レンの騎士団--ダークサイドの信奉者たち--

※注意※ 本記事は小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(原題)』の核心的なネタバレを含みます

 

エピソード6で帝国が倒れた後、最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカーは新世代のジェダイの育成のため、フォース感応者の子供たちを鍛え、ジェダイ・オーダーの再建に取り組みます。しかし、(恐らく)エンドアの戦いから24年後、新共和国元老院の「第一議員」を選出する選挙で、民衆に権利を分けようと主張する党派ポピュリストから立候補したレイア姫。その元老院で、銀河中に中継されている中「レイア・オーガナは他でもないダース・ベイダーの娘である」と禁断の秘密を暴露されます。帝国を倒した伝説のジェダイであり、英雄のルークと兄妹の関係にあることは既に知られているので、この衝撃はルークにも飛び火したはず。その結果、レイアの娘であり、弟子のひとりのベン・ソロが裏切り、仲間たちと共にニュー・ジェダイ・オーダーを壊滅させた、と言われています。

 

その集団こそが「レンの騎士団」であり、今回はそんな彼らの謎に迫ります(口調がNHKスペシャルっぽい)

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エピソード7『フォースの覚醒』本編からわかるのは、ベン・ソロ=カイロ・レンがこの集団を率いるリーダーであること。人数は7人、全員が黒い衣装をまとってマスクをかぶっています。ニュー・ジェダイ・オーダーを壊滅させたのは恐らく彼ら。なお、ダークサイドの象徴である赤いライトセーバーを持っているのはカイロ・レンのみ。他のメンバーは特徴的な鈍器などを持っています。(もう一つ、一番左のメンバーがジャンゴ,ボバ・フェット親子の賞金稼ぎに代表されるマンダロリアンのT字型のバイザーを持つヘルメットをかぶっているように見えません?)

 

突然ポッと出の集団ですが、エピソード6からの一年間、戦争の余波を描く小説『アフター・マス』三部作に、Acolytes of the Beyond=アコライツ・オブ・ビヨンドという集団が登場します。これは直訳すると、「あの世の信望者」となります。(the beyondという名詞形で「来世,あの世」を意味するそうです)

彼らはあちこちから過去のシスの遺物を集めたり、建物のカベにVader Lives「ベイダーは生きている」とラクガキをしたりとにかくフォースの暗黒面に陶酔している連中です。そんな彼らにも独自の考えがあり、特にシスのセーバーを手に入れると、それを破壊してあの世のシスへと還元するという行為を行っています。このアコライツにもグループを率いるリーダーがいます。また、それとは別に裏から全体を総括するまとめ役も。それはパルパティーン顧問のユープ・タシュでした。彼からもシスの遺物は供給されていたそうです。

アコライツのメンバーは基本的にただの人間ですが、リーダーのみはフォース感応者のようです。そのリーダーは過去のシスの遺物を手にすると、血なまぐさいフォース・ヴィジョンや怒り・憎しみといった負の力が体中を駆け巡るのを感じています。ちなみにこの人、ひと悶着あってシスの赤いセーバーを所有するに至ります。

一方で、アコライツのメンバーは若者たちで構成されていることを匂わせる描写です。ここで、現実世界のイスラム原理主義・過激派のISの例を参照してみましょう。

1つは信仰・宗教上の理由からです。シリア政府軍に弾圧され続けるイスラム教徒を守るための「聖なる戦い」だというのです。
2つ目は生活や社会への不満、孤立感を抱いていた人が自分居場所を求めてシリアに向かったケースです。イスラム教徒に対する偏見や差別、大学を出ても仕事につけず将来への希望が持てないことや、貧富の差が広がっていることなどに不満を抱える人たちにとって、その原因が政府や西欧の文明・価値観にあるとする過激派の主張は受け入れやすいのです。
3つ目が金目当てや、刺激を求めただ戦闘がしたいという人や仲間に誘われたという人もいます。軽い気持ちで過激派に加わった人たちです。

くらし☆解説 「若者がなぜ"イスラム国"へ?」 | くらし☆解説 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス

この「宗教に基づいた過激派組織」「若者たちで構成されている」というのは、ISと重なるところがあるのです。ではSWの世界で、何が若者をアコライツへの参加にそそのかしたのか。

