『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想 パート2

 

(前回の記事であるパート1はコチラ↓)


 

えー、元々一本の記事として仕上げる予定だったのですが、〈映画的視点〉〈スターウォーズ的視点〉の二つを一つに詰め込もうとすると膨大な量になってしまいますので、このように前後に分けた次第でございます( ゚Д゚)y─┛~~

スターウォーズ的視点とは、つまり他の様々なSWの作品の設定を絡めて、『エピソード5/帝国の逆襲』の気になったところを語っていくつもりです。まだSWを知ったばかりという方が本記事を読んでいたらマニアックすぎる内容に閉口したりついていけなかったりするかもしれませんのでご了承くださいませ~

もっとも、これを読んで他の作品にも興味を持っていただけたりすれば一番うれしいです(*´ω`*)

 

スターウォーズ的視点〉編

 

ルークがフォースを使う

エピソード4でオビワンに短い時間ながらフォースの手ほどきを受け、体に流れるフォースを感じることはできたルーク。しかし、デススター内でオビ=ワンは命を落とし、ルークは(ある意味で)「選ばれし者」という大きな役割を持ちながらすぐに師を失ってしまい、特殊なケースのパダワンなのですね。f:id:the-Writer:20170529160036j:plainヤヴィンの戦いから間も無く、同年代の女性であるナカリ・ケレンとの冒険や、惑星デヴァロンのジェダイ寺院での修行を通じて、独学である程度の物体移動などそれなりにフォースを使えるようになりました。観客にとっては何気ない、ルークがセーバーを左手に引き寄せるシーンに至るまでに大きな努力と苦労があったのです。

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AT-AT

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地平線から徐々に迫り、反乱軍の基地に進撃を行う帝国軍で1,2を争うレベルで有名な地上戦用兵器です。通常の砲撃を全く受け付けず、しかし着実にその足を勧めてくると共に緊張も高まってきます。気づけばボスの地表にいたAT-ATですが、ゴザンティ級クルーザーによる輸送で着地したのでしょうか?

f:id:the-Writer:20170529160719p:plainまた、スカリフでシタデルタワー防衛に当たっていたAT-ACTの群以上に多い5台ですから、ベイダーがいかにルーク・スカイウォーカーの確保にご執心かがよくわかります。

 

基地内のベイダーf:id:the-Writer:20170529160833j:plain

いよいよホスの秘密基地に踏み込んだベイダー。その時、未だハンとレイア(とC-3PO)がファルコン号に乗ろうと基地内を走り回っていたので、実はけっこう距離が近い追いかけっこだったのです。この時、もしも一歩間違えて鉢合わせてしまっていたら……

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ローグ・ワン』で観た通り、ブラスターのビームを全く寄せ付けず、赤いセーバーで惨殺されていたはずです。何の偶然か狭い廊下という似たような状況でしたが、なかなかギリギリでしたね。


C-3PO

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今回3POがついていったのはハンとレイアという主張が強い2人だったので、「黙ってろ!」と言われる事が多い不憫な役回りでしたが……不安と緊張漂う雰囲気の中、本人はいたって真面目ながらコミカルにそれらを和らげてくれ、なくてはならない存在だったと思います。個人的には好きなキャラクターで、横に置いておきたいドロイドです(笑)

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ちなみにエピソード5前の話を描く小説『ジェダイの剣術を磨け!』では、ルークがC-3POの事を、「3POの製作者はどこかの回路を逆さまにつけ間違えているに違いない」と心の中で呟く愉快なシーンがあります。
その後、3POはクラウドシティ内で間違えてストームトルーパーの小隊に鉢合わせ、撃たれて全身バラバラになってしまいましたが……一度ジオノーシスの戦いで首だけで生きていた事もありましたから大丈夫ですね。
問題はチューイたちが入っていた牢獄に、なぜ(バラバラになった)C-3POがいたのかという事。ハン達がベイダー待ち受ける食堂に行く前に、C-3POは滞在部屋に置いていっているハズなのです。

