「守護者」オビ=ワン 空白の19年

f:id:the-Writer:20170507142347j:plainディズニーによるSW初のスピンオフ映画「アンソロジー・シリーズ」は、エピソード4に繋がるもう一つの物語『ローグ・ワン』から始まりました。

個人的には大傑作であり、スピンオフならではの演出や、ファンのための丁寧かつ濃厚な作りこみなど、このクオリティならもっと観たいと思わせてくれる素晴らしい出来でした。

 

今年の2017年12月にエピソード8『最後のジェダイ』、2018年5月25日に『ハン・ソロ(仮題)』、そして2019年5月24日にエピソード9が控えていますが、気になるのはその後の動向。本記事を執筆している現在、2020年以降もSWの映画を製作し続けていくのかは未だ不明なままです。f:id:the-Writer:20170506204756j:plain

(先日のスター・ウォーズ・セレブレーション2017ではルーカス・フィルム社長のキャスリーン・ケネディ氏は「その発表については夏ごろを希望しています」「今は協議の真っ最中です」とインタビューに答えています)

 

今ファンの中で期待が高まっているのがオビ=ワンのスピンオフ。プリクエルでオビ=ワンを演じたユアン・マクレガーも再演することに関しては前向きであり、それなら早く製作に移って!と言いたいところですが……なぜか現状は上記の通り。

先日書いたエピソード8に関する考察(ポジションから読み解く『最後のジェダイ』の考察 - the-Writerのブログ)にてオビ=ワンも登場したことなので、今回はオビ=ワンのスピンオフについて、僕なりの考察(そして願望)をせっせと書いていこうと思います。

 

そもそもオビ=ワンのスピンオフは作られるべきか?

まず、根本的なこの問題を考えていく必要がありますが……

f:id:the-Writer:20170506210937j:plain

これは、イエスだと思います。

まず舞台裏的に考えてみます。アンソロジー第1作目の『ローグ・ワン』のストーリーはエピソード4におけるデススターの設計図奪還を描くもの。それが既にあのオープニングクロールで説明されているので、実写化は特に必要ないはずでしたが、実際に公開されてみるとあの完成度。

f:id:the-Writer:20170506210804j:plain

一度やると決めた以上、ルーカス・フィルムのスタッフの方々は本気で情熱を持って取り組み、最高の出来に仕上げるので、やはりどうせなら製作した方が良いでしょう。

 

次にストーリー的に考えてみます。

エピソード3『シスの復讐』ラスト、生き残ったオビ=ワンとヨーダは暗黒面に堕ちたアナキンから、彼の子供たちを隠すことに決めました。ここでヨーダのアドバイスを受け、フォースの冥界より戻ってきたかつての師クワイ=ガンからフォースと一体化する術を学びつつ、タトゥイーンでルークをしかるべき時まで守り続ける道を選びます。

f:id:the-Writer:20170506211019j:plain

そこからタトゥイーンでの地道で長く、重要な時間を過ごすことになります。その中で幼いルークを陰ながら守り続ける様子が、コミック『オビ=ワン・ケノービの日誌』や、アニメ『反乱者たち』シーズン3で描かれることとなります。そしてエピソード4でいよいよルークと共にタトゥイーンから脱出し、デススター内でシス卿ベイダーと刃を交え、肉体を捨てることとなりますが……

やはり何かが19年の間に起こったような気がします。そもそも、ルークをひたすら守り続けた動機は何なのか。「アナキンの子供がいずれ成長してシスに打ち勝つから」なのでしょうが、エピソード3では明言はされません。僕はここを敢えて、何かそれ以上の意味が込められていたのかもしれない、と深読みをしたいのです。また『反乱者たち』シーズン3にて、「彼(ルーク)が『選ばれし者』だ」と発言しています。「選ばれし者」はアナキンだったはずが、いつの間にかルークにすり替わっているのです。「シスに打ち勝つ=フォースにバランスをもたらす」からルークに「選ばれし者」の名前を与えてよいのか?やはりこれ以上に何か深い理由がほしいところ。そして、エピソード4では、悲劇の決戦を演じたエピソード3から一転、何の躊躇もなくベイダーを敵とみなして戦っています。

f:id:the-Writer:20170506211308j:plain

「アナキンはジェダイからシスに転向したのだ」という事実を19年の間に受け入れたのでしょうが、何せオビ=ワンとアナキンは14年も苦楽を共にしました。その過程をすっ飛ばさないでほしい!ユアン・マクレガーによる悲痛な演技が見たいです。

 

そんなわけで、オビ=ワンのスピンオフは是非とも製作されるべきである!というのが結論です。

starwars.disney.co.jp

 

