『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想 パート2
(前回の記事であるパート1はコチラ↓)
えー、元々一本の記事として仕上げる予定だったのですが、〈映画的視点〉〈スターウォーズ的視点〉の二つを一つに詰め込もうとすると膨大な量になってしまいますので、このように前後に分けた次第でございます( ゚Д゚)y─┛~~
スターウォーズ的視点とは、つまり他の様々なSWの作品の設定を絡めて、『エピソード5/帝国の逆襲』の気になったところを語っていくつもりです。まだSWを知ったばかりという方が本記事を読んでいたらマニアックすぎる内容に閉口したりついていけなかったりするかもしれませんのでご了承くださいませ~
もっとも、これを読んで他の作品にも興味を持っていただけたりすれば一番うれしいです(*´ω`*)
〈スターウォーズ的視点〉編
ルークがフォースを使う
エピソード4でオビワンに短い時間ながらフォースの手ほどきを受け、体に流れるフォースを感じることはできたルーク。しかし、デススター内でオビ=ワンは命を落とし、ルークは(ある意味で)「選ばれし者」という大きな役割を持ちながらすぐに師を失ってしまい、特殊なケースのパダワンなのですね。ヤヴィンの戦いから間も無く、同年代の女性であるナカリ・ケレンとの冒険や、惑星デヴァロンのジェダイ寺院での修行を通じて、独学である程度の物体移動などそれなりにフォースを使えるようになりました。観客にとっては何気ない、ルークがセーバーを左手に引き寄せるシーンに至るまでに大きな努力と苦労があったのです。
AT-AT
地平線から徐々に迫り、反乱軍の基地に進撃を行う帝国軍で1,2を争うレベルで有名な地上戦用兵器です。通常の砲撃を全く受け付けず、しかし着実にその足を勧めてくると共に緊張も高まってきます。気づけばボスの地表にいたAT-ATですが、ゴザンティ級クルーザーによる輸送で着地したのでしょうか?
また、スカリフでシタデルタワー防衛に当たっていたAT-ACTの群以上に多い5台ですから、ベイダーがいかにルーク・スカイウォーカーの確保にご執心かがよくわかります。
基地内のベイダー
いよいよホスの秘密基地に踏み込んだベイダー。その時、未だハンとレイア(とC-3PO)がファルコン号に乗ろうと基地内を走り回っていたので、実はけっこう距離が近い追いかけっこだったのです。この時、もしも一歩間違えて鉢合わせてしまっていたら……
『ローグ・ワン』で観た通り、ブラスターのビームを全く寄せ付けず、赤いセーバーで惨殺されていたはずです。何の偶然か狭い廊下という似たような状況でしたが、なかなかギリギリでしたね。
今回3POがついていったのはハンとレイアという主張が強い2人だったので、「黙ってろ!」と言われる事が多い不憫な役回りでしたが……不安と緊張漂う雰囲気の中、本人はいたって真面目ながらコミカルにそれらを和らげてくれ、なくてはならない存在だったと思います。個人的には好きなキャラクターで、横に置いておきたいドロイドです(笑)
ちなみにエピソード5前の話を描く小説『ジェダイの剣術を磨け!』では、ルークがC-3POの事を、「3POの製作者はどこかの回路を逆さまにつけ間違えているに違いない」と心の中で呟く愉快なシーンがあります。
その後、3POはクラウドシティ内で間違えてストームトルーパーの小隊に鉢合わせ、撃たれて全身バラバラになってしまいましたが……一度ジオノーシスの戦いで首だけで生きていた事もありましたから大丈夫ですね。
問題はチューイたちが入っていた牢獄に、なぜ(バラバラになった)C-3POがいたのかという事。ハン達がベイダー待ち受ける食堂に行く前に、C-3POは滞在部屋に置いていっているハズなのです。
実はこれを補完するかのように小噺的ショートコミックがありまして……
……そういえば3POは9歳のアナキン少年が忙しい母を助けるために作ったお手伝いドロイドだったんですよね。本当に親孝行な、家族思いな子でした。フラッシュバックのごときアナキン時代の記憶を押し殺し、ベイダーは3POを牢獄に送るように命じます。
今やレジェンズのコミックで、本当かどうかはわからないものの、もしかしたら……というまさにレジェンズ=伝説のお話です。その後、ハンが炭素冷凍される際にベイダーが3POに無反応なのも説明がつきます(とはいえ3POを背負っていたチューイの奇跡的な立ち回りで3POはベイダーからはよく見えない位置にいるのですが)
この3POに関する出来事や、後述のルークに対するベイダーの父性を合わせて考えると、この時すでにベイダーの中には勇敢で仲間思いのジェダイ、アナキン・スカイウォーカーが甦りつつあったのかもしれませんね。
オマケ:3POの相棒ということで、R2-D2について。
ルークのX-Wingのソケットに収まるR2を見ていて、かつてアナキンのジェダイ・スター・ファイターのソケットに収まっていた頃を思い出してしまいました。
グランド・ジェダイ・マスター
銀河帝国元老院議場でダース・シディアスを始末し損ね、惑星ダゴバに隠遁を初めてから22年。いよいよルークがダゴバを訪れ、ヨーダはというと……
「ヒッヒッヒッ!」「わしのじゃ!わしのじゃ!」
オビ=ワン&クワイ=ガン「( ゚Д゚)ポカーン」
どうしてこうなった
一風変わった原住民を演じることで、ルークのありのままの内面を探る魂胆だったのでしょうか。クローン大戦時下やジェダイ評議会ではとても見られなかったお茶目な一面です。彼としては帝国のトップとして君臨しているシス卿に対抗できる最後の希望として、タトゥイーンに隠した「新たなる希望」をずっと待っていた身であると考えられます。
いざ来てみたその彼が、かなり短気な様子なので「この子は鍛えられない」と一時は拒否しかけます。シス卿を打ち倒す可能性を秘める最後の希望を捨てる、というのは一瞬「え?」となる決断です。しかしルークはヨーダの目には、幼少期からジェダイ聖堂で修行したわけでもなく、好奇心旺盛かつ感情に流されやすい若者である、とうつったのかもしれません。
結局オビ=ワンのアドバイスにより、ルークの修行をすることにはなりましたが。確かにルークはたびたびヨーダの指示に従わないことはあったものの、やはり目に見えないフォースを学び、修行する中ではいくつかの疑問は湧いてくるもの。質問をしたり、一度投げ出してしまったり、人間なら起きて当然の反応を示すルーク。これは僕にとってなのですが、そのルークに対するヨーダが一辺倒の姿勢であり、「疑念を持つな」「とにかく頑張れ」のように見えてしまうのです。確かにフォースの本質など、彼のアドバイスが重要なのはわかるのですが、その伝え方が何ともうまくないなぁと思うのですね。かつてコルサントのジェダイ聖堂で、アナキンがパドメを失う悪夢を見て相談に来た際、ヨーダは「失うことを恐れるな」と答えます。
それはアナキンが喪失を恐れ、親身な態度や具体的なアドバイスを欲していたことに対し、真逆の言葉でした。それぞれ異なる思考を持つ個人が個人を指導する教育というのはなかなか難しいですけれども……ヨーダはもう少しルークに親身になってもいいのでは、と思います。一度ルークの意見や疑問を否定せずに全て受け止めてから、ヨーダなりの教えを伝える、という感じですね。
No, Luke. I am your Father.
