BATMAN v SUPERMAN
2016年3月25日、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』が日米同時公開されました。僕は公開初日に映画館に足を運びましたが、そのてんこ盛り以上の内容に終始圧倒され、最後にはうるっと目に涙がたまりました。エンドクレジットのハンス・ジマー作曲のピアノの旋律が印象的でしたね~
『バットマンvsスーパーマン』は2年以上もずっと心待ちにしていた作品でした。2013年に公開された『マン・オブ・スティール』はぱっと見名前からはわからないものの、スーパーマンのオリジンを描く作品。スーパーマンって見た目と名前は有名なのに、エイリアンであるという根本的な設定ってほとんど知られていないですよね
なんとなくポスターのクールな雰囲気と、スーパーマンの映画なのに「マン・オブ・スティール」という敢えてカッコよく外したタイトル、そしてスーパーマンの映画であるという点に惹かれてレンタルで見たんですよね。MARVELとはまた違う独特の雰囲気、あまりにも規格外な超次元バトル……おもしろかったです。
そしてインターネットで設定を調べていたところwikipediaにトンデモ情報が。「『マン・オブ・スティール』の続編」「"Batman v Superman"」
……なんだそれは?!バットマンが続編で参戦?スーパーマンと対決??何が起こっているんだ?!あらゆる情報をリアルタイムで追いかけながらずっと心待ちにしていたわけです。SDCC2014のティーザー盗撮映像から撮影現場の盗撮画像まで何から何までですよ、えぇ
ということで、今回は僕の『バットマンvsスーパーマン』に対する「好き」を語ろうと
タイトルが秀逸
まずタイトルがロゴ含めて上手すぎること。
『マン・オブ・スティール』では「S」のロゴ単品だったのが、コウモリのロゴと合体して登場。このコウモリのロゴもかっこいい。
また、対決といっておきながら「vs」ではなく「v」。敢えて先頭に「バットマン」を持ってくる、そしてマンオブスティールが地味に「スーパーマン」として記載されている。DAWN OF JUSTICEというのも最高にクールだ。ファンなら周知の事、後に「ジャスティス・リーグ」というヒーロー連合を結成するのがこの二人。よってJUSTICE=ジャスティスリーグのDAWN=夜明けということ。DAWN OF JUSTICE、カッコイイ響きだ……
これはバットマンとスーパーマンの邂逅の物語であり、対決はあくまで副次的なものでしかないのです。
あとタイトルとはまた別ですが……第2作目であり、「つなぎ」というポジションというのも良いです。この「つなぎ」のエピソードだからこそ、一作目から追加された要素、本格的に動き出す物語、続編ではどうなるのかという興奮は『帝国の逆襲』に通じるものがあると思います。
次に、ザック・スナイダー監督のメイン3人に対するアプローチ中心に書いていきますよ~
スーパーマン
前作『マン・オブ・スティール』で描かれた2013年の「ブラック・ゼロ事件」でゾッド将軍の侵略から地球を救ったスーパーマン。それから彼はどうしていたのかというと、変わらず地球を飛び回って様々な事件の解決に尽力していた様子。
しかしなお、そのあまりにも強大過ぎる力や彼の自由な立場は「スーパーマンは脅威にもなりうる」という論調を生み出してもいた……
僕はスーパーマンというキャラクターに対して、興味深いアプローチだと思いました。確かに現実にビルをおもちゃのごとくバンバンなぎ倒し、目から熱線を出して空をマッハで自由に飛び回る超人がおり、彼が戦ったことで数千人も死者が出たら不安も生まれますよね。スーパーマンが手放しに地球の人間全員から拍手の嵐や賞賛の渦をうけるわけでもなく、神のように崇拝される一方、その強大な力と立場について議論の的になるのは今までの作品より現実に即した描写だと思います。また、ザック監督が得意としている「画になるカット」により、神話を描いた絵画のような雰囲気がスーパーマンを描くのにピッタリでした。それでいて彼もやはり一人の人間として批判に傷ついたりして悩むのが、また面白いですよね。
バットマン
恐らく2014年のSDCC(サンディエゴ・コミコン)で公開されたティーザー映像で物議を醸しだしたのが、バットマン。映像では雷雨の夜にビルの屋上にたたずむバットマンがバットシグナルを起動。夜空に移るコウモリのロゴが雷に照らされた瞬間、スーパーマンがそこには浮かんでおり、2人が静かににらみ合う……
