけです。

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スーパー戦隊のお約束を理解した身であり、プロモーションもかっこいいスーツやロボを前面に押し出したものであったので……そうなるとやはりいつも日曜の朝に見ていた5人一斉に「変身!」と叫んでスーツを装着、各々の戦闘スタイルでザコ敵をかっこよく片付け、最後は必殺技を叫んでキメる……という感じのケレン味あふれる展開を予想して劇場に向かいます。特に、近年のアメコミ映画などでもそうなように、アクションが充実したものを期待していくと、その期待は外れたように感じるのが本作でしょう

しかし、1日2日と時間がたってみると、今度は「もう一度、観に行きたい」という感情が胸にわいてきます。その源流をたどると、「もう一度、あの5人に遭いたい」という感情なんです。

 

 主人公は5人の高校生たち。

「5人の高校生が主人公で~」や「高校生たちの青春ドラマが~」といった文句を聞くと、何となく頭の中で「あ、高校生の学園(青春)ドラマなんだ」と勝手に像を作り上げ、見に行く気が特に起きない、という方もいるのではないでしょうか?上記の文句は確かに合って入るのですが、まだまだ本作の魅力が伝わらない言い方であると思うのです。それを熱く、語りたいと思います。以下、5人の主人公について僕なりに紹介をしていきますね

 

レッドレンジャー

今回、レンジャー(=チーム)のリーダーであるレッドを務めるのはジェイソン・スコット。アメフトで名プレイヤーだった彼は、体格が良く、力強い頼りになるキャラクターです。f:id:the-Writer:20170723204300j:plain

しかし、その溢れんばかりのエネルギーを持て余し、バカをやらかして、スターとして約束された将来をパーにしてしまいます。そのことを父親から責められますが……本人もその感情が何でどこからくるのか、本人なりに悶々と悩んでいる様子です。しかし、根はまっすぐで正義感溢れるキャラクターなのです。

ピンクレンジャー

チアリーディング部に所属し、友達もいて顔も美人、彼氏もいて高校生活を思いっきり満喫していたキンバリー。

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しかし、人間関係のこじれなどによるSNS上のトラブルもあり、所属していたグループからはじき出されてしまいました。人間関係の変化で居場所を失い、自分のやってしまった行動に悩み、その航海の仕方などが非常に高校生らしいといえるでしょう。そんな彼女も、根はまっすぐで大胆な人物です。

ブルーレンジャー

ビリーは幼いころに父親を亡くしており、今も恋しく思っています。その上に、自閉症スペクトラムを患っているのです。それゆえの特異な行動やおとなしさをネタにされ、学校ではイジメに合っていますが……

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しかしその学習・記憶能力はずば抜けています。また、彼の内面は繊細で優しく、素直という「純粋」そのものであり、チームではジョーク担当その1だったり。彼の存在が、周りの人間を和ませているのは間違いないのです。

ブラックレンジャー

ザックは不登校気味なアウトローで、今回の5人の中でも特に集団から外れがちな一匹狼で、恐れ知らずです。

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しかし、彼の母は病気で寝込んでおり、彼の何よりの恐れは愛する母を失う事。実は非常に家族思いであり、キンバリーとはまた別の形で、彼もまた居場所を必要とする人間なのです。打ち解けてくると、彼はビリーに続くジョーク担当その2となります。

イエローレンジャー

トリニーは親の都合でよく町から町へ引っ越したりする転校生です。

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実は同性愛者でもあるトリニー。しかしながらそれを両親に全く理解してもらえず、特に母親の方はトリニーに接する時はヒステリー寸前の、完全な「独親」状態です。高校生は繊細な時期でもあるので、彼女は何となくふさぎ込みがちで、皮肉っぽい一面も持ちます。そんな彼女が、偶然夜の鉱山に立ち入った時、物語が動き出します。

 

さてさて、レンジャーの面々を僕なりに紹介してみましたが、人生全てが順調で何の問題もないというわけではなく、何かしらの問題や欠点を抱え、それに悩みつつも日々を悶々と過ごす5人の高校生たちの姿。それは非常に説得力を持って、海を越えてはるかかなたの日本に住む僕らの胸に訴えかけてきます。

 

↑こちらの監督へのインタビューによれば、

私が”大人になる”物語が何故好きなのかというと、高校生やティーン・エイジャーにとって、世の中の全てが重要な出来事だからです。大きいものはすごく大きく感じましたよね。人生の中でもすごくエクストリームだった時期にいるキャラクターたちが成長していく、という物語が良いと思ったのです。

そうして僕らは、彼らに感情移入していくのです。思春期真っただ中の高校生は、「勉強も、部活も、恋も!青春してるぜー!」というキレイで充実したもの……

というよりはむしろもっと、言い知れぬ不満や不安に対する見つからない答えを求めて、自分の中の泥沼でもがく時期だと思うんですね(僕もそうでした)。コントロールできない感情、SNSでやたらと気を遣う人間関係、他人とうまくコミュニケーションが取れない、親とのすれ違いや葛藤、自分の悩みを理解してもらえない苦しみ、出口が見つからない孤独……僕が今回「高校生」と称するのはそんな子供から大人への過渡期の真っただ中(アルファ5の説明通り)で、様々な悩みを抱える人間の事です。

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少なくとも似たような経験をしたことがあれば、気付けば彼らと同じ目線で冒険をし、応援している自分に気付くのではないでしょうか。恐らく、現役高校生の方、あるいは高校生を卒業した方が見れば胸を打つものがあるはずです。そしてそれは、丁度「一度東映のヒーローを卒業した世代」とガッツリあっているのではないか、とも思います。そういう彼らに感情移入するからこそ、彼らのキャラクターが好きになり、彼らが結集していく過程をもっとじっくり観ていたくなり、彼らの高校生らしいジョークを交えた軽い会話が楽しくてたまらないのです。

 

また、それぞれ違う問題を抱える彼らには決して悪いことばかりではありません。

f:id:the-Writer:20170724101852p:plainコインに選ばれ、異常な力を有しているという秘密の共有、毎日学校が終わるとみんなで秘密のトレーニング、たまには一緒に遊んだりもするし、「バンド(=チーム)を組もうよ」という手紙を授業中にコッソリ回す、夜にみんなでたき火を囲んでおしゃべりをする……など、高校生ならではの遊びや興奮も見ていて楽しいです。

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本作は、「ティーンエイジ映画」と言って間違いないでしょう。本作がターゲットとしているであろう高校生以上の年齢層に対して、一度は通ったリアルな高校生の葛藤を描き出すことで、ハートをガッチリつかむというわけです。よって、僕はこれは「ティーンエイジ映画」であり、それを「一つの戦隊のオリジンストーリー」として描いたのだ思います。

 

本当の友情、信頼、絆

今作『パワーレンジャー』ではクライマックスとして据えられ、彼らの大きな目標として設定されているのが「変身」。基本的に、日本の毎週日曜の朝の30分番組では、メンバーそれぞれが変身ガジェットを持って、全員でタイミングを合わせて「変身!」と叫び、ガジェットを起動させて完了のシークエンス。

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(↑スーパー戦隊30周年記念作品『轟轟戦隊ボウケンジャー』より。お気に入りです)

 

夜の鉱山という偶然同じ場所にいた5人が、警備隊に見つかり、車で逃走を図るシーン。列車が迫る中、踏切を突っ切ろうとして容赦なく車ごと列車ごと吹き飛ばされたその時!彼らがそれぞれ手にしたコインが起動、彼らを守るために変身……しません。

その後、5人で宇宙船を見つけて中にいたロボットのアルファ5や、先代のレンジャーであるゾードンから説明を受け、グリッドに立つシーン。グリッドが起動し、ついに変身してスーツを……まといません。

ピットという名前の屋外で、岩でできた大柄のザコ敵と熾烈な訓練を繰り広げ、そのたびにグリッドに立ち、あれこれ方法を変えても変身……しないのです!

