クローバー・バースについて

 2008年4月5日、日本で『クローバーフィールド/HAKAISHA』が公開されました。割とマイナーな部類ではあると思いますが、ポスターは頭部が根こそぎ持っていかれた自由の女神という衝撃的なビジュアル、「その時、何が起きたのか?」というキャッチコピーが観客の好奇心を刺激します。f:id:the-Writer:20170701183447j:plain

その仕掛け人はJ.J.エイブラムス、『ミッション・インポッシブル3』やリブートした『スタートレック』2作と『スターウォーズ』続三部作などに深く携わり、今やその名を広くとどろかせる人物です。f:id:the-Writer:20170701185044j:plain

 

クローバーフィールド』を知らない方向けのちょっとしたお話

クローバーフィールド』は、公開前のプロモーションから映画としてはトップクラスに凝ったものであったらしく、本編を観る上でヒントとなる人物や企業のサイト、意味深なデータを、ネット上に仕掛けておいたものだったそうです。

(仕掛けられたヒントについてはコチラのサイト様が詳しいのでご覧ください↓)

裏#58 『クローバーフィールド』 “HAKAISHA”ネタバレ分析編 (伊藤Pのブログ)

また、予告映像も人々が街を逃げまどうといった映像が主体で何が敵なのかさっぱりわからず、謎に埋め尽くされたものといった感じ。とにかくメインは「謎」なのです。

↑感覚としては、最初に公開された『シン・ゴジラ』ティーザー映像が近いかなぁと。

実際の本編は「登場人物のカメラがとらえた映像」という体がとられており、混乱し、逃げまどう登場人物たちの臨場感や迫力はすごいものがあります。一方で、「巨大な怪物が突如舞台となるNYを襲撃した」ということぐらいしかわからず、裏で何が起きていたのかはよくわからないのです。

しかし、J.J.エイブラムスが製作し、マット・リーヴスが監督している(『猿の惑星/新世紀』やベン・アフレック主演『ザ・バットマン(原題)』の監督)ので、一定の面白さは保証されていると思いますよ。

 

巧みに謎を小出しにしつつ、続編も作るといいながらサッパリ音沙汰がなかったので、「クローバーフィールドは死んだのかな……(´・ω・`)」と一部のファンたちがあきらめていたところ、2016年1月に突如『10クローバーフィールドレーン』の予告映像が投下。

クローバーフィールド』公開から8年、企画はひそかに活動を続けていたんですね、あの時は本当にうれしかったです……

また、『10クローバーフィールド・レーン』を機にクローバーフィールドはその物語や世界を広げることにスイッチが入ったようで、今年の11月に映画シリーズ第3弾の全米公開が控えていますね。

 

クローバー・バースとは ?

2008年に公開された『クローバーフィールド』から始まる映画やコミックで構成される世界観です。2017年7月現在『クローバーフィールド』『10クローバーフィールドレーン』、そして漫画である『クローバーフィールドkishin』が一般向けにリリースされています。そして次にコレに加わるのが、先ほどの映画シリーズ第3弾(正式名称は未だ不明)なのです。

さてさて、クローバー・バースの目的、そしてその行く先とは?

行く先は……わかりません。

しかし、ユニバースの作品群を見ると、どれも共通するのは「何らかの脅威が地球を襲っている」ということなのです。

このユニバースの構築・監督をしているのはJ.J.エイブラムス。彼は以前TEDで「謎の箱」に関するスピーチをしていました。

ここで彼は自身の少年時代の体験から、謎が持つ力を語り始めます。謎とは人の想像心に働きかけ、その人を動かす力を持っています。今も謎に踊らされているからこそ、謎が持つ力を彼は知っており、今僕らに謎をしかけているのですね。

ということで、ユニバースに属する各作品から何とかかき集めた情報を、いかにまとめてみました。

 

クローバーフィールド

2008年5月22日、謎の巨大生物が突如NYに上陸・壊滅させる。この一連の様子は一般人によってカメラに収められ、その記録映像がのちに回収された模様。f:id:the-Writer:20170701212452j:plain

ここからわかること

・(映像で確認できる限り)巨大生物には既存の兵器では全く歯が立たない

・小型の寄生生物がいる

・巨大生物は親子の2匹存在する

・子供の方はまだ赤ん坊であり、陸上という新しい環境下で混乱している。また、何千年も海の下で暮らしていた

・地球外生命体ではない

・本編ラストシーンで海面に落下した物体は日本政府の衛星

・タグルアト社という日系企業は、巨大生物の存在を隠ぺいしている

・海底で海底の蜜という物質を発見しており、中毒性が高い模様

・本編終盤でカメラマンを務めたハッドは子供の方の巨大生物に襲われる際、蜜の香りを感じた←ノベライズ版より

・また、深海での作業現場に寄生生物と思しきものが映りこんでいる←ネット上のヒントより

・捕食性であり、人間やクジラを食べる

・NY上陸前に、海上の油田や軍艦を破壊している
・また、アメリカ空軍との交戦もあった

 

クローバーフィールドkishin』

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・巨大生物は日本にも上陸し、NYと同様惨事を引き起こす

・巨大生物を神とあがめて崇拝する教団が存在する

・巨大生物は1000年前から存在しており、長い間海底をさまよっていた

・その間に教団やタグルアト者に存在を知られ、タグルアト社に実験生物として拘留された

・巨大生物の存在は政府にも知らされておらず、タグルアト社が極秘に扱っていた

・海底で巨大生物と共に羊膜のかけら(ポッド)と呼ばれるものが発見され、それは寄生生物含めた巨大生物に微弱な電波を発して制御を可能とする

・ポッドを有している日本人の少年相場キシンの感情(特に負の感情)に呼応する様子が見られる

・ポッドにはポッドを有していた人間の記憶(感情?)が蓄積される

・ポッドを回収した巨大生物はポッドに蓄積された負の感情に触れると暴れ出し、正の感情に触れると沈静化・海へ帰っていった

・巨大生物は恐らく水圧によって体をつぶされて死亡

・その際、巣?と思しきところで大量の卵と思われるもののうちの一つを抱えて描写は終わる

・海底の蜜は清涼飲料slusho!に含まれている

 

『10クローバーフィールド・レーン』

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・何体もの巨大なUFOが地上を襲っており、致死性の毒ガスを発する

・人類は何とか抵抗をしている

・UFOは撃退不可能な相手ではない

クローバーフィールドの名前がユニバースの作中に初登場、

以下、登場人物のハワードの発言が正しければ……

・軍事衛星に不可解な地球のものではない言語の電波が混在するようになり、ハワードは何らかの攻撃が来ることを知った

・攻撃には第一波、第二波が存在する

 

 『クローバーフィールド3(仮)』
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Cloverfield IMAX Film(原題)

監督:ジュリアス・オナー

製作:J.J.エイブラムス, リンジー・ウィーバー

脚本:オーレン・ウジエル, ダグ・ユング

出演:ダニエル・ブリュール, エリザベス・デビッキ, クリス・オダウド, 

ググ・バサ=ロー, チャン・ツーイー, デヴィッド・オイェロウォ

製作費:10,000,000$(推定)

2016年6月10日 撮影開始

2017年10月27日 全米公開

あらすじ: ~~宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士のチームは、地球の消失を引き起こした実験により、自分たちだけが取り残されていることに気付く。そこにスペースシャトルが表れた時、宇宙ステーションのクルーたちは恐るべき発見により、自らの生存のために戦うことを余儀なくされる~~

A team of astronauts aboard a space station find themselves alone after a scientific experiment causes Earth to disappear. When a space shuttle appears, the space station crew must fight for survival following their horrible discovery.

 

もう公開までおよそ3カ月というところまできて、未だに予告の一本も公開はされていませんが……きっとまた何かサプライズがあるはずです。

 

 

 

 

以上、現在クローバー・バースについて判明していることをまとめました。

ただでさえ情報が少ないので若干煮詰まり気味ではあるものの、敢えて情報を伏せたうえでの展開は興味深いのでストーリーは是非とも追いかけ、J.J監督に踊らされたいです。『10クローバーフィールド・レーン』で地球が外宇宙からの脅威にさらされていることが示唆されましたが、エイリアンの襲撃は今となってはもはや使いまわされ過ぎたネタではあるので、クローバーフィールド・シリーズには何かもうひとひねり期待したいところ。クローバーフィールド第3弾の予告映像、まだかな~……

『ヴェノム(原題)』から考える、SMUの向かう先とは

 

