『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ラストシーン考察~ケイジとオメガの「あるもの」の争奪戦~

SF映画ではもはや定番となりつつも、下手すると根幹をなす設定が破たんしかねない「タイム・トラベル」という題材。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は「タイム・トラベル」をメインに、シンプルな描写とありそうでなかった斬新な展開で主人公ケイジの成長を描いた作品です。

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今回は、そんな作品のラストシーンの展開について。もしかすると本編未視聴の方がいるかもしれないので、未だここで具体的な展開は書きませんが……(未視聴の方は即刻で本ページを閉じ、財布を握って近所のTSUTAYAもしくはGEOに走りましょう)

あれは決してご都合主義のハッピー・エンドではなく、一度見ただけではわからないであろう理屈が背景にしっかりと構築されていると思いました。今回は、そんな考察を記事にまとめてみましたよ(しかしあのラスト・シーンに至るまでの理屈の思考に累計何時間費やしたことか……)

 

 

 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』について復習

ここで『オール・ユー・ニード・イズ・キル』について知らない方のために簡単に説明をさせてもらいます。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』とは、桜坂洋先生が書いSFライトノベルAll you need is kill』を原作にした映画です。日本のSFライトノベルを実写化したものです(大事なことなので強調させてもらいました)。

 

あらすじ:外宇宙からの侵略者「ギタイ」の侵攻によって、人類は滅亡の危機に陥っていた。人類は国家間の垣根を超えた「統合防衛軍」を結成、兵士たちは「パワード・スーツ」を着用してギタイと壮絶な死闘を繰り広げる。そんな中、ギタイのせん滅作戦に強制参加させられた軍の報道官ウィリアム・ケイジは特別なギタイを殺し、その血をあびたことから「時間を巻き戻す能力」を手に入れる。彼はその能力で同じ一日を何回も生きることになるが、そんな中で驚愕の真実を……といった感じ。

 

この主人公を、ハリウッドの大スターであるトム・クルーズが演じるわけですが……最初は超ヘタレです。どんな姑息な手段を使ってでも戦場送りを免れようとし、初めての戦場ではモタモタと動き回ってあっけない死を迎えます。あのトム・クルーズが、彼のイメージに似合わない役による珍しい展開なんですよ!

この主人公を、ハリウッドの大スターであるトム・クルーズが演じるわけですが……最初は超ヘタレです。どんな姑息な手段を使ってでも戦場送りを免れようとし、初めての戦場ではモタモタと動き回ってあっけない死を迎えます。あのトム・クルーズが、彼のイメージに似合わない役による珍しい展開なんですよ!

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その後、「時間を巻き戻す能力」で死ぬたびに同じ一日をはじめから生きることになった彼。ひたすら戦場に出向いては死に、どうやったら死なないかという行動を頭に叩き込むハメになります。

いわゆる「ループもの」ながら、それを逆手にとった展開であり、ゲームのごとくセーブポイントからやり直すという行為を現実でやっているんですね。死んだ後いちいち最初から描いていたら尺が足りないですから、前回死んだところの直後からまたスタート、と編集のジェームズ・ハーバードさんがとても良い仕事をしており、飽きずにテンポよく映画を見進めることができます。f:id:the-Writer:20170614195034j:plain

途中で、ある事情から「重傷を負ったら、ループ能力を失わないために潔く死ぬ」というルールが追加されます。重症で「待って、まだ頑張れるから!ちょ、まっ」と這いつくばる主人公の頭に、戦友のリタが容赦なく銃弾をぶち込むのはもはやコメディ。

とはいえ、そんな中で文字通り何百回も戦場を潜り抜けてきた(そしてそのたびに死んでいる)主人公が、成長し、面構えや風格が最初のころから圧倒的に変わっていくのも見どころ。肉体そのものは初期からずっと変わっていないはずなのですが、中身が変わるとこうも変化が目に見えるのでしょうか……f:id:the-Writer:20170614200458j:plain(仲間たちが「アイツ本当に初戦か?」とあっけにとられるシーンはニヤリものです)

 

作品についてはこんなところでしょうか。

 

敵についても知る

次に、今回の敵であるギタイについての解説です。

ギタイ……地球外生命体であり、侵略生物。非常に俊敏・凶暴・協力、素人だと一瞬でその触手?で体を貫かれる。「体液(主に血液)を浴びると、ギタイとしての特性や能力が移る」という性質がある。

ドローン……オレンジ色の個体で「ザコ」ポジション……というものの、一体でもメチャメチャ強い。たった一体始末するのにかなりの労力(と犠牲)を要する。それこそ無限に湧いて出てくるからやっかいである。f:id:the-Writer:20170614195347j:plain

アルファ……ギタイの中でもレアな種であり、アルファが死ぬと後述のオメガが感知し、オメガの能力であるタイム・ループが自動的に発動する。

アルファの能力は「死ぬと時間が巻き戻る」と説明している人もいますが、僕は「死ぬと(オメガが自動的に)時間を巻き戻す」と思っています。

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オメガ……全ギタイのボスであり、唯一の頭脳。言い換えればオメガ以外のギタイは全てドローンである(アルファは不明瞭)。よってオメガはギタイ達を通して戦況を見、考え、指令を出している。たった一つしかない中枢のオメガの死=全ギタイの死である。「時間を巻き戻す能力」=「タイム・ループ能力」を持っている。これは上級ギタイのアルファが殺されると自動的に, あるいは自分の意志で発動する。これにより、ギタイは自分たちに不利な状況を幾度となく「なかったことにしてきた」と思われる。

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そして、問題のラストシーン。

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 ラスト:オメガを殺した後、ケイジはその血液を浴びた途端、今まで目覚めていたポイントより更に前のポイントで覚醒し、さらになぜかその時点でギタイが全滅していた……彼にとっては仲間たちも死なずに全員生きていることになり、恋仲にもなりかけたリタと何百回目あるいは何千回目の初対面を果たし、ケイジの笑顔で物語は幕を閉じる。

 

 以上、僕なりの本映画のおさらいでした。以降は、タイム・ループ能力の考察、そしてストーリーを追いながら考察を絡めていこうと思いますね。

 

 