これが、「全員で真に心を合わせなければいけない」というかなりハードルが高い目標として設定され、5人は試行錯誤しながらもヒーローのスーツが出現させようと頑張ります。毎日大変なトレーニングを一緒に潜り抜けていくうちに、腕前が上達していく様子や、仲を深めていく様子は見ていてほほえましいですね。

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ある日、ジェイソンが勝手な行動をとったザックとのケンカで、ビリーが仲裁に入ったその時!ビリーにはスーツが装着されていました。しかし、それもつかの間、ビリーの体から砂のごとくサラサラと消えて行ってしまいました。

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それからはゾードンから「もう今日は出ていけ」と半ば追い出されて訓練を終えた5人。その日はザックのトレーラー・ハウスの近くでたき火をし、夜を明かすことにします。

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何とかより仲を深めようと、改めて「自己紹介」をしていく彼ら。高校生ならではの良い雰囲気ですね。

 

しかしストーリーは進み、トリニーの家に敵であるリタが襲撃をかけてから、夜に5人で集合をかけ、最終的にリタに戦いを挑むことにします。f:id:the-Writer:20170724101443p:plain

そして……ビリーが犠牲になってしまいました。未熟な力で敵に挑み、更に本当に命を落とすとは、日曜の朝にはとてもできないような非常にリアルでハードな展開です。

友達を失うことにより、彼らは真に「仲間を心の底から思いやる」「自分を犠牲にしてでも仲間を守る」気持ちを知るのです。僕はこの最初は寄せ集めともいえるメンバーが本当の友情や絆を築いていく過程が大好きでして。

 

アメリカと違い、日本の学校には「クラス」という概念が存在します。突然見知らぬ他の何十人の同級生と一緒に狭い教室に押し込められ、そして言葉は悪いですけど「みんな仲良く」を強要されますよね。クラス目標を作らされ、自己紹介をやらされ、体育祭や文化祭といった行事。「みんなで協力して」というのが暗黙の了解です。しかし、何十人も人間が要れば何十通りの考えがあるので、仲良くなれる人もいれば、どうしても相容れない人もいて。狭い教室で、決められたメンバーで1年間過ごせというのだから、これは大変です。自分の居場所を確保するためにグループが出来、「空気を読む」ということを覚えるのです。しかし、大抵のそのような関係は居場所を確保するためだけの、表層上のうすっぺらいつるみであり、本当に心の底から信頼できる「友」というのは数えるくらいしか存在しないというのが現実ではないでしょうか?

それを経験した方々の中には、『パワーレンジャー』を見ると、なぜか胸が熱くなり、感動した方もいるのではないでしょうか?なぜなら彼らは本物の絆や友情を築き上げたからです。

 

そもそも、宇宙船に初めて入った後、変身に失敗し、先に出ていった4人にジェイソンが語り掛けるシーン。「これに対する答えが、あそこにある。俺は君たちには強制することはできない。けど、明日の4時、俺はここに戻ってくる」すると、5人はまたまた集まることになり、一緒に特訓を受けることになります。あそこで、「あれは夢だったんだ」「こんな大事は、他の連中に任せておけばいい」と逃げてもよかったのに、彼らは1人1人、自分の意志で戻ってきたのです。そして、訓練を過ごす日々で絆を深めビリーを失った後、彼らはそれをきっかけに本当に一つになることができたのです

 

f:id:the-Writer:20170724103053p:plainそれが、特別にビリーが蘇生し、グリッドに立った5人の体をジワジワとスーツが体を包んでいくシーンに繋がります。このジワジワとジックリ時間をかけてくれるあたり、これまでの紆余曲折を静かに高まっていく興奮に昇華させてくれる「カタルシス」ではないでしょうか。

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5人が横一列に並んで登場するシーンは、最高にアツい名場面でしょう。ブライアン・タイラーによる確かなバックグラウンドの演奏と現代的でかっこいい主旋律が融合して、気分をさらに盛り上げてくれます。お約束通りレッドが中心にいますが、別に誰が主役で目立っている、ということを気にする必要はないでしょう。彼らは自分を理解して、真に仲間たちを信頼し、自分の身を預けられることを知っているので、彼ら一人一人が主役なのです。

 

一方で6500万年前、仲間の1人であるグリーンレンジャー=リタが裏切り、まさかの全滅に追い込まれたゾードンのチーム。オープニングから早速レッドレンジャー=ゾードンのみがまだボロボロで生き残っている、というピンチの状況でしたが。

なぜそんな事態となってしまったのか?それは、本編中の示唆的な描写から推測できます。あるシーンでは、リタがトリニーに「私も昔は、今のあなたみたいに純真だった」「けどチームの中では浮いていた」と語り掛けています。また、別のシーンではゾードンが、ジェイソン達5人の変身はあくまで自分の復活のためという趣旨の発言や、「期待していたのと違う」「私にチームを導かせろ」と言ったり、何となくジェイソン達を信頼していない節が見受けられます。

よって、ゾードンのチームには信頼関係が足りなかったのでは?と思うのですね。

「ゾードンの隊は数あるチームのうち、地球を守る担当だった」と説明されているとおり、宇宙にはたくさんのチームが存在しており、ゾードンのチームはその一つであるとされています。しかしそれだけレンジャーが存在するならば、

大量に存在するチームはそれぞれの担当区分を割り当てられる→組織的、業務的になってしまう→メンバーはあくまで仕事仲間であり、本物の友ではない という図式が出来上がってしまいます。f:id:the-Writer:20170724105234p:plainf:id:the-Writer:20170724105245p:plain

あくまで仕事仲間であったゾードンのチームはリタに敗北し、本物の仲間であり友となったジェイソンのレンジャーはリタに勝利を収めました。さらに言えば、仲間であった期間はゾードンの方が長かったはずなのに、です。

この勝敗を分けたのは、絆といった本物のつながりの有無ではないでしょうか?

 

 

 

本作について他にも思う事

非常にリアル

パワーレンジャーの設定や・エイリアンの文明・人間模様・ストーリーの展開など、基本的にこの作品のベクトルは「リアルさ」を突き詰めていると感じました。「バトルが物足りない」「肉弾戦が少なく、すぐロボット戦に移ってしまう」などの意見も結構上がっており、実際それは正しいと思います。

しかし、好意的に捉えるならば、敵側は「ザコ敵」でレンジャーたちを足止めしている隙に、より強力な「巨大化した敵」で目的達成に動く……といった流れは戦略的である、と言えるのではないでしょうか?f:id:the-Writer:20170725113336j:plain日曜朝8時の番組で、「なんで(敵は)最初から巨大化して戦隊をつぶさないの?」という大人げない感想を、実際に脚本に落とし込んできた、と僕は解釈したいです。個人的には、何とかレンジャー達が個々のゾードに乗り込むものの、メガゾードへの合体を発動させることができずに、ゴールダーに対してただひたすらビーム(?)をバンバン打ちまくるしかない、というのはリアルだと思いました。


キャラクター達を極限まで掘り下げて魅力的に描いたキャラクター主体

これは先ほどまでズラッと書いて語ってきたことではありますが!これほどまでに丁寧に、静かにアツく登場人物たちを感情移入できるよう、魅力的に描き出した本作。上記の「バトルが物足りない」というのは、確かにヒーロー映画としては致命的かもしれません(あぁ、今作が好きなだけにこんな事を書くだけで辛い)。

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しかし、その点も「リアルな流れを重視したんだろう」という解釈をしてでも受け入れるならば、今作は極限までヒーローのオリジンを掘り下げた、ヒーロー映画の新たなる金字塔、と僕は断言します!近年、MARVELやDCが次々と繰り出すハイクオリティなスーパーヒーロー映画に対して、このアプローチは新鮮でかつ変化球でもあるでしょう。彼らの変身にいたるまでの部分は、冷静に見直してみると本当にテンポよく、そして楽しく進んでいて、「ティーンエイジ映画」として非常に面白いです。

