マーク47のアーマーに見るスタークの決意
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で颯爽とMCUに登場を果たしてくれた「親愛なる隣人」スパイダーマン。
既に様々なコミックの要素を現実化したMCUでのクロスオーバーも期待されますが、今度のスパイディは実写映画の中で最年少の15歳。
若くエネルギッシュであり、かつ学校での悩みもあるという青春要素も期待できるフレッシュな一作がこの単独作『ホームカミング』です。
「僕の物語_____始まる」
『シビル・ウォー』で示唆された通り、アベンジャーズの一員・大富豪・超天才・そしてイヤミで知られるアイアンマンはスパイディのメンター的存在になる模様。
さらにスパイディの赤いマスクの下は、育ての叔父を失った思春期のピーター・パーカー。彼にとって父親的存在になるのは必然と思われます。
さて、予告編2で敵に真っ二つに裂かれたフェリー船をつなぎとめようとするピンチのスパイディ。
そこに大量の小型補助リパルサーと共に駆け付けたのは、新スーツのアイアンマンでした。
よく見ると、『シビル・ウォー』で着用していたマーク46と同型ながら、一部のカラーリングがガンメタルに変更されている事がわかります。
このアーマーはホットトイズの画像から、マーク47であることが確認されました。
元ネタになったのは、原作コミックの一つである『アルティメット・アイアンマン』とされています。このように、原作コミックの要素をいかに落とし込んでくるかは、アメコミ映画の醍醐味といえますね
今回はマーク47のこのカラーリングに込められた意味を考察していきます。
確かに「かっこいいから」「前作(『シビル・ウォー』)との差別化を図りたい」「完全新規造形は手間がかかる」「原作コミックの要素を取り入れたい」という製作上の理由はあるでしょうが、設定的な話としてスタークの意図を探っていきます。
『シビル・ウォー』でスタークが負った犠牲は本人にとって大きなものでした。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では自分が創り出した人工知能が暴走し、世界を滅ぼしかけたことからアベンジャーズして必死に戦いました。よって「尻ぬぐい」と称されてもおかしくなかったのがこのソコヴィア事件。
それ含め、過去に自分が兵器製造によって犯してきた罪の意識にさいなまされ、学生たちに無償でセプテンバー基金などを提供し、罪滅ぼしを続けていましたが……
ソコヴィア事件で息子を失った母親に面と向かって「あなたのせいだ」と非難されてしまいます。特にソコヴィア事件は自分が発端となっていたために、これに対して感じた罪の意識や後悔は想像できないほどに深かったでしょう。したがって、彼は国連から提案されたソコヴィア協定にサインすることを決意しています。平和のための戦いによって出てしまう犠牲は、キャプテン・アメリカは「犠牲がでてしまうのは仕方がない」と割り切っているのに対し、スタークは「犠牲は絶対に出したくない」という考えで対立が起きています。
そして、キャプテン・アメリカが親友のバッキーを巻き込んだ陰謀に巻き込まれ、ソコヴィア協定へのサイン含めて空港での大バトルへ発展。そのアベンジャーズの内戦の中、スタークの親友であるウォーマシンことローディが撃墜され、半身不随という大けがを負ってしまいました。
その後、シベリアでキャプテンとの死闘の末、リアクターを破壊されマーク46は機能停止。したがって、アベンジャーズ分裂による辛い記憶含め、マーク46は「犠牲は出さない」という戒めがこもったアーマーであると推測されます。
アベンジャーズの分裂により、未だ活動可能なメンバーは自分を含めてもヴィジョンの2人のみ。とてもチームとして機能しているとは言えないでしょう(だからこそストレンジやスパイダーマン、ブラックパンサーの勧誘は急務といえますね)。この現状で、今は活動できないローディの意志を継ぐために、ウォーマシンのメインカラーであるガンメタルをマーク46のカラーリングに取り入れ、マーク47として使用しているのではないでしょうか。外見上はマーク46と同じでも、マーク42→43のように多少の改良やマイナーチェンジはありそうですけどね。
よってマーク47は、マーク46アーマーとウォーマシンのガンメタルを組み合わせることにより、「犠牲は出さない」「ローディの分まで頑張る」という二重以上の決意がこもっているのでしょう。