 

……しかし、このエピソード3~4間の空白の19年間のオビ=ワンのストーリーは語られるべきとはいえ、大きな障害があります。彼は、新たなる希望であるルークを守るため、タトゥイーンを片時も離れられないということです。(タトゥイーンはただでさえゴロツキがうろついていて治安が悪いので、成長して自分の足で歩くことを覚えた幼いルークを襲う危機が、『オビ・ワン=ケノービの日誌』で描かれています)このままだと、様々な惑星をめぐる旅や、新キャラクター達との交流といった、SWならあるべき最低限の展開すら危ういのです。ということで、なんとか捻り出したストーリーの元、あってほしい展開を述べていきますね(´・ω・)y--~~ヤレヤレ

 

クワイ=ガンが登場する

やはり、オビ=ワンを主役にするならこのお方は不可欠と思われます。

落ち着きながら堂々とした風貌、ジェダイ評議会からの命令をも無視する独立した傾向____いかにもジェダイ・マスター然としながら評議会の中では異端児という彼は、個人的に好きなジェダイの1人です。そして、オビ=ワンが真に心を開ける師匠であるのでやはり彼が本作品に出るのは必然かと。

f:id:the-Writer:20170507102014j:plainまた、そうでもしないと(見込まれる展開だと)ただでさえ喋る相手がいないオビ=ワンが完全に孤独になってしまうので……

また、フォースと一体化した彼ならフォースを通じて、フォースに関する何らかの真髄を教えてくれそうです。ただし、彼はフォースと一体化する術の修行半ばで命を落としたので、フォースが強い場所でないと姿を現すことができません。これは後述の2つのお話に繋がります

 

タトゥイーンには実はジェダイ寺院があった

これが本当になったら衝撃でしょう。ただ、これまでのエピソードの展開上、タトゥイーンのジェダイ寺院は必要とされなかったので、決して矛盾した設定ではないと思うのです。アナキンが生まれ、そして息子のルークもここで育つので、フォースのパワースポット?のような設定がタトゥイーンに秘められているのかも。

寺院ならフォースが集中する場所なので、クワイ=ガンが姿を現せますし、彼との交信も容易になり、ルークに危機が迫っても察知しやすい。本当にタトゥイーンから出られないならば、この寺院でフォースのヴィジョンを通じて、様々な修行が可能になります。そして、思うに忘れ去られた古代のジェダイ寺院という設定な気がします。これも後述のお話に繋がりますが……

大砂原に住居を構えた後、オビ=ワンがクワイ=ガンの声に導かれ、砂に埋もれた古代の寺院を見つけ(なんともインディ・ジョーンズ的)、「タトゥイーンにこんな場所があっただなんて……」と驚きを隠せない展開を妄想せずにはいられません。

 

アナキンがベイダーになったことを受け入れる

アナキンといえば、ナブーからアミダラ王女を連れて脱出した際、途中で船を治すために立ち寄ったタトゥイーンの部品屋で偶然見つけた奴隷の少年。彼に強いフォースを感じたクワイ=ガンにより、「選ばれし者」であると見出されたアナキンは、クワイ=ガンからオビ=ワンに受け継がれます。

f:id:the-Writer:20170507101903p:plain

オビ=ワンにとって、アナキンは自分が最も信頼していた死にゆく師匠から託されたものだったのです。亡き師匠のためにも、最初は反発気味だった評議会を説得して、アナキンにジェダイの修行を施すこととなります。

f:id:the-Writer:20170507104935j:plain

同じ時をコルサントジェダイ聖堂の屋根の下で過ごし、クローン大戦という戦争をずっと戦っていくうち、アナキンとは師弟であり、親子であり、兄弟であり、親友であるという唯一無二の信頼関係が結ばれるのですね。

f:id:the-Writer:20170507105046j:plain

アナキンにとってそうでったように、オビ=ワンにとってもアナキンは家族だったのです。しかし、状況が生んだ悲劇なのか、シス卿のシディアス=パルパティーンの策略により、承認や愛への渇望という心の隙間に付け込まれたアナキンはジワジワとフォースの暗黒面へと引きずり込まれていたのです。そして、マスター・ウィンドウの右腕を切り落としてしまったアナキンは、シスのダース・シディアスに、師としての忠誠を誓い、ベイダーの名のもとにジェダイたちを皆殺しにしていくのです。