監督も述べていましたが、彼ら5人の誰かしらには感情移入できる……つまり、地に足が付いたキャラクターである彼らは僕ら観客の憧れで、代表で、友達なのです。


壮大なスケールと映像でありながら、実にパーソナルな物語

観た方ならわかる通り、デザインやサウンドもとても優れており、設定もしっかり作りこまれているので、「もしもこの現実にエイリアンのテクノロジーが埋もれていたら……?」と現実世界と地続きになっている世界観に、難なく入り込むことができるのです。本作は一応『恐竜戦隊ジュウレンジャー』→『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』→『パワーレンジャー』と、以前の作品を原作にしてきているのですが、根幹となる設定は使いつつも、それを一から構成しなおして純粋な「パワーレンジャー」を創り出しているのも素晴らしいです。『ジュウレンジャー』は本当に「原作」であって、ほとんど別物と捉えていいかもしれません。

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また、「敵のリタがジオクリスタルを奪えば、地球上の全生命が死滅する」と突然壮大な世界や危機を聞かされれば、展開が早すぎてポカーンとあっけにとられるのは当然でしょう(実際に劇中の5人もなかなか信じなかった)。しかし、そんなあっけにとられるスケールのストーリーでありながら、その核にあるのは彼ら5人の中ではぐくまれる絆。非常に人間的で、ポジティブなものがこの映画の核なのです。この普遍的で重要な「人と人とのつながり」を、「壮大なスケール」で描き出す事こそ、本作の魅力ともいえるでしょう。



Twitterの反応も! #パワレン 

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待望の続編に向けて

パワーレンジャー』を観て大好きになった僕は、「もっとあの5人が観たい!」「続編が観たい!」と思いました。

僕なりに続編の情報をまとめてみましたが、

現在の所、続編は5本分企画されているそうですね!

2017年6月27日時点で、既に『パワーレンジャー2(仮)』の話し合いが行われているそうです(ただし今作の監督ディーン・イズラライトは参加していない)。

最も、それが本当に実現するかは全世界の興行収入にもよるのでしょうが……是非とも実現してほしいところです。

 

また『パワーレンジャー2(仮)』についてですが、まさかのポスト・クレジット・シーンが『パワーレンジャー』にもついていました!

 

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顔は見せないものの、緑色のジャケット・(恐らく)ドラゴンの刺繍・そして「トミー・オリバー」という名前……間違いなく、次作に6人目のレンジャーであるグリーンレンジャー(あるいはドラゴンレンジャー) 登場のティーザーですね!

 

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  • オープニングの6500万年前の映像に、一瞬ながらリタのレンジャー形態=グリーンレンジャーが登場している
  • リタがメガゾードに吹っ飛ばされる時にコインを持っていない=グリーンレンジャーのコインはエンジェル・グローブ内に未だ落ちている
  • 意味深に『パワーレンジャー』公式からグリーンレンジャーのヘルメットの15秒映像が公開された

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これらの事から、間違いなく次作にグリーンレンジャーは登場するでしょう。

 

原点である『ジュウレンジャー』『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』では、ドラゴンレンジャーとはその色鮮やかなスーツに加えて金色の装甲をまとった追加戦士です。原典の特徴を引き継ぐならば、金色の追加装甲(これはリタの装備が純金の杖なことが伏線になる)・専用のダガーを持つ・専用のゾードを持つ ことは確実です。

 また、本来は男性のキャラクターですが、レッドレンジャーことジェイソンを演じるデイカー・モンゴメリーによると

「僕と多くのキャストで話し合い、グリーンレンジャーは女の子であるべきだという事になりました。3人の男の子、3人の女の子___これならバランスがとれます。まだ空白であり、わかりませんが。誰がそこに入ろうと、たとえ女の子であろうと、間違いなくドラマを創り出すことになります。そのドラマを作品に投入し、僕らがそれにどう関係していてどうやって取り組んでいくのかを観るのは興味深いでしょう」

 

なんと、原典を考えると多少ビックリではありますが、実写化において、特に今回は一からすべてを創り出した事を考えると、このようなヒネリも必要かもしれませんね。実際、MARVELの『ドクター・ストレンジ』では、主人公のストレンジの師匠にあたるキャラクターは、原作コミックでは男性だったのが実写化に際して女性に変更されています。

今回堅い関係を築き上げたこの5人に、追加の1人がどのように絡んできてどのような新しい「化学反応」を起こすのか。続編に関してはグリーンレンジャーについて考えるだけでも非常に楽しみです。また、ザコ敵との戦いで、もっと5人の息の合った連係プレー・レッドだけではない他の4人の専用武器・必殺技 など沢山観たいものがあります。製作陣に期待しましょう。

 

 

 

 

 

以上、『パワーレンジャー』について、思うことをすべて書いてみました。

とにかく僕は今作は傑作だと思いますし、とにかく大好きな一本です。

最後まで本記事を読んでくれた方には感謝いたします、どうもありがとうございましたm(_ _)m

そして、是非とももう一度だけ劇場に足を運んでほしいです!特にバトルシーンをメインに期待していた方は、「これはティーンエイジ映画なんだ」と思って観るとかなり楽しめるようになるのではないでしょうか?

 

最後に……パワーレンジャー』、最高でした!GO!GO! Power Rangers!

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ラストシーン考察~ケイジとオメガの「あるもの」の争奪戦~

SF映画ではもはや定番となりつつも、下手すると根幹をなす設定が破たんしかねない「タイム・トラベル」という題材。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は「タイム・トラベル」をメインに、シンプルな描写とありそうでなかった斬新な展開で主人公ケイジの成長を描いた作品です。

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今回は、そんな作品のラストシーンの展開について。もしかすると本編未視聴の方がいるかもしれないので、未だここで具体的な展開は書きませんが……(未視聴の方は即刻で本ページを閉じ、財布を握って近所のTSUTAYAもしくはGEOに走りましょう)

あれは決してご都合主義のハッピー・エンドではなく、一度見ただけではわからないであろう理屈が背景にしっかりと構築されていると思いました。今回は、そんな考察を記事にまとめてみましたよ(しかしあのラスト・シーンに至るまでの理屈の思考に累計何時間費やしたことか……)

 

 

 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』について復習

 

ここで『オール・ユー・ニード・イズ・キル』について知らない方のために簡単に説明をさせてもらいます。オール・ユー・ニード・イズ・キル』とは、桜坂洋先生が書いSFライトノベルAll you need is kill』を原作にした映画です。日本のSFライトノベルを実写化したものです(大事なことなので強調させてもらいました)。

 

あらすじ:外宇宙からの侵略者「ギタイ」の侵攻によって、人類は滅亡の危機に陥っていた。人類は国家間の垣根を超えた「統合防衛軍」を結成、兵士たちは「パワード・スーツ」を着用してギタイと壮絶な死闘を繰り広げる。そんな中、ギタイのせん滅作戦に強制参加させられた軍の報道官ウィリアム・ケイジは特別なギタイを殺し、その血をあびたことから「時間を巻き戻す能力」を手に入れる。彼はその能力で同じ一日を何回も生きることになるが、そんな中で驚愕の真実を……といった感じ。

 

この主人公を、ハリウッドの大スターであるトム・クルーズが演じるわけですが……最初は超ヘタレです。どんな姑息な手段を使ってでも戦場送りを免れようとし、初めての戦場ではモタモタと動き回ってあっけない死を迎えます。あのトム・クルーズが、彼のイメージに似合わない役による珍しい展開なんですよ!