何とかギリギリのところで間に合ったのか、「もしも死者が出ていたらどうするつもりだ?」とピーターを叱責するスターク(とはいえ、予告映像を見る限りピーターがまず駆け付けていなければ事態はスタークが来る前に手遅れになっていたとは思うのですが、実際はどういう経緯なのでしょう?)。『シビル・ウォー』で得た教訓がそのまま彼の言葉として出てきているのですね。
ピーターからスパイダーマンのスーツを没収することにし、「スーツなしでないとだめなら、むしろない方が良い」と返すスターク。『アイアンマン3』でエクストリミスとの決戦を経てスーツ依存症の状態を乗り越え、「スーツが無くても、私はアイアンマンだ」とアイデンティティを確立した彼だからこその言葉です。
『ホームカミング』に登場するスタークはただのゲスト出演などではなく、彼なりに様々な経験を積んできた一人の人間として、ピーターのメンターとしての役割を果たすのでしょう。
『スパイダーマン:ホームカミング』は8月11日、日本公開。
『プロメテウス』から『エイリアン:コヴェナント』へ
多くの謎を観客に残していった『プロメテウス』から5年。
満を持して登場の『エイリアン:コヴェナント』のあらすじには「コヴェナント号が到着した惑星にいたのは、プロメテウス号の唯一の生き残りであるデヴィッドだった」という記述。そうなると浮かんでくる疑問は「ショウ博士はどうなった?」のハズ。
最近公開されたTV Spotでは惑星に墜落していたジャガーノート号の中で投影されたホログラムに、ショウ博士の姿が確認されていますが、何があったのかはわからず。
本国での公開が迫り、本作はインターネットを介したプロモーションが積極的に行われています。数々の予告編から、本編の直前を描く短編映像、クルーたちのビデオメッセージ、更には人間の体から誕生直前のエイリアン目線の映像まで(←誰得?)。
その中でサラッと公開されたのが、『プロメテウス』と『エイリアン:コヴェナント』の空白の10年間を描く短編映像The Crossing。
そこにはな、なんとデヴィッドとショウ博士!こんな重要な情報をインターネット上で公開するとは……そんなわけで今回は『プロメテウス』ラストから本映像含めて、『コヴェナント』に至る道のりの整理・考察を行っていきます。
実はこの後に重大ネタバレがあるので、ネタバレが嫌な人は速攻で本ページからの離脱をお勧めしますよ
それでは行きましょう。
2094年、Lv-223での騒動を切り抜けたショウ博士と首だけになったデヴィッドは残されていた別のエンジニアの船(ジャガーノート号)に乗り込み、エンジニアたちの母星であり「デヴィッド曰く『楽園』」に向かって旅立ちました。
さて「その後2人はどうなったのか」ですがThe Crossingはデヴィッドのモノローグにより進行していきます。
深宇宙を進むジャガーノート号。
ショウ博士!髪が伸びましたね。彼女は学者ですが、自分で星間の航路を計算して導き出す姿は、『エイリアン』の一等航海士であるリプリーを連想させます。
エンジニアにやられて首だけになったデヴィッド。リドリー・スコット監督は『コヴェナント』での再登場に際して、「デヴィッドを再登場させる素晴らしいアイディアを思いついた」と発言していましたが、その答えは「ショウ博士に指示して胴体とつなぎ合わせてもらうこと」だったわけです。おいおい、それだけ?エンジニアの技術をどうこうするとかないの?
この時デヴィッドは「あなたからは同情を感じることができます。他の人からは、もちろんピーター・ウェイランドにはなかったものだ」といっています。
エンジニアの文化などを研究したデヴィッド主導なのか、なんとか地球から来た2人はエンジニアの船を母星に向けて航行させることができているようです。『プロメテウス』の時から確かに進歩を感じます。笑顔のショウ博士が、「どれくらい遠いの?」と聞くと「言い表せないほどに」と返すデヴィッド。
エンジニアの装置でハイパースリープすることになったショウ博士。母星に到着次第、デヴィッドに起こしてもらうようです。「お休み」とデヴィッドは装置を閉じます。
「そして私はまた独りになった。私は彼らについて学び、到着を待った」と独白。ショウ博士がハイパースリープに入って無防備状態なのが何とも嫌な予感がするのは僕だけでしょうか……
「楽園」に到着!