タイム・ループ能力の再定義

タイム・ループ……オメガのみが持つ特殊能力。それはアルファ、もしくはオメガ自身の肉体が死ぬと自動的に時間を巻き戻す事。これにより、「これから○○すると失敗して死んじゃうから△△しよう」というゲームでしかできないような行為が、現実で可能となる。当然、タイム・ループしている本人以外は普通に時間を過ごしているので、タイム・ループが起こったことすら認識できない。

ここで、僕の解釈はループ能力とは「自分以外の世界全ての時間を巻き戻す」という壮大なモノではなく、「過去のある時点まで、自分の意識を転送する」というものです。ある時点とは、

①アルファが死亡した場合……アルファが目覚める時点 

②オメガが死亡した場合……オメガが目覚める時点

の2通りです。

ここで重要なのが、タイム・ループには「主導権」というものが存在すること。「主導権」を有していれば、タイム・ループをしてもそれまでの記憶をすべて保ったままでいられる。逆に「主導権」を有していなければ、前述の通りそもそもタイム・ループが起こったことすらわからず、ループによる介入になされるがまま……。

ストーリーを追って解説

基本的に、この「主導権」はギタイ側が持っており、それによって統合連合軍との戦いで様々な失敗を数え切れないほど経験してきた事でしょう。失敗するたびにオメガはその経験を持ったまま過去に(自分が覚醒した時点まで)さかのぼり、戦局を幾度となく覆してきました。そして、オメガは最終的に連合軍を全滅させる罠を仕掛けることに成功します。

しかし、ここで想定外の事態!人間のケイジが、アルファを殺し、その血液を浴びたことにより、タイム・ループの「主導権」を得てしまいます。これにより、タイム・ループは彼の死によって自動的に発動され、「主導権」はギタイ側には無いため、オメガ側には、ループが自分たち以外の手によって起こっているという事すらもわからないのです。また、ケイジが死ぬたびに目を覚ますポイントは、なぜ手錠をかけられて基地で目を覚ますところなのか。アルファから能力を移されたことから、アルファが覚醒した時点に最も近い、自分が意識を取り戻した時だから、と思われます。

ただし、途中でなぜかオメガが人間側にタイム・ループの「主導権」が渡っていることに気付きます。これは、タイム・ループ自体はオメガが行っている、という事を考えると、おそらくタイム・ループはオメガの肉体に負担をかけるのだと思われます。人間で例えると、タイム・ループを行うたびに右足が筋肉痛になる、という具合でしょうか。

オメガは、自分が認識している限りはアルファすら死んでいないのに、なぜかタイム・ループによる疲労がたまっている事から、自分たちギタイ以外の何者かにより、ループの「主導権」を奪われていることに気付くのです。その人間にはギタイの特性も多少は移っていることから、「自分(=オメガ)がいる場所のヴィジョン」を見せることにします。しかしこれはウソのヴィジョンであり、実際はアルファとドローン等の部下を待ち伏せさせておいて、一旦人間を生け捕りにする算段です。血液を浴びると能力が移る、という特性から、生け捕りにしたケイジから血液を奪って能力と「主導権」を奪還するつもりだったと推測されます。

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しかし、実際にはケイジの機転により失敗。あろうことか、ギタイを研究して作ったメカにより、オメガの真の居場所を逆探知されてしまいます。なお、この後すったもんだあってケイジは輸血されることによってタイム・ループの能力を失い、絶対に失敗できない状況に追い込まれます。ケイジがループ能力を失う→「主導権」はギタイに戻ったことで、アルファやオメガを殺したとしても、こちらの動きを読まれて全滅に追い込まれるのは時間の問題だからです。

ケイジは戦友のリタ、半信半疑気味のJ分隊と共にルーブル美術館に殴り込みをかけます。最終的に、ケイジは水中でアルファに腹を刺されつつも、オメガの爆殺に成功。f:id:the-Writer:20170715182615j:plainなお、オメガは肉体がやられたのでタイム・ループが発動して意識が過去に転送、「主導権」も有しているのでこれで完全に万事休すかと思いきや……

ここでまたもや想定外の事態。水中故、流体であるオメガの血液がケイジに接触、まとわりつき、次の瞬間。ケイジはいつも目覚めていたポイントより前のポイントで目覚めます。この時、血液を浴びると能力が移る、というギタイの性質により、死を迎える直前にケイジは土壇場で「主導権」を獲得したと考えられます。

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オメガはだくだくと流血しつつ、過去に意識が転送されます。しかし、途中で「主導権」を奪われたことでその記憶や意識の引継ぎが打ち切られ、転送先である過去で完全なる死を迎えたのでしょう。一方でケイジは全ての記憶を保ったまま、オメガが覚醒した時点に一番近い、自分が覚醒する時点(それが映画冒頭でも描かれたヘリの中)で目覚めることとなります。前述の理屈で、オメガは死亡したのでそれに伴ってギタイは全滅、結果として仲間も全員生きているというハッピーエンドを迎えることとなったのです。

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続編(あるいは前日譚)についても少しだけ

オール・ユー・ニード・イズ・キル』はRotten Tomatoes(映画批評家たちによる評価をまとめたサイトで、辛口なことで有名)では、91%という高評価を得ている作品です。同じ時間を繰り返し生きる、手塚治虫の『火の鳥』でも描かれた呪いのような宿命を、観客を飽きさせずに着実にストーリーを進めていった今作。

続編の製作計画はすでに動き出しているようです。


・主演のトム・クルーズエミリー・ブラントは続投

・原題はLive Die Repeat and Repeat(一作目のキャッチコピーから発展したもの)

・一作目の監督を務めたダグ・リーマン曰く「続編であり、前日譚」「続編の作り方に革命を起こす」

・公開日は未定

 

 

 

 

元々本記事の執筆に至ったのも、「続編製作計画が始動した」というニュースと、ラストシーンで感じていた疑問が合わさったことによるものでした。その記事によって自分の中の理解もしっかりと固まったので、もう安心して続編を迎えられます……

以上、ハッピーエンドのラストシーンに至るまでの考察でした。

今後のラインナップ2

初めての方もずっと読んでくださっている方も、こんにちは、the-writerです。

一度「今後のラインナップ」として、書きたい内容をまとめた内容も、大体記事として書き終えたので、そろそろ次に書きたいものはなんだろうと思案した結果、以下のようなものを思いつきました。