追い詰められ、絶体絶命というルークにベイダーの口から発せられた言葉。最初はそれを口では拒否していても真実だとわかり、大きな衝撃をルークに与えます。
故郷のタトゥイーンで、ルークはオビ=ワンから父がかつてオビ=ワンと共に勇敢なジェダイであり、優秀なパイロットであったという話を聞かされました。帝国軍に育ての叔父と叔母を殺されてからは、話に聞いた父こそが憧れの人物であり、心の拠り所でった事でしょう。そして一瞬だったものの、デススター内で漆黒の大柄な人物が赤いライトセーバーでオビ=ワンを切り裂くのも目撃。オビ=ワンも失い、フォース=ジェダイの道に進むことを決意したルークは、暗中模索の手探り状態の中、父の背中を追うことになったわけです。それから3年の間、惑星ローディアでクローン大戦時代の父アナキンの輝かしい活躍を聞いたり、自分なりにジェダイの修行を行います。
その間にも、度々「お前はジェダイだ」という趣旨の言葉を受けるたびに、ルークの中には「ジェダイになりたいがなれない、自分はジェダイじゃない」という苦悩が生まれます。
何度かベイダーにも襲われもします。ルークの中で、ベイダーは恐ろしく、そして強い敵であり、いつかは倒すべき相手という認識が固まります。そうして、何とかいくらかフォースを使えるようになったルーク。ホスで野生のワンパに襲われ、吹雪の中で遭難寸前の時、オビ=ワンから「ダゴバ星系へ行け、そこでかつて私を指導したジェダイ・マスターのヨーダに教えを請うのだ」と言葉を受けます。ルークにとって、これは念願の、千載一遇のチャンスだったのです。これでやっと、本物のジェダイから修行を受けることが出来る。自分も父さんのようにジェダイになれる、と。そして仲間の危機を察知してジェダイの修行を放置してまでクラウドシティまで駆け付けたルーク。圧倒的な実力差で追い詰められたルークに、ベイダーのあの言葉です。
その衝撃は、誰にも踏み込んでほしくなかった自分の領域が最悪の方法で侵され、自分がこれまでの3年間信じて積み上げてきたものをすべて破壊するほどに衝撃的だったことでしょう。
ベイダーはベイダーで、ルークが息子と知ったのはヤヴィンの戦いから実はそう時間は経っていない頃でした。その時、ベイダーは自分が暗黒面に踏み入れるきっかけとなった最愛の妻パドメと共に、自分の子供が死んだわけではないと知ります。
むしろ自分並みに強いフォースを秘めており、自分と力を合わせれば皇帝だって倒せるかもしれない。まだ、自分には家族がいる……
曲がりなりにも、こうして彼はルークの追跡に執着することになります。そして、セーバーを交えることになったクラウドシティにて。彼は22年前、ムスタファーでパドメにしたように、ルークに「一緒に銀河を支配しよう」と誘いを持ち掛けます。
途中までルークのことを「スカイウォーカー」と呼んでいましたが、ここに来ると「ルーク」と名前で呼ぶようになるのです。「ルーク」「仲間になれ、お前の修行を完成させてやる」「父と子として、ともに銀河を支配しよう」「私と来い」_______皮肉なことに、ベイダー≒アナキンがルークに父性を発揮したのは、この最悪な状況においてなのでした。そして……拒否されたのです。ルークは身投げをします。それを何もせずにむなしく見つめるのは、パドメさえも離れていった過去の記憶ゆえだったのでしょうか。
以上、『エピソード5/帝国の逆襲』で個人的に気になったところをピックアップしてみました。よくつくりこまれている映像は、見るたびにまた違った発見や印象、驚きがあって楽しいです。
スターウォーズサーガの各作品は歴史の「転換点」といった重要な局面を取り上げていますが、唯一エピソード5は「全体」より「個」の人間同士に集中した一本かな、と感じます。だからこそルークやベイダーといった登場人物の心境を考えるのが面白いのです。
スターウォーズというのは本当に壮大かつ小さな小道具一つに至るまで細かく作りこまれた世界なので、ファンたちに「何度も訪れたい」と思わせる力を持つのだと感じます。僕らにとってのスターウォーズとはまさしく、壮大でどこまでも広がるフォースの世界なのです。
『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想 パート1
『スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』は1980年公開の、監督:アーヴィン・カーシュナー、脚本:ローレンス・カスダン、製作総指揮:ゲイリー・カーツによるオリジナル・トリロジー第二作。僕の主観的な話なのですが、「一番面白いスターウォーズはどれ?」という質問に、多くのファンは「帝国の逆襲」と答えていたと思います。また、「シリーズで一番好き」という声も多かったです。
僕はスターウォーズで一番楽しいのは『エピソード4/新たなる希望』と思っているんですね。
なぜなら『インディ・ジョーンズ』さながらの爽快な冒険活劇であり、それなりに話が完結するので一本の単品映画としても見られるからです。一方で、今まで『帝国の逆襲』と言えば、地味で色味含めて少し暗く、何とも「堅く」、主人公たちの敗走劇という印象がありました。
SWサーガに属する一本なので、もちろん『帝国の逆襲』も好きでしたが、今年の年末にシークエル・トリロジー第二作(←ココ重要)『最後のジェダイ』公開を控えています。元々のファン達による高い評価を理解し、より好きになろうという思いからも、本記事の執筆に至りました。
そこで『帝国の逆襲』の感想は、「映画的視点」の分析(のような何か)と「SW的視点」の解説(のようなry)による、前後編の二部作(のよry)で行こうと思います。僕の感想を交えながら進めていきますね。
〈映画的視点〉編
新しいメカや舞台
前作エピソード4でデススターが盛大に爆破され、まさに絵にかいたようなハッピーエンドを迎えてからどうなったのか?あれから3年、物語の舞台はある惑星に帝国の偵察ドロイドが送り込まれるところから始まります。
エピソード4の湿度と気温が共にすごい不快な熱帯のヤヴィン4から一転、観ているだけで寒々しい一面真っ白の雪の惑星ホスに、反乱同盟軍は秘密基地を新たに設置しました。
また、主人公のルークが訪れることになる、森が鬱蒼と茂る常に薄暗く不気味な惑星ダゴバ。一方で帝国から逃げるハン達が訪れる空中都市が浮かぶ惑星べスピン。特に空中都市はSWならではの独創的なフォルムです。
エピソード4に登場した惑星はタトゥイーン、オルデラーン、ヤヴィン4(厳密には衛星ですね)くらいでしたが、それらとはまた別に様々な特徴を持つ惑星が登場し、スター・ウォーズには多種多様な惑星が存在する、という事を知らしめてくれます。
メカに関しては、おなじみのミレニアム・ファルコンやX-Wingに加えて、寒冷対策を施したより身軽な戦闘機スノー・スピーダーや、コッペパンのような形の輸送船がお披露目です。一方の帝国は、スター・デストロイヤーに加えて超巨大な旗艦スーパー・スター・デストロイヤーや、地上戦専用のAT-ATも登場。AT-ATは、SWを代表するくらいに有名で特徴的なシルエットですね。
移動速度はそこまで早くないもの、放たれる一発一発の威力が高く、反乱軍を叩き潰そうと着実に迫ってくる帝国の脅威として、うまく役割を果たしていたと思います。実はスター・デストロイヤー艦内の様子や帝国のマーチなどが登場するのも今作が初だったり。
魅力的な新キャラ達