 『スパイダーマン/ホームカミング』が日本では8月11日に公開されますが、そんな中ソニー・エンターテイメントより重大発表がありました。

 ~~~『ヴェノム(原題)』で主人公エディ・ブロックを演じるのはトム・ハーディに決定。ソニー・マーベル・ユニバース(SMU)は2018年10月5日に全米公開。今秋、プロダクション開始。~~~

 

ファンの間では前々から存在が知られていた本作でしたが、まさかのヴェノムの単独映画製作がいよいよ始動。しかも主演はあのトム・ハーディ

 

ヴェノムって誰?

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ヴェノムとは、マーベル・コミックの人気キャラの一人でスパイダーマンのライバル的な存在。カメラマンのエディ・ブロックと、地球外生命体であり共生生命体のシンビオートが融合した姿です。一度スパイダーマンの能力をコピーしているために、見た目や能力はオリジナルに似ているものの、パワー・スピードなどあらゆる能力が増しており、見た目も凶悪になっています。地球人と共生生物が一体となっているため、一人称が「俺たち」なのも一つの特徴です。

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スパイダーマン3』でのヴィランも務めたので、一度実写化されているキャラクターなわけです。

 

今回は、その『ヴェノム(原題)』がこの先どのような展開になっていくのか?ということを考察していきますが、僕は原作コミックについては全くわからないので、「コレコレこういうエピソードを~」という具体的なものではなく、ソニーが主導する今後のマーベル映画の展開やクロスオーバーについてを主体に進めていきますね。

 

あの時の夢を、もう一度

まず、このヴェノムというキャラクターの単独映画について。個人的には、この強烈なキャラクターをいきなり主人公に据えて一本製作というのは思い切った決断だなーと思いました。

今や打ち切りになってしまいましたが、アメイジングスパイダーマン2部作に続いて、スピンオフとして『シニスター・シックス』が計画されていたことがありました。

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それはスパイダーマンの代表的ヴィランが結集したチームを描く、ヴィラン主人公のスピンオフ。ヴェノムもその6人に含まれ、後に単独作も製作されるはずでした。しかしアメイジングシリーズが打ち切りになってしまったので、『シニスター・シックス』も消滅、ヴィラン達のチームを主人公とした映画でスクリーンに公開されたのは、DCコミックスの『スーサイド・スクワッド』となりました。

 

この『ヴェノム』製作について、よほどソニーに自信があるのかはわかりませんが。エディ・ブロックの力を手に入れたことによる快感や葛藤、人間とシンビオートの意志の境界線、ヴェノムの強さなど、『スパイダーマン3』では描き切れなかったヴェノムというキャラクターの魅力を徹底的に掘り下げて描いてくれるものと期待したいです。

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SMUの創造に至るまで

しかし、そんな中でファンたちを混乱させたのは、以前から公表されていた情報「ソニー主導でスパイダーマン・ユニバースを作る」「MCUとは無関係になる」というもの。これはソニー・ピクチャーズ映画部門会長トム・ロスマンや『スパイダーマン/ホームカミング』監督のジョン・ワッツによって強調されてきたものです。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)はマーベルコミックスのマーベルスタジオ主導で、自社が権利を持っているキャラクター達を実写化し、綿密な計画のもとにクロスオーバーさせたことにより作られている世界です。

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しかしそんな中、マーベルで最も人気があり、最も有名なヒーローであるスパイダーマンはマーベルではなく、ソニー・エンターテイメントが権利を持っていました。マーベルとソニーの双方が協力しない限りは、スパイダーマンMCU参戦はまず不可能で、まずそんなことはありえないと思われていましたが……。

ソニーも慎重な判断を重ねたうえで、ついにマーベルとソニースパイダーマンの権利を共有することに成功!そしてついに、高校生のピーター・パーカー=スパイダーマンが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に初参戦し、『スパイダーマン/ホームカミング』という単独作の公開までこぎつけたのでした。

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しかし、スパイダーマンは本当に特殊な例であり、それ以外のスパイダーマン関係のキャラクターたちは依然としてソニーが持ったまま。「じゃあソニーがぽんぽん他のキャラの権利も共有すればいいんじゃないの?」と簡単にはいかないのが大人の事情のようです……(´・ω・`)

そのような経緯があり、ソニーは独自にスパイダーマン・ユニバースもとい、正式名称:Sony's Marvel Universe略してSMUが本格的に始動するに至ったようです。ソニーの会長のSMUに関する詳しい見解については、以下の記事をご覧ください。

 SMUはそれまで「スパイダーマン・ユニバース」の名で通り、キャラクター達もスパイダーマンを核に作られたものばかりなので、スパイダーマンなくしてこのユニバースは成立しません。

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現在マーベル・スタジオでは『スパイダーマン/ホームカミング』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)』『アベンジャーズ4(仮)』『スパイダーマン/ホームカミング2(仮)』スパイダーマン/ホームカミング3(仮)』の製作、それに伴うスパイダーマンの出演が決定しています。『ホームカミング2』は2019年7月5日に全米公開予定だそうです。

 

 

SMUの今後の予定

上記のSony's Marvel Universe に関して、ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオ間で見解が全く違う(あるいはサプライズ情報を誤爆した)という経緯があり、ファン達は大混乱の渦の中。

なお、ソニー・ピクチャーズは『ヴェノム』を第1弾としてその後の作品制作の準備も進めているそうです。

SMU第2弾は『シルバー&ブラック(原題)』、ジーナ・プリンス=バイスウッド監督とリサ・ジョイ&クリストファー・ヨスト脚本によるもの。傭兵集団を率いるシルバー・セーブルと女泥棒であるブラック・キャットを主人公に据えた一本です(画像右がシルバーで、左がブラック)。

クリストファー・ヨストに関しては、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』とMCUの作品を2本分手がけた経験がある人物ですね。

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これはまだ確定ではないですが、SMU第3弾として、クレイヴン・ザ・ハンターとミステリオの単独作も検討されています。クレイヴン・ザ・ハンターは元々野生動物のハンターでしたが、動物では物足りなくなり、スパイダーマンを獲物として付け狙う人間。ミステリオは元々特撮の技術スタッフで、犯罪者となった今ではVFX技術やVR技術を駆使した犯罪を行っています(画像左がクレイヴンで右がミステリオ)。f:id:the-Writer:20170625095309j:plain

 

このように、スパイダーマンヴィランを中心に映画化を進めているようです。

 

 

スパイダーマンはどうなるの?

このSMU、通常は主人公として取り上げられるヒーローではなく、ヴィランを映画化していくという挑戦的な内容です。それこそ誰もが知る赤と青のスーツのおしゃべりヒーローが少しでも参加してくれれば、一般客へのプロモーションも圧倒的にやりやすいのではないかと思います。

スパイダーマンの扱いに関しては、ソニー・ピクチャーズ側の希望は「できる限り自社の作品に参加してもらいたい」とハッキリしているものの、マーベル・スタジオ側がそれについていけていない印象があるので、両社の慎重な打ち合わせは必須です。

前述のとおり、僕はSMUにはスパイダーマンが不可欠と思っています。しかし、逆にSMUが無理にMCUとかかわらなくてもよいと思ってもいるのです。具体的に説明します。f:id:the-Writer:20170625151321p:plain

MCUではマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ氏が述べているように、2008年の『アイアンマン』から始まり、来年2018年の『インフィニティ・ウォー』がその頂点を成します。言い換えるならば、MCUの全ては『インフィニティ・ウォー』のために構築されていたのです。それはケヴィン・ファイギ氏を中心とした中枢が頭をフル回転させて綿密な設計を行った計画によるもの。なお、ある時期にマーベルはソニー20世紀フォックスに一部のキャラクター達の権利を売り渡しており、そのキャラクター達の映画は作れないので、MCUの計画には含まれません。

恐らく、2016年の『シビル・ウォー』におけるスパイダーマンの参戦は想定外だったのではないか、と思います。ファンにとっては超が付くほど朗報ですが、マーベル・スタジオにとっては同時に大問題でもあったはずです。

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スパイダーマンことピーター・パーカーがMCUに居るならば、彼に伴ってグウェン、MJ、オズボーン親子、ドクター・オクトパス、ヴェノムといったスパイダーマン関連のキャラクター達もMCUに居たことになるからです。この場外参戦は、MCUが作り上げてきた計画に、彼らがなぜ今まで出てこなかったかといった説明の努力や、最悪計画をぶち壊しにする可能性も秘めていた、と考えられます。そうなると、「『ヴェノム』(=SMU)はMCUには含まれない」というファイギ氏の発言もうなずけます。

しかし、トム・ホランドが演じるスパイダーマンはSMUに欠かせず、ある意味MCUとSMU唯一の接点にして問題点。それについて、僕の考えは先ほどの通り、「MCUとSMUは無理にかかわらなくても良い」です。

