『RIDER TIME 龍騎』補完・考察計画~なぜ2002年の幻影が蘇ったのか~

こんにちは、the-Writerです。

現在放送中の『仮面ライダージオウ』、平成ライダー20作分の完結編という事で、その見どころといえば今までのライダーシリーズのキャラクターの登場ではないでしょうか。「オリキャス」、「レジェンド」と称される俳優たちがもう一度だけ、あの時の役として登場していくとファンは否が応でも気になり、次のレジェンドを心待ちにし、「ライブ感」に踊らされることとなりました。

○○編と称される二部作構造の各話は、1年間のドラマを通して戦い抜いたライダー本人(もしくはその関係者)が、主人公たちにその経験から言えることを授けることで、蘇った過去作に一つの然るべき結末を与えたり、主人公たちの物語を形作ってきました。話によっては当該ライダーのファンの望む以上の見事な展開に、もしくは真逆のレジェンドがほとんど出てこず予想を裏切る展開に転んだりしています。

(『ジオウ』で色々な意味で異色な回だったキバ編について、平成ライダー筋金入りのプロである結騎了さんによる解説記事です。納得の内容に言わずもがな情熱が込められ、それでいて整えられた文章と言うのは何度も読み返してしまう魅力があります……受け入れられなかったものが消化されていく、この冷たく味のしない液体が自分の内に徐々に染みわたっていく感覚は得難いものですね↓)

f:id:the-Writer:20190607210613j:plainこの『仮面ライダージオウ』、平成ライダーに最初からずっと関わってきた功労者にして敏腕プロデューサーの白倉伸一郎氏が重視するライブ感が存分に、それも良い方向に活かされている作品ではないかと思います。何が起こるかわからない「今」しか感じることのできない盛り上がりである「ライブ感」、白倉Pは時に炎上商法まがいの手法を用いながらも平成ライダーを20作目の所までこぎつかせた立役者の一人です。平成最後だからこそ、『ジオウ』には数々の挑戦的な展開が見受けられますが、放送中のTV本編と連動する配信サービス限定のドラマを配信するのもその一つだと思います。

『ジオウ』のオリキャス出演、という観点で見ると龍騎がトップクラスです。まさか17年前に完結したライダーの新作が、平成最後というタイミングで観られるとはだれが予想したでしょうか。話数は三話とミニドラマといった方が良い短さですが、その分と言うべきか龍騎成分がかなりの密度で濃縮されていまして。筆を執ったのが白倉伸一郎氏の盟友であり、『龍騎』のメインライターの一人・劇場版まで執筆した東映のピンチヒッター井上敏樹氏という事がデカいでしょう。

今回は井上敏樹さんが脚本を書かれているんですけれど、井上さんは『龍騎』のテレビシリーズを第1話から順番に、全話観直して執筆に臨まれたそうなんです。井上さんをよく知る人からは、あの人はもっとスマートに脚本が書ける人なのに、そんな地道な努力をするなんて珍しい、と驚かれました。

出典:『仮面ライダー龍騎』松田悟志、新作脚本に涙 - 僕にとって須賀貴匡と真司は特別 (1) 『龍騎』を愛し続けてくれた人たちへ | マイナビニュース

『ジオウ』TV本編の方でも第21,22話で龍騎__ではなくまさかのリュウガ編という捻った回がありました。その異常事態に対応すべく、ジオウⅡという既にチートレベルに強大な力が必要になるというシナリオでしたが、それに呼応するがごとく生まれた物語がこの『RIDER TIME 龍騎』です。高濃度な龍騎の殺伐とした空気に圧倒されつつも、一話が23分ほどなので大胆に端折った説明やテンポの良い演出で、意外とサクッと見切れました。f:id:the-Writer:20190611094129j:plain……ただですね、そもそもこの事件の根幹を成す設定が未だに不明に終わっています。それは「アナザー龍騎ウォッチってどこから来たのよ?」です。そもそもこれを説明しない事には17年越しに始まったライダーバトルの物語が破綻しかねないんです。例えるなら、推理小説で真犯人が序盤で死んだと見せかけたのではなく、ガチで死んだ人間だったとか……無茶苦茶ですよね。