帝国の追手を振り切ろうと新たな道を進んでいくルークとハン&レイアの前に、それぞれ新キャラクターが登場します。
偉大な戦士であり、オビ=ワンを指導したという緑色の小柄なジェダイのヨーダ。その一方でベイダーの師であり、前作でも存在が言及された銀河帝国の皇帝。ルークのジェダイとしての修行を指導するのは、ジェダイで恐らく最強クラスのマスター・ヨーダ。ホログラムで姿を現したのは、ベイダーが膝をつく相手であることから暗黒面最強クラスの皇帝。ルークが足を踏み入れたフォースの世界で、それぞれの大御所が登場したのです。
帝国から逃亡するハンをかくまったのは、空中都市の執行官であり、ギャンブラーでハンとは旧知の友というランド。帝国は銀河全域を支配しており、いつどこにいても何となく落ち着かない不安と焦燥感にかられるような情勢です。ようやく足を落ち着けた場所はハンの旧友とはいえ、ギャンブラーであり、どことなく胡散臭いといいますか、信用が置けない感じです。
また、後に大人気となるT字型のバイザーを持つヘルメットをかぶった賞金稼ぎのボバ・フェット。作中で描かれるボバ=フェットの功績は、ミレニアム・ファルコンをベスピンまで追跡するということくらいではありますが。
これらの登場人物は、よりストーリーを予想外の方向に向け、深みを与えてくれます。
新キャラだけでなく、2作目ともなると1作目から続投するキャラクターたちは成長を遂げ、互いの間にも関係が確立され、変化していく様も描かれます。それらに集中するためか、ストーリーはジェダイの修行を積むルークと、帝国軍から逃げるハンとレイアの二手に分かれますね。
エピソード4ではフォースをまともに使えたのはヤヴィンの戦いでもはやまぐれのような感じだったものの、今回はその能力をある程度は発現させ、ライトセーバーを引き寄せたり、石ころや自分の体を支えることに成功しています。また、出会った仲間や友達を大切にしており、彼らを思う心が強いという一面も描かれたり、タトゥイーン出身の若者の内面が掘り下げられていました。
ハンとレイアは、一見正反対の二人ですが惹きあい、恋人同士になる展開です。前作では未だ出会ったばかりということもあり、多少の壁がありましたが、それから3年が経ち、お互いのことをよくわかり、慣れてきた感じがします。お互いに対してツンツンしていて口ではひどいことも言いますけど、なんだかんだで愛し合う二人はどこか応援したくなったり。
そしてベイダー。
極限まで低い声と呼吸音の不気味な喋り方で観るものを震えさせます。大柄な体でマントをはためかせ、失敗した部下を容赦なく処刑する姿は、まさに「悪役」そのもの。前作エピソード4からその恐ろしさが進化し、よく引き立っています。彼のマスクの下には過去をほのめかす凄まじい様の頭がチラッと見え、後に彼の衝撃の事実も明らかになりますが……
下降気味のストーリー
本文で何回も繰り返している表現ではありますが、本作『帝国の逆襲』は主人公たちの敵からの敗走劇です。よって雰囲気もどことなく暗めではあります。ルーク、ハン、レイアは敵に殺されることはないものの、結局何らかの形で敵につかまり、傷つけられます。物語終盤、まさかのハンが炭素冷凍という、初見ではショッキングな仕打ちを受けた上に敵に連れ去られますよね。
中でも特筆すべきは、ジェダイの修行半ばで仲間たちを助けるために駆け付けたルークがベイダーと対決し、そのまま敗北してしまうことではないでしょうか。映画だから、ファンタジーだからといって、修行半ばの力で強敵に勝てるわけでなく、負けてしまうというのが一種のリアルさを感じさせます。
この主人公が敵に敗北するという展開。本作はある意味「挫折・敗北の物語」ともいえるでしょう。これはのちに作られる様々な映画の続編に、ちょうど黒澤明監督の映画のように大きな影響を与えたのではないでしょうか。2作目は、1作目から発展して新しいキャラクターや設定で世界観を広げつつも、暗く、よりハードな展開になる、というものです。今やメディア・サイトが「2作目」を撮る監督などにインタビューをすると、「『帝国の逆襲』調になる」というセリフが多々聞かれます。そして、DVDなどの音声解説に収録されていますが、「『帝国の逆襲』は特殊で、途中から始まり、途中で終わる物語だ」と語られています。
確かにそうなのですが、主人公たちを二手に分けたことによって展開される二つの冒険、より現実的でしっかりとした展開、さりげなく次回作に向けて張られる伏線など、単品映画としての完成度がまたしても高いのです。
多くのファンたちの心を惹きつけるのは、SWに持ち込まれたより現実的でハードなストーリー、なお希望も残すエンディング、拡大された世界、堅実な演出の数々など、脚本などをはじめとする製作陣の様々な努力によるものでしょう。
最後に、コチラの記事↓
製作の舞台裏の話に興味がある方は是非!とてもわかりやすく、興味深いので次から『帝国の逆襲』を見る際には製作陣の血のにじむような努力に思いをはせずにはいられませんよ。
以上、僕なりの『帝国の逆襲』の映画的視点による分析でした。
監督、脚本などにジョージ・ルーカス以外の外部の優秀な人間が加わったことにより、『帝国の逆襲』は『新たなる希望』の続編、スターウォーズ オリジナル・トリロジーの次章というだけでなく、映画としても優れた一本に仕上がったのだと思います。
次に〈スターウォーズ的視点〉編がございますので、興味がある方はお読みくださいませ~(2017/6/10公開予定)
追記:〈スターウォーズ的視点〉が書けました、コチラ↓になります~
僕が好きだったスターツアーズ
こんにちは、今日は思い出話ともつかぬスターツアーズについての思いをつらつら語っていこうと思います。2013年に「スターツアーズ ザ・アドベンジャー・コンティニューズ」としてリニューアルしたディズニーランドの本アトラクション。
現在は映像がフルでCGアニメになりながらもそれを感じさせず、途中何回か複数のコースに分岐するので様々なストーリーも楽しめ、以前からパワーアップしたわけですが。
僕は以前のスターツアーズも大好きで、できればそのまま残すか新スターツアーズに組み込んで欲しかったと思うのです。なぜそう思うのか、僕が思う何点かの魅力をあげていきますね。
ストーリーが良い
エピソード6の後、スターツアーズのツアーに参加したゲスト達はパイロットの度重なるミスによって基地の中でクラッシュしかけたり彗星の中に突っ込んだり、ついに帝国残党と新共和国軍の戦闘宙域に……といったあらすじ。その帝国残党が実は第3デススターを建造していた、なんて今思うとすごい設定なんですよね。
ディズニーがルーカスフィルムを買収して製作する続三部作ことエピソード7~9は、「公式の」エピソード6の続編なので、その事情もあってかこの旧スターツアーズは終わってしまいました(´・ω・`)
アトラクションとして楽しい
当たり前と言えばそうなんですが、僕はやっぱりあの興奮が忘れられません。リアルなメカ感溢れる発着場からの出発、入り組んだ氷の迷宮を突き進むスリル、帝国軍の砲撃をかいくぐりながらデススターの表面を駆け抜ける高揚。BGMも『帝国の逆襲』などから引用していましたが、どれも曲がむむしろ本編以上にマッチしており、あの危険な冒険のツアーを形作っていたと思います。何より、とにかく映像が「本物」なんですよね。オリジナルトリロジーに則って作られたあの映像は、何度でも乗りたいと思わせてくれるモノを持っていました。この感覚、かつて「初めてスターウォーズを観た子供達が感じた衝撃」そのものなのでは?