その時、バットマンの目が光り、シルエットが太いので「バットマンの新形態?!」などと思いました。ザック監督、実はフランク・ミラーによるアメコミ『ダークナイト リターンズ』から引っ張ってきたバットマン像を『バットマンvsスーパーマン』に使ったそうです。すっかり年を取り、肉体も衰え、心も灰色の引退したバットマン。線が太めのガッチリした肉体であり、シンプルなスーツといういでたちは丸ごと、今作に引用されています。そして対スーパーマン用のアーマーも(これらのビジュアルは全てばっちり僕の好みなんですよね)。これぞアメコミ映画ではないでしょうか。ザック監督、目のつけどころがちがう……
この「疲れた」バットマンも『マン・オブ・スティール』から始まったユニバースに違和感なくなじんでいると感じました。それはベン・アフレックによる演技も大きいのではないでしょうか。表面上は最低限の社交的な感じには取り繕っていますが、内に秘める過ぎ去った年月で煮詰まった絶望や怒りを感じさせる演技でした。『ダークナイト』とはまた違う魅力的なバットマンに仕上がったと思います。
ワンダーウーマン
前々から公式画像が公開されており、登場が確定していました。
本編ではカメオ出演程度かなと思いきや……
最高にキレのあるBGMで最高にカッコいい登場を果たしてくれました。しかも、強い。スーパーマンのように空を飛べずとも、超人的な身体能力、剣と盾を駆使した戦法、あふれ出る闘志。使い込まれて色あせたアーマーとその口調からにじみ出る余裕が、彼女が潜り抜けてきた歴史を感じさせます。また、超人集団であるアマゾネス族出身だけあって、BGM(曲名はIs She With You?)のバックで鳴り響く太鼓が、彼女の戦闘部族であるという特徴を引き立てています。それに、あの強さと容姿や装備、演出から「ギリシャ神話の存在として演出しているのかな」と思いました。ワンダーウーマンの実写化では新しいアプローチですが、大成功だと思います。
キタ――(゚∀゚)――!!
他にも、バットマンvsスーパーマンに関して好きな点は沢山あります。また批判的な意見の中に「暗い」というのがありましたが、僕は仕方ないと思ってます。なぜならこれはまだ「邂逅」であり、「夜明け」だからです。「夜明け前が一番暗い」という言葉がありますが、夜明けを迎えた後に、コレが待っています。
今年の2017年、『ジャスティス・リーグ』が待っています。『バットマンvsスーパーマン』以上に伏線が大量にぶち込まれていることや、他のヒーローたちのライブアクションや明るい楽しいストーリーを期待しています。また、DCEUの作品群もすべて順調というわけではないものの、様々なニュースが入ってくるので、焦らずに作品の質は落とさないでほしいところです。
ということで、『バットマンvsスーパーマン』が大好きなお話でした。
オマケ:この『ジャスティス・リーグ』のコンセプトアートがかっこよすぎて好き
エイリアン・ユニバース
今年の9月15日、エイリアンシリーズ最新作『エイリアン:コヴェナント』が公開されるということで楽しみで落ち着かない僕です。
記事のタイトルにもしましたが、ついにこのシリーズにも「ユニバース」という名前が付くほどの大きいシリーズになってくれました。2012年に公開された『プロメテウス』から入った僕ですが、やはりシリーズのファンとしては感慨深いです_____
『コヴェナント』公開記念として、ユニバースに対する僕の私見をつらつらまとめていこうと思います。もしも同じファンである「同志」の方が読んでくださっていましたら幸いです(笑)
僕はエイリアン・ユニバースは、プロメテウスラインとエイリアンラインに分けられる、と思っています。
本ユニバースは1979年に公開された『エイリアン』から始まりました。貨物運搬船のノストロモ号が遠い星系からはるばる地球へと帰還していたところ、小惑星Lv-426から謎の救難信号を探知し、それを調査しに向かう。そこには巨大で異形の異星の船と思わしき遺棄船が静かにたたずんでおり、中にはやはり謎の異星人の遺骸(通称:スペースジョッキー)があったわけですが……
作中ではほかに見つけた「あるもの」により大惨事が引き起こされ、スペースジョッキーについてはスルーされてしまいます。それ以降に作られた『エイリアン2』『エイリアン3』『エイリアン4』『エイリアンVSプレデター』『エイリアンVSプレデター2』作品群でも謎の異星人の出自やエイリアンの起源といった根本的な設定は描かれませんでした。
それに対して「そういえばスペースジョッキーってなんだったわけよ?」という疑問を持ったのがシリーズの創造主であるリドリー・スコット監督。以前から自身の仮説として、スペースジョッキーに関して興味深い発言をしていました。それが動機となっていよいよ本格的な計画として動き出し、『プロメテウス』の製作に至ったというわけです。