エンジニアの母星だけあって、地球とはまた違う街並みや空中浮遊するシュールな形のプラットフォームが高度な文明を持つことを連想させます。それにしても地上に街を築いているあたり、エンジニアは本質的には人間とはあまり変わらないのでしょうか?
ジャガーノート号の大きな口から下を見下ろし、「私のわざを見、絶望しろ」とつぶやくデヴィッド。画面上部に見えるのは、大量の黒いアンプル。一体どうするつもりなのか……ここで映像は終わりますが、公式に解禁された画像で続きがわかります。ここから先、超ネタバレ注意
野郎、やりやがった
いや、『プロメテウス』の時から胡散臭い行動が目立つ彼でしたがこんなことを……おびただしい量のアンプルに鳥肌が立ちそうです。
それに加え、画像だとわかり辛いですが(こちらはTV Spotのもの)地面には大勢の住人がおり、黒い嵐が吹き荒れています。これが、予告編にもある「そのままの姿勢で固まったような大量の黒いエンジニアたちの遺骸」になると思われます。
『プロメテウス』冒頭で描かれた通り、たった椀一杯の黒いアンプルを飲んだエンジニアはDNAレベルまでバラバラに分解され、それが河川に乗ってジワジワと地球全体まで広まり、地球全体の生命の基礎となりました。
それが、エンジニアたちの母星で生命の創造ではなく、破壊が行われたようです。したがってコヴェナント号が到着した「楽園」は無人の惑星は、もともと有人で繁栄していたことがわかります。
また、河川に乗った黒いアンプルが惑星の自然環境を汚染した可能性も考えられるでしょう。それが予告編にあったあの黒い胞子であり……
クルーの耳に入ったソレは白っぽい新しいエイリアン(通称:ネオモーフ)を誕生させてしまうようです。
また、ジャガーノート号の中に既にあったエイリアン・エッグから飛び出してきたフェイスハガーに寄生されたクルーからは、おなじみの形に近いエイリアンが誕生することも推測されます。
よって今回は軍事目的ではなく、植民地目的で来た非戦闘人員たちに襲い掛かるエイリアンは2匹!ということになります。大変だ……
一体、デヴィッドは何の目的でエンジニアたちを虐殺するようなマネをしたのか。登場人物の何気ないセリフでありながら深い意味を持ちそうなこの言葉。
その目的をたどると、「創造主への反逆」が考えられます。
『プロメテウス』での彼を見ていると、彼は自分がアンドロイド=人工物扱いされるのを嫌がっているそぶりがあるように思います。彼は自分は作り出された存在より、あくまで一個人として扱ってほしい願望があったのかもしれません。それでもなお、ウェイランド社長の指示があるのでアンドロイドであるという呪縛からは逃れられません。したがって、彼は創造主である人間、そしてエンジニアを試しているのではないかと思います。その行く末を、あわよくば滅びるところを見たかった。その格好の道具があの黒いアンプルなのかもしれません……。
以上、『プロメテウス』から『エイリアン:コヴェナント』への旅を巡った僕の考察でした。
BATMAN v SUPERMAN
2016年3月25日、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』が日米同時公開されました。僕は公開初日に映画館に足を運びましたが、そのてんこ盛り以上の内容に終始圧倒され、最後にはうるっと目に涙がたまりました。エンドクレジットのハンス・ジマー作曲のピアノの旋律が印象的でしたね~
『バットマンvsスーパーマン』は2年以上もずっと心待ちにしていた作品でした。2013年に公開された『マン・オブ・スティール』はぱっと見名前からはわからないものの、スーパーマンのオリジンを描く作品。スーパーマンって見た目と名前は有名なのに、エイリアンであるという根本的な設定ってほとんど知られていないですよね
なんとなくポスターのクールな雰囲気と、スーパーマンの映画なのに「マン・オブ・スティール」という敢えてカッコよく外したタイトル、そしてスーパーマンの映画であるという点に惹かれてレンタルで見たんですよね。MARVELとはまた違う独特の雰囲気、あまりにも規格外な超次元バトル……おもしろかったです。
そしてインターネットで設定を調べていたところwikipediaにトンデモ情報が。「『マン・オブ・スティール』の続編」「"Batman v Superman"」
……なんだそれは?!バットマンが続編で参戦?スーパーマンと対決??何が起こっているんだ?!あらゆる情報をリアルタイムで追いかけながらずっと心待ちにしていたわけです。SDCC2014のティーザー盗撮映像から撮影現場の盗撮画像まで何から何までですよ、えぇ