 

・『トロン:レガシー』感想

・『トゥモローランド』感想

・『ドクター・ストレンジ』について語りたい

・『オール・ユー・ニード・イズ・キル』ラストシーンの考察

・『ターミネーター6』をやる前に、見つめなおしたいもの

・DCEU 3人のヒーローが導く新境地

 

また、上記の内容に含まれていませんが、コラムのようなカテゴリの新設を考えています。今のところ「〇〇のラウンジ」という方向性の名前を考えておりまして……既存の作品をメインに据えずに、純粋に僕の考えや思った事で構成される予定です。なので通常の考察などの記事よりも、よりプライベートな印象のものになると思います( ´Д`)y─┛

こうして今後の内容を文字にするのも、頭の中で悶々と考えあぐねるよりも、いつでも見られる形にしておくことで、冷静に見渡してまた新しい内容を考え付いたりするためです。

 

とはいえ、必ずこのような予定に沿って行くとは限らず、予定に含まれていなかった新しい記事が予定の記事より早くポッとアップされることもあるかもしれません……とはいえ、まったりと気まぐれに本ブログをやっていこうと思っていますので、よろしくお願いします。

それでは、今日の所はここまでということで( ・ω・)ノシ

日曜洋画劇場が似合いすぎる一本!『エイリアン2』感想

 

まだ現在ほどCG技術が発展していなかった時代、周りのセットはほとんど実際に組み立てられたものであり、音楽と相まって観る人には一種の懐かしさを感じさせる……『エイリアン2』はそれにまさに該当するような作品です。芸術性も併せ持ち、静かな恐怖を描いた『エイリアン』でしたが、その続編を今や『アバター』や『ターミネーター』などで有名なジェームズ・キャメロンが手掛けた結果、ただの焼き直しではない傑作が誕生したのです。今回は、僕がそんな『エイリアン2』に対して思う事をつらつらとまとめてみました。

 

あれから57年、リプリー

前作『エイリアン』(以降『1』と呼びます)にて、主人公リプリーは、ウェイランド・ユタニ社の陰謀により、ノストロモ号という巨大かつ密閉された空間で「絶望」と隣り合わせの決死の24時間を強いられることになりました。命からがら乗り込んだ脱出戦は予定通りならば6週間で地球に回収されるはずでしたが……f:id:the-Writer:20170630062528j:plainなんと57年間も宇宙を漂流したのちに回収されるという大きな番狂わせ。

また、『1』では前半は特にフォーカスされず、もはや「このヒゲモジャのダラス船長が主人公でしょ?え、違うの?」という目立たなさでした(あくまで個人の見解です)。

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そこから一転、待望の続編である今作ではリプリーは最初からバッチリ主人公しています。彼女が抱えたトラウマ、エイリアンや会社に対する憎しみ、娘を亡くした悲しみや後悔といった感情がよく掘り下げられているのです。とにかく生存のために「逃げる」がメインだったノストロモ号内から打って変わって、「ぶっ殺す」という攻めの姿勢に転じているのも見どころの一つですね。

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個性的なキャラクター達

「今度は戦争だ!!」というキャッチコピー(パワーワードともいう)に現れている通り、今回は辛うじてエイリアンを追い払う程度の道具に頼るしかない、という先が不安過ぎる状況とは違います。重火器をフル装備した屈強な海兵隊が挑む戦争アクションなのです。その海兵隊のメンバーはそれぞれキャラクターがしっかり設定されており、海兵隊の会話シーンはグダグダなどではなく、むしろ愉快なもので、彼らの日常やこれまでの信頼関係を感じさせてくれる不可欠なシーンです。

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クラスの先生アポーン軍曹、頼りがいがあり優しい一面もあるヒックス、「屈強」の名がふさわしいバスクェスと相棒のドレイク、お調子者のやかましいハドソン などなど……

個人的に好きなのはハドソンで、やはり軽口たたきまくるやつはムードを盛り上げてくれて笑わせてくれますよね。アポーン軍曹にいちいち呼び出し食らって怒られているあたり、完全にクラスの悪ガキと先生の関係です。

しかし、ハドソンの魅力はそこだけにとどまらず、本番はこれから始まるのです……エイリアン軍団との初交戦。

「アポーンはどこだぁ?!」「アアアアァァァァッッッ!!!(完全に巻き添えでエイリアンの返り血を浴びる)」「最高だよ、いうことねぇや、ゲームオーバーだメーン、ゲームオーバーなんだよぉ!!」

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そう、前半のお調子者はあくまで表面的に装っていたものであり、後半からハドソンのキャラクターも盛大に方向転換してヘタレと化すのです……

今作きっての愛されキャラ。
今作の弱音は大半がこいつの発言。
字幕版では「メーン」の発言数で観客の腹筋を攻撃し、吹き替え版では原作を超えるヘタレ発言で完膚なきまでに腹筋を破壊する。

エイリアン2 - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ

兎にも角にも同作品内におけるヘタレの代名詞として認知されている。
態度が変わってからはメーンの連呼に、各吹き替え声優たちによる名演により、
シリアスなSFモンスターパニックアクションの筈が腹筋崩壊を起こそうとするコメディアンと化している。

ハドソン(エイリアン2) - アニヲタWiki(仮) - アットウィキ

 そう、このヘタレっぷりに僕がハドソンが好きなキャラの1人に入っている理由があるのです。本当はビビリ気味なところを軽口でごまかしていたのを、いざ本当の危機に直面して本当の性格が表れる……

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(↑調子に乗っていた態度から一転、この泣きそうな顔である)

自分の恐怖や焦りを素直に口にしているあたり、今作のキャラクターたちの中で一番人間らしいのではないでしょうか?だからこそ、どうしてもハドソンに共感・応援をしたくなってしまいます。赤い非常灯で照らされた指令室での決戦では、なんだかんだでパルスガンをぶっ放して検討する彼の姿は印象的でした。

海兵隊のほかにも直接の会社からの使者バーク、敵か味方かアンドロイドのビショップの2人が「今は味方のようだけど本当に信用できるのか?」という疑念が、ストーリーを一本調子でなくしていますね。