f:id:the-Writer:20170625151338p:plainSMUに登場する街、世界はMCUと共通なものの、わざわざアイアンマンを登場させる必要はないと思います。とにかくソニー・ピクチャーズはキャラクターや舞台、ドラマの描写に力を注ぎこみ、「アベンジャーズ」といったMCU(SMU)の日常にしみこんでいるであろう言葉は、セリフや小道具に最低限ちりばめておくのみ。実質MCUなものの、一見するとMCUらしくないように撮影する、という法にギリギリ触れるか触れないかの危ない戦法です。

これによく似た例を挙げると、ABC局やNETFLIXが展開するドラマ・シリーズでしょうか。『エージェント・オブ・シールド』『デア・デビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィスト』といったシリーズ、そのキャラクターたちは『アイアンマン』などの映画シリーズには登場しませんが、確かに世界観は同じですし、ちょくちょくMCUの用語や固有名詞が出てきますよね。f:id:the-Writer:20170625151942j:plainf:id:the-Writer:20170625151741j:plain

世界観がつながっているはずが、派手なクロスオーバーはないという微妙な平行線のようなこの関係は、ちょうどMCUとSMUの関係も同じであると思います。MCU⇔SMUのような相互関係でなく、MCU⇒SMUというほぼ一方的かつ平行な関係です。最も、MCUの映画シリーズとドラマシリーズの平行関係は、それぞれの製作体制やスケジュールの違いによるものですが……

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とにかく、現状はMCUMCUで、SMUはMCUの設定とスパイダーマンを借りつつも独自の路線を行くということになるでしょう。そもそも、膨大な数のキャラクターを設定的に破たんさせることなくクロスオーバーさせる、というのは至難の業で、既にMCUでいくつか矛盾個所が存在します。個人的に、この平行関係は何も嘆くべきものでもなく、結果的に適切な判断ではないかと思います。

その中で、スパイダーマンは「MCUからSMUへ出張する」異質な立場に立つでしょう。もしも『ヴェノム』にカメオ出演でもするならば、『ホームカミング』などのストーリーや時系列に抵触しない無難な描写で済ませるべきです。

スパイダーマン役のトム・ホランドは、「スパイダーマンが35歳になるまで演じたい」と希望も示しています。したがって、2017年の現時点で15歳の彼が、ヒーローとして成長していく様子をMCUで描き、その後はSMUで「親愛なる隣人」として新しい冒険を繰り広げるというパターンが考えられます。

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来年の『インフィニティ・ウォー』で、MCUは10周年を迎えますが、更に10年後の2028年にはどうなるでしょうか。そのころにはMCUのヒーローたちも世代交代がほとんど済んで新しい大河ストーリーが動いており、SMUはスパイダーマン・ユニバースともいえる世界の拡大も一通り安定し、MCUとSMUのクロスオーバーもあるかもしれませんね。 

(↑@artofgeorgeさんによる素晴らしいアート。ファンならやっぱりこんな画が一度は見たい!)

 

 追記:ファイギ氏の「『ヴェノム』はMCUには入らない」という発言を忠実に守るとすれば、MCUとSMUは別アースということになります(このマーベル・コミック関連におけるアースの概念については今度何らかの形で説明したいと思います)。スパイダーマン本人がSMUに顔見せでもする場合、それは彼がアース(次元)を飛び越えるということになり、おそらくそれはあり得ません。したがって、SMUにはスパイダーマンは顔すら見せず、やるとしても存在をほのめかす程度かなぁと。よってSMUもキャラクター達より高い密度で描く必要があります。『アメイジングスパイダーマン2』は、主に終盤でその世界の奥行きを示唆してくれましたが、SMUはMCUとはまた別の魅力を持つ、様々な楽しいアイディアが詰まったユニバースを形成していってほしいものです。

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(↑これはイメージです)

また、それでも僕はSMUとMCUの合流については捨てきれません。何も「SMU,MCUのキャラクターの豪華な交流を観たい」というよりは2つの世界はつながっているという「確証」がほしいだけなのです。様々な法的な制約や見込まれる利益、権利の壁で隔たれているこの状況……それはさながら、「電車に乗っていたら偶然同じ車両内に知り合いが乗っていたが、友達レベルまで親しいというわけではないから、特に声もかけないという何とも居心地が悪い空気」という感じです。

僕は、先ほど述べた「スパイダーマンMCUとSMUを行き来する」可能性を信じています。確かにスパイダーマンMCUに属していますが、やはり彼の相手となるべき友達や敵はSMUに大勢います。今回のスパイディはスーツが自動的にフィットし、サポート用にAIが搭載され、オマケに背中にパラシュートまで仕込まれているというおいしすぎる仕様。

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スタークという強力なスポンサーによる資金・技術の暴力(語弊)の結晶であるスーツは、観ているだけで楽しいですね。MCUならでは、といったところですがそのスパイディが(アメイジング2部作で実現できなかった)自らのユニバースを思う存分「探索」「拡張」することができれば最高だと思います。

(個人的にMCUのスパイディは、もうスーツの質感からして大好物なのです……)

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以上、ソニー・ピクチャーズ主導のSMUについての考察でした。

様々な情報が錯そうし、とにかく今は大混乱の時期です。そんな中でさらに20世紀フォックスが『ファンタスティック・フォー』の再々リブートを検討している、という情報も入ってきていたり……大混乱でもありますが、ファンの1人である僕にとってはとても楽しく幸せな時期です。とにかくこの高品質なアメコミ映画が互いにしのぎを削り、後にも大量に作品を待機させているので、情報を追いかけるだけで非常に大変(楽しい)です。この先、更にどのような展開があるのか、不安でもあり興奮も高まる今日この頃です。

世界よ、これがアフリカだ『ブラック・パンサー(原題)』考察

ブラック・パンサーは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にてデビューを果たしたアフリカの小国の戦士。その名の通りクロヒョウをモチーフにした黒いスーツをまとい、超人的な身体能力と高潔さで自国を守る王でもあるのです。

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先日、待望の『ブラック・パンサー(原題)』のティーザー予告がマーベル・スタジオ公式より解禁されました。MCUの新顔であり、これまでMCUにいなかったアフリカ出身のヒーローの単独作ということで、言うまでもなくファンの期待を集める一本です。


マーベル・スタジオが2018年5月に用意する超大作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)』に向け、『シビル・ウォー』から始まったMCUの「フェイズ3」は『ドクター・ストレンジ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス』『スパイダーマン/ホームカミング』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』ときて、最後のピースがついにそろいました。ということで、今回は『ブラック・パンサー』の記事となります。

______本記事のタイトルは元々「Where is Cap now?『ブラック・パンサー(原題)』考察」と、『シビル・ウォー』ラストで表舞台から姿を消したキャプテン・アメリカ、そして相棒のバッキーの足跡をたどることが当初のテーマでした。しかしいざ書こうとなると、どうしてもわずかな情報による記事ではいかんせん内容が少なくなってしまいました(´・ω・`)

そんなわけで、今回はブラック・パンサーというヒーローの解説、彼がたどってきた軌跡、予告編の分析、そしてキャップ&バッキーのコンビの行方という内容で行こうと思いますね。

 

ブラック・パンサーって誰?

と、ブラック・パンサーの説明の前に彼の故郷である国を説明する必要があります。

アフリカ大陸に位置する小国ワカンダ。長らく鎖国体制を敷いてきた国であり、表向きは「発展途上国・工業や衣料が主産業」の国です(CIA職員のエヴェレット・ロスの発言より)。

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しかしその実態は、独自の文化と高度な科学技術を併せ持つアフリカの秘境でした。恐らくその科学技術はMCUの主な舞台となるアメリカ以上。

また、ワカンダは地球一頑丈な希少金属ヴィブラニウムの産地でもあります。かつてアイアンマンの父であるハワード・スタークがワカンダから入手したヴィブラニウムで、キャプテン・アメリカの盾を作ったりしました。

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ヴィブラニウムの産地ということで、ほぼ破壊不可能≒変形不能という代物であるヴィブラニウムの性質を、ワカンダの人々は隅々まで知り尽くしていました。彼らはヴィブラニウムを自由自在に加工することができるのです。現実では衣服が化学繊維や炭素繊維でできているように、ワカンダの人間はヴィブラニウムを「織り合わせ」特殊スーツも製作しています。

ワカンダは代々王政を敷いている国です。王は代々その地位が受け継がれます。そして王は、その特殊スーツを身にまとい、自らの国をその手で守るのです。ブラック・パンサーとはワカンダの王であり、国を守ってくれる英雄というわけですね。

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スーツは国の象徴であるクロヒョウをモチーフにし、武器は鋭いツメ位。また、装着者である王は(原作コミックでは)ハート・シェイプド・ハーブという特殊な植物を摂取することにより、超人的な筋力・瞬発力・持久力・耐久性といった身体能力を得ます。戦闘スタイルは独特のマーシャル・アーツ。王としての高潔さも持つことから、ブラック・パンサーとはワカンダを代表する一人の「戦士」でもあるのです。