一方、その真実をホログラムで見たオビ=ワンのショックは、『シスの復讐』の映像ではわからないほどに深く、衝撃だったはずです。しかし、アナキンを止めないと銀河が危ない。アナキンを想う気持ちを押し殺して、オビ=ワンは辺境のムスタファーで悲劇の決戦に挑むのです。

f:id:the-Writer:20170507110644j:plain

憎しみのこもった目つきで、よく見知っている青いライトセーバーをよく見知っているフォームでたたきつけてくるアナキンの姿は、後からオビ=ワンをどれほど苦しめたでしょうか?自分でアナキンの残った手足を切り落とし、彼が地面にはいつくばってマグマの火に焼かれてあげた痛々しい叫びはいつまでも耳に残ったはずです。オビ=ワンにとっては、トラウマを残しながらもアナキンとの決着がついたはずでしたが……

f:id:the-Writer:20170507112309j:plain

 

決着がついたと思っていたアナキンが、不気味な黒いマスクを被って全身サイボーグ化して、シスの赤いライトセーバーを持ってベイダー卿として生き延びていることを知った時、オビ=ワンが覚えた悲しみとショックはどんなものだったのか。アナキンがシスに転向したことを知った時以上に、衝撃は深かったと思います。

エピソード4、恐らくオビ=ワンとベイダーはムスタファー以来顔を合わせていないので、深紅のセーバーを構えて迫ってくる漆黒の影を、アナキン(だったもの)と認識して即対応に移るのも少し違和感があります。何らかの経緯で、「アナキンがまだ生きている」と知っていたならしっくりきますが……

その事実を知る経緯は、やはりフォースを通じてか、クワイ=ガンによる導きか。

 

これを、是非ともユアン・マクレガーによる演技で、オビ=ワンがいかにアナキンへの想いを手放したのかという過程をじっくりと観たいのです。エピソード4以降のベイダーに対するあの突き放したかのような態度の裏にはどれほどの葛藤があったのか。これはオビ=ワンのスピンオフで描くしかないでしょう。

 

 

エピソード8,9を補完する

オビ=ワンがタトゥイーンを離れられないという制約上、起伏がない味気ないストーリーになりそう☞フォースを通じた精神的な冒険がメインになる……

ここに、僕はエピソード7~9の続三部作のストーリーを絡むのではないか、と思います。『ローグ・ワン』で突如登場した「ウィルズ」は恐らく、エピソード8で明かされるフォースの何らかの真実と関係があるはず。カノン(正史)では、クワイ=ガン・ジンはフォースの女僧たちからフォースと一体化する術を習ったとされています(アニメ『クローン・ウォーズ』シーズン6より)。

f:id:the-Writer:20170507140906p:plain

一方、レジェンズ(非正史)では、ウィルズのシャーマンという集団から習ったことになっています。

これが、クワイ=ガンの項との繋がりです。この時点で、フォースと一体化しているのはクワイ=ガンのみ。フォースそのものとなっている彼なら、フォースを通じて、ジェダイとシスの闘争を超えた何かを垣間見、知っているでしょう。そこに、ルークが「選ばれし者」と呼ばれる理由があれば。「選ばれし者」という言葉には、今僕らが知っている以上の、何か深い歴史や意味があるとすれば(これには恐らくウィルズも含まれるはず)。

f:id:the-Writer:20170507141409j:plain

ここでオビ=ワンが知る「何か」なら、タトゥイーンでの19年にもなる隠遁生活の動機となるには十分と言えます。ルークに、「君の父親はベイダーに殺された」と教える顔の裏には、更にまだ何かが隠されている気がしてなりません。その「何か」を見込んだうえで、フォースと一体化し、帝国が崩壊してファースト・オーダーとして戻ってきた時、エピソード8の考察に書いた通り、レイのもとに霊体として姿を現し、その「何か」を明かす……

f:id:the-Writer:20170509211110p:plain

時系列的にはプリクエルの直後であり、まだオリジナルが始まる前だというのに、シークエルのストーリーが動き出しているとすると、興味深いと思います。

 また、このスピンオフが製作されるならば、エピソード9よりも後になります。シークエル・トリロジーも完結して(恐らく)ほとんどの謎が明かされた後なので、役割的にはオリジナルとシークエルを裏側から補完するものになると思われます。言い方を変えれば、背後で動くストーリーを別視点で描くことにもなるわけです。ユアン・マクレガーも意欲がある以上、是非とも実現ほしいところですが……

 

 

 

 

以上、いかがでしたでしょうか。

トーリーを作るのは厳しいところがありますが、以上に挙げたようなものを例に、可能性はあるので実現した時、どんな代物に仕上がるのか楽しみです。

「守護者」であるオビ=ワンが、もう一度その青いライトセーバーを起動するときは来るのか。僕はその時を楽しみに待とうと思います。

starwars.disney.co.jp