そして、植民地Lv.426唯一の生存者であるニュートことレベッカf:id:the-Writer:20170701095756j:plain(↑作中、数少ない癒し)

まだ幼いにも関わらずエイリアンによって家族や知り合い全員を奪われた彼女は、似たような経緯で同じく家族や仲間を失ったリプリーと惹きあいます。やがて2人は血縁はないものの、強い「絆」で結ばれることになるのです。

 

 

リプリーが失ったもの、得たもの

前述のとおり、リプリーは家族や仲間、挙句の果てに職業まで失い、自分が経験した恐怖やその経緯をすべて戯言の一部として片づけられてしまいます。海兵隊と共に向かった先で出会ったのは同じく孤独な少女のニュート。

このニュートの存在が、リプリーに前作になかった強みを与えることになったのです。f:id:the-Writer:20170701100040j:plain

それは「母性」です。

一度失った「娘」との生活を取り戻すチャンス、もう絶対に娘は奪わせない、守り抜いて見せる……それが単身エイリアンの巣窟に殴り込みをかけ、ニュートを奪還する(ついでにエイリアンを全滅に追い込む)程の強さを与えたのではないでしょうか?まさしく「母は強し」なのです。クイーンとの最終決戦は、見方を変えれば母と母の対決でもありますね。パワーローダーを着用してバックライトともに登場するリプリーの姿にはしびれました、屈指の名シーンです。

 

 オマケ: ハドソンを演じていたビル・パクストンは、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でファレル軍曹という鬼軍曹を演じました。

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(↑「ハドソン、こっちに来い!」)

エイリアン2』ではアポーン軍曹によく怒られていた彼がついに軍曹になって新兵をしごいているとは、感慨深いものがありました。

 

 

 

 

 

以上、『エイリアン2』の感想でした。前回のサバイバルホラーから一転、SFホラー兼戦争アクションという大胆な方向転換は見事に大成功をおさめ、エイリアンシリーズに新しい一面や魅力を加えてくれました。1作目とは異なる照明や舞台デザインが醸し出す雰囲気がまた良いです。『エイリアン2』はストーリー、キャラクター、美術、その他もろもろを総合して好きな作品の一つです。

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クローバー・バースについて

 2008年4月5日、日本で『クローバーフィールド/HAKAISHA』が公開されました。割とマイナーな部類ではあると思いますが、ポスターは頭部が根こそぎ持っていかれた自由の女神という衝撃的なビジュアル、「その時、何が起きたのか?」というキャッチコピーが観客の好奇心を刺激します。f:id:the-Writer:20170701183447j:plain

その仕掛け人はJ.J.エイブラムス、『ミッション・インポッシブル3』やリブートした『スタートレック』2作と『スターウォーズ』続三部作などに深く携わり、今やその名を広くとどろかせる人物です。f:id:the-Writer:20170701185044j:plain

 

クローバーフィールド』を知らない方向けのちょっとしたお話

クローバーフィールド』は、公開前のプロモーションから映画としてはトップクラスに凝ったものであったらしく、本編を観る上でヒントとなる人物や企業のサイト、意味深なデータを、ネット上に仕掛けておいたものだったそうです。

(仕掛けられたヒントについてはコチラのサイト様が詳しいのでご覧ください↓)

裏#58 『クローバーフィールド』 “HAKAISHA”ネタバレ分析編 (伊藤Pのブログ)

また、予告映像も人々が街を逃げまどうといった映像が主体で何が敵なのかさっぱりわからず、謎に埋め尽くされたものといった感じ。とにかくメインは「謎」なのです。

↑感覚としては、最初に公開された『シン・ゴジラ』ティーザー映像が近いかなぁと。

実際の本編は「登場人物のカメラがとらえた映像」という体がとられており、混乱し、逃げまどう登場人物たちの臨場感や迫力はすごいものがあります。一方で、「巨大な怪物が突如舞台となるNYを襲撃した」ということぐらいしかわからず、裏で何が起きていたのかはよくわからないのです。

しかし、J.J.エイブラムスが製作し、マット・リーヴスが監督している(『猿の惑星/新世紀』やベン・アフレック主演『ザ・バットマン(原題)』の監督)ので、一定の面白さは保証されていると思いますよ。

 

巧みに謎を小出しにしつつ、続編も作るといいながらサッパリ音沙汰がなかったので、「クローバーフィールドは死んだのかな……(´・ω・`)」と一部のファンたちがあきらめていたところ、2016年1月に突如『10クローバーフィールドレーン』の予告映像が投下。

クローバーフィールド』公開から8年、企画はひそかに活動を続けていたんですね、あの時は本当にうれしかったです……

また、『10クローバーフィールド・レーン』を機にクローバーフィールドはその物語や世界を広げることにスイッチが入ったようで、今年の11月に映画シリーズ第3弾の全米公開が控えていますね。

 

クローバー・バースとは ?

2008年に公開された『クローバーフィールド』から始まる映画やコミックで構成される世界観です。2017年7月現在『クローバーフィールド』『10クローバーフィールドレーン』、そして漫画である『クローバーフィールドkishin』が一般向けにリリースされています。そして次にコレに加わるのが、先ほどの映画シリーズ第3弾(正式名称は未だ不明)なのです。

さてさて、クローバー・バースの目的、そしてその行く先とは?

