帝国の後継者

エピソード7『フォースの覚醒』から登場した武装勢力ファースト・オーダー。

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エピソード6で倒れたと思った帝国が復活を果たし、銀河に再び危機が訪れます。『フォースの覚醒』本編からわかるファースト・オーダーの核心的な情報はごくわずか。今回はそのファースト・オーダーについて、明確な結論は出さないものの、外堀を埋めるように情報を整理していこうと思います。ファースト・オーダーとはいえ、どちらかというと帝国寄りの話になりますので悪しからず……

 ※本記事は小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(仮題)』『スローン(仮題)』コミック『ダース・ベイダー』のネタバレを含みますのでご注意ください

 

 

 

ファースト・オーダーの存在自体が皇帝の意志に反している

まずは帝国の歴史をおおまかに、パルパティーンの思惑を絡めてざっと振り返ります。

ナブー出身の銀河共和国元老院の一議員からスタートしたシーヴ・パルパティーン

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その落ち着いた物腰と優しそうな顔の裏に隠れた正体は、フォースの暗黒面を信仰するシスであり、ダース・プレイガスの弟子、ダース・シディアスでした。彼は純然たる邪悪そのものであり、その目的は銀河の覇権をシスの手中にすることでした。

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大雑把に言いますと、パルパティーンは共和国をジワジワと乗っ取る形で帝国を築き上げます。片や銀河共和国元老院の最高議長、片やシスの暗黒卿ダース・シディアスという2つの顔を使い分けることで、エピソード1のナブー危機やエピソード2のクローン大戦を引き起こして裏から操り、銀河の人々に不信や不安の種を植え付け、エピソード3の帝国樹立までこぎつけたのです。そのドサクサに紛れてジェダイを反逆者に仕立て上げて、粛清という名のもとにほぼ全滅に追い込みました。

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その後、パルパティーンは念願のシス帝国の権威を絶対的なものにするため、クローン大戦以前から開発を行っていた究極兵器デススターの建造を進めていきます。ジェダイライトセーバーから奪ったカイバー・クリスタルを利用したスーパー・レーザーは、デス・スターの最重要個所なのでオーソン・クレニック長官がゲイレン・アーソを利用して大きな進歩にこぎつけます。f:id:the-Writer:20170513113425p:plain

 

皇帝の座についたパルパティーンは決して帝国の行政のみに奔走していただけではなく、シスの力の根源であるフォースの暗黒面の探求を熱心に行っていました。わざわざ憎きジェダイの本拠地であるコルサントジェダイ聖堂をインペリアル・パレスという自らの住まいに改装したのもそのため。

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実は、ジェダイ聖堂の地下奥深くに、古代のシスの寺院が隠されています。古代のジェダイは「臭いものには蓋」と言わんばかりに、敵であるシス寺院の上に自分たちの寺院を建てたわけですね。時間があるときは、地下に赴いて瞑想を行い、フォースの暗黒面を探ります。

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その結果、銀河の未知領域に暗黒面の出所があると考えた彼は、無数の調査人員やプローブ・ドロイドを送り込んだり、いくつかの衛星に中継基地も建てました。その一環として、未知領域出身であり、有能な戦略家であり、後の大提督にもなるスローンも呼び寄せました。少なくともこの2人は未知領域に潜む「銀河に住むすべての生き物を脅かしかねない、帝国以上の『脅威』」の存在を認識しており、パルパティーンはたびたびその何かと交信も試みていたようですが……

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また、話は遡りますがエピソード1のナブー危機からわずか2年後、実はジャクーに赴いていたパルパティーンは、そこで孤児のガリと運命的な出会いを果たします。ガリの中に何かをみた彼は、ガリを「隠し玉」的重要なポジションにつかせます。ガリにガリウス・ラックスという名前を与えてから、あるときパルパティーンは自分の考えを吐露します。「皇帝を亡くした帝国は存続すべきではない」「皇帝を守ることができなかった帝国など存在する価値もない」と。