よって、
エイリアンライン→高等種族エンジニアが創り出したエイリアンによる大惨事を描き、全体としてみると小さなプロット。
該当作品:『エイリアン』『エイリアン2』『エイリアン3』『エイリアン4』『エイリアン5(仮)』(『5』とはニール・ブロムガンプが進めているプロジェクトで、新しい『エイリアン3』にあたるストーリー)
プロメテウスライン→高等種族エンジニアの謎を求めて、人間そしてエイリアンの起源に迫る壮大なプロット。
該当作品:『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』『プロメテウス3(仮)』『プロメテウス4(仮)』(←『3』『4』に関しては監督発言より。3は既に脚本を書き終えているそうな)
になります。
『エイリアン:コヴェナント』はプロメテウスラインとエイリアンラインがついにクロスオーバーし、更に新しいストーリーが続く……という重要なポジションなことが推測されます。背景にあるのはプロメテウスラインのストーリー、実際にスクリーンで起こるのはエイリアンラインの恐怖……
地味にプロモーションが進む日本版予告ではついに、エイリアンの起源が明かされるとのことで大変楽しみです!
『エイリアン:コヴェナント』は9月15日、日本公開。
クセになる 不思議なクッキング
まだ未見の方は、本記事を読む前にご覧ください。
なにやら不思議な感じのアニメーションです。
身近にありそうなプラスチック製品に包丁を通すと、それが全く違うものに形を変え、食材として使われてしまう。
一見ありえないこの展開も、ストップモーションによるアニメちっくな演出によって違和感を打ち消しています。むしろクセになる……
サイコロを刻むのもいいですが、やはりボウルに緑色のペースト状のアボガドと他の具材をゴリッゴリッと混ぜ込んでいくのとか、なんか良いなぁ……
手りゅう弾という物騒なものの中に詰まっているのが、火薬ではなくアボガドのペーストというのも肩透かしにも似た方向転換でいいですね~
そんな、僕のお気に入り動画の一つでした( ・ω・)y--~~
ジャック・スパロウの航海
ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」からインスピレーションを得た大人気シリーズもついに5作目が7月1日に公開を控えています。
『最後の海賊』は、海賊の全滅を誓う海の死神サラザールと、それに対抗すべくポセイドンの矛を探すジャックというプロット。
5作目ともなると自由気ままなジャック・スパロウの様々なバック・ストーリーが明らかになっています。明確な時系列は不明ですが、1作目『呪われた海賊たち』までに彼が潜り抜けてきたストーリーをまとめてみました。
キャプテン・サラザールを出し抜く
若い時にサラザール船長に狙われたジャックは、機転を利かせました。
船が黒くないので、後述のベケット卿のもとで働いたときの船、ウィキッド・ウェンチ号でしょうか?(なお海賊として活動しているようにもみえ「?」となるシーンではあります)
ベケット卿との因縁
小説『自由の代償』によれば、ジャックは東インド会社で船長を務めたものの、奴隷の輸送でベケット卿ともめました。当時の船ウィキッド・ウェンチ号に火を放たれた後沈められ、P(海賊)の焼き印を押されています。最も仕返しとしてベケット卿にもPの烙印を押しました。
デイヴィ・ジョーンズと契約
深海の亡霊デイヴィ・ジョーンズと契約をし、沈められた船を引き上げてもらいます。丸焦げで黒くなったウィキッド・ウェンチ号をブラック・パール号と改名し、13年間船長を務められるという契約です。
9人の海賊長の1人
やはり海賊としての能力も高く、独自の美学を持つ彼は伝説の「9人の海賊」に選ばれています。
ティア=ダルマと親密に
ティア=ダルマとイチャイチャした後、「北を指さないコンパス」をもらいます。これは海賊としてほしいものを追い求める彼にはとても重要なアイテムです。
アンジェリカと付き合う
ジャックが恋をしたときです。当時修道女(になろうとしていた)アンジェリカと関係を持ちますが、やはり同じ場所にとどまっていられないジャックはアンジェリカを捨てます。
生命の泉の所へ行く
真実かどうかは不明瞭ではありますが(何ともウソくさい)、自由をなにより愛する彼は永遠の命など興味はありません。
靴ひものビルと仲間
ビルは全うな海賊であり、略奪や虐殺をよしとしません。
後に彼の息子、そしてその息子と仲間になるという、ジャックはターナー一族と奇妙な縁ができます。
バルボッサに裏切られる
まさかの船長を務めて3年目で一等航海士バルボッサに裏切られ、孤島へ置き去り。