行く先は……わかりません。

しかし、ユニバースの作品群を見ると、どれも共通するのは「何らかの脅威が地球を襲っている」ということなのです。

このユニバースの構築・監督をしているのはJ.J.エイブラムス。彼は以前TEDで「謎の箱」に関するスピーチをしていました。

ここで彼は自身の少年時代の体験から、謎が持つ力を語り始めます。謎とは人の想像心に働きかけ、その人を動かす力を持っています。今も謎に踊らされているからこそ、謎が持つ力を彼は知っており、今僕らに謎をしかけているのですね。

ということで、ユニバースに属する各作品から何とかかき集めた情報を、いかにまとめてみました。

 

クローバーフィールド

2008年5月22日、謎の巨大生物が突如NYに上陸・壊滅させる。この一連の様子は一般人によってカメラに収められ、その記録映像がのちに回収された模様。f:id:the-Writer:20170701212452j:plain

ここからわかること

・(映像で確認できる限り)巨大生物には既存の兵器では全く歯が立たない

・小型の寄生生物がいる

・巨大生物は親子の2匹存在する

・子供の方はまだ赤ん坊であり、陸上という新しい環境下で混乱している。また、何千年も海の下で暮らしていた

・地球外生命体ではない

・本編ラストシーンで海面に落下した物体は日本政府の衛星

・タグルアト社という日系企業は、巨大生物の存在を隠ぺいしている

・海底で海底の蜜という物質を発見しており、中毒性が高い模様

・本編終盤でカメラマンを務めたハッドは子供の方の巨大生物に襲われる際、蜜の香りを感じた←ノベライズ版より

・また、深海での作業現場に寄生生物と思しきものが映りこんでいる←ネット上のヒントより

・捕食性であり、人間やクジラを食べる

・NY上陸前に、海上の油田や軍艦を破壊している
・また、アメリカ空軍との交戦もあった

 

クローバーフィールドkishin』

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・巨大生物は日本にも上陸し、NYと同様惨事を引き起こす

・巨大生物を神とあがめて崇拝する教団が存在する

・巨大生物は1000年前から存在しており、長い間海底をさまよっていた

・その間に教団やタグルアト者に存在を知られ、タグルアト社に実験生物として拘留された

・巨大生物の存在は政府にも知らされておらず、タグルアト社が極秘に扱っていた

・海底で巨大生物と共に羊膜のかけら(ポッド)と呼ばれるものが発見され、それは寄生生物含めた巨大生物に微弱な電波を発して制御を可能とする

・ポッドを有している日本人の少年相場キシンの感情(特に負の感情)に呼応する様子が見られる

・ポッドにはポッドを有していた人間の記憶(感情?)が蓄積される

・ポッドを回収した巨大生物はポッドに蓄積された負の感情に触れると暴れ出し、正の感情に触れると沈静化・海へ帰っていった

・巨大生物は恐らく水圧によって体をつぶされて死亡

・その際、巣?と思しきところで大量の卵と思われるもののうちの一つを抱えて描写は終わる

・海底の蜜は清涼飲料slusho!に含まれている

 

『10クローバーフィールド・レーン』

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・何体もの巨大なUFOが地上を襲っており、致死性の毒ガスを発する

・人類は何とか抵抗をしている

・UFOは撃退不可能な相手ではない

クローバーフィールドの名前がユニバースの作中に初登場、

以下、登場人物のハワードの発言が正しければ……

・軍事衛星に不可解な地球のものではない言語の電波が混在するようになり、ハワードは何らかの攻撃が来ることを知った

・攻撃には第一波、第二波が存在する

 

 『クローバーフィールド3(仮)』
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Cloverfield IMAX Film(原題)

監督:ジュリアス・オナー

製作:J.J.エイブラムス, リンジー・ウィーバー

脚本:オーレン・ウジエル, ダグ・ユング

出演:ダニエル・ブリュール, エリザベス・デビッキ, クリス・オダウド, 

ググ・バサ=ロー, チャン・ツーイー, デヴィッド・オイェロウォ

製作費:10,000,000$(推定)

2016年6月10日 撮影開始

2017年10月27日 全米公開

あらすじ: ~~宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士のチームは、地球の消失を引き起こした実験により、自分たちだけが取り残されていることに気付く。そこにスペースシャトルが表れた時、宇宙ステーションのクルーたちは恐るべき発見により、自らの生存のために戦うことを余儀なくされる~~

A team of astronauts aboard a space station find themselves alone after a scientific experiment causes Earth to disappear. When a space shuttle appears, the space station crew must fight for survival following their horrible discovery.

 

もう公開までおよそ3カ月というところまできて、未だに予告の一本も公開はされていませんが……きっとまた何かサプライズがあるはずです。

 

 

 

 

以上、現在クローバー・バースについて判明していることをまとめました。

ただでさえ情報が少ないので若干煮詰まり気味ではあるものの、敢えて情報を伏せたうえでの展開は興味深いのでストーリーは是非とも追いかけ、J.J監督に踊らされたいです。『10クローバーフィールド・レーン』で地球が外宇宙からの脅威にさらされていることが示唆されましたが、エイリアンの襲撃は今となってはもはや使いまわされ過ぎたネタではあるので、クローバーフィールド・シリーズには何かもうひとひねり期待したいところ。クローバーフィールド第3弾の予告映像、まだかな~……

『ヴェノム(原題)』から考える、SMUの向かう先とは

 