エンドアの戦いの直後、ただでさえ帝国に搾取されていた市民たちは戦後の動乱で裕福で安全な暮らしを送っていたとは考えづらいでしょう。むしろ生活はその逆方向であり、ストリートチルドレンや孤児も珍しくなかったはずです。恐らくそのボロボロに弱った心に付け込んで「フォースの暗黒面の力は素晴らしいぞ」「俺たちに参加すれば仲間や富なんて山のように手に入る」「暗黒面の力だけがお前を幸せにできる」といった甘言を使い、若者たちを吸収してアコライツは膨れ上がったのではないでしょうか。こうして出来上がったアコライツ・オブ・ビヨンドとはフォースの暗黒面の若者の信奉者の集団、ということがわかります。

 

以上、あまり知られていないであろうアコライツの情報です。このアコライツ・オブ・ビヨンド、やたらレンの騎士団と似通っています。恐らく、クローントルーパー→ストームトルーパーのように、アコライツが騎士団の前身組織になったと思われます。血のような深紅のセーバーを持つリーダーはカイロ・レンに、総括役はタシュからスノークに移ったのです。さて、その過渡期についての推察になりますが_____

 

具体的な経緯は不明ながら、どうにかして帝国残党のトップにおさまったスノーク。その一方でタシュが去ったアコライツを引き継いだと思われます。アコライツを引き取るのは、スノークの「シス帝国の復活」という目的を考えれば、むしろ自然と言えるでしょう(詳しくはこちらの考察を→帝国の後継者 - the-Writerのブログ)アコライツのメンバー全員がフォースを使えなくても、シスの忠実な尖兵として使おうと画策していたのでしょうか。

いつ頃からかは不明ながら、帝国残党とアコライツを並行して率いるスノークは、ベン・ソロと接触します。アコライツにとって帝国の象徴かつ伝説のシス卿ダース・ベイダーの直系の孫は最高のコレクションではないでしょうか?実際にベンはどうだったのか。二人の反乱軍の英雄を両親に持つものの、職業上父ハン・ソロは銀河中を飛び回っており、母レイア・オーガナは新共和国の政治で忙しく、両親が家に不在。それに加え、母レイアは自分の兄であり、ベンにとって叔父のルークに預け、ジェダイの修行を強制します。この行為は、ベンにとって、母親が自分に歩み寄ってくるどころか捨てた、と感じさせるものだったのではないでしょうか?よって彼は心に闇を抱えるようになり、心のよりどころの一つになったのが、ベイダーです。弱り、渇望する心に禁忌の力は魅力的にうつり、その血が自分の体に流れている。そして、アコライツを引き連れたスノークが接触してきます。「私ならその夢をかなえてやれる」「私がお前の師になってやろう」「このアコライツはお前が率いるが良い」

ベイダーを嫌い、息子にジェダイになってほしかったレイアにとって、ベンが暗黒面に踏み入れるのは最高の復讐になります。これらの条件が重なり、ベンはカイロに改名し、アコライツ・オブ・ビヨンドは名前を改めてレンの騎士団となり、ニュー・ジェダイ・オーダーを滅ぼすに至るのです。また、「ただジェダイ・オーダーを復興しようとしても失敗してしまう……なぜなんだ」と思い悩むルークが探究の旅に出た末、惑星アク=トゥーの最初のジェダイ寺院にたどり着き、以前書いた考察(ポジションから読み解く『最後のジェダイ』の考察 - the-Writerのブログ)の経緯に至ると。

 

ただニュー・ジェダイ・オーダー壊滅の一夜にはまだ多少の謎が残ります。

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まだ発展途中とはいえ、エンドアの戦いから24年、パダワンもジェダイとしてはそれなりに強かったはずです(エピソード3でジェダイ抹殺の夜もパダワンが頑張っていましたよね)。そして何より当時最強のジェダイのルークもいます。それが、たった7人のダークサイドの信望者たちにやられてしまうのか。たとえ7人全員がフォース感応者でも分が悪いと思いますが……エピソード8『最後のジェダイ』ではその謎が明かされるとともに、ジェダイ・マスターであるルーク・スカイウォーカーとレンの騎士団の決戦にも期待したいところ。

 

以上、いかがでしたでしょうか。

個人的にレンの騎士団についての謎がだいぶスッキリしたので満足です!

これらの謎がエピソード8で明かされるのか、早く知りたくてたまりません( ゚Д゚)ハヤクコイハヤク