ちなみに、『アイアンマン2』で示唆されましたが、このワカンダの超人戦士の存在は、当時アベンジャーズ計画を進めていたS.H.I.E.L.Dに2010年時点で知られていたようです。

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さて、今度はティ・チャラという王子の軌跡をたどりましょう。

ティ・チャラという男

ワカンダの王家に生まれたティ・チャラは、次代のブラック・パンサー(=王)の座を継ぐために幼少期から鍛えられてきました。そして2016年5月8日、ティ・チャラはウィーンのソコヴィア協定調印会議に父であり国王のティ・チャカと共に出席。f:id:the-Writer:20170612205600j:plainナイジェリアのラゴスで起こった事件により、アベンジャーズ国連の管理下に置く協定には賛成なものの、「少数で物事を決めるべき」という考えに反することをほのめかしています。しかしその後爆破テロによって父を失い、彼は非常事態ながらもブラック・パンサーを「継承」。復讐心にかられた彼は、爆破テロの容疑者で元ヒドラの暗殺者であるウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズを独自に追跡します。f:id:the-Writer:20170612212119j:plain

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この「復讐者」としての立場は、ソコヴィア協定をめぐって起こったアベンジャーズの分裂において特異な第三者となります。協定反対派のチーム・キャプテン・アメリカと、協定賛成派のチーム・アイアンマン。チーム・アイアンマンは容疑者のバッキーを国連の名のもとに公的に追跡しているので、ティ・チャラはアイアンマン側に着くことになります。

ドイツの空港でアベンジャーズの真っ向からの対決に参加したりしつつ、キャプテン・アメリカとバッキーがいるシベリアへ向かったアイアンマンを個人用ジェット機で追跡。バッキーを殺すチャンスを今か今かと(文字通り)虎視眈々と物陰に狙って待っていましたが。彼はアベンジャーズの分裂の真相を知ることとなります。2015年に起こったソコヴィア事件、その被害によって家族を失った一人の父親が、やり場の無い怒りと復讐心を抱えて策略を巡らせた結果がこのアベンジャーズの分裂だったのです。

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このソコヴィア協定の騒動に明確な悪はおらず、言うなれば全員被害者である事。自分が誤って罪のない人間を殺すところだったこと。復讐の鬼と化した男の姿を見て、ティ・チャラは全てを理解し、その男を殺すことなく生かして連れて帰るのでした。

ティ・チャラもまた、突然理由もなく敬愛していた父を奪われ、やり場のなり怒りと復讐心を抱えていましたが、彼はそれを鎮めるという英断を下したのです。これこそ、ワカンダの王を継ぐにふさわしい寛大さと聡明さを持つ男の姿ではないでしょうか。

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また、未だにテロ組織ヒドラの元暗殺者として指名手配されているバッキーを、ティ・チャラは放置することなく自国でかくまうことにしたのです。「追手が来るぞ」と忠告するキャプテンに対して、「来させれば良い」という不敵な態度をとります。

父を殺した犯人として追っかけまわしてきたことにより、多少のわだかまりや躊躇があっていいものの、リスクをとってまでわざわざバッキーを引き取る器の大きさ。まさに王を継ぐものとして(ry

……と、ここまでが現在明らかになっている、ブラック・パンサーことティ・チャラの足跡です。その彼を待ち受ける新しい試練、待望の続きを描くのが『ブラック・パンサー』なのですね。その『ブラック・パンサー』のティーザー予告分析もちゃちゃっとやってしまおうと思います。

 

ティーザー予告映像分析

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「ワカンダについて、何を知っている?」というセリフから始まる映像。

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で登場した不敵な武器商人ユリシーズ・クロウが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場したCIA職員エヴェレット・ロスに尋問を受けています。なぜかここは韓国らしいですが……

クロウは原作コミックでブラック・パンサー絡みのヴィランなので再登場を期待されていました。大胆にもワカンダから大量のヴィブラニウムを盗み出し(一度捕まって「盗人」というメチャメチャ痛い焼き印を押される)、ウルトロンに理不尽な理由で左腕を切断されました。コミック通りの展開ならトンデモギミックを内蔵した義手をつけてほしいところ。f:id:the-Writer:20170612212638p:plain

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ヴィブラニウムの強奪に侵入した際、ワカンダの「真の姿」を見たという彼はブラック・パンサーの攻撃を受けた唯一の生存者のようです。国を守るため、闇に潜んで容赦なく敵を狩る姿は、まさにクロヒョウそのものですね。

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王位継承を巡って課される試練でしょうか?ティ・チャラと今回のヴィランとなるエリック・キルモンガーが戦っています。ティ・チャラの王位を狙って暗躍するキルモンガーがヴィランなのですね。

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また、今作でヴィランはもう一人います。マン・エイプというキャラクターで、原作コミックではホワイトゴリラ教の復活をもくろみ、神秘の白サルのスーパー・パワーを持ったキャラクターだそうです。

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他にも何枚か気になるカット。f:id:the-Writer:20170612215309p:plain

↑『シビル・ウォー』にも登場していましたが、ティ・チャラのボディ・ガードの女性ですね。ブラック・ウィドウに「どきなさい」と強気な態度をとったあの人です。

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↑この男性の口の強烈な装飾、エチオピアに住む少数民族のムルシ族と思われます。ワカンダにムルシ族がいるとは少々意外ですが、どういう背景なのでしょうか。

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ウィーンの爆破テロで急逝した父を継ぎ、ワカンダを治める王となったティ・チャラ。長らく鎖国していた国を開き、外交や内政をうまく行っていけるのか。現実でも王としての能力が問われます。

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『シビル・ウォー』よりスーツのデザインが変わっています!作品毎にヒーローのスーツが変わっていくのも楽しみの一つですが、具体的にはどんなアップグレードが施されたりしたのでしょうか?個人的には今回の新しいスーツも好みです。

 

 

更なる詳しい分析はコチラ↓の記事をご覧ください。

映像中では確認できない、監督などによる重要な情報やキャラクターたちの詳しい解説が載っていますよ~

 

 

さてさて……ようやくです。

 

f:id:the-Writer:20170612220204j:plainキャプテン・アメリカは今どこに?

シベリアでバッキーを守るため、アイアンマンとの死闘の末に何とかその場は勝利したキャプテン。バッキーをワカンダに預け、ティ・チャラと短い言葉を交わします。その後、海上のラフト刑務所に単身殴り込みをかけ、仲間たちを救出します。(このシチュエーションが『キャテプン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』にて、ヒドラにつかまった仲間を助けるのと同じなんですよね)f:id:the-Writer:20170612220130j:plain

個人的にはキャプテンに『ブラック・パンサー』に出演してもらいたいのです。アベンジャーズ分裂をはじめとして対立せざるを得ない状況下におかれたものの、彼らはどことなく似ているのです。国の象徴そのものである事(スーツがそれを体現している)・肉弾戦主体の超人・ヴィブラニウム製の装備を持つ・高潔な精神の持ち主 といったところでしょうか。

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しかし、おそらくそれは実現しないものと思われます。

まず、キャプテン・アメリカを演じるクリス・エヴァンスの出演作品の契約数です。彼はマーベル・スタジオと「6本の作品に出演する」という契約を結びました。『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と、ここまで5作品です(なお、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』や『スパイダーマン/ホームカミング』のカメオ出演は含みません)。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で最後ですが、つい先日に本人がアベンジャーズ第4弾である『アンタイトルド・アベンジャーズ(仮)』にも出演すると述べています。

もし『ブラック・パンサー』に出演するとしたら、『シビル・ウォー』で描かれた通り重く入り組んだ背景を背負ったキャラクターなので、とてもカメオ出演では扱いきれないはずなのです。しかし、本筋にガッツリ絡むのも上記の出演本数的にはなさそうです。したがって、キャプテン・アメリカは『ブラック・パンサー』には登場せず、ラフト刑務所から脱獄させた仲間たちと共に逃亡生活を送っていることでしょう。

 

また、バッキー。f:id:the-Writer:20170612220137j:plainアイアンマンにトレードマークともいえる金属の左腕を吹き飛ばされ、自身に残されたヒドラの洗脳を危惧して冬眠カプセルに入ることになりましたが……