 『スパイダーマン/ホームカミング』が日本では8月11日に公開されますが、そんな中ソニー・エンターテイメントより重大発表がありました。

 ~~~『ヴェノム(原題)』で主人公エディ・ブロックを演じるのはトム・ハーディに決定。ソニー・マーベル・ユニバース(SMU)は2018年10月5日に全米公開。今秋、プロダクション開始。~~~

 

ファンの間では前々から存在が知られていた本作でしたが、まさかのヴェノムの単独映画製作がいよいよ始動。しかも主演はあのトム・ハーディ

 

ヴェノムって誰?

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ヴェノムとは、マーベル・コミックの人気キャラの一人でスパイダーマンのライバル的な存在。カメラマンのエディ・ブロックと、地球外生命体であり共生生命体のシンビオートが融合した姿です。一度スパイダーマンの能力をコピーしているために、見た目や能力はオリジナルに似ているものの、パワー・スピードなどあらゆる能力が増しており、見た目も凶悪になっています。地球人と共生生物が一体となっているため、一人称が「俺たち」なのも一つの特徴です。

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スパイダーマン3』でのヴィランも務めたので、一度実写化されているキャラクターなわけです。

 

今回は、その『ヴェノム(原題)』がこの先どのような展開になっていくのか?ということを考察していきますが、僕は原作コミックについては全くわからないので、「コレコレこういうエピソードを~」という具体的なものではなく、ソニーが主導する今後のマーベル映画の展開やクロスオーバーについてを主体に進めていきますね。

 

あの時の夢を、もう一度

まず、このヴェノムというキャラクターの単独映画について。個人的には、この強烈なキャラクターをいきなり主人公に据えて一本製作というのは思い切った決断だなーと思いました。

今や打ち切りになってしまいましたが、アメイジングスパイダーマン2部作に続いて、スピンオフとして『シニスター・シックス』が計画されていたことがありました。

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それはスパイダーマンの代表的ヴィランが結集したチームを描く、ヴィラン主人公のスピンオフ。ヴェノムもその6人に含まれ、後に単独作も製作されるはずでした。しかしアメイジングシリーズが打ち切りになってしまったので、『シニスター・シックス』も消滅、ヴィラン達のチームを主人公とした映画でスクリーンに公開されたのは、DCコミックスの『スーサイド・スクワッド』となりました。

 

この『ヴェノム』製作について、よほどソニーに自信があるのかはわかりませんが。エディ・ブロックの力を手に入れたことによる快感や葛藤、人間とシンビオートの意志の境界線、ヴェノムの強さなど、『スパイダーマン3』では描き切れなかったヴェノムというキャラクターの魅力を徹底的に掘り下げて描いてくれるものと期待したいです。

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SMUの創造に至るまで

しかし、そんな中でファンたちを混乱させたのは、以前から公表されていた情報「ソニー主導でスパイダーマン・ユニバースを作る」「MCUとは無関係になる」というもの。これはソニー・ピクチャーズ映画部門会長トム・ロスマンや『スパイダーマン/ホームカミング』監督のジョン・ワッツによって強調されてきたものです。

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)はマーベルコミックスのマーベルスタジオ主導で、自社が権利を持っているキャラクター達を実写化し、綿密な計画のもとにクロスオーバーさせたことにより作られている世界です。

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しかしそんな中、マーベルで最も人気があり、最も有名なヒーローであるスパイダーマンはマーベルではなく、ソニー・エンターテイメントが権利を持っていました。マーベルとソニーの双方が協力しない限りは、スパイダーマンMCU参戦はまず不可能で、まずそんなことはありえないと思われていましたが……。

ソニーも慎重な判断を重ねたうえで、ついにマーベルとソニースパイダーマンの権利を共有することに成功!そしてついに、高校生のピーター・パーカー=スパイダーマンが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に初参戦し、『スパイダーマン/ホームカミング』という単独作の公開までこぎつけたのでした。

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しかし、スパイダーマンは本当に特殊な例であり、それ以外のスパイダーマン関係のキャラクターたちは依然としてソニーが持ったまま。「じゃあソニーがぽんぽん他のキャラの権利も共有すればいいんじゃないの?」と簡単にはいかないのが大人の事情のようです……(´・ω・`)

そのような経緯があり、ソニーは独自にスパイダーマン・ユニバースもとい、正式名称:Sony's Marvel Universe略してSMUが本格的に始動するに至ったようです。ソニーの会長のSMUに関する詳しい見解については、以下の記事をご覧ください。

 SMUはそれまで「スパイダーマン・ユニバース」の名で通り、キャラクター達もスパイダーマンを核に作られたものばかりなので、スパイダーマンなくしてこのユニバースは成立しません。

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現在マーベル・スタジオでは『スパイダーマン/ホームカミング』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)』『アベンジャーズ4(仮)』『スパイダーマン/ホームカミング2(仮)』スパイダーマン/ホームカミング3(仮)』の製作、それに伴うスパイダーマンの出演が決定しています。『ホームカミング2』は2019年7月5日に全米公開予定だそうです。

 

 

SMUの今後の予定

上記のSony's Marvel Universe に関して、ソニー・ピクチャーズとマーベル・スタジオ間で見解が全く違う(あるいはサプライズ情報を誤爆した)という経緯があり、ファン達は大混乱の渦の中。

なお、ソニー・ピクチャーズは『ヴェノム』を第1弾としてその後の作品制作の準備も進めているそうです。

SMU第2弾は『シルバー&ブラック(原題)』、ジーナ・プリンス=バイスウッド監督とリサ・ジョイ&クリストファー・ヨスト脚本によるもの。傭兵集団を率いるシルバー・セーブルと女泥棒であるブラック・キャットを主人公に据えた一本です(画像右がシルバーで、左がブラック)。

クリストファー・ヨストに関しては、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』とMCUの作品を2本分手がけた経験がある人物ですね。

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これはまだ確定ではないですが、SMU第3弾として、クレイヴン・ザ・ハンターとミステリオの単独作も検討されています。クレイヴン・ザ・ハンターは元々野生動物のハンターでしたが、動物では物足りなくなり、スパイダーマンを獲物として付け狙う人間。ミステリオは元々特撮の技術スタッフで、犯罪者となった今ではVFX技術やVR技術を駆使した犯罪を行っています(画像左がクレイヴンで右がミステリオ)。f:id:the-Writer:20170625095309j:plain

 

このように、スパイダーマンヴィランを中心に映画化を進めているようです。

 

 