ということで、今回は僕の『バットマンvsスーパーマン』に対する「好き」を語ろうと
タイトルが秀逸
まずタイトルがロゴ含めて上手すぎること。
『マン・オブ・スティール』では「S」のロゴ単品だったのが、コウモリのロゴと合体して登場。このコウモリのロゴもかっこいい。
また、対決といっておきながら「vs」ではなく「v」。敢えて先頭に「バットマン」を持ってくる、そしてマンオブスティールが地味に「スーパーマン」として記載されている。DAWN OF JUSTICEというのも最高にクールだ。ファンなら周知の事、後に「ジャスティス・リーグ」というヒーロー連合を結成するのがこの二人。よってJUSTICE=ジャスティスリーグのDAWN=夜明けということ。DAWN OF JUSTICE、カッコイイ響きだ……
これはバットマンとスーパーマンの邂逅の物語であり、対決はあくまで副次的なものでしかないのです。
あとタイトルとはまた別ですが……第2作目であり、「つなぎ」というポジションというのも良いです。この「つなぎ」のエピソードだからこそ、一作目から追加された要素、本格的に動き出す物語、続編ではどうなるのかという興奮は『帝国の逆襲』に通じるものがあると思います。
次に、ザック・スナイダー監督のメイン3人に対するアプローチ中心に書いていきますよ~
スーパーマン
前作『マン・オブ・スティール』で描かれた2013年の「ブラック・ゼロ事件」でゾッド将軍の侵略から地球を救ったスーパーマン。それから彼はどうしていたのかというと、変わらず地球を飛び回って様々な事件の解決に尽力していた様子。
しかしなお、そのあまりにも強大過ぎる力や彼の自由な立場は「スーパーマンは脅威にもなりうる」という論調を生み出してもいた……
僕はスーパーマンというキャラクターに対して、興味深いアプローチだと思いました。確かに現実にビルをおもちゃのごとくバンバンなぎ倒し、目から熱線を出して空をマッハで自由に飛び回る超人がおり、彼が戦ったことで数千人も死者が出たら不安も生まれますよね。スーパーマンが手放しに地球の人間全員から拍手の嵐や賞賛の渦をうけるわけでもなく、神のように崇拝される一方、その強大な力と立場について議論の的になるのは今までの作品より現実に即した描写だと思います。また、ザック監督が得意としている「画になるカット」により、神話を描いた絵画のような雰囲気がスーパーマンを描くのにピッタリでした。それでいて彼もやはり一人の人間として批判に傷ついたりして悩むのが、また面白いですよね。
バットマン
恐らく2014年のSDCC(サンディエゴ・コミコン)で公開されたティーザー映像で物議を醸しだしたのが、バットマン。映像では雷雨の夜にビルの屋上にたたずむバットマンがバットシグナルを起動。夜空に移るコウモリのロゴが雷に照らされた瞬間、スーパーマンがそこには浮かんでおり、2人が静かににらみ合う……
その時、バットマンの目が光り、シルエットが太いので「バットマンの新形態?!」などと思いました。ザック監督、実はフランク・ミラーによるアメコミ『ダークナイト リターンズ』から引っ張ってきたバットマン像を『バットマンvsスーパーマン』に使ったそうです。すっかり年を取り、肉体も衰え、心も灰色の引退したバットマン。線が太めのガッチリした肉体であり、シンプルなスーツといういでたちは丸ごと、今作に引用されています。そして対スーパーマン用のアーマーも(これらのビジュアルは全てばっちり僕の好みなんですよね)。これぞアメコミ映画ではないでしょうか。ザック監督、目のつけどころがちがう……
この「疲れた」バットマンも『マン・オブ・スティール』から始まったユニバースに違和感なくなじんでいると感じました。それはベン・アフレックによる演技も大きいのではないでしょうか。表面上は最低限の社交的な感じには取り繕っていますが、内に秘める過ぎ去った年月で煮詰まった絶望や怒りを感じさせる演技でした。『ダークナイト』とはまた違う魅力的なバットマンに仕上がったと思います。
ワンダーウーマン
前々から公式画像が公開されており、登場が確定していました。
本編ではカメオ出演程度かなと思いきや……