おかげでビルと船を失い、13年船長を務めるというのも10年を無駄にし、バルボッサがブラックパールに執着する原因ともなります。
そして物語は『呪われた海賊たち』へ_____
その他にも様々な冒険があったのでしょうが、以上が物語内で言及される彼の足跡です。
こうしてみるとまた4作を見直したくなってきました……
『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』は7月1日に公開。
『ローグ・ワン』ダース・ベイダーのマスクの下に見る顔
先日、『スターウォーズ エピソード3:シスの復讐』を見ました。
なんだかんだで一番見ているスターウォーズかもしれないのですが、その時はなぜかアナキンの方に感情移入をしてみることができたのです。
去年2016年末に公開された『ローグ・ワン』、『エピソード4』の10分前までを描くスターウォーズで初のスピンオフ映画。それは帝国の絶対支配に対して立ち上がった人間たちのドラマでした。その拡張された世界観やキャラクター達、涙なしには見られないラストに魅了され、3回以上は劇場に足を運んでしまいました。その中でとびきりの存在感を放ち、サーガ本編からの登場となったシスの暗黒卿ダース・ベイダー。
その漆黒の巨体、マスクのあの不気味な呼吸音、『エピソード4』公開から約40年がたってもなお健在のジェームズ・アール・ジョーンズが演じたマスクの合成音のイイ声、ファンは全員興奮に身を震わせたことでしょう。
ベイダーはかつては若きジェダイのアナキン・スカイウォーカーでした。
(彼の生涯に関しては、↓の素晴らしいわかりやすい記事をご参照ください)
しかし、ベイダーを描くエピソード4-6(俗にいうクラシック・トリロジー)はアナキン・スカイウォーカーを描くエピソード1-3(プリクエル・トリロジー)よりも前に製作されました。
敢えて言うなら映像的には後付けであり、プリクエルトリロジーを見た後にオリジナル・トリロジーのベイダーにかつてのアナキンの面影が重ねて見るかどうかは、観客の想像力にかかっていたのですね。
しかしローグ・ワン含めて、ディズニーがカノン(正史)として新たに作り出したスピンオフのベイダーはプリクエルの後に製作されただけに、設定上も映像的にもスムーズにアナキンとベイダーをつなげてくれます。(小説『ロードオブシス』、アニメ『反乱者たち』、そして『ローグワン』など)
よってスクリーンの彼の黒いアーマーに、かつての自分の弟子アソーカや惑星ロザルの反乱者たちと刃を交えた事実を重ねて鑑賞するのが容易になりました。
思い返してみると、『ローグ・ワン』に登場したベイダーはプリクエルを踏まえたうえでの描写がなされていたと思います。
プリクエルのアナキンの「裏返し」の描写により、本作のベイダーは形作られていたと思うのです。
僕が「あ……アナキンだ」と感じた点は以下の通りです。
- 自宅がムスタファーにある
- マスクを外した顔がヘイデン顔
- やたら威圧的な態度
- 見事なライトセーバー裁き
1.自宅がムスタファーにある
『エピソード3』にてオビ=ワンとの決戦に敗れた暗黒面に堕ちたアナキンは、四肢を失い溶岩の火が燃え移って全身大やけどという凄惨な目に遭いました。よってムスタファーとは、最愛の妻だったパドメと結婚式を挙げた惑星ナブーや、母を失ったタトゥイーン以上につらい記憶を呼び起こす忌まわしい土地であるはずです。しかしなぜそんな場所に自分の安住の地ともいえる自宅を建てたのか。
これはフォースのダークサイドの特性と考えられます。『エピソード3』から5年後を描くカノンの小説『ロード・オブ・シス』でベイダーは「痛みは怒りに・怒りは力につながる」と考えています。ムスタファーは怒りや憎しみ、そして痛みを呼び起こす場所なので、彼はそこでバクタ・タンクに浸かって肉体の回復をしつつ、力を「研いでいる」ようです。(僕にはとても想像できないシスのストイックな道です……)
また、『反乱者たち』シーズン1にもムスタファーは登場しています。
その際、登場人物たちから「『ジェダイにとって死の星』という噂が流れている」ことがわかります。ただこれは考えてみると違和感があり、ここでひどい目に遭ったアナキンは厳密にはジェダイでなく、オビ=ワンは無事に生還しているので、ジェダイは誰一人として死んでいないのです。しかしルーカスフィルム ストーリーグループのパブロ・ヒダルゴ氏によれば、『反乱者たち』シーズン1の時点で、ムスタファーにはベイダーの自宅があったということです。また、小説版『ローグ・ワン』には召使のVaneéがクレニック長官に対し「たった数人しかここを訪れることはない」と言う記述があります。実際に生き残ったジェダイをここに連れてきて拷問したのかも……?