先ほどのクリス・エヴァンスの例と同じく、バッキーを演じるセバスチャン・スタンの出演作品の契約数に注目してみましょう。何と彼は「9本の作品に出演する」というクリス・エヴァンス以上の出演本数なのです。キャプテン・アメリカ3部作にすべて出演し、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』への出演も確定していますが、まだ5本分残っています。

ここからは推測になるのですが、これだけまだ出演するならば、『ブラック・パンサー』に出演していてもおかしくないと思うのです。今のうちにバッキーというキャラクターを復活させておけば、『インフィニティ・ウォー』への導入も多少はスムーズになるはずです。

 

トーリー面からも考えてみましょう。そもそもなぜワカンダで眠りにつく必要があったのか?彼はキャプテンの無二の親友なので、一緒についていって逃亡生活を送ってもよかったはずです。僕には、このワカンダでの冬眠シーンが何とも伏線のように感じられてなりません。

ところで『シビル・ウォー』序盤でスタークがセプテンバー基金の発表の際、「脳の海馬をハッキングしてトラウマとなっている記憶を望みどおりに再現、心の傷を癒す」というB.A.R.Fシステムを覚えているでしょうか。僕には洗脳がどういうものかよくわからず、劇中でバッキーがある特定の組み合わせの単語を聞いた際にその洗脳が発動する、などどの程度現実に基づいているのかわからないですが……f:id:the-Writer:20170612224201p:plain

このB.A.R.Fがバッキーの脳に刻み込まれたヒドラの洗脳を解くのに一役買うとすれば?ただし、一度スタークは復讐に駆られて本気でバッキーを殺そうとしており、それがキャプテンとの深い溝にも繋がっています。大金を投じて開発したB.A.R.Fを、自分の両親を殺した人物に貸し出すのは大きな葛藤を要することでしょう。

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何とかそこを乗り越え、70年以上もずっと付きまとってきた呪縛から、ついにバッキーが解放されるとすれば、『ブラック・パンサー』はバッキーにとっても重要な転機になります。『スパイダーマン/ホームカミング』にピーターのメンターとしてアイアンマンことスタークが登場するように、『ブラック・パンサー』にはかつて追うものと追われるものだった二人が共闘するのです。

さらに、吹き飛ばされてしまった義手を、ワカンダの高度な技術を用いてヴィブラニウム製の新しい義手に付け替える、という展開もないでしょうか?ヴィブラニウムの加工と、高度な科学技術を併せ持つワカンダなら十分あり得ます。この義手はティ・チャラからバッキーへのお詫びの贈り物であり、親愛の情としての役割も果たしてもよいでしょう。このように、ヒドラに取り付けられ、大勢の人間を殺めてきた金属の義手を失い、洗脳からも解放されることで、バッキーは「ウィンター・ソルジャー」という呪われた人格から解放されます。彼はようやく、キャプテンことスティーブ・ロジャースの親友バッキー・バーンズに晴れて戻れるのです。

劇中では、襲い来るヴィラン達に対して『シビル・ウォー』で熾烈な肉弾戦を繰り広げたブラック・パンサーとバッキーの二人の共闘を期待したいところ。

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ヒドラに課された「十字架」から解放され、髪を切り、ヒゲもそったらこんな爽やかなバッキーが見られたり……?かつて女の子を口説きまくっていたバッキー・バーンズに戻ってきてほしいですね~

もしかすると、以上に書いた展開は『インフィニティ・ウォー』で起こるのかもしれませんが、あまりにも盛りだくさんな内容になりそうなのでやはり『ブラック・パンサー』で済ませておいた方が良い気がします。

 

本作に期待したい事

まず挙げるとしたら、

1作目なのでティ・チャラというキャラクターを描いてほしい・新鮮なアクションを観たい・充実したストーリーを・MCUとの巧妙なクロスオーバー

といった点です。

しかし、それ以上に重視してほしいことが「アフリカ」である事。

マーベル・スタジオはウォルト・ディズニーに買収されましたが、近年のディズニーは「多様性」を重視し、そのメッセージを根底に様々な作品を世に送り出しています。中でも、『ズートピア』は顕著な例だと思います。

昔、アフリカ系の人々は奴隷として売買され、それが禁止されてもなお根付いた差別意識によって残酷な悪意の標的となっていました。現在でもそれが完全になくなったとは言えないものの、今や多くのアフリカ系の人々が世界の表舞台で活躍しており、それはとても喜ばしいことでしょう。

マーベル・スタジオは、自社のアメコミヒーロー達の作品を大量に製作しながら、ある一定の高いクオリティを保つ事に成功しています。そしてその懐の広さと言いますか、様々な作品をそろえているのです。今年の作品だけでも、『ドクター・ストレンジ』は異次元の魔法バトル、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はノリが楽しいSFアクションコメディ、『スパイダーマン/ホームカミング』は誰もが知るスパイダーマンとアイアンマンのコラボで送る青春です。『マイティ・ソー/バトルロイヤル』はやはりSFアクションコメディでしょうか。

特に『ドクター・ストレンジ』は東洋のスピリチュアルな要素や思想をMCUの「形式」に解釈し、作品内に落とし込んできました。そこにアフリカの文化を色濃く持つ『ブラックパンサー』の参戦は必須でしょう。

願わくば、マーベル・ヒーローとしてアフリカのブラック・パンサーをやるというよりは、ブラック・パンサーをマーベルの技術で映像化してほしい……言い換えるなら、ブラック・パンサーを適当な文化描写で片付けず、アメリカから見たアフリカといった鋳型に押し込めようとしないでほしいということです。

ワカンダのハイテク技術など、一般の観客が喜び受け入れやすい要素を随所に入れつつ、アフリカの文化というものを伝えてほしいと僕は思います。アメリカやヨーロッパなど欧州の文化は日本人の間では憧れの対象となったりしていますが(日常生活のいたるところで見かける英語なんてその表れですよね)、「アフリカだってこんな面白い文化があるし、こういう考え方だってあるんだ」ということを教えてもらいたいのです。予告編にエチオピアのムルシ族は、その試みの伏線であると思っています。そしてブラック・パンサーというキャラクターが、キャプテン・アメリカやソー、アントマンなどのヒーローと共に日本に爪痕を残してくれることを願います。

 

 

 

 

以上、『ブラック・パンサー』についていろいろ書いてみました。

恐ろしくてんこ盛りな記事となってしまいましたが……ブラック・パンサーという新キャラクター、そしてアフリカに注目してここまで中心に据えたヒーロー映画は、マーベル・スタジオ内には留まらない「大きな一歩」だと思います。

チャドウィック・ボーズマン主演、ライアン・クーグラー監督が贈る『ブラック・パンサー』、僕はとても楽しみにしています。

『ブラック・パンサー』は2018年2月18日、全米公開。

僕が好きなこと

僕が好きなこと、やっていて情熱や興奮を感じるのは、何かを創り出すことです。「創り出す」にも様々な分野が存在しますが、僕が創り出すのでより好きなのは「物語」でしょうか。

時々、何かポッと断片的なアイデアが浮かんできます。それはある光景であったり、概念であったり。そのどれにも共通するのは前述の情熱や興奮を感じることです。僕はそれに従って、創り出したい・形にしたいものを、ペンをとる、あるいはPCのキーボードで文字に起こすのです。

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僕は机に向かい、必要なものを並べます。紙,ペン,飲み物、これくらいでしょうか。「さあ書くぞ」と未だ真っ白な紙を目の前にしたときの、これから形になっていくものへのワクワクにはえもいえぬものがあります。

 

ちょっと思い出話

このようなやりたい事,やっていて楽しいことに一番近いことができた時が一度だけあります。高校時代の文化祭です。

後輩たちの上に立つ先輩として、僕は計画を主導できる立場にありました。その時の計画とは、お化け屋敷でした。ボロボロの廃墟で貞子のような女が~とありきたりなものにするつもりは全くなくて。SFの方向性を取り入れた、高校の文化祭としては恐らく斬新な方向性で、コンセプト・ストーリー・設定・仕掛けの考案・設計など、様々な部門を主導しました。あれは楽しかったですね~

 

日常にはない「秘密基地」

ところで、文化祭のアトラクションタイプの教室催事によくあると思うのですが、ダンボールや机を駆使して壁を作り、それで通路やスタッフコーナー、小部屋なんかを作りませんでしたか?まだ小さかったころ、友達とどこかに「秘密基地」なんて作った経験はないですか?

僕はあのような、日常にない「隠し部屋」のような空間がたまらなく大好きなのです。

それに似たような感覚が、旧スターツアーズの記事で述べたものでして。独特の世界観を持つアトラクションで、ライドに乗るまでの通路の内装などで感じる人は感じるあの興奮です。作りこまれた空間の中に、自分がいるんです。そして、ディズニーランドにいられる時間に限りがあり、長くはそこにいられずいつかは帰らなければいけないように、文化祭で作り上げた「世界」も数日で取り壊されます。それは、ちょうど夢から現実へ引き戻されるような感覚です。限りがあるという事、それは一層僕の情熱を掻き立て、思い出を素敵なものにします。僕の創造への熱意は、夢を追い求めるエネルギーなのです。

 

 

ここで僕が見ていて何かチラチラと熱を感じる写真をいくつか。

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(↑『スターウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』より、キャストの脚本読み合わせ)

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(↑『スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』より舞台裏。『フォースの覚醒』の写真含め、モノクロというのも独特の味や奥行きを感じさせて好きです)

f:id:the-Writer:20170603104129p:plain(↑『ジャスティス・リーグ』ロンドン撮影の舞台裏映像より。この舞台裏≒文化祭感溢れるのも良いのです……)f:id:the-Writer:20170611165354j:plainf:id:the-Writer:20170614185802j:plain

(↑ゲーム『エイリアン:アイソレーション』のセヴァストポリ・ステーション。内装がツボで結構好み、できればここで時間を過ごしたい……エイリアンさえいなければ)