また、アトラクションのメインのライドだけに留まらず、ライドに至るまでもそうです。所々に立っているドロイド、ライトで照らされるSF感溢れる通路、様々なパネルやツアーの電光掲示板など……
ワクワクを感じさせてくれるソレは確かに、そこに実在していました。この凝った作りこみに対する興奮は、インディジョーンズ、ストームライダー、カリブの海賊といった日常から離れた冒険もののアトラクションに対する興奮に通じるものがあります。あこがれた夢の世界が、目の前に。その時だけ自分がそこにいるんですよね。
(個人的にスターツアーズのあの通路の質感はエピソード3『シスの復讐』のこのあたりのシーンが近いなぁと思っています)
スターウォーズの魅力が詰まっている
何よりこれに尽きると思います。スターウォーズといえば根底にある家族の物語、ルーク・スカイウォーカーやダース・ベイダーなどを筆頭とするキャラクター達の冒険なのですが、それらが全く登場しないのに関わらず、スターツアーズの虜にする何かが確かに、そこにあるのです。そう、そしてあのチャイム音も忘れられません。
発進前の説明ビデオのあのリアルさも気分を盛り上げてくれます。そしてスタースピーダー3000がターボリフトに乗ってガッタンガッタン振動を感じながら昇り、コースに着くあの瞬間。以降は脱線・彗星・帝国ですね。僕は初めて乗った時はSWにはさっぱりでしたが、第3デススターでレッドリーダーに着いて行く高速のトレンチランはファンには鳥肌ものだったのではないかと思います。ゲイレン・アーソが仕掛けた罠=排熱口はそのまま受け継がれていたのですね(笑)
最も、今や第3デススターは非正史ですが……
アトラクションが終わると、「ソフトランディング(=軟着陸)」というアイスクリーム屋が待ち受けていたり、「ギャラクティックピザポート」に繋がっている構造もニクい!
そんなわけで、楽しさ重視のアトラクションゆえ、「家族・友情・愛」といった根底的なテーマは含まれないものの、スターツアーズはスターウォーズの世界観をその魅力と共にギュッと凝縮したアトラクションなのです。勿論、現在の「ジ・アドベンチャーズ・コンティニュー」も好きです。今年はエピソード8『最後のジェダイ』に合わせて一面真っ白であり、ウォーカー戦が繰り広げられる惑星クレイトがコースに追加されるそうですね。
ということで、以上本記事は僕の思い出の記録でした。これを読んだ方々が「あーわかる」「そんな感じだったっけ」とでも思っていただけるだけで僕は幸いです。スターツアーズに乗り、ハイパースペースにジャンプしたくなってきました……
レンの騎士団--ダークサイドの信奉者たち--
※注意※ 本記事は小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(原題)』の核心的なネタバレを含みます
エピソード6で帝国が倒れた後、最後のジェダイであるルーク・スカイウォーカーは新世代のジェダイの育成のため、フォース感応者の子供たちを鍛え、ジェダイ・オーダーの再建に取り組みます。しかし、(恐らく)エンドアの戦いから24年後、新共和国元老院の「第一議員」を選出する選挙で、民衆に権利を分けようと主張する党派ポピュリストから立候補したレイア姫。その元老院で、銀河中に中継されている中「レイア・オーガナは他でもないダース・ベイダーの娘である」と禁断の秘密を暴露されます。帝国を倒した伝説のジェダイであり、英雄のルークと兄妹の関係にあることは既に知られているので、この衝撃はルークにも飛び火したはず。その結果、レイアの娘であり、弟子のひとりのベン・ソロが裏切り、仲間たちと共にニュー・ジェダイ・オーダーを壊滅させた、と言われています。
その集団こそが「レンの騎士団」であり、今回はそんな彼らの謎に迫ります(口調がNHKスペシャルっぽい)
エピソード7『フォースの覚醒』本編からわかるのは、ベン・ソロ=カイロ・レンがこの集団を率いるリーダーであること。人数は7人、全員が黒い衣装をまとってマスクをかぶっています。ニュー・ジェダイ・オーダーを壊滅させたのは恐らく彼ら。なお、ダークサイドの象徴である赤いライトセーバーを持っているのはカイロ・レンのみ。他のメンバーは特徴的な鈍器などを持っています。(もう一つ、一番左のメンバーがジャンゴ,ボバ・フェット親子の賞金稼ぎに代表されるマンダロリアンのT字型のバイザーを持つヘルメットをかぶっているように見えません?)