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その後、「時間を巻き戻す能力」で死ぬたびに同じ一日をはじめから生きることになった彼。ひたすら戦場に出向いては死に、どうやったら死なないかという行動を頭に叩き込むハメになります。

いわゆる「ループもの」ながら、それを逆手にとった展開であり、ゲームのごとくセーブポイントからやり直すという行為を現実でやっているんですね。死んだ後いちいち最初から描いていたら尺が足りないですから、前回死んだところの直後からまたスタート、と編集のジェームズ・ハーバードさんがとても良い仕事をしており、飽きずにテンポよく映画を見進めることができます。f:id:the-Writer:20170614195034j:plain

途中で、ある事情から「重傷を負ったら、ループ能力を失わないために潔く死ぬ」というルールが追加されます。重症で「待って、まだ頑張れるから!ちょ、まっ」と這いつくばる主人公の頭に、戦友のリタが容赦なく銃弾をぶち込むのはもはやコメディ。

とはいえ、そんな中で文字通り何百回も戦場を潜り抜けてきた(そしてそのたびに死んでいる)主人公が、成長し、面構えや風格が最初のころから圧倒的に変わっていくのも見どころ。肉体そのものは初期からずっと変わっていないはずなのですが、中身が変わるとこうも変化が目に見えるのでしょうか……f:id:the-Writer:20170614200458j:plain(仲間たちが「アイツ本当に初戦か?」とあっけにとられるシーンはニヤリものです)

 

作品についてはこんなところでしょうか。

 

敵についても知る

次に、今回の敵であるギタイについての解説です。

ギタイ……地球外生命体であり、侵略生物。非常に俊敏・凶暴・協力、素人だと一瞬でその触手?で体を貫かれる。「体液(主に血液)を浴びると、ギタイとしての特性や能力が移る」という性質がある。

ドローン……オレンジ色の個体で「ザコ」ポジション……というものの、一体でもメチャメチャ強い。たった一体始末するのにかなりの労力(と犠牲)を要する。それこそ無限に湧いて出てくるからやっかいである。f:id:the-Writer:20170614195347j:plain

アルファ……ギタイの中でもレアな種であり、アルファが死ぬと後述のオメガが感知し、オメガの能力であるタイム・ループが自動的に発動する。

アルファの能力は「死ぬと時間が巻き戻る」と説明している人もいますが、僕は「死ぬと(オメガが自動的に)時間を巻き戻す」と思っています。

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オメガ……全ギタイのボスであり、唯一の頭脳。言い換えればオメガ以外のギタイは全てドローンである(アルファは不明瞭)。よってオメガはギタイ達を通して戦況を見、考え、指令を出している。たった一つしかない中枢のオメガの死=全ギタイの死である。「時間を巻き戻す能力」=「タイム・ループ能力」を持っている。これは上級ギタイのアルファが殺されると自動的に, あるいは自分の意志で発動する。これにより、ギタイは自分たちに不利な状況を幾度となく「なかったことにしてきた」と思われる。

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そして、問題のラストシーン。

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 ラスト:オメガを殺した後、ケイジはその血液を浴びた途端、今まで目覚めていたポイントより更に前のポイントで覚醒し、さらになぜかその時点でギタイが全滅していた……彼にとっては仲間たちも死なずに全員生きていることになり、恋仲にもなりかけたリタと何百回目あるいは何千回目の初対面を果たし、ケイジの笑顔で物語は幕を閉じる。

 

 以上、僕なりの本映画のおさらいでした。以降は、タイム・ループ能力の考察、そしてストーリーを追いながら考察を絡めていこうと思いますね。

 

 

タイム・ループ能力の再定義

タイム・ループ……オメガのみが持つ特殊能力。それはアルファ、もしくはオメガ自身の肉体が死ぬと自動的に時間を巻き戻す事。これにより、「これから○○すると失敗して死んじゃうから△△しよう」というゲームでしかできないような行為が、現実で可能となる。当然、タイム・ループしている本人以外は普通に時間を過ごしているので、タイム・ループが起こったことすら認識できない。

ここで、僕の解釈はループ能力とは「自分以外の世界全ての時間を巻き戻す」という壮大なモノではなく、「過去のある時点まで、自分の意識を転送する」というものです。ある時点とは、

①アルファが死亡した場合……アルファが目覚める時点 

②オメガが死亡した場合……オメガが目覚める時点

の2通りです。

ここで重要なのが、タイム・ループには「主導権」というものが存在すること。「主導権」を有していれば、タイム・ループをしてもそれまでの記憶をすべて保ったままでいられる。逆に「主導権」を有していなければ、前述の通りそもそもタイム・ループが起こったことすらわからず、ループによる介入になされるがまま……。

トーリーを追って解説

基本的に、この「主導権」はギタイ側が持っており、それによって統合連合軍との戦いで様々な失敗を数え切れないほど経験してきた事でしょう。失敗するたびにオメガはその経験を持ったまま過去に(自分が覚醒した時点まで)さかのぼり、戦局を幾度となく覆してきました。そして、オメガは最終的に連合軍を全滅させる罠を仕掛けることに成功します。

しかし、ここで想定外の事態!人間のケイジが、アルファを殺し、その血液を浴びたことにより、タイム・ループの「主導権」を得てしまいます。これにより、タイム・ループは彼の死によって自動的に発動され、「主導権」はギタイ側には無いため、オメガ側には、ループが自分たち以外の手によって起こっているという事すらもわからないのです。また、ケイジが死ぬたびに目を覚ますポイントは、なぜ手錠をかけられて基地で目を覚ますところなのか。アルファから能力を移されたことから、アルファが覚醒した時点に最も近い、自分が意識を取り戻した時だから、と思われます。

ただし、途中でなぜかオメガが人間側にタイム・ループの「主導権」が渡っていることに気付きます。これは、タイム・ループ自体はオメガが行っている、という事を考えると、おそらくタイム・ループはオメガの肉体に負担をかけるのだと思われます。人間で例えると、タイム・ループを行うたびに右足が筋肉痛になる、という具合でしょうか。

オメガは、自分が認識している限りはアルファすら死んでいないのに、なぜかタイム・ループによる疲労がたまっている事から、自分たちギタイ以外の何者かにより、ループの「主導権」を奪われていることに気付くのです。その人間にはギタイの特性も多少は移っていることから、「自分(=オメガ)がいる場所のヴィジョン」を見せることにします。しかしこれはウソのヴィジョンであり、実際はアルファとドローン等の部下を待ち伏せさせておいて、一旦人間を生け捕りにする算段です。血液を浴びると能力が移る、という特性から、生け捕りにしたケイジから血液を奪って能力と「主導権」を奪還するつもりだったと推測されます。

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しかし、実際にはケイジの機転により失敗。あろうことか、ギタイを研究して作ったメカにより、オメガの真の居場所を逆探知されてしまいます。なお、この後すったもんだあってケイジは輸血されることによってタイム・ループの能力を失い、絶対に失敗できない状況に追い込まれます。ケイジがループ能力を失う→「主導権」はギタイに戻ったことで、アルファやオメガを殺したとしても、こちらの動きを読まれて全滅に追い込まれるのは時間の問題だからです。

ケイジは戦友のリタ、半信半疑気味のJ分隊と共にルーブル美術館に殴り込みをかけます。最終的に、ケイジは水中でアルファに腹を刺されつつも、オメガの爆殺に成功。f:id:the-Writer:20170715182615j:plainなお、オメガは肉体がやられたのでタイム・ループが発動して意識が過去に転送、「主導権」も有しているのでこれで完全に万事休すかと思いきや……

ここでまたもや想定外の事態。水中故、流体であるオメガの血液がケイジに接触、まとわりつき、次の瞬間。ケイジはいつも目覚めていたポイントより前のポイントで目覚めます。この時、血液を浴びると能力が移る、というギタイの性質により、死を迎える直前にケイジは土壇場で「主導権」を獲得したと考えられます。

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オメガはだくだくと流血しつつ、過去に意識が転送されます。しかし、途中で「主導権」を奪われたことでその記憶や意識の引継ぎが打ち切られ、転送先である過去で完全なる死を迎えたのでしょう。一方でケイジは全ての記憶を保ったまま、オメガが覚醒した時点に一番近い、自分が覚醒する時点(それが映画冒頭でも描かれたヘリの中)で目覚めることとなります。前述の理屈で、オメガは死亡したのでそれに伴ってギタイは全滅、結果として仲間も全員生きているというハッピーエンドを迎えることとなったのです。

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続編(あるいは前日譚)についても少しだけ

オール・ユー・ニード・イズ・キル』はRotten Tomatoes(映画批評家たちによる評価をまとめたサイトで、辛口なことで有名)では、91%という高評価を得ている作品です。同じ時間を繰り返し生きる、手塚治虫の『火の鳥』でも描かれた呪いのような宿命を、観客を飽きさせずに着実にストーリーを進めていった今作。