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そして、エピソード6にて第2デス・スター内で、ガリウス・ラックスを呼び寄せると、自分が万が一やられたときのために遠く離れたところに避難させてある艦隊で待機してるように、と指示します。実際にその後、エンドアの戦いで反乱軍が勝利し、銀河の覇権は帝国から新共和国へと移り、パルパティーンは命を落とします。しかし、彼が事前に用意していた様々な秘密計画が動き出します。それは、帝国を滅ぼすこと。前述のとおり、自分抜きでは帝国は存在すべきではないと考えていたためです。

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エンドアの戦いからおよそ1年経ったジャクーの戦いが終結すると、ジャクーの「観測所」がようやく見つけ出した未知領域の安全航路に従い、帝国の残党は、未知領域のある地点に待機していたパルパティーン専用のスーパー・スター・デストロイヤー「エクリプス」が合流し、帝国の復活を第一主義とする「ファースト・オーダー」がここに芽吹くのです。その後、着々と軍事力を秘密裏に増強する帝国残党は、新共和国元老院の中央集権派であるセントリストの議員も仲間に引き込み、更なるサポートを受けることとなります。敢えて記述するならば、帝国とファーストオーダーで決定的に違うのはその立場です。帝国は銀河を公的に支配する立場にありましたが、エンドアの戦い以降は、新共和国が(一応)銀河の数々の星系を統治する立場です。つまりファースト・オーダーは言いようによっては、「帝国の過激派残党」であり、「危険な武装勢力」なのです。

 

したがって、帝国残党(=ファースト・オーダー)とは「我々こそが銀河の派遣を握るべきだ」「帝国による秩序ある銀河を」という帝国派のあつまりであり、帝国の復活を願うものの、結局初代銀河皇帝の意には反しています。その時点でパルパティーン亡き後の帝国は、パルパティーンの帝国ではないことになります。

 

 

 

 

上記のエピソード6のエンドアの戦い以降の情報は、小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(仮題)』によるものですが、第2デススターを皇帝・ベイダーと共に失って崩壊した帝国はその後どうなったのか、ファースト・オーダーはどこから来たのかは断片的に、ヒントのように明かされています。

しかし、根本的な謎が明かされていません。それが、『フォースの覚醒』の議論において最も有名なお題の一つ「スノークって誰なの?

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敢えてほとんどの情報が伏せられ(J.J監督……)、それによってファンたちの間では「スノークの正体は○○だ!」と様々な説が持ち上がりましたが、もはやネタにされるレベルの定番のお題となりつつあります……

今回僕自身の「スノークは○○だ!」という結論は出ません(´・ω・`)

そんなわけで、僕が知っている範囲のスノークの情報をまとめつつ、興味深い考察を紹介していこうと思います。

まず、

スノークはシスではない

かつての帝国を牛耳っていたトップ2の皇帝とベイダーは、2人ともダース・○○という称号が付くシスの名前を持っています(ちなみにダースとはシスの暗黒卿の略称です、ダース=Darth=DARk lord of the siTH=シスの暗黒卿)。それに対して、スノークとカイロ・レンは少なくとも本編の描写では、ダースとつく名前を持っていません。よって2人はフォースの暗黒面の使い手ではあるものの、シスではないのです。同じような立場で、アニメ『反乱者たち』の尋問官が該当するでしょう。したがってシスの「二人の掟(シスは同じ世代に2人より多く存在してはならない)」に従う必要もなく、スノークがカイロ・レン以外にも弟子を秘密裏に育成している可能性も0ではないですが……

一方でシスでないものの、新たなるジェダイの勃興を危惧して「最後のジェダイ」であるルーク・スカイウォーカーの抹殺を狙っている事や、そのルーク・スカイウォーカーが帝国を倒した極悪人である、とファ-スト・オーダー内で教育していることから、やはりフォースの光明面(ライトサイド)と敵対関係にあることは確かです。

帝国の始まりから終焉までを目撃している

これは小説版『フォースの覚醒』から明らかになった情報です。カイロ・レンに帝国の始まりを見てきた事、帝国の欠点を客観的な分析を説いているシーンでした。したがって、これまでの歴史に全くかかわってこなかった新参者、とうわけではなさそうです。