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(↑『10クローバーフィールド・レーン』より、ハワードの地下シェルター。これも、ハワードという怪物さえいなければ、ちょっと狭めの隠れ家的な感じが最高です)

閑話休題( ´・ω・)y─┛

 

脚本を書くという作業自体も好き

「物を書く」という行動を通じて、クリエイティブな活動が好きな僕ですが。たとえば面白そう、興味がある、という映画を見つけたとしますよね。映画に詳しい人なら監督やキャストに目が行くと思います。しかし、僕がそれ以上に目が行ってしまうのが脚本です。僕は脚本を書く人にも憧れや期待を抱きます。前述の通り、僕は物を書くという行為が好きで慣れ親しんでいるため、脚本関係のニュースも映画の製作進捗ニュース並みに楽しめるのです。具体的に例を一つ上げますと、『スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』を監督するライアン・ジョンソンが以前エピソード8の脚本が書けたという旨のツイートをしましたが、それだけであれこれ色々な想像をしてしまう引き金になりました。

また、脚本関係で興味を惹かれることの一つに「二人体制」というのがあります。それは元々活躍しているコンビだったり、一方が書いた脚本をリライトするためにもう一方が雇われたり、と様々な事情がありますね。僕にとって脚本関係のニュースは、撮影状況やポスト・プロダクションの進捗状況のニュース以上に、ワクワクを感じさせてくれるものです。

 

もしもチャンスがあれば

ということで、僕が新しくやってみたい事。それは、2人で何か創り出したり、ストーリーや脚本を考えたいのです。それも意気投合する人と。沢山意見を出し合って、何か濃密な世界を作り上げたい。それを読んで自分自身で興奮を覚えるほどの楽しいものです。

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ここに、先ほど参考としていくつか挙げた好きな写真に共通するもの「隠し部屋」が関係します。だだっ広い清潔感のある会議室ではだめなんですよ。狭い小部屋が良いのです。「隠し部屋」がだめなら、簡素な仕切りで作った空間でもよいし、大量の貨物箱が積まれた使われていない倉庫でも良いです。そこで、僕ら自身が楽しめるような、そして人々にインスピレーションや興奮、情熱などを与えられるものを、楽しんで作り上げたいのです。その空間にコーヒーメーカーでもあれば最高ですね~

 

 

 

 

以上、僕の創造への情熱、僕のやりたいことでした。それは僕が抱える「夢」を追い求めることでもあります。そんなことができるチャンスを、僕は日々の生活の中で密かに心待ちにしているのです。

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想 パート2

 

(前回の記事であるパート1はコチラ↓)


 

えー、元々一本の記事として仕上げる予定だったのですが、〈映画的視点〉〈スターウォーズ的視点〉の二つを一つに詰め込もうとすると膨大な量になってしまいますので、このように前後に分けた次第でございます( ゚Д゚)y─┛~~

スターウォーズ的視点とは、つまり他の様々なSWの作品の設定を絡めて、『エピソード5/帝国の逆襲』の気になったところを語っていくつもりです。まだSWを知ったばかりという方が本記事を読んでいたらマニアックすぎる内容に閉口したりついていけなかったりするかもしれませんのでご了承くださいませ~

もっとも、これを読んで他の作品にも興味を持っていただけたりすれば一番うれしいです(*´ω`*)

 

スターウォーズ的視点〉編

 

ルークがフォースを使う

エピソード4でオビワンに短い時間ながらフォースの手ほどきを受け、体に流れるフォースを感じることはできたルーク。しかし、デススター内でオビ=ワンは命を落とし、ルークは(ある意味で)「選ばれし者」という大きな役割を持ちながらすぐに師を失ってしまい、特殊なケースのパダワンなのですね。f:id:the-Writer:20170529160036j:plainヤヴィンの戦いから間も無く、同年代の女性であるナカリ・ケレンとの冒険や、惑星デヴァロンのジェダイ寺院での修行を通じて、独学である程度の物体移動などそれなりにフォースを使えるようになりました。観客にとっては何気ない、ルークがセーバーを左手に引き寄せるシーンに至るまでに大きな努力と苦労があったのです。

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AT-AT

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地平線から徐々に迫り、反乱軍の基地に進撃を行う帝国軍で1,2を争うレベルで有名な地上戦用兵器です。通常の砲撃を全く受け付けず、しかし着実にその足を勧めてくると共に緊張も高まってきます。気づけばボスの地表にいたAT-ATですが、ゴザンティ級クルーザーによる輸送で着地したのでしょうか?

f:id:the-Writer:20170529160719p:plainまた、スカリフでシタデルタワー防衛に当たっていたAT-ACTの群以上に多い5台ですから、ベイダーがいかにルーク・スカイウォーカーの確保にご執心かがよくわかります。

 

基地内のベイダーf:id:the-Writer:20170529160833j:plain

いよいよホスの秘密基地に踏み込んだベイダー。その時、未だハンとレイア(とC-3PO)がファルコン号に乗ろうと基地内を走り回っていたので、実はけっこう距離が近い追いかけっこだったのです。この時、もしも一歩間違えて鉢合わせてしまっていたら……

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ローグ・ワン』で観た通り、ブラスターのビームを全く寄せ付けず、赤いセーバーで惨殺されていたはずです。何の偶然か狭い廊下という似たような状況でしたが、なかなかギリギリでしたね。


C-3PO

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今回3POがついていったのはハンとレイアという主張が強い2人だったので、「黙ってろ!」と言われる事が多い不憫な役回りでしたが……不安と緊張漂う雰囲気の中、本人はいたって真面目ながらコミカルにそれらを和らげてくれ、なくてはならない存在だったと思います。個人的には好きなキャラクターで、横に置いておきたいドロイドです(笑)

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ちなみにエピソード5前の話を描く小説『ジェダイの剣術を磨け!』では、ルークがC-3POの事を、「3POの製作者はどこかの回路を逆さまにつけ間違えているに違いない」と心の中で呟く愉快なシーンがあります。
その後、3POはクラウドシティ内で間違えてストームトルーパーの小隊に鉢合わせ、撃たれて全身バラバラになってしまいましたが……一度ジオノーシスの戦いで首だけで生きていた事もありましたから大丈夫ですね。
問題はチューイたちが入っていた牢獄に、なぜ(バラバラになった)C-3POがいたのかという事。ハン達がベイダー待ち受ける食堂に行く前に、C-3POは滞在部屋に置いていっているハズなのです。

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実はこれを補完するかのように小噺的ショートコミックがありまして……

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……そういえば3POは9歳のアナキン少年が忙しい母を助けるために作ったお手伝いドロイドだったんですよね。本当に親孝行な、家族思いな子でした。フラッシュバックのごときアナキン時代の記憶を押し殺し、ベイダーは3POを牢獄に送るように命じます。

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今やレジェンズのコミックで、本当かどうかはわからないものの、もしかしたら……というまさにレジェンズ=伝説のお話です。その後、ハンが炭素冷凍される際にベイダーが3POに無反応なのも説明がつきます(とはいえ3POを背負っていたチューイの奇跡的な立ち回りで3POはベイダーからはよく見えない位置にいるのですが)

この3POに関する出来事や、後述のルークに対するベイダーの父性を合わせて考えると、この時すでにベイダーの中には勇敢で仲間思いのジェダイアナキン・スカイウォーカーが甦りつつあったのかもしれませんね。

 オマケ:3POの相棒ということで、R2-D2について。

ルークのX-Wingのソケットに収まるR2を見ていて、かつてアナキンのジェダイ・スター・ファイターのソケットに収まっていた頃を思い出してしまいました。f:id:the-Writer:20170529163610j:plain

 

グランド・ジェダイ・マスター

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銀河帝国元老院議場でダース・シディアスを始末し損ね、惑星ダゴバに隠遁を初めてから22年。いよいよルークがダゴバを訪れ、ヨーダはというと……

「ヒッヒッヒッ!」「わしのじゃ!わしのじゃ!」

オビ=ワン&クワイ=ガン「( ゚Д゚)ポカーン

どうしてこうなった

一風変わった原住民を演じることで、ルークのありのままの内面を探る魂胆だったのでしょうか。クローン大戦時下やジェダイ評議会ではとても見られなかったお茶目な一面です。彼としては帝国のトップとして君臨しているシス卿に対抗できる最後の希望として、タトゥイーンに隠した「新たなる希望」をずっと待っていた身であると考えられます。

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いざ来てみたその彼が、かなり短気な様子なので「この子は鍛えられない」と一時は拒否しかけます。シス卿を打ち倒す可能性を秘める最後の希望を捨てる、というのは一瞬「え?」となる決断です。しかしルークはヨーダの目には、幼少期からジェダイ聖堂で修行したわけでもなく、好奇心旺盛かつ感情に流されやすい若者である、とうつったのかもしれません。