続編の製作計画はすでに動き出しているようです。


・主演のトム・クルーズエミリー・ブラントは続投

・原題はLive Die Repeat and Repeat(一作目のキャッチコピーから発展したもの)

・一作目の監督を務めたダグ・リーマン曰く「続編であり、前日譚」「続編の作り方に革命を起こす」

・公開日は未定

 

 

 

 

元々本記事の執筆に至ったのも、「続編製作計画が始動した」というニュースと、ラストシーンで感じていた疑問が合わさったことによるものでした。その記事によって自分の中の理解もしっかりと固まったので、もう安心して続編を迎えられます……

以上、ハッピーエンドのラストシーンに至るまでの考察でした。

今後のラインナップ2

初めての方もずっと読んでくださっている方も、こんにちは、the-writerです。

一度「今後のラインナップ」として、書きたい内容をまとめた内容も、大体記事として書き終えたので、そろそろ次に書きたいものはなんだろうと思案した結果、以下のようなものを思いつきました。

 

・『トロン:レガシー』感想

・『トゥモローランド』感想

・『ドクター・ストレンジ』について語りたい

・『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ラストシーンの考察

・『ターミネーター6』をやる前に、見つめなおしたいもの

・DCEU 3人のヒーローが導く新境地

 

また、上記の内容に含まれていませんが、コラムのようなカテゴリの新設を考えています。今のところ「〇〇のラウンジ」という方向性の名前を考えておりまして……既存の作品をメインに据えずに、純粋に僕の考えや思った事で構成される予定です。なので通常の考察などの記事よりも、よりプライベートな印象のものになると思います( ´Д`)y─┛

こうして今後の内容を文字にするのも、頭の中で悶々と考えあぐねるよりも、いつでも見られる形にしておくことで、冷静に見渡してまた新しい内容を考え付いたりするためです。

 

とはいえ、必ずこのような予定に沿って行くとは限らず、予定に含まれていなかった新しい記事が予定の記事より早くポッとアップされることもあるかもしれません……とはいえ、まったりと気まぐれに本ブログをやっていこうと思っていますので、よろしくお願いします。

それでは、今日の所はここまでということで( ・ω・)ノシ

日曜洋画劇場が似合いすぎる一本!『エイリアン2』感想

 

まだ現在ほどCG技術が発展していなかった時代、周りのセットはほとんど実際に組み立てられたものであり、音楽と相まって観る人には一種の懐かしさを感じさせる……『エイリアン2』はそれにまさに該当するような作品です。芸術性も併せ持ち、静かな恐怖を描いた『エイリアン』でしたが、その続編を今や『アバター』や『ターミネーター』などで有名なジェームズ・キャメロンが手掛けた結果、ただの焼き直しではない傑作が誕生したのです。今回は、僕がそんな『エイリアン2』に対して思う事をつらつらとまとめてみました。

 

あれから57年、リプリー

前作『エイリアン』(以降『1』と呼びます)にて、主人公リプリーは、ウェイランド・ユタニ社の陰謀により、ノストロモ号という巨大かつ密閉された空間で「絶望」と隣り合わせの決死の24時間を強いられることになりました。命からがら乗り込んだ脱出戦は予定通りならば6週間で地球に回収されるはずでしたが……f:id:the-Writer:20170630062528j:plainなんと57年間も宇宙を漂流したのちに回収されるという大きな番狂わせ。

また、『1』では前半は特にフォーカスされず、もはや「このヒゲモジャのダラス船長が主人公でしょ?え、違うの?」という目立たなさでした(あくまで個人の見解です)。

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そこから一転、待望の続編である今作ではリプリーは最初からバッチリ主人公しています。彼女が抱えたトラウマ、エイリアンや会社に対する憎しみ、娘を亡くした悲しみや後悔といった感情がよく掘り下げられているのです。とにかく生存のために「逃げる」がメインだったノストロモ号内から打って変わって、「ぶっ殺す」という攻めの姿勢に転じているのも見どころの一つですね。

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個性的なキャラクター達

「今度は戦争だ!!」というキャッチコピー(パワーワードともいう)に現れている通り、今回は辛うじてエイリアンを追い払う程度の道具に頼るしかない、という先が不安過ぎる状況とは違います。重火器をフル装備した屈強な海兵隊が挑む戦争アクションなのです。その海兵隊のメンバーはそれぞれキャラクターがしっかり設定されており、海兵隊の会話シーンはグダグダなどではなく、むしろ愉快なもので、彼らの日常やこれまでの信頼関係を感じさせてくれる不可欠なシーンです。

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クラスの先生アポーン軍曹、頼りがいがあり優しい一面もあるヒックス、「屈強」の名がふさわしいバスクェスと相棒のドレイク、お調子者のやかましいハドソン などなど……

個人的に好きなのはハドソンで、やはり軽口たたきまくるやつはムードを盛り上げてくれて笑わせてくれますよね。アポーン軍曹にいちいち呼び出し食らって怒られているあたり、完全にクラスの悪ガキと先生の関係です。

しかし、ハドソンの魅力はそこだけにとどまらず、本番はこれから始まるのです……エイリアン軍団との初交戦。

「アポーンはどこだぁ?!」「アアアアァァァァッッッ!!!(完全に巻き添えでエイリアンの返り血を浴びる)」「最高だよ、いうことねぇや、ゲームオーバーだメーン、ゲームオーバーなんだよぉ!!」

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そう、前半のお調子者はあくまで表面的に装っていたものであり、後半からハドソンのキャラクターも盛大に方向転換してヘタレと化すのです……

今作きっての愛されキャラ。
今作の弱音は大半がこいつの発言。
字幕版では「メーン」の発言数で観客の腹筋を攻撃し、吹き替え版では原作を超えるヘタレ発言で完膚なきまでに腹筋を破壊する。

エイリアン2 - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ

兎にも角にも同作品内におけるヘタレの代名詞として認知されている。
態度が変わってからはメーンの連呼に、各吹き替え声優たちによる名演により、
シリアスなSFモンスターパニックアクションの筈が腹筋崩壊を起こそうとするコメディアンと化している。

ハドソン(エイリアン2) - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ

 そう、このヘタレっぷりに僕がハドソンが好きなキャラの1人に入っている理由があるのです。本当はビビリ気味なところを軽口でごまかしていたのを、いざ本当の危機に直面して本当の性格が表れる……

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(↑調子に乗っていた態度から一転、この泣きそうな顔である)

自分の恐怖や焦りを素直に口にしているあたり、今作のキャラクターたちの中で一番人間らしいのではないでしょうか?だからこそ、どうしてもハドソンに共感・応援をしたくなってしまいます。赤い非常灯で照らされた指令室での決戦では、なんだかんだでパルスガンをぶっ放して検討する彼の姿は印象的でした。

海兵隊のほかにも直接の会社からの使者バーク、敵か味方かアンドロイドのビショップの2人が「今は味方のようだけど本当に信用できるのか?」という疑念が、ストーリーを一本調子でなくしていますね。

そして、植民地Lv.426唯一の生存者であるニュートことレベッカf:id:the-Writer:20170701095756j:plain(↑作中、数少ない癒し)

まだ幼いにも関わらずエイリアンによって家族や知り合い全員を奪われた彼女は、似たような経緯で同じく家族や仲間を失ったリプリーと惹きあいます。やがて2人は血縁はないものの、強い「絆」で結ばれることになるのです。

 

 

リプリーが失ったもの、得たもの

前述のとおり、リプリーは家族や仲間、挙句の果てに職業まで失い、自分が経験した恐怖やその経緯をすべて戯言の一部として片づけられてしまいます。海兵隊と共に向かった先で出会ったのは同じく孤独な少女のニュート。