スパイダーマンはどうなるの?

このSMU、通常は主人公として取り上げられるヒーローではなく、ヴィランを映画化していくという挑戦的な内容です。それこそ誰もが知る赤と青のスーツのおしゃべりヒーローが少しでも参加してくれれば、一般客へのプロモーションも圧倒的にやりやすいのではないかと思います。

スパイダーマンの扱いに関しては、ソニー・ピクチャーズ側の希望は「できる限り自社の作品に参加してもらいたい」とハッキリしているものの、マーベル・スタジオ側がそれについていけていない印象があるので、両社の慎重な打ち合わせは必須です。

前述のとおり、僕はSMUにはスパイダーマンが不可欠と思っています。しかし、逆にSMUが無理にMCUとかかわらなくてもよいと思ってもいるのです。具体的に説明します。f:id:the-Writer:20170625151321p:plain

MCUではマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギ氏が述べているように、2008年の『アイアンマン』から始まり、来年2018年の『インフィニティ・ウォー』がその頂点を成します。言い換えるならば、MCUの全ては『インフィニティ・ウォー』のために構築されていたのです。それはケヴィン・ファイギ氏を中心とした中枢が頭をフル回転させて綿密な設計を行った計画によるもの。なお、ある時期にマーベルはソニー20世紀フォックスに一部のキャラクター達の権利を売り渡しており、そのキャラクター達の映画は作れないので、MCUの計画には含まれません。

恐らく、2016年の『シビル・ウォー』におけるスパイダーマンの参戦は想定外だったのではないか、と思います。ファンにとっては超が付くほど朗報ですが、マーベル・スタジオにとっては同時に大問題でもあったはずです。

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スパイダーマンことピーター・パーカーがMCUに居るならば、彼に伴ってグウェン、MJ、オズボーン親子、ドクター・オクトパス、ヴェノムといったスパイダーマン関連のキャラクター達もMCUに居たことになるからです。この場外参戦は、MCUが作り上げてきた計画に、彼らがなぜ今まで出てこなかったかといった説明の努力や、最悪計画をぶち壊しにする可能性も秘めていた、と考えられます。そうなると、「『ヴェノム』(=SMU)はMCUには含まれない」というファイギ氏の発言もうなずけます。

しかし、トム・ホランドが演じるスパイダーマンはSMUに欠かせず、ある意味MCUとSMU唯一の接点にして問題点。それについて、僕の考えは先ほどの通り、「MCUとSMUは無理にかかわらなくても良い」です。

f:id:the-Writer:20170625151338p:plainSMUに登場する街、世界はMCUと共通なものの、わざわざアイアンマンを登場させる必要はないと思います。とにかくソニー・ピクチャーズはキャラクターや舞台、ドラマの描写に力を注ぎこみ、「アベンジャーズ」といったMCU(SMU)の日常にしみこんでいるであろう言葉は、セリフや小道具に最低限ちりばめておくのみ。実質MCUなものの、一見するとMCUらしくないように撮影する、という法にギリギリ触れるか触れないかの危ない戦法です。

これによく似た例を挙げると、ABC局やNETFLIXが展開するドラマ・シリーズでしょうか。『エージェント・オブ・シールド』『デア・デビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィスト』といったシリーズ、そのキャラクターたちは『アイアンマン』などの映画シリーズには登場しませんが、確かに世界観は同じですし、ちょくちょくMCUの用語や固有名詞が出てきますよね。f:id:the-Writer:20170625151942j:plainf:id:the-Writer:20170625151741j:plain

世界観がつながっているはずが、派手なクロスオーバーはないという微妙な平行線のようなこの関係は、ちょうどMCUとSMUの関係も同じであると思います。MCU⇔SMUのような相互関係でなく、MCU⇒SMUというほぼ一方的かつ平行な関係です。最も、MCUの映画シリーズとドラマシリーズの平行関係は、それぞれの製作体制やスケジュールの違いによるものですが……

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とにかく、現状はMCUMCUで、SMUはMCUの設定とスパイダーマンを借りつつも独自の路線を行くということになるでしょう。そもそも、膨大な数のキャラクターを設定的に破たんさせることなくクロスオーバーさせる、というのは至難の業で、既にMCUでいくつか矛盾個所が存在します。個人的に、この平行関係は何も嘆くべきものでもなく、結果的に適切な判断ではないかと思います。

その中で、スパイダーマンは「MCUからSMUへ出張する」異質な立場に立つでしょう。もしも『ヴェノム』にカメオ出演でもするならば、『ホームカミング』などのストーリーや時系列に抵触しない無難な描写で済ませるべきです。

スパイダーマン役のトム・ホランドは、「スパイダーマンが35歳になるまで演じたい」と希望も示しています。したがって、2017年の現時点で15歳の彼が、ヒーローとして成長していく様子をMCUで描き、その後はSMUで「親愛なる隣人」として新しい冒険を繰り広げるというパターンが考えられます。

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来年の『インフィニティ・ウォー』で、MCUは10周年を迎えますが、更に10年後の2028年にはどうなるでしょうか。そのころにはMCUのヒーローたちも世代交代がほとんど済んで新しい大河ストーリーが動いており、SMUはスパイダーマン・ユニバースともいえる世界の拡大も一通り安定し、MCUとSMUのクロスオーバーもあるかもしれませんね。 

(↑@artofgeorgeさんによる素晴らしいアート。ファンならやっぱりこんな画が一度は見たい!)

 

 追記:ファイギ氏の「『ヴェノム』はMCUには入らない」という発言を忠実に守るとすれば、MCUとSMUは別アースということになります(このマーベル・コミック関連におけるアースの概念については今度何らかの形で説明したいと思います)。スパイダーマン本人がSMUに顔見せでもする場合、それは彼がアース(次元)を飛び越えるということになり、おそらくそれはあり得ません。したがって、SMUにはスパイダーマンは顔すら見せず、やるとしても存在をほのめかす程度かなぁと。よってSMUもキャラクター達より高い密度で描く必要があります。『アメイジングスパイダーマン2』は、主に終盤でその世界の奥行きを示唆してくれましたが、SMUはMCUとはまた別の魅力を持つ、様々な楽しいアイディアが詰まったユニバースを形成していってほしいものです。

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(↑これはイメージです)

また、それでも僕はSMUとMCUの合流については捨てきれません。何も「SMU,MCUのキャラクターの豪華な交流を観たい」というよりは2つの世界はつながっているという「確証」がほしいだけなのです。様々な法的な制約や見込まれる利益、権利の壁で隔たれているこの状況……それはさながら、「電車に乗っていたら偶然同じ車両内に知り合いが乗っていたが、友達レベルまで親しいというわけではないから、特に声もかけないという何とも居心地が悪い空気」という感じです。

僕は、先ほど述べた「スパイダーマンMCUとSMUを行き来する」可能性を信じています。確かにスパイダーマンMCUに属していますが、やはり彼の相手となるべき友達や敵はSMUに大勢います。今回のスパイディはスーツが自動的にフィットし、サポート用にAIが搭載され、オマケに背中にパラシュートまで仕込まれているというおいしすぎる仕様。