結局オビ=ワンのアドバイスにより、ルークの修行をすることにはなりましたが。確かにルークはたびたびヨーダの指示に従わないことはあったものの、やはり目に見えないフォースを学び、修行する中ではいくつかの疑問は湧いてくるもの。質問をしたり、一度投げ出してしまったり、人間なら起きて当然の反応を示すルーク。これは僕にとってなのですが、そのルークに対するヨーダが一辺倒の姿勢であり、「疑念を持つな」「とにかく頑張れ」のように見えてしまうのです。確かにフォースの本質など、彼のアドバイスが重要なのはわかるのですが、その伝え方が何ともうまくないなぁと思うのですね。かつてコルサントジェダイ聖堂で、アナキンがパドメを失う悪夢を見て相談に来た際、ヨーダは「失うことを恐れるな」と答えます。

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それはアナキンが喪失を恐れ、親身な態度や具体的なアドバイスを欲していたことに対し、真逆の言葉でした。それぞれ異なる思考を持つ個人が個人を指導する教育というのはなかなか難しいですけれども……ヨーダはもう少しルークに親身になってもいいのでは、と思います。一度ルークの意見や疑問を否定せずに全て受け止めてから、ヨーダなりの教えを伝える、という感じですね。

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No, Luke. I am your Father.

追い詰められ、絶体絶命というルークにベイダーの口から発せられた言葉。最初はそれを口では拒否していても真実だとわかり、大きな衝撃をルークに与えます。

故郷のタトゥイーンで、ルークはオビ=ワンから父がかつてオビ=ワンと共に勇敢なジェダイであり、優秀なパイロットであったという話を聞かされました。帝国軍に育ての叔父と叔母を殺されてからは、話に聞いた父こそが憧れの人物であり、心の拠り所でった事でしょう。そして一瞬だったものの、デススター内で漆黒の大柄な人物が赤いライトセーバーでオビ=ワンを切り裂くのも目撃。オビ=ワンも失い、フォース=ジェダイの道に進むことを決意したルークは、暗中模索の手探り状態の中、父の背中を追うことになったわけです。それから3年の間、惑星ローディアでクローン大戦時代の父アナキンの輝かしい活躍を聞いたり、自分なりにジェダイの修行を行います。

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その間にも、度々「お前はジェダイだ」という趣旨の言葉を受けるたびに、ルークの中には「ジェダイになりたいがなれない、自分はジェダイじゃない」という苦悩が生まれます。

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何度かベイダーにも襲われもします。ルークの中で、ベイダーは恐ろしく、そして強い敵であり、いつかは倒すべき相手という認識が固まります。そうして、何とかいくらかフォースを使えるようになったルーク。ホスで野生のワンパに襲われ、吹雪の中で遭難寸前の時、オビ=ワンから「ダゴバ星系へ行け、そこでかつて私を指導したジェダイ・マスターのヨーダに教えを請うのだ」と言葉を受けます。ルークにとって、これは念願の、千載一遇のチャンスだったのです。これでやっと、本物のジェダイから修行を受けることが出来る。自分も父さんのようにジェダイになれる、と。そして仲間の危機を察知してジェダイの修行を放置してまでクラウドシティまで駆け付けたルーク。圧倒的な実力差で追い詰められたルークに、ベイダーのあの言葉です。

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その衝撃は、誰にも踏み込んでほしくなかった自分の領域が最悪の方法で侵され、自分がこれまでの3年間信じて積み上げてきたものをすべて破壊するほどに衝撃的だったことでしょう。

 

ベイダーはベイダーで、ルークが息子と知ったのはヤヴィンの戦いから実はそう時間は経っていない頃でした。その時、ベイダーは自分が暗黒面に踏み入れるきっかけとなった最愛の妻パドメと共に、自分の子供が死んだわけではないと知ります。

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むしろ自分並みに強いフォースを秘めており、自分と力を合わせれば皇帝だって倒せるかもしれない。まだ、自分には家族がいる……

曲がりなりにも、こうして彼はルークの追跡に執着することになります。そして、セーバーを交えることになったクラウドシティにて。彼は22年前、ムスタファーでパドメにしたように、ルークに「一緒に銀河を支配しよう」と誘いを持ち掛けます。

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途中までルークのことを「スカイウォーカー」と呼んでいましたが、ここに来ると「ルーク」と名前で呼ぶようになるのです。「ルーク」「仲間になれ、お前の修行を完成させてやる」「父と子として、ともに銀河を支配しよう」「私と来い」_______皮肉なことに、ベイダー≒アナキンがルークに父性を発揮したのは、この最悪な状況においてなのでした。そして……拒否されたのです。ルークは身投げをします。それを何もせずにむなしく見つめるのは、パドメさえも離れていった過去の記憶ゆえだったのでしょうか。

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以上、『エピソード5/帝国の逆襲』で個人的に気になったところをピックアップしてみました。よくつくりこまれている映像は、見るたびにまた違った発見や印象、驚きがあって楽しいです。

スターウォーズサーガの各作品は歴史の「転換点」といった重要な局面を取り上げていますが、唯一エピソード5は「全体」より「個」の人間同士に集中した一本かな、と感じます。だからこそルークやベイダーといった登場人物の心境を考えるのが面白いのです。

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スターウォーズというのは本当に壮大かつ小さな小道具一つに至るまで細かく作りこまれた世界なので、ファンたちに「何度も訪れたい」と思わせる力を持つのだと感じます。僕らにとってのスターウォーズとはまさしく、壮大でどこまでも広がるフォースの世界なのです。

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想 パート1


スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』は1980年公開の、監督:アーヴィン・カーシュナー、脚本:ローレンス・カスダン、製作総指揮:ゲイリー・カーツによるオリジナル・トリロジー第二作。僕の主観的な話なのですが、「一番面白いスターウォーズはどれ?」という質問に、多くのファンは「帝国の逆襲」と答えていたと思います。また、「シリーズで一番好き」という声も多かったです。

僕はスターウォーズで一番楽しいのは『エピソード4/新たなる希望』と思っているんですね。

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なぜなら『インディ・ジョーンズ』さながらの爽快な冒険活劇であり、それなりに話が完結するので一本の単品映画としても見られるからです。一方で、今まで『帝国の逆襲』と言えば、地味で色味含めて少し暗く、何とも「堅く」、主人公たちの敗走劇という印象がありました。

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SWサーガに属する一本なので、もちろん『帝国の逆襲』も好きでしたが、今年の年末にシークエル・トリロジー第二作(←ココ重要)『最後のジェダイ』公開を控えています。元々のファン達による高い評価を理解し、より好きになろうという思いからも、本記事の執筆に至りました。

そこで『帝国の逆襲』の感想は、「映画的視点」の分析(のような何か)と「SW的視点」の解説(のようなry)による、前後編の二部作(のよry)で行こうと思います。僕の感想を交えながら進めていきますね。

 

 

〈映画的視点〉編

 

新しいメカや舞台

前作エピソード4でデススターが盛大に爆破され、まさに絵にかいたようなハッピーエンドを迎えてからどうなったのか?あれから3年、物語の舞台はある惑星に帝国の偵察ドロイドが送り込まれるところから始まります。

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エピソード4の湿度と気温が共にすごい不快な熱帯のヤヴィン4から一転、観ているだけで寒々しい一面真っ白の雪の惑星ホスに、反乱同盟軍は秘密基地を新たに設置しました。

また、主人公のルークが訪れることになる、森が鬱蒼と茂る常に薄暗く不気味な惑星ダゴバ。一方で帝国から逃げるハン達が訪れる空中都市が浮かぶ惑星べスピン。特に空中都市はSWならではの独創的なフォルムです。f:id:the-Writer:20170602210937j:plain

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エピソード4に登場した惑星はタトゥイーン、オルデラーン、ヤヴィン4(厳密には衛星ですね)くらいでしたが、それらとはまた別に様々な特徴を持つ惑星が登場し、スター・ウォーズには多種多様な惑星が存在する、という事を知らしめてくれます。

メカに関しては、おなじみのミレニアム・ファルコンやX-Wingに加えて、寒冷対策を施したより身軽な戦闘機スノー・スピーダーや、コッペパンのような形の輸送船がお披露目です。一方の帝国は、スター・デストロイヤーに加えて超巨大な旗艦スーパー・スター・デストロイヤーや、地上戦専用のAT-ATも登場。AT-ATは、SWを代表するくらいに有名で特徴的なシルエットですね。

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移動速度はそこまで早くないもの、放たれる一発一発の威力が高く、反乱軍を叩き潰そうと着実に迫ってくる帝国の脅威として、うまく役割を果たしていたと思います。実はスター・デストロイヤー艦内の様子や帝国のマーチなどが登場するのも今作が初だったり。

魅力的な新キャラ達

帝国の追手を振り切ろうと新たな道を進んでいくルークとハン&レイアの前に、それぞれ新キャラクターが登場します。

偉大な戦士であり、オビ=ワンを指導したという緑色の小柄なジェダイヨーダ。その一方でベイダーの師であり、前作でも存在が言及された銀河帝国の皇帝。ルークのジェダイとしての修行を指導するのは、ジェダイで恐らく最強クラスのマスター・ヨーダ。ホログラムで姿を現したのは、ベイダーが膝をつく相手であることから暗黒面最強クラスの皇帝。ルークが足を踏み入れたフォースの世界で、それぞれの大御所が登場したのです。