このニュートの存在が、リプリーに前作になかった強みを与えることになったのです。f:id:the-Writer:20170701100040j:plain

それは「母性」です。

一度失った「娘」との生活を取り戻すチャンス、もう絶対に娘は奪わせない、守り抜いて見せる……それが単身エイリアンの巣窟に殴り込みをかけ、ニュートを奪還する(ついでにエイリアンを全滅に追い込む)程の強さを与えたのではないでしょうか?まさしく「母は強し」なのです。クイーンとの最終決戦は、見方を変えれば母と母の対決でもありますね。パワーローダーを着用してバックライトともに登場するリプリーの姿にはしびれました、屈指の名シーンです。

 

 オマケ: ハドソンを演じていたビル・パクストンは、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でファレル軍曹という鬼軍曹を演じました。

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(↑「ハドソン、こっちに来い!」)

エイリアン2』ではアポーン軍曹によく怒られていた彼がついに軍曹になって新兵をしごいているとは、感慨深いものがありました。

 

 

 

 

 

以上、『エイリアン2』の感想でした。前回のサバイバルホラーから一転、SFホラー兼戦争アクションという大胆な方向転換は見事に大成功をおさめ、エイリアンシリーズに新しい一面や魅力を加えてくれました。1作目とは異なる照明や舞台デザインが醸し出す雰囲気がまた良いです。『エイリアン2』はストーリー、キャラクター、美術、その他もろもろを総合して好きな作品の一つです。

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クローバー・バースについて

 2008年4月5日、日本で『クローバーフィールド/HAKAISHA』が公開されました。割とマイナーな部類ではあると思いますが、ポスターは頭部が根こそぎ持っていかれた自由の女神という衝撃的なビジュアル、「その時、何が起きたのか?」というキャッチコピーが観客の好奇心を刺激します。f:id:the-Writer:20170701183447j:plain

その仕掛け人はJ.J.エイブラムス、『ミッション・インポッシブル3』やリブートした『スタートレック』2作と『スターウォーズ』続三部作などに深く携わり、今やその名を広くとどろかせる人物です。f:id:the-Writer:20170701185044j:plain

 

クローバーフィールド』を知らない方向けのちょっとしたお話

クローバーフィールド』は、公開前のプロモーションから映画としてはトップクラスに凝ったものであったらしく、本編を観る上でヒントとなる人物や企業のサイト、意味深なデータを、ネット上に仕掛けておいたものだったそうです。

(仕掛けられたヒントについてはコチラのサイト様が詳しいのでご覧ください↓)

裏#58 『クローバーフィールド』 “HAKAISHA”ネタバレ分析編 (伊藤Pのブログ)

また、予告映像も人々が街を逃げまどうといった映像が主体で何が敵なのかさっぱりわからず、謎に埋め尽くされたものといった感じ。とにかくメインは「謎」なのです。

↑感覚としては、最初に公開された『シン・ゴジラ』ティーザー映像が近いかなぁと。

実際の本編は「登場人物のカメラがとらえた映像」という体がとられており、混乱し、逃げまどう登場人物たちの臨場感や迫力はすごいものがあります。一方で、「巨大な怪物が突如舞台となるNYを襲撃した」ということぐらいしかわからず、裏で何が起きていたのかはよくわからないのです。

しかし、J.J.エイブラムスが製作し、マット・リーヴスが監督している(『猿の惑星/新世紀』やベン・アフレック主演『ザ・バットマン(原題)』の監督)ので、一定の面白さは保証されていると思いますよ。

 

巧みに謎を小出しにしつつ、続編も作るといいながらサッパリ音沙汰がなかったので、「クローバーフィールドは死んだのかな……(´・ω・`)」と一部のファンたちがあきらめていたところ、2016年1月に突如『10クローバーフィールドレーン』の予告映像が投下。

クローバーフィールド』公開から8年、企画はひそかに活動を続けていたんですね、あの時は本当にうれしかったです……

また、『10クローバーフィールド・レーン』を機にクローバーフィールドはその物語や世界を広げることにスイッチが入ったようで、今年の11月に映画シリーズ第3弾の全米公開が控えていますね。

 

クローバー・バースとは ?

2008年に公開された『クローバーフィールド』から始まる映画やコミックで構成される世界観です。2017年7月現在『クローバーフィールド』『10クローバーフィールドレーン』、そして漫画である『クローバーフィールドkishin』が一般向けにリリースされています。そして次にコレに加わるのが、先ほどの映画シリーズ第3弾(正式名称は未だ不明)なのです。

さてさて、クローバー・バースの目的、そしてその行く先とは?

行く先は……わかりません。

しかし、ユニバースの作品群を見ると、どれも共通するのは「何らかの脅威が地球を襲っている」ということなのです。

このユニバースの構築・監督をしているのはJ.J.エイブラムス。彼は以前TEDで「謎の箱」に関するスピーチをしていました。

ここで彼は自身の少年時代の体験から、謎が持つ力を語り始めます。謎とは人の想像心に働きかけ、その人を動かす力を持っています。今も謎に踊らされているからこそ、謎が持つ力を彼は知っており、今僕らに謎をしかけているのですね。

ということで、ユニバースに属する各作品から何とかかき集めた情報を、いかにまとめてみました。

 

クローバーフィールド

2008年5月22日、謎の巨大生物が突如NYに上陸・壊滅させる。この一連の様子は一般人によってカメラに収められ、その記録映像がのちに回収された模様。f:id:the-Writer:20170701212452j:plain

ここからわかること

・(映像で確認できる限り)巨大生物には既存の兵器では全く歯が立たない

・小型の寄生生物がいる

・巨大生物は親子の2匹存在する

・子供の方はまだ赤ん坊であり、陸上という新しい環境下で混乱している。また、何千年も海の下で暮らしていた

・地球外生命体ではない

・本編ラストシーンで海面に落下した物体は日本政府の衛星

・タグルアト社という日系企業は、巨大生物の存在を隠ぺいしている

・海底で海底の蜜という物質を発見しており、中毒性が高い模様

・本編終盤でカメラマンを務めたハッドは子供の方の巨大生物に襲われる際、蜜の香りを感じた←ノベライズ版より

・また、深海での作業現場に寄生生物と思しきものが映りこんでいる←ネット上のヒントより

・捕食性であり、人間やクジラを食べる

・NY上陸前に、海上の油田や軍艦を破壊している
・また、アメリカ空軍との交戦もあった

 

クローバーフィールドkishin』

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・巨大生物は日本にも上陸し、NYと同様惨事を引き起こす

・巨大生物を神とあがめて崇拝する教団が存在する

・巨大生物は1000年前から存在しており、長い間海底をさまよっていた

・その間に教団やタグルアト者に存在を知られ、タグルアト社に実験生物として拘留された

・巨大生物の存在は政府にも知らされておらず、タグルアト社が極秘に扱っていた

・海底で巨大生物と共に羊膜のかけら(ポッド)と呼ばれるものが発見され、それは寄生生物含めた巨大生物に微弱な電波を発して制御を可能とする

・ポッドを有している日本人の少年相場キシンの感情(特に負の感情)に呼応する様子が見られる

・ポッドにはポッドを有していた人間の記憶(感情?)が蓄積される

・ポッドを回収した巨大生物はポッドに蓄積された負の感情に触れると暴れ出し、正の感情に触れると沈静化・海へ帰っていった

・巨大生物は恐らく水圧によって体をつぶされて死亡

・その際、巣?と思しきところで大量の卵と思われるもののうちの一つを抱えて描写は終わる

・海底の蜜は清涼飲料slusho!に含まれている

 

『10クローバーフィールド・レーン』

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・何体もの巨大なUFOが地上を襲っており、致死性の毒ガスを発する

・人類は何とか抵抗をしている

・UFOは撃退不可能な相手ではない

クローバーフィールドの名前がユニバースの作中に初登場、

以下、登場人物のハワードの発言が正しければ……

・軍事衛星に不可解な地球のものではない言語の電波が混在するようになり、ハワードは何らかの攻撃が来ることを知った

・攻撃には第一波、第二波が存在する

 

 『クローバーフィールド3(仮)』
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Cloverfield IMAX Film(原題)

監督:ジュリアス・オナー

製作:J.J.エイブラムス, リンジー・ウィーバー

脚本:オーレン・ウジエル, ダグ・ユング

出演:ダニエル・ブリュール, エリザベス・デビッキ, クリス・オダウド, 

ググ・バサ=ロー, チャン・ツーイー, デヴィッド・オイェロウォ

製作費:10,000,000$(推定)

2016年6月10日 撮影開始

2017年10月27日 全米公開

あらすじ: ~~宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士のチームは、地球の消失を引き起こした実験により、自分たちだけが取り残されていることに気付く。そこにスペースシャトルが表れた時、宇宙ステーションのクルーたちは恐るべき発見により、自らの生存のために戦うことを余儀なくされる~~

A team of astronauts aboard a space station find themselves alone after a scientific experiment causes Earth to disappear. When a space shuttle appears, the space station crew must fight for survival following their horrible discovery.