突然ポッと出の集団ですが、エピソード6からの一年間、戦争の余波を描く小説『アフター・マス』三部作に、Acolytes of the Beyond=アコライツ・オブ・ビヨンドという集団が登場します。これは直訳すると、「あの世の信望者」となります。(the beyondという名詞形で「来世,あの世」を意味するそうです)
彼らはあちこちから過去のシスの遺物を集めたり、建物のカベにVader Lives「ベイダーは生きている」とラクガキをしたりとにかくフォースの暗黒面に陶酔している連中です。そんな彼らにも独自の考えがあり、特にシスのセーバーを手に入れると、それを破壊してあの世のシスへと還元するという行為を行っています。このアコライツにもグループを率いるリーダーがいます。また、それとは別に裏から全体を総括するまとめ役も。それはパルパティーン顧問のユープ・タシュでした。彼からもシスの遺物は供給されていたそうです。
アコライツのメンバーは基本的にただの人間ですが、リーダーのみはフォース感応者のようです。そのリーダーは過去のシスの遺物を手にすると、血なまぐさいフォース・ヴィジョンや怒り・憎しみといった負の力が体中を駆け巡るのを感じています。ちなみにこの人、ひと悶着あってシスの赤いセーバーを所有するに至ります。
一方で、アコライツのメンバーは若者たちで構成されていることを匂わせる描写です。ここで、現実世界のイスラム教原理主義・過激派のISの例を参照してみましょう。
1つは信仰・宗教上の理由からです。シリア政府軍に弾圧され続けるイスラム教徒を守るための「聖なる戦い」だというのです。
2つ目は生活や社会への不満、孤立感を抱いていた人が自分居場所を求めてシリアに向かったケースです。イスラム教徒に対する偏見や差別、大学を出ても仕事につけず将来への希望が持てないことや、貧富の差が広がっていることなどに不満を抱える人たちにとって、その原因が政府や西欧の文明・価値観にあるとする過激派の主張は受け入れやすいのです。
3つ目が金目当てや、刺激を求めただ戦闘がしたいという人や仲間に誘われたという人もいます。軽い気持ちで過激派に加わった人たちです。
この「宗教に基づいた過激派組織」「若者たちで構成されている」というのは、ISと重なるところがあるのです。ではSWの世界で、何が若者をアコライツへの参加にそそのかしたのか。
エンドアの戦いの直後、ただでさえ帝国に搾取されていた市民たちは戦後の動乱で裕福で安全な暮らしを送っていたとは考えづらいでしょう。むしろ生活はその逆方向であり、ストリートチルドレンや孤児も珍しくなかったはずです。恐らくそのボロボロに弱った心に付け込んで「フォースの暗黒面の力は素晴らしいぞ」「俺たちに参加すれば仲間や富なんて山のように手に入る」「暗黒面の力だけがお前を幸せにできる」といった甘言を使い、若者たちを吸収してアコライツは膨れ上がったのではないでしょうか。こうして出来上がったアコライツ・オブ・ビヨンドとはフォースの暗黒面の若者の信奉者の集団、ということがわかります。
以上、あまり知られていないであろうアコライツの情報です。このアコライツ・オブ・ビヨンド、やたらレンの騎士団と似通っています。恐らく、クローントルーパー→ストームトルーパーのように、アコライツが騎士団の前身組織になったと思われます。血のような深紅のセーバーを持つリーダーはカイロ・レンに、総括役はタシュからスノークに移ったのです。さて、その過渡期についての推察になりますが_____
具体的な経緯は不明ながら、どうにかして帝国残党のトップにおさまったスノーク。その一方でタシュが去ったアコライツを引き継いだと思われます。アコライツを引き取るのは、スノークの「シス帝国の復活」という目的を考えれば、むしろ自然と言えるでしょう(詳しくはこちらの考察を→帝国の後継者 - the-Writerのブログ)アコライツのメンバー全員がフォースを使えなくても、シスの忠実な尖兵として使おうと画策していたのでしょうか。
いつ頃からかは不明ながら、帝国残党とアコライツを並行して率いるスノークは、ベン・ソロと接触します。アコライツにとって帝国の象徴かつ伝説のシス卿ダース・ベイダーの直系の孫は最高のコレクションではないでしょうか?実際にベンはどうだったのか。二人の反乱軍の英雄を両親に持つものの、職業上父ハン・ソロは銀河中を飛び回っており、母レイア・オーガナは新共和国の政治で忙しく、両親が家に不在。それに加え、母レイアは自分の兄であり、ベンにとって叔父のルークに預け、ジェダイの修行を強制します。この行為は、ベンにとって、母親が自分に歩み寄ってくるどころか捨てた、と感じさせるものだったのではないでしょうか?よって彼は心に闇を抱えるようになり、心のよりどころの一つになったのが、ベイダーです。弱り、渇望する心に禁忌の力は魅力的にうつり、その血が自分の体に流れている。そして、アコライツを引き連れたスノークが接触してきます。「私ならその夢をかなえてやれる」「私がお前の師になってやろう」「このアコライツはお前が率いるが良い」
ベイダーを嫌い、息子にジェダイになってほしかったレイアにとって、ベンが暗黒面に踏み入れるのは最高の復讐になります。これらの条件が重なり、ベンはカイロに改名し、アコライツ・オブ・ビヨンドは名前を改めてレンの騎士団となり、ニュー・ジェダイ・オーダーを滅ぼすに至るのです。また、「ただジェダイ・オーダーを復興しようとしても失敗してしまう……なぜなんだ」と思い悩むルークが探究の旅に出た末、惑星アク=トゥーの最初のジェダイ寺院にたどり着き、以前書いた考察(ポジションから読み解く『最後のジェダイ』の考察 - the-Writerのブログ)の経緯に至ると。
ただニュー・ジェダイ・オーダー壊滅の一夜にはまだ多少の謎が残ります。
まだ発展途中とはいえ、エンドアの戦いから24年、パダワンもジェダイとしてはそれなりに強かったはずです(エピソード3でジェダイ抹殺の夜もパダワンが頑張っていましたよね)。そして何より当時最強のジェダイのルークもいます。それが、たった7人のダークサイドの信望者たちにやられてしまうのか。たとえ7人全員がフォース感応者でも分が悪いと思いますが……エピソード8『最後のジェダイ』ではその謎が明かされるとともに、ジェダイ・マスターであるルーク・スカイウォーカーとレンの騎士団の決戦にも期待したいところ。
以上、いかがでしたでしょうか。
個人的にレンの騎士団についての謎がだいぶスッキリしたので満足です!