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実はこれを補完するかのように小噺的ショートコミックがありまして……

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……そういえば3POは9歳のアナキン少年が忙しい母を助けるために作ったお手伝いドロイドだったんですよね。本当に親孝行な、家族思いな子でした。フラッシュバックのごときアナキン時代の記憶を押し殺し、ベイダーは3POを牢獄に送るように命じます。

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今やレジェンズのコミックで、本当かどうかはわからないものの、もしかしたら……というまさにレジェンズ=伝説のお話です。その後、ハンが炭素冷凍される際にベイダーが3POに無反応なのも説明がつきます(とはいえ3POを背負っていたチューイの奇跡的な立ち回りで3POはベイダーからはよく見えない位置にいるのですが)

この3POに関する出来事や、後述のルークに対するベイダーの父性を合わせて考えると、この時すでにベイダーの中には勇敢で仲間思いのジェダイアナキン・スカイウォーカーが甦りつつあったのかもしれませんね。

 オマケ:3POの相棒ということで、R2-D2について。

ルークのX-Wingのソケットに収まるR2を見ていて、かつてアナキンのジェダイ・スター・ファイターのソケットに収まっていた頃を思い出してしまいました。f:id:the-Writer:20170529163610j:plain

 

グランド・ジェダイ・マスター

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銀河帝国元老院議場でダース・シディアスを始末し損ね、惑星ダゴバに隠遁を初めてから22年。いよいよルークがダゴバを訪れ、ヨーダはというと……

「ヒッヒッヒッ!」「わしのじゃ!わしのじゃ!」

オビ=ワン&クワイ=ガン「( ゚Д゚)ポカーン

どうしてこうなった

一風変わった原住民を演じることで、ルークのありのままの内面を探る魂胆だったのでしょうか。クローン大戦時下やジェダイ評議会ではとても見られなかったお茶目な一面です。彼としては帝国のトップとして君臨しているシス卿に対抗できる最後の希望として、タトゥイーンに隠した「新たなる希望」をずっと待っていた身であると考えられます。

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いざ来てみたその彼が、かなり短気な様子なので「この子は鍛えられない」と一時は拒否しかけます。シス卿を打ち倒す可能性を秘める最後の希望を捨てる、というのは一瞬「え?」となる決断です。しかしルークはヨーダの目には、幼少期からジェダイ聖堂で修行したわけでもなく、好奇心旺盛かつ感情に流されやすい若者である、とうつったのかもしれません。

結局オビ=ワンのアドバイスにより、ルークの修行をすることにはなりましたが。確かにルークはたびたびヨーダの指示に従わないことはあったものの、やはり目に見えないフォースを学び、修行する中ではいくつかの疑問は湧いてくるもの。質問をしたり、一度投げ出してしまったり、人間なら起きて当然の反応を示すルーク。これは僕にとってなのですが、そのルークに対するヨーダが一辺倒の姿勢であり、「疑念を持つな」「とにかく頑張れ」のように見えてしまうのです。確かにフォースの本質など、彼のアドバイスが重要なのはわかるのですが、その伝え方が何ともうまくないなぁと思うのですね。かつてコルサントジェダイ聖堂で、アナキンがパドメを失う悪夢を見て相談に来た際、ヨーダは「失うことを恐れるな」と答えます。

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それはアナキンが喪失を恐れ、親身な態度や具体的なアドバイスを欲していたことに対し、真逆の言葉でした。それぞれ異なる思考を持つ個人が個人を指導する教育というのはなかなか難しいですけれども……ヨーダはもう少しルークに親身になってもいいのでは、と思います。一度ルークの意見や疑問を否定せずに全て受け止めてから、ヨーダなりの教えを伝える、という感じですね。

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No, Luke. I am your Father.