 

もう公開までおよそ3カ月というところまできて、未だに予告の一本も公開はされていませんが……きっとまた何かサプライズがあるはずです。

 

 

 

 

以上、現在クローバー・バースについて判明していることをまとめました。

ただでさえ情報が少ないので若干煮詰まり気味ではあるものの、敢えて情報を伏せたうえでの展開は興味深いのでストーリーは是非とも追いかけ、J.J監督に踊らされたいです。『10クローバーフィールド・レーン』で地球が外宇宙からの脅威にさらされていることが示唆されましたが、エイリアンの襲撃は今となってはもはや使いまわされ過ぎたネタではあるので、クローバーフィールド・シリーズには何かもうひとひねり期待したいところ。クローバーフィールド第3弾の予告映像、まだかな~……

『ヴェノム(原題)』から考える、SMUの向かう先とは

 

 『スパイダーマン/ホームカミング』が日本では8月11日に公開されますが、そんな中ソニー・エンターテイメントより重大発表がありました。

 ~~~『ヴェノム(原題)』で主人公エディ・ブロックを演じるのはトム・ハーディに決定。ソニー・マーベル・ユニバース(SMU)は2018年10月5日に全米公開。今秋、プロダクション開始。~~~

 

ファンの間では前々から存在が知られていた本作でしたが、まさかのヴェノムの単独映画製作がいよいよ始動。しかも主演はあのトム・ハーディ

 

ヴェノムって誰?

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ヴェノムとは、マーベル・コミックの人気キャラの一人でスパイダーマンのライバル的な存在。カメラマンのエディ・ブロックと、地球外生命体であり共生生命体のシンビオートが融合した姿です。一度スパイダーマンの能力をコピーしているために、見た目や能力はオリジナルに似ているものの、パワー・スピードなどあらゆる能力が増しており、見た目も凶悪になっています。地球人と共生生物が一体となっているため、一人称が「俺たち」なのも一つの特徴です。

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スパイダーマン3』でのヴィランも務めたので、一度実写化されているキャラクターなわけです。

 

今回は、その『ヴェノム(原題)』がこの先どのような展開になっていくのか?ということを考察していきますが、僕は原作コミックについては全くわからないので、「コレコレこういうエピソードを~」という具体的なものではなく、ソニーが主導する今後のマーベル映画の展開やクロスオーバーについてを主体に進めていきますね。

 

あの時の夢を、もう一度

まず、このヴェノムというキャラクターの単独映画について。個人的には、この強烈なキャラクターをいきなり主人公に据えて一本製作というのは思い切った決断だなーと思いました。

今や打ち切りになってしまいましたが、アメイジングスパイダーマン2部作に続いて、スピンオフとして『シニスター・シックス』が計画されていたことがありました。

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それはスパイダーマンの代表的ヴィランが結集したチームを描く、ヴィラン主人公のスピンオフ。ヴェノムもその6人に含まれ、後に単独作も製作されるはずでした。しかしアメイジングシリーズが打ち切りになってしまったので、『シニスター・シックス』も消滅、ヴィラン達のチームを主人公とした映画でスクリーンに公開されたのは、DCコミックスの『スーサイド・スクワッド』となりました。

 

この『ヴェノム』製作について、よほどソニーに自信があるのかはわかりませんが。エディ・ブロックの力を手に入れたことによる快感や葛藤、人間とシンビオートの意志の境界線、ヴェノムの強さなど、『スパイダーマン3』では描き切れなかったヴェノムというキャラクターの魅力を徹底的に掘り下げて描いてくれるものと期待したいです。

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SMUの創造に至るまで

しかし、そんな中でファンたちを混乱させたのは、以前から公表されていた情報「ソニー主導でスパイダーマン・ユニバースを作る」「MCUとは無関係になる」というもの。これはソニー・ピクチャーズ映画部門会長トム・ロスマンや『スパイダーマン/ホームカミング』監督のジョン・ワッツによって強調されてきたものです。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)はマーベルコミックスのマーベルスタジオ主導で、自社が権利を持っているキャラクター達を実写化し、綿密な計画のもとにクロスオーバーさせたことにより作られている世界です。

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しかしそんな中、マーベルで最も人気があり、最も有名なヒーローであるスパイダーマンはマーベルではなく、ソニー・エンターテイメントが権利を持っていました。マーベルとソニーの双方が協力しない限りは、スパイダーマンMCU参戦はまず不可能で、まずそんなことはありえないと思われていましたが……。

ソニーも慎重な判断を重ねたうえで、ついにマーベルとソニースパイダーマンの権利を共有することに成功!そしてついに、高校生のピーター・パーカー=スパイダーマンが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に初参戦し、『スパイダーマン/ホームカミング』という単独作の公開までこぎつけたのでした。

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しかし、スパイダーマンは本当に特殊な例であり、それ以外のスパイダーマン関係のキャラクターたちは依然としてソニーが持ったまま。「じゃあソニーがぽんぽん他のキャラの権利も共有すればいいんじゃないの?」と簡単にはいかないのが大人の事情のようです……(´・ω・`)

そのような経緯があり、ソニーは独自にスパイダーマン・ユニバースもとい、正式名称:Sony's Marvel Universe略してSMUが本格的に始動するに至ったようです。ソニーの会長のSMUに関する詳しい見解については、以下の記事をご覧ください。

 SMUはそれまで「スパイダーマン・ユニバース」の名で通り、キャラクター達もスパイダーマンを核に作られたものばかりなので、スパイダーマンなくしてこのユニバースは成立しません。

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現在マーベル・スタジオでは『スパイダーマン/ホームカミング』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)』『アベンジャーズ4(仮)』『スパイダーマン/ホームカミング2(仮)』スパイダーマン/ホームカミング3(仮)』の製作、それに伴うスパイダーマンの出演が決定しています。『ホームカミング2』は2019年7月5日に全米公開予定だそうです。

 

 

SMUの今後の予定

上記のSony's Marvel Universe に関して、ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオ間で見解が全く違う(あるいはサプライズ情報を誤爆した)という経緯があり、ファン達は大混乱の渦の中。

なお、ソニー・ピクチャーズは『ヴェノム』を第1弾としてその後の作品制作の準備も進めているそうです。

SMU第2弾は『シルバー&ブラック(原題)』、ジーナ・プリンス=バイスウッド監督とリサ・ジョイ&クリストファー・ヨスト脚本によるもの。傭兵集団を率いるシルバー・セーブルと女泥棒であるブラック・キャットを主人公に据えた一本です(画像右がシルバーで、左がブラック)。

クリストファー・ヨストに関しては、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』とMCUの作品を2本分手がけた経験がある人物ですね。

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これはまだ確定ではないですが、SMU第3弾として、クレイヴン・ザ・ハンターとミステリオの単独作も検討されています。クレイヴン・ザ・ハンターは元々野生動物のハンターでしたが、動物では物足りなくなり、スパイダーマンを獲物として付け狙う人間。ミステリオは元々特撮の技術スタッフで、犯罪者となった今ではVFX技術やVR技術を駆使した犯罪を行っています(画像左がクレイヴンで右がミステリオ)。f:id:the-Writer:20170625095309j:plain

 

このように、スパイダーマンヴィランを中心に映画化を進めているようです。

 

 

スパイダーマンはどうなるの?