最高にキレのあるBGMで最高にカッコいい登場を果たしてくれました。しかも、強い。スーパーマンのように空を飛べずとも、超人的な身体能力、剣と盾を駆使した戦法、あふれ出る闘志。使い込まれて色あせたアーマーとその口調からにじみ出る余裕が、彼女が潜り抜けてきた歴史を感じさせます。また、超人集団であるアマゾネス族出身だけあって、BGM(曲名はIs She With You?)のバックで鳴り響く太鼓が、彼女の戦闘部族であるという特徴を引き立てています。それに、あの強さと容姿や装備、演出から「ギリシャ神話の存在として演出しているのかな」と思いました。ワンダーウーマンの実写化では新しいアプローチですが、大成功だと思います。
キタ――(゚∀゚)――!!
他にも、バットマンvsスーパーマンに関して好きな点は沢山あります。また批判的な意見の中に「暗い」というのがありましたが、僕は仕方ないと思ってます。なぜならこれはまだ「邂逅」であり、「夜明け」だからです。「夜明け前が一番暗い」という言葉がありますが、夜明けを迎えた後に、コレが待っています。
今年の2017年、『ジャスティス・リーグ』が待っています。『バットマンvsスーパーマン』以上に伏線が大量にぶち込まれていることや、他のヒーローたちのライブアクションや明るい楽しいストーリーを期待しています。また、DCEUの作品群もすべて順調というわけではないものの、様々なニュースが入ってくるので、焦らずに作品の質は落とさないでほしいところです。
ということで、『バットマンvsスーパーマン』が大好きなお話でした。
オマケ:この『ジャスティス・リーグ』のコンセプトアートがかっこよすぎて好き
エイリアン・ユニバース
今年の9月15日、エイリアンシリーズ最新作『エイリアン:コヴェナント』が公開されるということで楽しみで落ち着かない僕です。
記事のタイトルにもしましたが、ついにこのシリーズにも「ユニバース」という名前が付くほどの大きいシリーズになってくれました。2012年に公開された『プロメテウス』から入った僕ですが、やはりシリーズのファンとしては感慨深いです_____
『コヴェナント』公開記念として、ユニバースに対する僕の私見をつらつらまとめていこうと思います。もしも同じファンである「同志」の方が読んでくださっていましたら幸いです(笑)
僕はエイリアン・ユニバースは、プロメテウスラインとエイリアンラインに分けられる、と思っています。
本ユニバースは1979年に公開された『エイリアン』から始まりました。貨物運搬船のノストロモ号が遠い星系からはるばる地球へと帰還していたところ、小惑星Lv-426から謎の救難信号を探知し、それを調査しに向かう。そこには巨大で異形の異星の船と思わしき遺棄船が静かにたたずんでおり、中にはやはり謎の異星人の遺骸(通称:スペースジョッキー)があったわけですが……
作中ではほかに見つけた「あるもの」により大惨事が引き起こされ、スペースジョッキーについてはスルーされてしまいます。それ以降に作られた『エイリアン2』『エイリアン3』『エイリアン4』『エイリアンVSプレデター』『エイリアンVSプレデター2』作品群でも謎の異星人の出自やエイリアンの起源といった根本的な設定は描かれませんでした。
それに対して「そういえばスペースジョッキーってなんだったわけよ?」という疑問を持ったのがシリーズの創造主であるリドリー・スコット監督。以前から自身の仮説として、スペースジョッキーに関して興味深い発言をしていました。それが動機となっていよいよ本格的な計画として動き出し、『プロメテウス』の製作に至ったというわけです。
よって、
エイリアンライン→高等種族エンジニアが創り出したエイリアンによる大惨事を描き、全体としてみると小さなプロット。
該当作品:『エイリアン』『エイリアン2』『エイリアン3』『エイリアン4』『エイリアン5(仮)』(『5』とはニール・ブロムガンプが進めているプロジェクトで、新しい『エイリアン3』にあたるストーリー)
プロメテウスライン→高等種族エンジニアの謎を求めて、人間そしてエイリアンの起源に迫る壮大なプロット。
該当作品:『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』『プロメテウス3(仮)』『プロメテウス4(仮)』(←『3』『4』に関しては監督発言より。3は既に脚本を書き終えているそうな)
になります。
『エイリアン:コヴェナント』はプロメテウスラインとエイリアンラインがついにクロスオーバーし、更に新しいストーリーが続く……という重要なポジションなことが推測されます。背景にあるのはプロメテウスラインのストーリー、実際にスクリーンで起こるのはエイリアンラインの恐怖……
地味にプロモーションが進む日本版予告ではついに、エイリアンの起源が明かされるとのことで大変楽しみです!