そこで今回は、これに触れることで『RIDER TIME 龍騎』という2002年からの「幻影」を解釈していこうと思います。例に倣って、これはあくまで僕個人の解釈であり、他の方の解釈を否定したり自分を正解とするものではありません。ただもし、「……結局あれなんなんだったんだろう」とモヤモヤしたままここにたどり着いた方がいましたら、この記事が助けになればと思います。

 

鏡像の城戸真司とは誰なのか

まず前提となる設定を固めていきます。『ジオウ』TV本編で描かれる2018年までに19人のライダーが活躍してきた「ライダー世界」は、タイムジャッカー達の介入によって『クウガ』~『ビルド』の歴史が繋がってしまった、とされています(詳細は下の『平成ジェネレーションズFOREVER』の考察記事を参照ください)。

タイムジャッカーが2001年でアギトの「力」を奪ったことで(『ジオウ』TV本編第31,32話でアナザーアギトウォッチを作り出したのはスウォルツとされていましたが、あれは時空のゆがみから繋がってしまった「神との戦いから17年たった」並行世界から奪った可能性が高いです)、歴史は2002年に新しく『仮面ライダー龍騎』という物語を作り出しました。

そこでは神崎士郎という男が、幼い時に愛する妹・優衣を亡くし、ミラーワールドの存在を知り、その不可思議な力を通じてライダーシステムを作り出し、優衣が死ぬ運命を覆そうとしています。「勝ち残れば何でも願いをかなえてやる」として選ばれた13人のライダーたちが戦い、生き残った一人の命を「新しい命」として優衣に与える目論見でこのライダーバトルは開催されました___が、その結末は開催者(誰が呼んだかクソ運営)の士郎の思惑通りに行かず、最終的に自身が従える仮面ライダーオーディンのタイムベント・あるいはサバイブのカード3枚組によって時間を巻き戻し、バトルをやり直してはまた巻き戻すの繰り返しでした。

こうして『仮面ライダー龍騎 TVSP』,『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』など幾多もの歴史が作られては塗り替えられ、以上の作品には描かれておらず、異なる経過をたどった歴史もあったと推察されます。そしてようやくたどり着いた結末が、『龍騎』TV本編でした。最終的に主人公である仮面ライダー龍騎こと城戸真司が死亡し、仮面ライダーナイトこと蓮がオーディンに偶然勝利したものの、自身も力尽きて死ぬという全滅エンド。それが最終的に優衣の死を受け入れたと思われる士郎によってもう一度だけ時間が巻き戻され、「13人の人間たちがそもそもライダーにならず、ライダーバトルが起こらなかった」という歴史になりました。この中で唯一、短時間ながら最後の勝者となった蓮は自分が『龍騎』という番組で1年間戦った記憶を保持しているとされています。

――最終回では、それまで何度も繰り返されてきたライダー同士の戦いが完全にリセットされ、真司たちがライダーに変身しない時間軸を生きるというエピローグが描かれました。そこで真司と蓮が喫茶店「花鶏」の前で対面し、しばし見つめ合うシーンは、不思議な余韻を感じさせてひときわ心に残ります。

須賀:あのシーンもよかったね。真司は蓮と一緒に戦ったことを覚えているわけがないのに、DNAの底で覚えているのかも、みたいな感じでした。

松田:あのとき、石田(秀範)監督から言われたのは「蓮は覚えているつもりで演じてくれ」ってことだった。

出典:『仮面ライダー龍騎』今だから話せる最終回に込めた思い - 須賀貴匡と松田悟志のコンビふたたび (3) 最終回、対面シーンに込めた思い | マイナビニュース

これは去年2018年に真司役の須賀貴匡と蓮役の松田悟志二人に行われたインタビューで、松田氏から明かされました。さて、2002年から一年間続いた『龍騎』TV本編の物語がそもそも起こらなかったまま16年経ったのが『ジオウ』の「ライダー世界」なのです。よってそのまま考えれば、そもそもタイムジャッカーが奪う「力」__歴史が無いのですよ。しかし、『ジオウ』第21,22話と『RIDER TIME 龍騎』の事件が発生がしている以上、何かが起こっているのは間違いないです。なので、それらの描写を元に何が起こったのか推察していきます。