このSMU、通常は主人公として取り上げられるヒーローではなく、ヴィランを映画化していくという挑戦的な内容です。それこそ誰もが知る赤と青のスーツのおしゃべりヒーローが少しでも参加してくれれば、一般客へのプロモーションも圧倒的にやりやすいのではないかと思います。

スパイダーマンの扱いに関しては、ソニー・ピクチャーズ側の希望は「できる限り自社の作品に参加してもらいたい」とハッキリしているものの、マーベル・スタジオ側がそれについていけていない印象があるので、両社の慎重な打ち合わせは必須です。

前述のとおり、僕はSMUにはスパイダーマンが不可欠と思っています。しかし、逆にSMUが無理にMCUとかかわらなくてもよいと思ってもいるのです。具体的に説明します。f:id:the-Writer:20170625151321p:plain

MCUではマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ氏が述べているように、2008年の『アイアンマン』から始まり、来年2018年の『インフィニティ・ウォー』がその頂点を成します。言い換えるならば、MCUの全ては『インフィニティ・ウォー』のために構築されていたのです。それはケヴィン・ファイギ氏を中心とした中枢が頭をフル回転させて綿密な設計を行った計画によるもの。なお、ある時期にマーベルはソニー20世紀フォックスに一部のキャラクター達の権利を売り渡しており、そのキャラクター達の映画は作れないので、MCUの計画には含まれません。

恐らく、2016年の『シビル・ウォー』におけるスパイダーマンの参戦は想定外だったのではないか、と思います。ファンにとっては超が付くほど朗報ですが、マーベル・スタジオにとっては同時に大問題でもあったはずです。

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スパイダーマンことピーター・パーカーがMCUに居るならば、彼に伴ってグウェン、MJ、オズボーン親子、ドクター・オクトパス、ヴェノムといったスパイダーマン関連のキャラクター達もMCUに居たことになるからです。この場外参戦は、MCUが作り上げてきた計画に、彼らがなぜ今まで出てこなかったかといった説明の努力や、最悪計画をぶち壊しにする可能性も秘めていた、と考えられます。そうなると、「『ヴェノム』(=SMU)はMCUには含まれない」というファイギ氏の発言もうなずけます。

しかし、トム・ホランドが演じるスパイダーマンはSMUに欠かせず、ある意味MCUとSMU唯一の接点にして問題点。それについて、僕の考えは先ほどの通り、「MCUとSMUは無理にかかわらなくても良い」です。

f:id:the-Writer:20170625151338p:plainSMUに登場する街、世界はMCUと共通なものの、わざわざアイアンマンを登場させる必要はないと思います。とにかくソニー・ピクチャーズはキャラクターや舞台、ドラマの描写に力を注ぎこみ、「アベンジャーズ」といったMCU(SMU)の日常にしみこんでいるであろう言葉は、セリフや小道具に最低限ちりばめておくのみ。実質MCUなものの、一見するとMCUらしくないように撮影する、という法にギリギリ触れるか触れないかの危ない戦法です。

これによく似た例を挙げると、ABC局やNETFLIXが展開するドラマ・シリーズでしょうか。『エージェント・オブ・シールド』『デア・デビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィスト』といったシリーズ、そのキャラクターたちは『アイアンマン』などの映画シリーズには登場しませんが、確かに世界観は同じですし、ちょくちょくMCUの用語や固有名詞が出てきますよね。f:id:the-Writer:20170625151942j:plainf:id:the-Writer:20170625151741j:plain

世界観がつながっているはずが、派手なクロスオーバーはないという微妙な平行線のようなこの関係は、ちょうどMCUとSMUの関係も同じであると思います。MCU⇔SMUのような相互関係でなく、MCU⇒SMUというほぼ一方的かつ平行な関係です。最も、MCUの映画シリーズとドラマシリーズの平行関係は、それぞれの製作体制やスケジュールの違いによるものですが……

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とにかく、現状はMCUMCUで、SMUはMCUの設定とスパイダーマンを借りつつも独自の路線を行くということになるでしょう。そもそも、膨大な数のキャラクターを設定的に破たんさせることなくクロスオーバーさせる、というのは至難の業で、既にMCUでいくつか矛盾個所が存在します。個人的に、この平行関係は何も嘆くべきものでもなく、結果的に適切な判断ではないかと思います。

その中で、スパイダーマンは「MCUからSMUへ出張する」異質な立場に立つでしょう。もしも『ヴェノム』にカメオ出演でもするならば、『ホームカミング』などのストーリーや時系列に抵触しない無難な描写で済ませるべきです。

スパイダーマン役のトム・ホランドは、「スパイダーマンが35歳になるまで演じたい」と希望も示しています。したがって、2017年の現時点で15歳の彼が、ヒーローとして成長していく様子をMCUで描き、その後はSMUで「親愛なる隣人」として新しい冒険を繰り広げるというパターンが考えられます。

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来年の『インフィニティ・ウォー』で、MCUは10周年を迎えますが、更に10年後の2028年にはどうなるでしょうか。そのころにはMCUのヒーローたちも世代交代がほとんど済んで新しい大河ストーリーが動いており、SMUはスパイダーマン・ユニバースともいえる世界の拡大も一通り安定し、MCUとSMUのクロスオーバーもあるかもしれませんね。 

(↑@artofgeorgeさんによる素晴らしいアート。ファンならやっぱりこんな画が一度は見たい!)

 

 追記:ファイギ氏の「『ヴェノム』はMCUには入らない」という発言を忠実に守るとすれば、MCUとSMUは別アースということになります(このマーベル・コミック関連におけるアースの概念については今度何らかの形で説明したいと思います)。スパイダーマン本人がSMUに顔見せでもする場合、それは彼がアース(次元)を飛び越えるということになり、おそらくそれはあり得ません。したがって、SMUにはスパイダーマンは顔すら見せず、やるとしても存在をほのめかす程度かなぁと。よってSMUもキャラクター達より高い密度で描く必要があります。『アメイジングスパイダーマン2』は、主に終盤でその世界の奥行きを示唆してくれましたが、SMUはMCUとはまた別の魅力を持つ、様々な楽しいアイディアが詰まったユニバースを形成していってほしいものです。

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(↑これはイメージです)

また、それでも僕はSMUとMCUの合流については捨てきれません。何も「SMU,MCUのキャラクターの豪華な交流を観たい」というよりは2つの世界はつながっているという「確証」がほしいだけなのです。様々な法的な制約や見込まれる利益、権利の壁で隔たれているこの状況……それはさながら、「電車に乗っていたら偶然同じ車両内に知り合いが乗っていたが、友達レベルまで親しいというわけではないから、特に声もかけないという何とも居心地が悪い空気」という感じです。

僕は、先ほど述べた「スパイダーマンMCUとSMUを行き来する」可能性を信じています。確かにスパイダーマンMCUに属していますが、やはり彼の相手となるべき友達や敵はSMUに大勢います。今回のスパイディはスーツが自動的にフィットし、サポート用にAIが搭載され、オマケに背中にパラシュートまで仕込まれているというおいしすぎる仕様。

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スタークという強力なスポンサーによる資金・技術の暴力(語弊)の結晶であるスーツは、観ているだけで楽しいですね。MCUならでは、といったところですがそのスパイディが(アメイジング2部作で実現できなかった)自らのユニバースを思う存分「探索」「拡張」することができれば最高だと思います。

(個人的にMCUのスパイディは、もうスーツの質感からして大好物なのです……)

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以上、ソニー・ピクチャーズ主導のSMUについての考察でした。

様々な情報が錯そうし、とにかく今は大混乱の時期です。そんな中でさらに20世紀フォックスが『ファンタスティック・フォー』の再々リブートを検討している、という情報も入ってきていたり……大混乱でもありますが、ファンの1人である僕にとってはとても楽しく幸せな時期です。とにかくこの高品質なアメコミ映画が互いにしのぎを削り、後にも大量に作品を待機させているので、情報を追いかけるだけで非常に大変(楽しい)です。この先、更にどのような展開があるのか、不安でもあり興奮も高まる今日この頃です。