『エイリアン:コヴェナント』は9月15日、日本公開。
クセになる 不思議なクッキング
まだ未見の方は、本記事を読む前にご覧ください。
なにやら不思議な感じのアニメーションです。
身近にありそうなプラスチック製品に包丁を通すと、それが全く違うものに形を変え、食材として使われてしまう。
一見ありえないこの展開も、ストップモーションによるアニメちっくな演出によって違和感を打ち消しています。むしろクセになる……
サイコロを刻むのもいいですが、やはりボウルに緑色のペースト状のアボガドと他の具材をゴリッゴリッと混ぜ込んでいくのとか、なんか良いなぁ……
手りゅう弾という物騒なものの中に詰まっているのが、火薬ではなくアボガドのペーストというのも肩透かしにも似た方向転換でいいですね~
そんな、僕のお気に入り動画の一つでした( ・ω・)y--~~
ジャック・スパロウの航海
ディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」からインスピレーションを得た大人気シリーズもついに5作目が7月1日に公開を控えています。
『最後の海賊』は、海賊の全滅を誓う海の死神サラザールと、それに対抗すべくポセイドンの矛を探すジャックというプロット。
5作目ともなると自由気ままなジャック・スパロウの様々なバック・ストーリーが明らかになっています。明確な時系列は不明ですが、1作目『呪われた海賊たち』までに彼が潜り抜けてきたストーリーをまとめてみました。
キャプテン・サラザールを出し抜く
若い時にサラザール船長に狙われたジャックは、機転を利かせました。
船が黒くないので、後述のベケット卿のもとで働いたときの船、ウィキッド・ウェンチ号でしょうか?(なお海賊として活動しているようにもみえ「?」となるシーンではあります)
ベケット卿との因縁
小説『自由の代償』によれば、ジャックは東インド会社で船長を務めたものの、奴隷の輸送でベケット卿ともめました。当時の船ウィキッド・ウェンチ号に火を放たれた後沈められ、P(海賊)の焼き印を押されています。最も仕返しとしてベケット卿にもPの烙印を押しました。
デイヴィ・ジョーンズと契約
深海の亡霊デイヴィ・ジョーンズと契約をし、沈められた船を引き上げてもらいます。丸焦げで黒くなったウィキッド・ウェンチ号をブラック・パール号と改名し、13年間船長を務められるという契約です。
9人の海賊長の1人
やはり海賊としての能力も高く、独自の美学を持つ彼は伝説の「9人の海賊」に選ばれています。
ティア=ダルマと親密に
ティア=ダルマとイチャイチャした後、「北を指さないコンパス」をもらいます。これは海賊としてほしいものを追い求める彼にはとても重要なアイテムです。
アンジェリカと付き合う
ジャックが恋をしたときです。当時修道女(になろうとしていた)アンジェリカと関係を持ちますが、やはり同じ場所にとどまっていられないジャックはアンジェリカを捨てます。
生命の泉の所へ行く
真実かどうかは不明瞭ではありますが(何ともウソくさい)、自由をなにより愛する彼は永遠の命など興味はありません。
靴ひものビルと仲間
ビルは全うな海賊であり、略奪や虐殺をよしとしません。
後に彼の息子、そしてその息子と仲間になるという、ジャックはターナー一族と奇妙な縁ができます。
バルボッサに裏切られる
まさかの船長を務めて3年目で一等航海士バルボッサに裏切られ、孤島へ置き去り。
おかげでビルと船を失い、13年船長を務めるというのも10年を無駄にし、バルボッサがブラックパールに執着する原因ともなります。
そして物語は『呪われた海賊たち』へ_____
その他にも様々な冒険があったのでしょうが、以上が物語内で言及される彼の足跡です。
こうしてみるとまた4作を見直したくなってきました……
『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』は7月1日に公開。
『ローグ・ワン』ダース・ベイダーのマスクの下に見る顔
先日、『スターウォーズ エピソード3:シスの復讐』を見ました。