2003年初頭、数えきれないほどの同じで違う一年間を過ごしてきた神崎士郎は最終的にミラーワールドの出来事に13人の人間を巻き込まないことを決意します。しかしどこかの時間軸で、2002年より前の時点で生まれた鏡像の城戸真司、通称:裏・真司は生まれてからずっとミラーワールドにいました。『EPISDOE FINAL』や『TVSP』では神崎士郎によって参加者として認定され、龍騎と対を成すようなリュウガのデッキを渡されることで仮面ライダーリュウガとして参戦しています。しかしそれらがやり直された事で彼はリュウガとしての力を失い、最終的にTV本編にもずっといたものの一度も出番はなく、バトルそのものが無くなったことで忘れ去られた存在として2019年までミラーワールドに閉じ込められた形になります。f:id:the-Writer:20190610145808j:plain『ジオウ』で裏・真司は、オリジナルの負の潜在意識が具現化したものと明確な説明がなされていました。一方で劇場公開当時のインタビューによれば龍騎/リュウガを兼任した須賀氏は、脚本に説明がないので自分なりに「一種のミラーモンスター」と解釈して演じていたそうです。つまり2002年よりも前に優衣が「また一緒に遊んでくれる」という約束を守らなかった真司を絵として描き、ミラーモンスターとして誕生したのが裏・真司という事になります。それがそのまま『ジオウ』に受け継がれているのなら、真司の負の潜在意識が、優衣の力で作り出されたミラーモンスターという肉体をとって実体化したのが裏・真司と言えないでしょうか。となると、『EPISODE FINAL』のリュウガはその圧倒的な力を以って「戦いを止める」ことに向かって突き進んでいますし、『TVSP』では霧島美穂が変身している(かもしれない)ファムを守っています。

 

ヒントは「リュウガ編」そのもの

f:id:the-Writer:20190614104639j:plainミラーワールドにいた裏・真司はオリジナルからの影響を受けつつ2019年までずっと待っていました。その彼には、リュウガとしての「力」がわずかに残留していたのでは、と仮説を立てます。漠然とした言い方ですが、とにかくこうです。上記の『平成ジェネレーションズFOREVER』考察記事に書いた通り、僕が書く「力」とはそのライダーの能力・敵の能力・ライダーが戦ってきた歴史そのもの等を、丸ごとひっくるめた言い方です。*1この裏・真司に、門矢士からの情報を基に接触に成功したタイムジャッカーのウールがアナザーウォッチを起動することで、リュウガの「力」がそれに移り、安定しました。*2ただし、本来なら存在しないはずの歴史なのでそれを無理やり復活させようとする事は、いわば不正に「力」を奪う事です。よって本来の変身者であるはずの裏・真司が変身しても、リュウガではなくアナザーリュウガになったのではないかと思います。