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帝国から逃亡するハンをかくまったのは、空中都市の執行官であり、ギャンブラーでハンとは旧知の友というランド。帝国は銀河全域を支配しており、いつどこにいても何となく落ち着かない不安と焦燥感にかられるような情勢です。ようやく足を落ち着けた場所はハンの旧友とはいえ、ギャンブラーであり、どことなく胡散臭いといいますか、信用が置けない感じです。f:id:the-Writer:20170602215434j:plain

また、後に大人気となるT字型のバイザーを持つヘルメットをかぶった賞金稼ぎのボバ・フェット。作中で描かれるボバ=フェットの功績は、ミレニアム・ファルコンをベスピンまで追跡するということくらいではありますが。f:id:the-Writer:20170602215504j:plain

これらの登場人物は、よりストーリーを予想外の方向に向け、深みを与えてくれます。

 

新キャラだけでなく、2作目ともなると1作目から続投するキャラクターたちは成長を遂げ、互いの間にも関係が確立され、変化していく様も描かれます。それらに集中するためか、ストーリーはジェダイの修行を積むルークと、帝国軍から逃げるハンとレイアの二手に分かれますね。

エピソード4ではフォースをまともに使えたのはヤヴィンの戦いでもはやまぐれのような感じだったものの、今回はその能力をある程度は発現させ、ライトセーバーを引き寄せたり、石ころや自分の体を支えることに成功しています。また、出会った仲間や友達を大切にしており、彼らを思う心が強いという一面も描かれたり、タトゥイーン出身の若者の内面が掘り下げられていました。

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ハンとレイアは、一見正反対の二人ですが惹きあい、恋人同士になる展開です。前作では未だ出会ったばかりということもあり、多少の壁がありましたが、それから3年が経ち、お互いのことをよくわかり、慣れてきた感じがします。お互いに対してツンツンしていて口ではひどいことも言いますけど、なんだかんだで愛し合う二人はどこか応援したくなったり。

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そしてベイダー。

極限まで低い声と呼吸音の不気味な喋り方で観るものを震えさせます。f:id:the-Writer:20170602215719j:plain大柄な体でマントをはためかせ、失敗した部下を容赦なく処刑する姿は、まさに「悪役」そのもの。前作エピソード4からその恐ろしさが進化し、よく引き立っています。彼のマスクの下には過去をほのめかす凄まじい様の頭がチラッと見え、後に彼の衝撃の事実も明らかになりますが……

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下降気味のストーリー

本文で何回も繰り返している表現ではありますが、本作『帝国の逆襲』は主人公たちの敵からの敗走劇です。よって雰囲気もどことなく暗めではあります。ルーク、ハン、レイアは敵に殺されることはないものの、結局何らかの形で敵につかまり、傷つけられます。物語終盤、まさかのハンが炭素冷凍という、初見ではショッキングな仕打ちを受けた上に敵に連れ去られますよね。

中でも特筆すべきは、ジェダイの修行半ばで仲間たちを助けるために駆け付けたルークがベイダーと対決し、そのまま敗北してしまうことではないでしょうか。映画だから、ファンタジーだからといって、修行半ばの力で強敵に勝てるわけでなく、負けてしまうというのが一種のリアルさを感じさせます。

この主人公が敵に敗北するという展開。本作はある意味「挫折・敗北の物語」ともいえるでしょう。これはのちに作られる様々な映画の続編に、ちょうど黒澤明監督の映画のように大きな影響を与えたのではないでしょうか。2作目は、1作目から発展して新しいキャラクターや設定で世界観を広げつつも、暗く、よりハードな展開になる、というものです。今やメディア・サイトが「2作目」を撮る監督などにインタビューをすると、「『帝国の逆襲』調になる」というセリフが多々聞かれます。そして、DVDなどの音声解説に収録されていますが、「『帝国の逆襲』は特殊で、途中から始まり、途中で終わる物語だ」と語られています。

確かにそうなのですが、主人公たちを二手に分けたことによって展開される二つの冒険、より現実的でしっかりとした展開、さりげなく次回作に向けて張られる伏線など、単品映画としての完成度がまたしても高いのです。

多くのファンたちの心を惹きつけるのは、SWに持ち込まれたより現実的でハードなストーリー、なお希望も残すエンディング、拡大された世界、堅実な演出の数々など、脚本などをはじめとする製作陣の様々な努力によるものでしょう。

 

 

最後に、コチラの記事↓

 製作の舞台裏の話に興味がある方は是非!とてもわかりやすく、興味深いので次から『帝国の逆襲』を見る際には製作陣の血のにじむような努力に思いをはせずにはいられませんよ。

 

 

 

 

 

 

 

以上、僕なりの『帝国の逆襲』の映画的視点による分析でした。

監督、脚本などにジョージ・ルーカス以外の外部の優秀な人間が加わったことにより、『帝国の逆襲』は『新たなる希望』の続編、スターウォーズ オリジナル・トリロジーの次章というだけでなく、映画としても優れた一本に仕上がったのだと思います。

次に〈スターウォーズ的視点〉編がございますので、興味がある方はお読みくださいませ~(2017/6/10公開予定)

  追記:〈スターウォーズ的視点〉が書けました、コチラ↓になります~

僕が好きだったスターツアーズ

こんにちは、今日は思い出話ともつかぬスターツアーズについての思いをつらつら語っていこうと思います。f:id:the-Writer:20170522183307j:plain2013年に「スターツアーズ ザ・アドベンジャー・コンティニューズ」としてリニューアルしたディズニーランドの本アトラクション。

現在は映像がフルでCGアニメになりながらもそれを感じさせず、途中何回か複数のコースに分岐するので様々なストーリーも楽しめ、以前からパワーアップしたわけですが。

僕は以前のスターツアーズも大好きで、できればそのまま残すか新スターツアーズに組み込んで欲しかったと思うのです。なぜそう思うのか、僕が思う何点かの魅力をあげていきますね。

 

トーリーが良い

エピソード6の後、スターツアーズのツアーに参加したゲスト達はパイロットの度重なるミスによって基地の中でクラッシュしかけたり彗星の中に突っ込んだり、ついに帝国残党と新共和国軍の戦闘宙域に……といったあらすじ。その帝国残党が実は第3デススターを建造していた、なんて今思うとすごい設定なんですよね。

ディズニーがルーカスフィルムを買収して製作する続三部作ことエピソード79は、「公式の」エピソード6の続編なので、その事情もあってかこの旧スターツアーズは終わってしまいました(´ω`)

アトラクションとして楽しい

当たり前と言えばそうなんですが、僕はやっぱりあの興奮が忘れられません。リアルなメカ感溢れる発着場からの出発、入り組んだ氷の迷宮を突き進むスリル、帝国軍の砲撃をかいくぐりながらデススターの表面を駆け抜ける高揚。BGMも『帝国の逆襲』などから引用していましたが、どれも曲がむむしろ本編以上にマッチしており、あの危険な冒険のツアーを形作っていたと思います。何より、とにかく映像が「本物」なんですよね。オリジナルトリロジーに則って作られたあの映像は、何度でも乗りたいと思わせてくれるモノを持っていました。この感覚、かつて「初めてスターウォーズを観た子供達が感じた衝撃」そのものなのでは?

また、アトラクションのメインのライドだけに留まらず、ライドに至るまでもそうです。所々に立っているドロイド、ライトで照らされるSF感溢れる通路、様々なパネルやツアーの電光掲示板など……f:id:the-Writer:20170524230427j:plainf:id:the-Writer:20170524230441j:plainf:id:the-Writer:20170524230444j:plain

ワクワクを感じさせてくれるソレは確かに、そこに実在していました。この凝った作りこみに対する興奮は、インディジョーンズ、ストームライダー、カリブの海賊といった日常から離れた冒険もののアトラクションに対する興奮に通じるものがあります。あこがれた夢の世界が、目の前に。その時だけ自分がそこにいるんですよね。

(個人的にスターツアーズのあの通路の質感はエピソード3『シスの復讐』のこのあたりのシーンが近いなぁと思っています)f:id:the-Writer:20170524230332j:plain

スターウォーズの魅力が詰まっている

何よりこれに尽きると思います。スターウォーズといえば根底にある家族の物語、ルーク・スカイウォーカーダース・ベイダーなどを筆頭とするキャラクター達の冒険なのですが、それらが全く登場しないのに関わらず、スターツアーズの虜にする何かが確かに、そこにあるのです。そう、そしてあのチャイム音も忘れられません。

www.youtube.com

発進前の説明ビデオのあのリアルさも気分を盛り上げてくれます。そしてスタースピーダー3000がターボリフトに乗ってガッタンガッタン振動を感じながら昇り、コースに着くあの瞬間。以降は脱線・彗星・帝国ですね。僕は初めて乗った時はSWにはさっぱりでしたが、第3デススターでレッドリーダーに着いて行く高速のトレンチランはファンには鳥肌ものだったのではないかと思います。ゲイレン・アーソが仕掛けた罠=排熱口はそのまま受け継がれていたのですね(笑)

最も、今や第3デススターは非正史ですが……

アトラクションが終わると、「ソフトランディング(=軟着陸)」というアイスクリーム屋が待ち受けていたり、「ギャラクティックピザポート」に繋がっている構造もニクい!

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そんなわけで、楽しさ重視のアトラクションゆえ、「家族・友情・愛」といった根底的なテーマは含まれないものの、スターツアーズはスターウォーズの世界観をその魅力と共にギュッと凝縮したアトラクションなのです。勿論、現在の「ジ・アドベンチャーズ・コンティニュー」も好きです。f:id:the-Writer:20170522190552p:plain今年はエピソード8『最後のジェダイ』に合わせて一面真っ白であり、ウォーカー戦が繰り広げられる惑星クレイトがコースに追加されるそうですね。

 

 

 

ということで、以上本記事は僕の思い出の記録でした。これを読んだ方々が「あーわかる」「そんな感じだったっけ」とでも思っていただけるだけで僕は幸いです。スターツアーズに乗り、ハイパースペースにジャンプしたくなってきました……