なんだかんだで一番見ているスターウォーズかもしれないのですが、その時はなぜかアナキンの方に感情移入をしてみることができたのです。
去年2016年末に公開された『ローグ・ワン』、『エピソード4』の10分前までを描くスターウォーズで初のスピンオフ映画。それは帝国の絶対支配に対して立ち上がった人間たちのドラマでした。その拡張された世界観やキャラクター達、涙なしには見られないラストに魅了され、3回以上は劇場に足を運んでしまいました。その中でとびきりの存在感を放ち、サーガ本編からの登場となったシスの暗黒卿ダース・ベイダー。
その漆黒の巨体、マスクのあの不気味な呼吸音、『エピソード4』公開から約40年がたってもなお健在のジェームズ・アール・ジョーンズが演じたマスクの合成音のイイ声、ファンは全員興奮に身を震わせたことでしょう。
ベイダーはかつては若きジェダイのアナキン・スカイウォーカーでした。
(彼の生涯に関しては、↓の素晴らしいわかりやすい記事をご参照ください)
しかし、ベイダーを描くエピソード4-6(俗にいうクラシック・トリロジー)はアナキン・スカイウォーカーを描くエピソード1-3(プリクエル・トリロジー)よりも前に製作されました。
敢えて言うなら映像的には後付けであり、プリクエルトリロジーを見た後にオリジナル・トリロジーのベイダーにかつてのアナキンの面影が重ねて見るかどうかは、観客の想像力にかかっていたのですね。
しかしローグ・ワン含めて、ディズニーがカノン(正史)として新たに作り出したスピンオフのベイダーはプリクエルの後に製作されただけに、設定上も映像的にもスムーズにアナキンとベイダーをつなげてくれます。(小説『ロードオブシス』、アニメ『反乱者たち』、そして『ローグワン』など)
よってスクリーンの彼の黒いアーマーに、かつての自分の弟子アソーカや惑星ロザルの反乱者たちと刃を交えた事実を重ねて鑑賞するのが容易になりました。
思い返してみると、『ローグ・ワン』に登場したベイダーはプリクエルを踏まえたうえでの描写がなされていたと思います。
プリクエルのアナキンの「裏返し」の描写により、本作のベイダーは形作られていたと思うのです。
僕が「あ……アナキンだ」と感じた点は以下の通りです。
- 自宅がムスタファーにある
- マスクを外した顔がヘイデン顔
- やたら威圧的な態度
- 見事なライトセーバー裁き
1.自宅がムスタファーにある
『エピソード3』にてオビ=ワンとの決戦に敗れた暗黒面に堕ちたアナキンは、四肢を失い溶岩の火が燃え移って全身大やけどという凄惨な目に遭いました。よってムスタファーとは、最愛の妻だったパドメと結婚式を挙げた惑星ナブーや、母を失ったタトゥイーン以上につらい記憶を呼び起こす忌まわしい土地であるはずです。しかしなぜそんな場所に自分の安住の地ともいえる自宅を建てたのか。
これはフォースのダークサイドの特性と考えられます。『エピソード3』から5年後を描くカノンの小説『ロード・オブ・シス』でベイダーは「痛みは怒りに・怒りは力につながる」と考えています。ムスタファーは怒りや憎しみ、そして痛みを呼び起こす場所なので、彼はそこでバクタ・タンクに浸かって肉体の回復をしつつ、力を「研いでいる」ようです。(僕にはとても想像できないシスのストイックな道です……)
また、『反乱者たち』シーズン1にもムスタファーは登場しています。
その際、登場人物たちから「『ジェダイにとって死の星』という噂が流れている」ことがわかります。ただこれは考えてみると違和感があり、ここでひどい目に遭ったアナキンは厳密にはジェダイでなく、オビ=ワンは無事に生還しているので、ジェダイは誰一人として死んでいないのです。しかしルーカスフィルム ストーリーグループのパブロ・ヒダルゴ氏によれば、『反乱者たち』シーズン1の時点で、ムスタファーにはベイダーの自宅があったということです。また、小説版『ローグ・ワン』には召使のVaneéがクレニック長官に対し「たった数人しかここを訪れることはない」と言う記述があります。実際に生き残ったジェダイをここに連れてきて拷問したのかも……?