追い詰められ、絶体絶命というルークにベイダーの口から発せられた言葉。最初はそれを口では拒否していても真実だとわかり、大きな衝撃をルークに与えます。

故郷のタトゥイーンで、ルークはオビ=ワンから父がかつてオビ=ワンと共に勇敢なジェダイであり、優秀なパイロットであったという話を聞かされました。帝国軍に育ての叔父と叔母を殺されてからは、話に聞いた父こそが憧れの人物であり、心の拠り所でった事でしょう。そして一瞬だったものの、デススター内で漆黒の大柄な人物が赤いライトセーバーでオビ=ワンを切り裂くのも目撃。オビ=ワンも失い、フォース=ジェダイの道に進むことを決意したルークは、暗中模索の手探り状態の中、父の背中を追うことになったわけです。それから3年の間、惑星ローディアでクローン大戦時代の父アナキンの輝かしい活躍を聞いたり、自分なりにジェダイの修行を行います。

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その間にも、度々「お前はジェダイだ」という趣旨の言葉を受けるたびに、ルークの中には「ジェダイになりたいがなれない、自分はジェダイじゃない」という苦悩が生まれます。

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何度かベイダーにも襲われもします。ルークの中で、ベイダーは恐ろしく、そして強い敵であり、いつかは倒すべき相手という認識が固まります。そうして、何とかいくらかフォースを使えるようになったルーク。ホスで野生のワンパに襲われ、吹雪の中で遭難寸前の時、オビ=ワンから「ダゴバ星系へ行け、そこでかつて私を指導したジェダイ・マスターのヨーダに教えを請うのだ」と言葉を受けます。ルークにとって、これは念願の、千載一遇のチャンスだったのです。これでやっと、本物のジェダイから修行を受けることが出来る。自分も父さんのようにジェダイになれる、と。そして仲間の危機を察知してジェダイの修行を放置してまでクラウドシティまで駆け付けたルーク。圧倒的な実力差で追い詰められたルークに、ベイダーのあの言葉です。

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その衝撃は、誰にも踏み込んでほしくなかった自分の領域が最悪の方法で侵され、自分がこれまでの3年間信じて積み上げてきたものをすべて破壊するほどに衝撃的だったことでしょう。

 

ベイダーはベイダーで、ルークが息子と知ったのはヤヴィンの戦いから実はそう時間は経っていない頃でした。その時、ベイダーは自分が暗黒面に踏み入れるきっかけとなった最愛の妻パドメと共に、自分の子供が死んだわけではないと知ります。

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むしろ自分並みに強いフォースを秘めており、自分と力を合わせれば皇帝だって倒せるかもしれない。まだ、自分には家族がいる……

曲がりなりにも、こうして彼はルークの追跡に執着することになります。そして、セーバーを交えることになったクラウドシティにて。彼は22年前、ムスタファーでパドメにしたように、ルークに「一緒に銀河を支配しよう」と誘いを持ち掛けます。

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途中までルークのことを「スカイウォーカー」と呼んでいましたが、ここに来ると「ルーク」と名前で呼ぶようになるのです。「ルーク」「仲間になれ、お前の修行を完成させてやる」「父と子として、ともに銀河を支配しよう」「私と来い」_______皮肉なことに、ベイダー≒アナキンがルークに父性を発揮したのは、この最悪な状況においてなのでした。そして……拒否されたのです。ルークは身投げをします。それを何もせずにむなしく見つめるのは、パドメさえも離れていった過去の記憶ゆえだったのでしょうか。

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以上、『エピソード5/帝国の逆襲』で個人的に気になったところをピックアップしてみました。よくつくりこまれている映像は、見るたびにまた違った発見や印象、驚きがあって楽しいです。

スターウォーズサーガの各作品は歴史の「転換点」といった重要な局面を取り上げていますが、唯一エピソード5は「全体」より「個」の人間同士に集中した一本かな、と感じます。だからこそルークやベイダーといった登場人物の心境を考えるのが面白いのです。

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スターウォーズというのは本当に壮大かつ小さな小道具一つに至るまで細かく作りこまれた世界なので、ファンたちに「何度も訪れたい」と思わせる力を持つのだと感じます。僕らにとってのスターウォーズとはまさしく、壮大でどこまでも広がるフォースの世界なのです。