これらの謎がエピソード8で明かされるのか、早く知りたくてたまりません( ゚Д゚)ハヤクコイハヤク
今後のラインナップ
the-writerです。
明後日で本ブログを始めてから早1カ月が経とうとしております、時間がたつのは早いものですねぇ(´・ω・)y-~~
さてさて、今完成しつつある記事もいくつかあるのですが、今後書きたいなーと思っている記事のタイトルを並べておきますね。(やってることがディズニーの今後のラインナップ発表みたいだ)
・『スターウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想
・『エイリアン2』感想
・『ブラックパンサー(原題)』--キャプテン・アメリカは今どこに?--
・僕が大好きだったスターツアーズ
・レンの騎士団の謎に迫る
・ヴィクラム・○○○○卿、彼の血筋を追う
・『ヴェノム(原題)』SMUの向かう先
・「クローバー・バース」徐々に明かされる世界の脅威
今のところ、自分の中の興味が流れ着く先が、これらかなぁと。
とにかく無理をせず、楽しんで記事を書くことを第一にしているので、記事にするほどの内容が無い限りは書けませんし、いろいろ忙しいこともあり、すべてが実現可能というわけではないですが……
のんびりと、ちまちまとやっていこうと思います。
そんなわけで、これを読んでいる方々、今後もよろしくお願いしますね(´-ω-)ペコリ
三大人気シリーズのシェアード・ユニバース
『エイリアン』『プレデター』『ターミネーター』シリーズはどれも根強いファンを持つ人気シリーズ。関連映画がどれも5作以上作られ、今年の2017年9月1日に『エイリアン:コヴェナント』日本公開、2018年8月3日に『ザ・プレデター(原題)』が全米公開、2019年以降に『ターミネーター6(仮題)』が待機しており、まだまだ衰えを見せない勢いです。
そんな中、先日面白い考察記事を見つけました。それがコチラ、
『エイリアン』『プレデター』『ターミネーター』は全て同じ世界観に属している!というもの。「!?」となる内容ですが、個人的にこのような話には興味がそそられるので、取り上げることにしました。一応記述しておきますと、あくまで一ファンの意見なので信ぴょう性などは無く、あくまでネタ記事であることをご了承ください(丁度『塔の上のラプンツェル』『アナと雪の女王』『リトル・マーメイド』『ターザン』はつながっている!という話と同じレベルですので)
根拠1:『プレデター』主人公ダッチはエイリアンと(多分)交戦したから
この情報の出所は、1994年にカプコンから発売されたゲーム『エイリアンvsプレデター』。20世紀FOXが権利を所有している「エイリアン」と「プレデター」が夢の対決を果たすゲームです(映画『エイリアンvsプレデター』よりも前!)。
あらすじ:エイリアンの出現によって地獄絵図と化したアメリカの西海岸にある海上独立都市「サン・ドラド」に降り立った宇宙海兵隊であるダッチ・シェーファー(階級:少佐)とリン・クロサワ(階級:中尉)の2人の軍人が、惨劇の地と化した現場で3体のプレデターに遭遇(プレイヤーとして選択できるのは「ウォリアー」と「ハンター」の2人)。彼らはエイリアンの軍勢に対して共闘することになる。 (出典:Wikipedia)
『プレデター』ファンの方ならピンとくるはず、この主人公ダッチ・シェーファー少佐は『プレデター』主人公のアラン・"ダッチ"・シェイファー少佐と同じ名前です。
ゲーム中のダッチ少佐の説明は、「異星生物との戦闘を目的に造られたサイボーグ兵士。過去にエイリアンとの戦闘で右腕を失い、修復時に現在のマシンアームへ換装した。」とのこと。ダッチ少佐の写真の上に「CDS-170A3」という型番があります。このCDS、根拠2で詳しく記述しますが、『ターミネーター』のCyberDyneSystemsの頭文字なのでは?つまり、武器を内蔵したこの義手はサイバーダイン社製ということになります。
このゲームのダッチが『プレデター』のダッチその人だ、とは明言されません。また『プレデター2』のメイキング映像で、「ダッチは『プレデター』の出来事の9週間後に命を落とした」という発言があるので、ただのそっくりさんとすることもできますが……。
だがしかし、ここはダッチはプレデターとの死闘から生還した後、今度はエイリアンとも戦った男だという説を押したい!「ダッチは死んだ」発言は結局ファンの解釈によるので、僕は「いいや、エイリアンとの交戦は戦死扱いにされるほど激しいものだったんだ」と主張します!
根拠2:『エイリアン』のアッシュは『ターミネーター』のサイバーダイン社が(多分)関与している
『エイリアン』にてノストロモ号に同乗していたアッシュ。劇中何度かうさんくさい行動を見せますが、終盤にて実はウェイランド社が送り込んだアンドロイドであることが発覚。全てはある「目的」のための行為でしたが……『エイリアン2』にて、やはりアンドロイドのビショップの口から判明したのが、「アッシュの型番はハイパーダイン・システムス社120-A/2」。あれ、どこかで聞いたことがある……
アレですね。『ターミネーター』『ターミネーター2』などに登場した、後に人類を絶滅寸前まで追い込んだ人工知能スカイネットを開発した会社「サイバ―ダイン・システムズ社」。
実際は、『ターミネーター』と『エイリアン2』はジェームズ・キャメロンが監督・脚本を担当しているので、お遊び的な要素なのでしょうが……
それでも、僕はこれを根拠として言います。『エイリアン』のアッシュ(アンドロイド)には、間違いなく『ターミネーター』のサイバーダインが関与している!と。
舞台設定は、『ターミネーター』が1984年で『エイリアン』が2122年なので、この138年間に色々変わったのでしょう。ウェイランド社が湯谷社を合併してウェイランド・ユタニ社になったように、サイバーダインもウェイランドの傘下になったのだと思われます。ロボット工学の培われた技術は、ウェイランド社に大きく貢献し、その結果としてデヴィッド8,ウォルター,アッシュ,ビショップといった優秀なアンドロイドが誕生することになった……という繋がりなんてどうでしょう。もちろん、これはT-800が頑張って「審判の日」が回避された時間軸ですよ。
根拠3:3作に同じ人物が登場する
これは根拠というよりは、豆知識的な小ネタとして読んでもらえれば幸いですが……
『ターミネーター』冒頭のチンピラ、『エイリアン2』の海兵隊員ハドソン、『プレデター2』の刑事ジェリー。全部ビル・パクストンが演じています。チンピラやっていたころにT-800に一発食らって改心して、刑事になったところでプレデターにぶっ殺され、彼の子孫が海兵隊員になってエイリアンにやられるのかな?(すっとぼけ)
エイリアン・プレデター・ターミネーターの全員にケンカ売ったのも後にも先にもこの人だけではないでしょうか。
ビル・パクストンの冥福をお祈りいたします……
『エイリアン2』のお調子者でヘタレ、メーンという回数が半端じゃないハドソン、今でも好きなキャラの1人です。
ちなみに、根拠に『エイリアンvsプレデター』を挙げなかったのは、あまりにも自明なので記述は省きました。
生じてしまう矛盾点について
ただ、やはり既存のシリーズなのでいくつか矛盾点が生じてしまいます。例えば、
T-800 101型(=シュワちゃん顔)のモデルが違ってしまう
『ターミネーター3』削除シーンに、後のT-800のモデルとしてウィリアム・キャンディ軍曹という人物が登場する(僕の考察だとダッチ少佐がT-800のモデル)
ウェイランド社の社長が違ってしまう
『プロメテウス』によれば2012年にピーター・ウェイランドがウェイランド社を設立したが、『エイリアンvsプレデター』では2004年にチャールズ・ウェイランドが既にウェイランド社の社長である
『エイリアンvsプレデター』・エイリアンの生態系が違ってしまう