昔はハンサムな顔をしていた

髪が無く、老いた様子で頬が一部えぐれたような傷や、額にベイダーに酷似した切り傷がついている意味深な外見ですが、『アート・オブ・スターウォーズ:フォースの覚醒』によれば、「昔はハンサムだった(と思う)」との記述があります。コンセプト・アートにはシディアスの師であるプレイガスに酷似したものがあったり、「公開2か月前まで正式にデザインが決定しなかった」とJ.J監督が語っていることから、やはりスノークの正体はよほど設定が練られているようです。また、スノーク=プレイガス説はルーカスフィルム・ストーリーグループのパブロ・ヒダルゴ氏により公式に否定されています。

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以上がスノークの主な情報です。

それでは考察の方に移っていきますが、まずはコチラ↓をば。

かなり興味深い説ではないでしょうか。

そしてもう一つがこちら。

内容が英文なので、かいつまんで記述していきますと、

エピソード3内でパルパティーンがアナキンに向かって「賢人ダース・プレイガスの悲劇」を語ります。それは、プレイガスは細胞内の共生生物ミディ・クロリアンに働きかけて生命を創り出すこともできれば、死からも救えることができたというもの。

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その秘密がすべて弟子(=自分)に受け継がれたといっておきながら、いざアナキンがシスに転向すると、「愛するものを死から救い出す術は彼しか手にできなかった術だが、2人で力を合わせれば、解き明かすことができる」とさらっと言っていることが矛盾しています。プレイガスの逸話がどこまで本当なのか、いまいち信用できませんがここでは、プレイガスの伝えられている能力は全て真実という前提で話していきます。

ここで重要なのは、「生命を創り出す」という能力です。

アナキンに父親は存在せず、フォースによって一人の女性を媒介として「選ばれし者」として誕生しました。

そしてプレイガスによって人工的に再現されたソレが、スノークという説です。f:id:the-Writer:20170514211843j:plainアナキンと違って、スノークは最初から邪悪そのものとして生み出された存在です。よって、生物学的にはアナキンと血はつながっていないものの、ミディ・クロリアンの力によって誕生した生命という点で、アナキンとスノークは本質的に兄弟である、ということですね。それが、なぜ今まで表舞台に出てこなかったのかというと、パルパティーンが平然と弟子であろうと切り捨てた様子を見ていたからでしょう。

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f:id:the-Writer:20170514194718j:plainそしてエンドアの戦いで、アナキンがパルパティーンを殺し、そしてシスが2人とも絶えたその時、彼はやっと行動を起こすことにしたと考えられます。プレイガスがもくろんだ通り、シスの枠組みから外れた「イレギュラー」がシス帝国の復活に尽力する……それが、未知領域で徐々に力をつけていた帝国残党に何らかの経緯で、最高指導者という肩書で君臨しているものと思われます。(彼が間違いなく何らかの経緯で関連しており、カイロ・レンにリーダーを任せたレンの騎士団も壮大な計画の一部と思われますが、騎士団については別途記事を書こうと思います)

プレイガスがなぜスノークを創り出したのかは、何通りかの理由が考えられますが、自分の実験の成功例・シディアスの後釜・自分とシディアスの2人がやられたときの緊急措置……といったところでしょうか。

恐らくスノークが誕生したのは、少なくともエピソード2よりは前だと考えられます。レジェンズ(非正史)では、プレイガスが殺されたのはエピソード1と同年なのでそれに従えば、エピソード1以前からスノークは存在していたことになります。プリクエルよりもさらに前からシークエルの核になる人物が存在しているのは興味深い設定ですね。

そのスノークが、「選ばれし者」の孫を指導し、鍛えている構図は、運命の数奇さを感じさせます。

 

以上、いかがでしたでしょうか。

意図的にぽつぽつと仕掛けられた謎によって、様々な考察が可能になります。

次回作『最後のジェダイ』でこれらの謎が明らかになるのが楽しみですが、一方でまだ明かしてほしくないという気持ちもあります。やはり謎は謎でいるときが一番楽しいので……見事にJ.J監督を筆頭とする製作陣に踊らされる毎日です(汗)