『エピソード3』だけでなく『反乱者たち』も含めた粋な設定でした。
2.マスクを外した顔がヘイデン顔
召使のVaneéが"My lord, Director Krennic has arrived"「わが君、クレニック長官がご到着なさいました」と知らせ、(字幕ではストレートに「ベイダー卿」となっていましたが)多くの観客が「おっ?!」となるとタンクから肉体の半分を失ったアナキンが姿を現しました。
ただし、残念ながら濃いスモークでよく見えなかったのではないかと思います(配給が20世紀フォックスからディズニーに変わったからでしょうか?)なお、アナキンの肉体は公開前にリリースされたメイキング映像なら少しは良く視認できると思います。
これを見ると、呼吸装置を装着したアナキンの顔がプリクエルでアナキンを演じたヘイデン・クリステンセン寄りの顔に見えませんか?『ローグ・ワン』だけでなく『エピソード4』のベイダーのマスクの下に、ヘイデン顔があるのだと思うと少し嬉しいです。
3.やたら威圧的な態度
クレニックとの会話シーンや、オリジナル・トリロジーからもよくわかると思いますが、ベイダーは自分より下の人間に喋るときによく指を指したり威圧的な口調を使っています。
これに関しては、彼が常に怒りを抱えているのが原因でしょうが、その怒りの感情の更に奥に隠されているものとは何でしょうか?
僕はプリクエル・トリロジーで描かれた境遇ゆえではないかと解釈しました。『エピソード1』では生まれた時から奴隷としての立場に縛られ、『エピソード2』ではことあるごとにマスターのオビ・ワンから事あるごとにMy young padawan「若きパダワンよ」とたしなめられ、『エピソード3』ではズバ抜けた能力をジェダイ・オーダーに正当に評価してもらえていません。僕が本記事冒頭に書いたのはこの点です。ずっとそんな抑圧された環境下におかれたからこそ、彼は暗黒面に堕ちて自分の力を存分に振るい、自分より下の人間に対して威圧的な態度をとるのではないか、ということです。
4.見事なライトセーバー裁き
伝説となるであろうラスト5分!