『エピソード3』だけでなく『反乱者たち』も含めた粋な設定でした。
2.マスクを外した顔がヘイデン顔
召使のVaneéが"My lord, Director Krennic has arrived"「わが君、クレニック長官がご到着なさいました」と知らせ、(字幕ではストレートに「ベイダー卿」となっていましたが)多くの観客が「おっ?!」となるとタンクから肉体の半分を失ったアナキンが姿を現しました。
ただし、残念ながら濃いスモークでよく見えなかったのではないかと思います(配給が20世紀フォックスからディズニーに変わったからでしょうか?)なお、アナキンの肉体は公開前にリリースされたメイキング映像なら少しは良く視認できると思います。
これを見ると、呼吸装置を装着したアナキンの顔がプリクエルでアナキンを演じたヘイデン・クリステンセン寄りの顔に見えませんか?『ローグ・ワン』だけでなく『エピソード4』のベイダーのマスクの下に、ヘイデン顔があるのだと思うと少し嬉しいです。
3.やたら威圧的な態度
クレニックとの会話シーンや、オリジナル・トリロジーからもよくわかると思いますが、ベイダーは自分より下の人間に喋るときによく指を指したり威圧的な口調を使っています。
これに関しては、彼が常に怒りを抱えているのが原因でしょうが、その怒りの感情の更に奥に隠されているものとは何でしょうか?
僕はプリクエル・トリロジーで描かれた境遇ゆえではないかと解釈しました。『エピソード1』では生まれた時から奴隷としての立場に縛られ、『エピソード2』ではことあるごとにマスターのオビ・ワンから事あるごとにMy young padawan「若きパダワンよ」とたしなめられ、『エピソード3』ではズバ抜けた能力をジェダイ・オーダーに正当に評価してもらえていません。僕が本記事冒頭に書いたのはこの点です。ずっとそんな抑圧された環境下におかれたからこそ、彼は暗黒面に堕ちて自分の力を存分に振るい、自分より下の人間に対して威圧的な態度をとるのではないか、ということです。
4.見事なライトセーバー裁き
伝説となるであろうラスト5分!
『エピソード4』からは想像できないような、滑らかな剣(セーバー?)さばきにより、残酷に反乱軍トルーパーを一人、また一人と残忍に殺していく彼はまさしくシスの暗黒卿としての絶対的な力を見せつけてくれました。この静と動が組み合わさったような動きは『エピソード3』ムスタファーの決戦のダイナミックかつ滑らかな動きを連想させました。それでも少しぎこちない・満足に動けない感じが、ベイダーの義手義足という設定も忠実に反映していたと思います。ただ、これだと『エピソード4』のオビ=ワンとの決闘の動きはどうなるの?という疑問に関してですが、これに関しては2人の強大なフォースが干渉しあってムスタファーの決戦のようにはならなかったという答えが公式が出しています。
描写の裏を探ると、これだけ一致する設定が見つかるだけに、設定が丁寧に練られ・組み合わされていることがわかります。
以上、『ローグ・ワン』のベイダーに思う事をまとめた考察でした。