恐らく『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』を通して『エイリアン』に登場したエイリアンの生態系のオリジンを描くはずだが、『エイリアンvsプレデター』ではすでにその生態系が確立されている
このように、シェアード・ユニバースの概念を持ち込むと既存シリーズで食い違いが生じてしまいますが、僕はこれは解決可能だと思っています。
それが、スカイネットが開発した時間転移装置のタイムマシンです。
そもそもタイムトラベルという概念自体、人によって意見が全く異なり様々な議論を呼びますが……これらは娯楽作品ということで量子力学級まで厳密に検証はしないことにします。
ともかくタイムマシンによって、歴史は何度も、異なる形で繰り返されているというのが僕の意見です。ここで『ジュラシック・パーク』のマルコム博士が提唱しているカオス理論を用います。「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側では竜巻が起こる」というように、この自然界では些細なことが大事を引き起こしたりして、絶対の予測は不可能であるということです。よって、タイムマシンによる未来の知識を持ったうえでの介入は、とてつもない変化を起こす可能性を秘めているのです。したがって、T-800のモデルはキャンディ軍曹からダッチ少佐になり、ウェイランド社の社長はチャールズからピーターになるわけです。『エイリアンvsプレデター』のエイリアンは……プレデターがどこかの星から持ってきたんでしょう(無理矢理)。これに従えば、ターミネーターシリーズで同じ人物の顔やターミネーターの仕様が微妙に異なるのも説明が付きます。
歴史の裏で起こっていた事
ということで、このシェアード・ユニバースのつながりを時系列順に追っていきます。
南米のジャングルでプレデターと交戦したダッチ少佐は、後に何らかの経緯でエイリアンとも戦います。その壮絶な戦いで右腕を失った彼は、ロボット工学などの最先端を行くサイバーダイン社のモニターになることに。肉体が拒絶反応を起こさないよう調整され、極限まで適合性を高められた「専用義手」を装着され、再びエイリアンと戦うことになります。一方サイバーダイン社は、義手とダッチの整合性を調整する際にダッチから細胞を摂取しました。もしもスカイネットを開発してしまう時間軸の場合、これがのちのT-800 101型のモデルとして採用されることになります。また、タイムトラベルしてきたT-800の歴史改変などによってスカイネットが誕生しない時間軸の場合、経営困難に陥ったサイバーダイン社はのちにウェイランド社の傘下に入り、優秀な義手,義足,そして人造人間=アンドロイドの開発に大きく貢献するのです。本来はターミネーターに使われた技術が、デヴィッド8,ウォルター,アッシュ,ビショップといったアンドロイドを生み出し、その一部はウェイランド(・ユタニ)社の手先としてエイリアン入手に暗躍する……
以上、いかがだったでしょうか。
冒頭にネタとは書いたものの、考察を真面目に進めていくと設定がうまくかみ合うところもあり、結構楽しかったです。最も個人的にはこのシェアード・ユニバースは、MCUのアベンジャーズやDCのジャスティス・リーグにように表立った派手なクロスオ―バーではなく、歴史の裏で起こっていた繋がりやバックストーリーといった、「もしも……?」といった静かなものであってほしいと思っています。したがって、考察を進めている中で、設定が繋がるか繋がらないかのこの微妙で危うい境界線はかなりドキドキでしたが、丁度よくもありました。
そんなわけで、今年の8月11日公開の『ターミネーター2 3D』をよろしくお願いしますね!
帝国の後継者
エピソード7『フォースの覚醒』から登場した武装勢力ファースト・オーダー。
エピソード6で倒れたと思った帝国が復活を果たし、銀河に再び危機が訪れます。『フォースの覚醒』本編からわかるファースト・オーダーの核心的な情報はごくわずか。今回はそのファースト・オーダーについて、明確な結論は出さないものの、外堀を埋めるように情報を整理していこうと思います。ファースト・オーダーとはいえ、どちらかというと帝国寄りの話になりますので悪しからず……
※本記事は小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(仮題)』『スローン(仮題)』コミック『ダース・ベイダー』のネタバレを含みますのでご注意ください
ファースト・オーダーの存在自体が皇帝の意志に反している
まずは帝国の歴史をおおまかに、パルパティーンの思惑を絡めてざっと振り返ります。
ナブー出身の銀河共和国元老院の一議員からスタートしたシーヴ・パルパティーン。
その落ち着いた物腰と優しそうな顔の裏に隠れた正体は、フォースの暗黒面を信仰するシスであり、ダース・プレイガスの弟子、ダース・シディアスでした。彼は純然たる邪悪そのものであり、その目的は銀河の覇権をシスの手中にすることでした。
大雑把に言いますと、パルパティーンは共和国をジワジワと乗っ取る形で帝国を築き上げます。片や銀河共和国元老院の最高議長、片やシスの暗黒卿ダース・シディアスという2つの顔を使い分けることで、エピソード1のナブー危機やエピソード2のクローン大戦を引き起こして裏から操り、銀河の人々に不信や不安の種を植え付け、エピソード3の帝国樹立までこぎつけたのです。そのドサクサに紛れてジェダイを反逆者に仕立て上げて、粛清という名のもとにほぼ全滅に追い込みました。
その後、パルパティーンは念願のシス帝国の権威を絶対的なものにするため、クローン大戦以前から開発を行っていた究極兵器デススターの建造を進めていきます。ジェダイのライトセーバーから奪ったカイバー・クリスタルを利用したスーパー・レーザーは、デス・スターの最重要個所なのでオーソン・クレニック長官がゲイレン・アーソを利用して大きな進歩にこぎつけます。
皇帝の座についたパルパティーンは決して帝国の行政のみに奔走していただけではなく、シスの力の根源であるフォースの暗黒面の探求を熱心に行っていました。わざわざ憎きジェダイの本拠地であるコルサントのジェダイ聖堂をインペリアル・パレスという自らの住まいに改装したのもそのため。
実は、ジェダイ聖堂の地下奥深くに、古代のシスの寺院が隠されています。古代のジェダイは「臭いものには蓋」と言わんばかりに、敵であるシス寺院の上に自分たちの寺院を建てたわけですね。時間があるときは、地下に赴いて瞑想を行い、フォースの暗黒面を探ります。
その結果、銀河の未知領域に暗黒面の出所があると考えた彼は、無数の調査人員やプローブ・ドロイドを送り込んだり、いくつかの衛星に中継基地も建てました。その一環として、未知領域出身であり、有能な戦略家であり、後の大提督にもなるスローンも呼び寄せました。少なくともこの2人は未知領域に潜む「銀河に住むすべての生き物を脅かしかねない、帝国以上の『脅威』」の存在を認識しており、パルパティーンはたびたびその何かと交信も試みていたようですが……
また、話は遡りますがエピソード1のナブー危機からわずか2年後、実はジャクーに赴いていたパルパティーンは、そこで孤児のガリと運命的な出会いを果たします。ガリの中に何かをみた彼は、ガリを「隠し玉」的重要なポジションにつかせます。ガリにガリウス・ラックスという名前を与えてから、あるときパルパティーンは自分の考えを吐露します。「皇帝を亡くした帝国は存続すべきではない」「皇帝を守ることができなかった帝国など存在する価値もない」と。
そして、エピソード6にて第2デス・スター内で、ガリウス・ラックスを呼び寄せると、自分が万が一やられたときのために遠く離れたところに避難させてある艦隊で待機してるように、と指示します。実際にその後、エンドアの戦いで反乱軍が勝利し、銀河の覇権は帝国から新共和国へと移り、パルパティーンは命を落とします。しかし、彼が事前に用意していた様々な秘密計画が動き出します。それは、帝国を滅ぼすこと。前述のとおり、自分抜きでは帝国は存在すべきではないと考えていたためです。