2002年を何度もやり直した神崎士郎は、野望達成のために度々新手を投入してきたと考えられます。仮面ライダーリュウガ、ファム、アビスといった新デッキなんてまさにそれに該当するでしょう。このリュウガに関しては、鏡像の城戸真司に与えるにあたり、恐らく龍騎と対を成すように製作されたのではないか?と思います。アナザーリュウガウォッチは、その性質すら「力」として取り込みます。ウールがアナザーリュウガウォッチを生成した結果、アナザー龍騎ウォッチもどこかで産み落とされたのではないか?と思うのです。f:id:the-Writer:20190610135518j:plainアナザー龍騎ウォッチは、アナザーキカイと同じく製作者が存在しない特殊なウォッチです。このアナザー龍騎ウォッチ誕生に伴い、失われたはずの『龍騎』の歴史が復活します。よって全ての元凶である神崎士郎の残留思念が、実体を伴って誕生したのではないでしょうか?それも、裏・真司と同じくミラーモンスターとしての肉体を伴って。元々仮面ライダーオーディンは戦闘経験がない一般人でも高い戦闘力を誇るカードデッキから成り、神崎士郎の代理人としての存在です。この神崎士郎という存在は、かつての彼の残留思念+ミラーモンスターとしての肉体+オーディンのデッキ、によって復活。これによって神崎士郎はアナザー龍騎ウォッチの製作者と言うより守り人として、妹の優衣の復活のために暗躍し、契約者を探し求めます。かつて13人の人間をライダーにしたように、自分と同じように愛する者を失って切にその人を取り戻したがる人間を。結果的に加納達也という人間が選ばれ、彼にウソを吹き込みながら彼が殺した人物から生命エネルギーを採集するという立場に回るのです。

 

サラは2019年の神崎優衣である

↑決してこのタイトルは文字通りの意味というわけではなく……サラという人物が2019年に始まったミラーワールドでのライダーバトルにおける、「神崎優衣」という立ち位置に当たるという事です。サラを失いかけて切羽詰まっている加納達也は神崎士郎と契約することで、龍騎としての「力」を手に入れます。f:id:the-Writer:20190610142107j:plainアナザーリュウガ固有の特殊能力なのですが、「受けた攻撃を(許容範囲内なら)相手にそのまま返す」というのがありました。アナザー龍騎の特殊能力としては、「死人から生命エネルギーを吸収し、選んだ対象に与える」だったのではないか、と考えられます。リュウガは龍騎の鏡写しの存在という事で、反射するという特徴がそのまま特殊能力です。アナザー龍騎は、神崎士郎が開催したライダーバトルの本質が歪められた形で特殊能力になったのではないでしょうか。ただしそのコントロール権はウォッチの守り人である神崎士郎が持っています。

『RIDER TIME』第1話で、「あとどれくらいでサラは戻る?」と加納は発言しました。つまりそれ以前からアナザー龍騎として無関係の人間たちを襲っていたことが考えられるのですが、既に収集した生命エネルギーをある程度試験的にサラに与えて延命したことが推測されます。これに加えて、達也の感情的なサラとのつながりと龍騎としての「力」が影響してミラーワールド内に鏡像のサラを生み出したのでは、と僕は思いました。鏡像の真司がオリジナルにできなかった事を(手段を選ばずに)実行するように、サラの場合はオリジナルが昏睡状態で活動できないために、恋人が自分のために大勢の人間を傷つけている事を知ると止めようとします。f:id:the-Writer:20190610143041j:plainつまり『RIDER TIME』中、ミラーワールド内に神出鬼没に姿を現すサラは厳密には本人ではなく、鏡像だったのではないかというのが僕の考えです。サラはアナザー龍騎によって生命エネルギーを与えられたことで、龍騎としての「力」が移り、特殊能力を手に入れます。それは、「力」の一部である2002年最後に行われたライダーバトルの歴史を復活させることです。この時間軸では13人のライダーが全滅したので、彼らを一時的にミラーワールド内の存在として復活させ、改めて戦わせて勝ち残ったライダーに自分の生命エネルギーを与えて現実世界に帰還してもらい、アナザー龍騎を止めてもらう___という算段です。この蘇生された人物たちは2002年の状態のまま2019年の肉体でよみがえったと言えるでしょう。しかしサラの力が不完全なためか、記憶を保持している人物もいればいない人物もいます。そして、他の時間軸からの変身者たちやライダーたちもいるのです。f:id:the-Writer:20190610145828j:plain結果的に一人生き残った真司はサラの命と願いを受け取ることで、現実世界に帰還し、アナザー龍騎を止め、自分の龍騎としての「力」をソウゴ達に託します。よって、2019年の「ライダー世界」には城戸真司は二人存在するのです。一人は2002年にライダーバトルに巻き込まれずに平穏に過ごし、自分の闇も受け入れ、もう一度大久保編集長と歩もうとする真司。もう一人は本来なら2003年時点で死亡したはずがサラに2019年に呼び戻され、復活した真司です。