『エピソード4』からは想像できないような、滑らかな剣(セーバー?)さばきにより、残酷に反乱軍トルーパーを一人、また一人と残忍に殺していく彼はまさしくシスの暗黒卿としての絶対的な力を見せつけてくれました。この静と動が組み合わさったような動きは『エピソード3』ムスタファーの決戦のダイナミックかつ滑らかな動きを連想させました。それでも少しぎこちない・満足に動けない感じが、ベイダーの義手義足という設定も忠実に反映していたと思います。ただ、これだと『エピソード4』のオビ=ワンとの決闘の動きはどうなるの?という疑問に関してですが、これに関しては2人の強大なフォースが干渉しあってムスタファーの決戦のようにはならなかったという答えが公式が出しています。
描写の裏を探ると、これだけ一致する設定が見つかるだけに、設定が丁寧に練られ・組み合わされていることがわかります。
以上、『ローグ・ワン』のベイダーに思う事をまとめた考察でした。
『ローガン』は家族になっていく物語(なのかも)
映画X-MENシリーズ最新作、そしてヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じるのが最後となる『ローガン』。
公開されてきた予告編は、これまでのアメコミらしい派手さやカラフルさはなく、曲と相まって哀愁漂うウェスタンな雰囲気の、X-MENシリーズの中で異質さを感じさせるものでした。
「彼女は君に似ている。とても似ている」
さて、注目したいのは新たに登場したこのミュータントの少女。
公式のSNSでのプロモーションや、予告編と原作コミックの比較によって彼女はX-23というキャラクターであることが確認されました。
今回は映画版のX-23というキャラクターのバックストーリーの考察を行っていこうと思います。(僕は原作コミックには詳しくないですが……)
原作ではX-23はウルヴァリンのクローン、ESSEX社はミスター・シニスターというヴィランが率いる企業という設定です。
『X-MEN:アポカリプス』のオマケシーンにて、ESSEX社の社員がウェポンX(=ウルヴァリン)の血液を回収していたので、映画版(アースTRN-414)でのX-23はESSEX社が創り出したという設定になっています。
ところで予告編を見る限りでは、X-23は一言も言葉をしゃべっていません。
叫び声をあげても、言葉を発していないのです。
そして凶暴なのです。
兵士たちを躊躇なく二本のツメで容赦なく切り裂き、商品を盗んで捕まえてこようとしたコンビニ店員を地面に倒して殺そうともしました。
この描写によってX-23から連想するものがあります。
心に傷を負った子供です。
ESSEX社が何の目的でX-23を作り出したのかは不明ですが、原作コミックの設定からしてX-23が良い待遇を受けたとは言い難いでしょう。
また、先日公開されたこちらの映像をご覧ください。
ウルヴァリンの時とはまた違うアダマンチウム移植手術の経過や、彼女の様子を生々しく映した実験記録の映像のようです。
ウルヴァリンは殺された(と思っていた)恋人の復讐のため、自分の意志でアダマンチウムの移植を受けました。
彼女がウルヴァリンと違うのは、彼女には生まれた時から選択権がなかったことでしょう。
恐らくX-23は最初から実験目的に作り出され、実験のために利用されてきました。
彼女がミュータントであることはミュータントが少なくなった世界で大変貴重であり、クローンであることは生物学の大きな一歩であることを示し、その治癒能力は不死の秘密すら解き明かせるほどに計り知れないほどの可能性を秘めていたことでしょう。
それらは人間の欲を刺激せずにはいられなかったのです。
様々な過酷な実験を受けさせられたとしても、それでも傷は生まれつきの能力で治癒していく。
X-23は個体名としてつけられたコードネームであり、識別番号。
人間の名前で呼ばれることは一度もなかった。
道具としてしか見られず、人間として見てもらえないのがどれほど過酷でしょうか。
死のうと思っても持ち前の治癒能力で死ねない。
彼女には最初から家族と呼べる存在がいなかったのです。
温かく支えてくれる母も、厳しく時に優しい父もいないのです。
彼女はやがて口を閉ざすようになり、自己防衛のために凶暴性を秘めるようになりました。
しかし、それでも生きる希望を完全に失ったわけではありません。
ある日、スキを見てESSEX社の檻から脱走した彼女は逃げ、流浪を重ねて、かつてミュータントの指導者の1人であり、X-MENのリーダーとして様々な脅威と戦ってきたプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアに出会います。
名前は?と聞くチャールズに口を閉ざすX-23。
頭の中を見てもらい、彼女の境遇を理解したチャールズは人間の名前として「ローラ」と名付けるのです。
ESSEX社が差し向けるサイボーグ兵士軍団の追手に対して、チャールズはローガンに助けを求めます。
半ば生きる目的を失いかけて最初は断りかけたローガンは、ローラがもう一人の自分であることを知り、彼女とチャールズを守るためにもう一度だけ戦いに身を投じます。
そして3人で戦いと旅を重ねる中で、彼女は自分の居場所、そして自分を守ってくる家族の存在を見出し、初めて「笑顔」を知るのではないでしょうか。
チャールズは何でも知っているおじいちゃん、ローガンはお兄ちゃん兼お父さん
『ローガン』はウルヴァリン最後の作品ともいわれていますが、そのメインの流れの側面には自分の居場所がなかった子供が家族の温かさを知っていくストーリーがある(のかもしれない)のです。
以上、僕の考察でした。
実際の所は映画本編が公開されてからでないとわかりませんが、予告編でこれだけの考察が楽しめて追いかけるのが楽しいのも、アメコミ映画の魅力の一つだと思います。
映画『ローガン』は今年6月1日公開。