『プロメテウス』から『エイリアン:コヴェナント』へ

多くの謎を観客に残していった『プロメテウス』から5年。

満を持して登場の『エイリアン:コヴェナント』のあらすじには「コヴェナント号が到着した惑星にいたのは、プロメテウス号の唯一の生き残りであるデヴィッドだった」という記述。そうなると浮かんでくる疑問は「ショウ博士はどうなった?」のハズ。

最近公開されたTV Spotでは惑星に墜落していたジャガーノート号の中で投影されたホログラムに、ショウ博士の姿が確認されていますが、何があったのかはわからず。

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本国での公開が迫り、本作はインターネットを介したプロモーションが積極的に行われています。数々の予告編から、本編の直前を描く短編映像、クルーたちのビデオメッセージ、更には人間の体から誕生直前のエイリアン目線の映像まで(←誰得?)

その中でサラッと公開されたのが、『プロメテウス』と『エイリアン:コヴェナント』の空白の10年間を描く短編映像The Crossing。

そこにはな、なんとデヴィッドとショウ博士!こんな重要な情報をインターネット上で公開するとは……そんなわけで今回は『プロメテウス』ラストから本映像含めて、『コヴェナント』に至る道のりの整理・考察を行っていきます。

実はこの後に重大ネタバレがあるので、ネタバレが嫌な人は速攻で本ページからの離脱をお勧めしますよ

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それでは行きましょう。

2094年、Lv-223での騒動を切り抜けたショウ博士と首だけになったデヴィッドは残されていた別のエンジニアの船(ジャガーノート号)に乗り込み、エンジニアたちの母星であり「デヴィッド曰く『楽園』」に向かって旅立ちました。

 

さて「その後2人はどうなったのか」ですがThe Crossingはデヴィッドのモノローグにより進行していきます。

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深宇宙を進むジャガーノート号。

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ショウ博士!髪が伸びましたね。彼女は学者ですが、自分で星間の航路を計算して導き出す姿は、『エイリアン』の一等航海士であるリプリーを連想させます。

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エンジニアにやられて首だけになったデヴィッド。リドリー・スコット監督は『コヴェナント』での再登場に際して、「デヴィッドを再登場させる素晴らしいアイディアを思いついた」と発言していましたが、その答えは「ショウ博士に指示して胴体とつなぎ合わせてもらうこと」だったわけです。おいおい、それだけ?エンジニアの技術をどうこうするとかないの?

この時デヴィッドは「あなたからは同情を感じることができます。他の人からは、もちろんピーター・ウェイランドにはなかったものだ」といっています。

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エンジニアの文化などを研究したデヴィッド主導なのか、なんとか地球から来た2人はエンジニアの船を母星に向けて航行させることができているようです。『プロメテウス』の時から確かに進歩を感じます。笑顔のショウ博士が、「どれくらい遠いの?」と聞くと「言い表せないほどに」と返すデヴィッド。

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エンジニアの装置でハイパースリープすることになったショウ博士。母星に到着次第、デヴィッドに起こしてもらうようです。「お休み」とデヴィッドは装置を閉じます。

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「そして私はまた独りになった。私は彼らについて学び、到着を待った」と独白。ショウ博士がハイパースリープに入って無防備状態なのが何とも嫌な予感がするのは僕だけでしょうか……

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「楽園」に到着!

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エンジニアの母星だけあって、地球とはまた違う街並みや空中浮遊するシュールな形のプラットフォームが高度な文明を持つことを連想させます。それにしても地上に街を築いているあたり、エンジニアは本質的には人間とはあまり変わらないのでしょうか?f:id:the-Writer:20170429191510p:plain

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ジャガーノート号の大きな口から下を見下ろし、「私のわざを見、絶望しろ」とつぶやくデヴィッド。画面上部に見えるのは、大量の黒いアンプル。一体どうするつもりなのか……ここで映像は終わりますが、公式に解禁された画像で続きがわかります。ここから先、超ネタバレ注意

 

 

 

 

 

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野郎、やりやがった

いや、『プロメテウス』の時から胡散臭い行動が目立つ彼でしたがこんなことを……おびただしい量のアンプルに鳥肌が立ちそうです。

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それに加え、画像だとわかり辛いですが(こちらはTV Spotのもの)地面には大勢の住人がおり、黒い嵐が吹き荒れています。これが、予告編にもある「そのままの姿勢で固まったような大量の黒いエンジニアたちの遺骸」になると思われます。

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『プロメテウス』冒頭で描かれた通り、たった椀一杯の黒いアンプルを飲んだエンジニアはDNAレベルまでバラバラに分解され、それが河川に乗ってジワジワと地球全体まで広まり、地球全体の生命の基礎となりました。

それが、エンジニアたちの母星で生命の創造ではなく、破壊が行われたようです。したがってコヴェナント号が到着した「楽園」は無人の惑星は、もともと有人で繁栄していたことがわかります。

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また、河川に乗った黒いアンプルが惑星の自然環境を汚染した可能性も考えられるでしょう。それが予告編にあったあの黒い胞子であり……

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クルーの耳に入ったソレは白っぽい新しいエイリアン(通称:ネオモーフ)を誕生させてしまうようです。

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また、ジャガーノート号の中に既にあったエイリアン・エッグから飛び出してきたフェイスハガーに寄生されたクルーからは、おなじみの形に近いエイリアンが誕生することも推測されます。

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よって今回は軍事目的ではなく、植民地目的で来た非戦闘人員たちに襲い掛かるエイリアンは2匹!ということになります。大変だ……

 

一体、デヴィッドは何の目的でエンジニアたちを虐殺するようなマネをしたのか。登場人物の何気ないセリフでありながら深い意味を持ちそうなこの言葉。

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その目的をたどると、「創造主への反逆」が考えられます。

『プロメテウス』での彼を見ていると、彼は自分がアンドロイド=人工物扱いされるのを嫌がっているそぶりがあるように思います。彼は自分は作り出された存在より、あくまで一個人として扱ってほしい願望があったのかもしれません。それでもなお、ウェイランド社長の指示があるのでアンドロイドであるという呪縛からは逃れられません。したがって、彼は創造主である人間、そしてエンジニアを試しているのではないかと思います。その行く末を、あわよくば滅びるところを見たかった。その格好の道具があの黒いアンプルなのかもしれません……。

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以上、『プロメテウス』から『エイリアン:コヴェナント』への旅を巡った僕の考察でした。