この真司は言うなれば失われたはずの時間軸から複製され、2019年に生きる人物として復活させられた真司です。サラからもらった命はそもそも儚いことや、ラストで風に舞う二枚のアドベントカードが光の粒子となって消えたことから、この真司はいずれ消えてしまい、「ライダー世界」に存在する城戸真司はただ一人だけになる……という意見もあります。しかし僕はこの後真司が二人いても問題無いし、むしろ『龍騎』史上初のハッピーエンドになるのではないか、と思っています。

この2019年のライダーバトルを経験して新しい命をもらった真司は、かつて神崎士郎が心の底から切望した、神崎優衣の復活の成功例と言えます。よってこの後、真司は17年間のブランクに悩まされつつも一人の人間として生きていくはずです。そしてなぜこれがハッピーエンドになるのかと言えば、蓮がいるからです。「俺には、会わなきゃいけないヤツがいる」

やっと記憶を取り戻した真司ですが、その時にはもう遅く目の前で命が尽きた蓮が消滅するのを見ている事しかできませんでした。しかし、彼が帰還した「ライダー世界」は『龍騎』最終回のエピローグで描かれた平和な世界___自分が最後に見たライダーバトルが無い世界の17年後です。そしてそこには、ただ一人全てを覚えてる人間がいます。そう、先ほどインタビューで明かされた『龍騎』TV本編の出来事全てを覚えている蓮です。彼がいるライダー世界に、『龍騎』TV本編の出来事全てを覚えている真司が失われたはずのミラーワールドから戻ってきます。蓮からすれば、あの時成すすべなく自分の目の前で命を落とした唯一の共が帰ってきたことになります。

これまたインタビューにおける松田氏の発言なのですが、これは『RIDER TIME 龍騎』を配信するビデオパスが配信前に公開したインタビューです。

松田  「龍騎」ってテレビシリーズ、劇場版、テレビスペシャルでそれぞれ違うエンディングがあるんです。今回は「あと残されているオチはこれしかない!」と思える結末だったので納得できましたし、そこに至るまでの物語がよく練られていた。井上さんはこの脚本を書くために「龍騎」テレビシリーズの全50話を見返したんですって。

出典:「仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎」須賀貴匡×松田悟志×萩野崇×弓削智久×高野八誠×一條俊インタビュー | ビデオパスnavi

 「俺たち……また、会えるよな……?」「またくだらないケンカをしようぜ」と言っていた真司ですが、実はそれが叶うのを示唆していたのがあのラストシーンだったのではないでしょうか?確かに2019年のライダーバトルでは真司の目の前で蓮が死亡してしまったものの、その蓮は言うなれば『龍騎』TV本編の最終回直前の彼のコピーでした。消えていったアドベントカードは、もう今度こそミラーワールドと悲劇が復活することはない事の証に思えます。戦い抜いてもどうしてもどちらかが死亡してしまう、それが宿命づけられていた『龍騎』の物語が、この『RIDER TIME 龍騎』というスピンオフを以って一つのハッピーエンドがもたらされたのです。17年越しの続編として、明言はされていないですがささやかなご褒美ではないでしょうか。もしも二人が再開できたらもう敵同士ではなく、上に載せたツイートの写真のように友達として心の底から笑って、バカなケンカができると良いな、と切に思います。

※「同じ顔の人物が二人いる問題」ですが、真司と蓮は裏・真司で経験済みですし、『ジオウ』の「ライダー世界」には桐谷京介と桜井優斗、斬鬼と次狼、紅音也と猿渡一海……といった同じ顔の人物が「同じ顔」として認識されるようなので特に大きな問題にはならないのかな、と 

 

その他

その他、いくつかある細かな疑問点に対する解釈です。

f:id:the-Writer:20190610155106j:plainQ.なぜ龍騎ウォッチを使ってアーマータイムではなく、ディケイドアーマーを経由した?