エンドアの戦いからおよそ1年経ったジャクーの戦いが終結すると、ジャクーの「観測所」がようやく見つけ出した未知領域の安全航路に従い、帝国の残党は、未知領域のある地点に待機していたパルパティーン専用のスーパー・スター・デストロイヤー「エクリプス」が合流し、帝国の復活を第一主義とする「ファースト・オーダー」がここに芽吹くのです。その後、着々と軍事力を秘密裏に増強する帝国残党は、新共和国元老院の中央集権派であるセントリストの議員も仲間に引き込み、更なるサポートを受けることとなります。敢えて記述するならば、帝国とファーストオーダーで決定的に違うのはその立場です。帝国は銀河を公的に支配する立場にありましたが、エンドアの戦い以降は、新共和国が(一応)銀河の数々の星系を統治する立場です。つまりファースト・オーダーは言いようによっては、「帝国の過激派残党」であり、「危険な武装勢力」なのです。
したがって、帝国残党(=ファースト・オーダー)とは「我々こそが銀河の派遣を握るべきだ」「帝国による秩序ある銀河を」という帝国派のあつまりであり、帝国の復活を願うものの、結局初代銀河皇帝の意には反しています。その時点でパルパティーン亡き後の帝国は、パルパティーンの帝国ではないことになります。
上記のエピソード6のエンドアの戦い以降の情報は、小説『アフター・マス』シリーズや『ブラッド・ライン(仮題)』によるものですが、第2デススターを皇帝・ベイダーと共に失って崩壊した帝国はその後どうなったのか、ファースト・オーダーはどこから来たのかは断片的に、ヒントのように明かされています。
しかし、根本的な謎が明かされていません。それが、『フォースの覚醒』の議論において最も有名なお題の一つ「スノークって誰なの?」
敢えてほとんどの情報が伏せられ(J.J監督……)、それによってファンたちの間では「スノークの正体は○○だ!」と様々な説が持ち上がりましたが、もはやネタにされるレベルの定番のお題となりつつあります……
今回僕自身の「スノークは○○だ!」という結論は出ません(´・ω・`)
そんなわけで、僕が知っている範囲のスノークの情報をまとめつつ、興味深い考察を紹介していこうと思います。
まず、
スノークはシスではない
かつての帝国を牛耳っていたトップ2の皇帝とベイダーは、2人ともダース・○○という称号が付くシスの名前を持っています(ちなみにダースとはシスの暗黒卿の略称です、ダース=Darth=DARk lord of the siTH=シスの暗黒卿)。それに対して、スノークとカイロ・レンは少なくとも本編の描写では、ダースとつく名前を持っていません。よって2人はフォースの暗黒面の使い手ではあるものの、シスではないのです。同じような立場で、アニメ『反乱者たち』の尋問官が該当するでしょう。したがってシスの「二人の掟(シスは同じ世代に2人より多く存在してはならない)」に従う必要もなく、スノークがカイロ・レン以外にも弟子を秘密裏に育成している可能性も0ではないですが……
一方でシスでないものの、新たなるジェダイの勃興を危惧して「最後のジェダイ」であるルーク・スカイウォーカーの抹殺を狙っている事や、そのルーク・スカイウォーカーが帝国を倒した極悪人である、とファ-スト・オーダー内で教育していることから、やはりフォースの光明面(ライトサイド)と敵対関係にあることは確かです。
帝国の始まりから終焉までを目撃している
これは小説版『フォースの覚醒』から明らかになった情報です。カイロ・レンに帝国の始まりを見てきた事、帝国の欠点を客観的な分析を説いているシーンでした。したがって、これまでの歴史に全くかかわってこなかった新参者、とうわけではなさそうです。
昔はハンサムな顔をしていた
髪が無く、老いた様子で頬が一部えぐれたような傷や、額にベイダーに酷似した切り傷がついている意味深な外見ですが、『アート・オブ・スターウォーズ:フォースの覚醒』によれば、「昔はハンサムだった(と思う)」との記述があります。コンセプト・アートにはシディアスの師であるプレイガスに酷似したものがあったり、「公開2か月前まで正式にデザインが決定しなかった」とJ.J監督が語っていることから、やはりスノークの正体はよほど設定が練られているようです。また、スノーク=プレイガス説はルーカスフィルム・ストーリーグループのパブロ・ヒダルゴ氏により公式に否定されています。
以上がスノークの主な情報です。
それでは考察の方に移っていきますが、まずはコチラ↓をば。
かなり興味深い説ではないでしょうか。
そしてもう一つがこちら。
内容が英文なので、かいつまんで記述していきますと、
エピソード3内でパルパティーンがアナキンに向かって「賢人ダース・プレイガスの悲劇」を語ります。それは、プレイガスは細胞内の共生生物ミディ・クロリアンに働きかけて生命を創り出すこともできれば、死からも救えることができたというもの。
その秘密がすべて弟子(=自分)に受け継がれたといっておきながら、いざアナキンがシスに転向すると、「愛するものを死から救い出す術は彼しか手にできなかった術だが、2人で力を合わせれば、解き明かすことができる」とさらっと言っていることが矛盾しています。プレイガスの逸話がどこまで本当なのか、いまいち信用できませんがここでは、プレイガスの伝えられている能力は全て真実という前提で話していきます。
ここで重要なのは、「生命を創り出す」という能力です。
アナキンに父親は存在せず、フォースによって一人の女性を媒介として「選ばれし者」として誕生しました。
そしてプレイガスによって人工的に再現されたソレが、スノークという説です。アナキンと違って、スノークは最初から邪悪そのものとして生み出された存在です。よって、生物学的にはアナキンと血はつながっていないものの、ミディ・クロリアンの力によって誕生した生命という点で、アナキンとスノークは本質的に兄弟である、ということですね。それが、なぜ今まで表舞台に出てこなかったのかというと、パルパティーンが平然と弟子であろうと切り捨てた様子を見ていたからでしょう。
そしてエンドアの戦いで、アナキンがパルパティーンを殺し、そしてシスが2人とも絶えたその時、彼はやっと行動を起こすことにしたと考えられます。プレイガスがもくろんだ通り、シスの枠組みから外れた「イレギュラー」がシス帝国の復活に尽力する……それが、未知領域で徐々に力をつけていた帝国残党に何らかの経緯で、最高指導者という肩書で君臨しているものと思われます。(彼が間違いなく何らかの経緯で関連しており、カイロ・レンにリーダーを任せたレンの騎士団も壮大な計画の一部と思われますが、騎士団については別途記事を書こうと思います)
プレイガスがなぜスノークを創り出したのかは、何通りかの理由が考えられますが、自分の実験の成功例・シディアスの後釜・自分とシディアスの2人がやられたときの緊急措置……といったところでしょうか。
恐らくスノークが誕生したのは、少なくともエピソード2よりは前だと考えられます。レジェンズ(非正史)では、プレイガスが殺されたのはエピソード1と同年なのでそれに従えば、エピソード1以前からスノークは存在していたことになります。プリクエルよりもさらに前からシークエルの核になる人物が存在しているのは興味深い設定ですね。
そのスノークが、「選ばれし者」の孫を指導し、鍛えている構図は、運命の数奇さを感じさせます。
以上、いかがでしたでしょうか。
意図的にぽつぽつと仕掛けられた謎によって、様々な考察が可能になります。
次回作『最後のジェダイ』でこれらの謎が明らかになるのが楽しみですが、一方でまだ明かしてほしくないという気持ちもあります。やはり謎は謎でいるときが一番楽しいので……見事にJ.J監督を筆頭とする製作陣に踊らされる毎日です(汗)