A.わざわざ龍騎アーマーを作ると予算がかかるから

これに敢えて理屈をつけるのなら、ウォッチを使うにしてもディケイドアーマを経由した方がより強いからでしょうか。第15話でソウゴがディケイドと戦った際、必殺技の打ち合いでディケイドビルドが力で押し負ける描写がありました。f:id:the-Writer:20190610213011j:plainディケイドアーマーは使用するウォッチの力を強化フォームに引き上げる特性があるようなので、暴走状態のアナザー龍騎を確殺するにはディケイドアーマーが良いとの判断だったのでしょう。\流石ン我が魔王!/

 

Q.『ジオウ』TV本編だといつ位に当たる出来事?f:id:the-Writer:20190610155427j:plainA.第29話のブレイド編でディエンドに盗まれたライドウォッチ一覧に龍騎ウォッチが存在するので、第29話より前なのは確実。『RIDER TIME』劇中でソウゴが「ウォッチが無いから倒せない」と発言しているので、アナザーライダーを無条件で撃破できるジオウⅡ及びゲイツリバイブの力獲得以前……かと思いきや、白倉P曰くその点は敢えて作品のテンポのために使わない判断にしたとのこと。

作品のために既存作品との矛盾は辞さない、という心意気はすごいですが……矛盾は矛盾ですよね。すさまじく強引な理屈としては、第29話以降は時空のゆがみによって恐らく他の並行世界と接してしまっている以上、その影響がソウゴ達にも出たのでしょう(一時的にジオウⅡ,ゲイツリバイブが消滅してしまった)。と、いうことで強いて言うなら28-29話間に当たるのが『RIDER TIME 龍騎なのでしょう。

 

最後に

『ジオウ』が放送され、「タイムジャッカーがウォッチを使って仮面ライダーの歴史を奪っていく」という本筋が明らかになると、いくつか懸念材料がありました。「アナザーアギトはどうなるの?」「仮面ライダー電王はどう関わってくる?」「龍騎って既に『無かった事』になってない?」この『RIDER TIME 龍騎』は白倉Pがこの『ジオウ』というコンテンツを盛り上げるために投入してきた爆薬としてすごい効果ですし、そもそも公開前・公開後のファンの反応から察せられる通り、『仮面ライダー龍騎』というコンテンツが誇るファンの根強さを実感させられます。僕はまだ『龍騎』TV本編をちゃんと見ることができていないのですが、『EPISODE FINAL』から入ったクチなんですね。色々な意味で個性的だった平成ライダーたちが『ジオウ』の中で入り乱れる中、龍騎がこの立ち位置を確保できたのは非常に幸運だったのではないでしょうか。平成ライダーが終わろうとしている中、あの生存競争特有の気が許せない空気・ジオウのスピンオフとしての特殊ケース・明言はされないハッピーエンドと、この考察によって気づかされることも大変多かったです。井上敏樹氏の書くシナリオに唸りつつも、これまた充実した時間を過ごすことができたと思います。この「RIDER TIME」というブランド、ジオウたちが関わらなければいけないという前提が存在しつつもまだまだ展開できる余地があるように思えるので、他のライダーも扱ってほしいなあ……なんて。

 

*1:実際、『ジオウ』TV本編の第25話のアナザージオウ編にて、アナザーライダーの変身者には歴史が変わってもアナザーライダーとしての「力」が残っているとされていました

*2:これは『ジオウ』本編第23,24話の出どころ不明だったアナザーキカイの力をアナザーウォッチに宿すことで力の確保を図るのと同じ理屈です