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スタークという強力なスポンサーによる資金・技術の暴力(語弊)の結晶であるスーツは、観ているだけで楽しいですね。MCUならでは、といったところですがそのスパイディが(アメイジング2部作で実現できなかった)自らのユニバースを思う存分「探索」「拡張」することができれば最高だと思います。

(個人的にMCUのスパイディは、もうスーツの質感からして大好物なのです……)

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以上、ソニー・ピクチャーズ主導のSMUについての考察でした。

様々な情報が錯そうし、とにかく今は大混乱の時期です。そんな中でさらに20世紀フォックスが『ファンタスティック・フォー』の再々リブートを検討している、という情報も入ってきていたり……大混乱でもありますが、ファンの1人である僕にとってはとても楽しく幸せな時期です。とにかくこの高品質なアメコミ映画が互いにしのぎを削り、後にも大量に作品を待機させているので、情報を追いかけるだけで非常に大変(楽しい)です。この先、更にどのような展開があるのか、不安でもあり興奮も高まる今日この頃です。

世界よ、これがアフリカだ『ブラック・パンサー(原題)』考察

ブラック・パンサーは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にてデビューを果たしたアフリカの小国の戦士。その名の通りクロヒョウをモチーフにした黒いスーツをまとい、超人的な身体能力と高潔さで自国を守る王でもあるのです。

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先日、待望の『ブラック・パンサー(原題)』のティーザー予告がマーベル・スタジオ公式より解禁されました。MCUの新顔であり、これまでMCUにいなかったアフリカ出身のヒーローの単独作ということで、言うまでもなくファンの期待を集める一本です。


マーベル・スタジオが2018年5月に用意する超大作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(原題)』に向け、『シビル・ウォー』から始まったMCUの「フェイズ3」は『ドクター・ストレンジ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス』『スパイダーマン/ホームカミング』『マイティ・ソー/バトルロイヤル』ときて、最後のピースがついにそろいました。ということで、今回は『ブラック・パンサー』の記事となります。

______本記事のタイトルは元々「Where is Cap now?『ブラック・パンサー(原題)』考察」と、『シビル・ウォー』ラストで表舞台から姿を消したキャプテン・アメリカ、そして相棒のバッキーの足跡をたどることが当初のテーマでした。しかしいざ書こうとなると、どうしてもわずかな情報による記事ではいかんせん内容が少なくなってしまいました(´・ω・`)

そんなわけで、今回はブラック・パンサーというヒーローの解説、彼がたどってきた軌跡、予告編の分析、そしてキャップ&バッキーのコンビの行方という内容で行こうと思いますね。

 

ブラック・パンサーって誰?

と、ブラック・パンサーの説明の前に彼の故郷である国を説明する必要があります。

アフリカ大陸に位置する小国ワカンダ。長らく鎖国体制を敷いてきた国であり、表向きは「発展途上国・工業や衣料が主産業」の国です(CIA職員のエヴェレット・ロスの発言より)。

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しかしその実態は、独自の文化と高度な科学技術を併せ持つアフリカの秘境でした。恐らくその科学技術はMCUの主な舞台となるアメリカ以上。

また、ワカンダは地球一頑丈な希少金属ヴィブラニウムの産地でもあります。かつてアイアンマンの父であるハワード・スタークがワカンダから入手したヴィブラニウムで、キャプテン・アメリカの盾を作ったりしました。

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ヴィブラニウムの産地ということで、ほぼ破壊不可能≒変形不能という代物であるヴィブラニウムの性質を、ワカンダの人々は隅々まで知り尽くしていました。彼らはヴィブラニウムを自由自在に加工することができるのです。現実では衣服が化学繊維や炭素繊維でできているように、ワカンダの人間はヴィブラニウムを「織り合わせ」特殊スーツも製作しています。

ワカンダは代々王政を敷いている国です。王は代々その地位が受け継がれます。そして王は、その特殊スーツを身にまとい、自らの国をその手で守るのです。ブラック・パンサーとはワカンダの王であり、国を守ってくれる英雄というわけですね。

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スーツは国の象徴であるクロヒョウをモチーフにし、武器は鋭いツメ位。また、装着者である王は(原作コミックでは)ハート・シェイプド・ハーブという特殊な植物を摂取することにより、超人的な筋力・瞬発力・持久力・耐久性といった身体能力を得ます。戦闘スタイルは独特のマーシャル・アーツ。王としての高潔さも持つことから、ブラック・パンサーとはワカンダを代表する一人の「戦士」でもあるのです。

ちなみに、『アイアンマン2』で示唆されましたが、このワカンダの超人戦士の存在は、当時アベンジャーズ計画を進めていたS.H.I.E.L.Dに2010年時点で知られていたようです。

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さて、今度はティ・チャラという王子の軌跡をたどりましょう。

ティ・チャラという男

ワカンダの王家に生まれたティ・チャラは、次代のブラック・パンサー(=王)の座を継ぐために幼少期から鍛えられてきました。そして2016年5月8日、ティ・チャラはウィーンのソコヴィア協定調印会議に父であり国王のティ・チャカと共に出席。f:id:the-Writer:20170612205600j:plainナイジェリアのラゴスで起こった事件により、アベンジャーズ国連の管理下に置く協定には賛成なものの、「少数で物事を決めるべき」という考えに反することをほのめかしています。しかしその後爆破テロによって父を失い、彼は非常事態ながらもブラック・パンサーを「継承」。復讐心にかられた彼は、爆破テロの容疑者で元ヒドラの暗殺者であるウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズを独自に追跡します。f:id:the-Writer:20170612212119j:plain

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この「復讐者」としての立場は、ソコヴィア協定をめぐって起こったアベンジャーズの分裂において特異な第三者となります。協定反対派のチーム・キャプテン・アメリカと、協定賛成派のチーム・アイアンマン。チーム・アイアンマンは容疑者のバッキーを国連の名のもとに公的に追跡しているので、ティ・チャラはアイアンマン側に着くことになります。

ドイツの空港でアベンジャーズの真っ向からの対決に参加したりしつつ、キャプテン・アメリカとバッキーがいるシベリアへ向かったアイアンマンを個人用ジェット機で追跡。バッキーを殺すチャンスを今か今かと(文字通り)虎視眈々と物陰に狙って待っていましたが。彼はアベンジャーズの分裂の真相を知ることとなります。2015年に起こったソコヴィア事件、その被害によって家族を失った一人の父親が、やり場の無い怒りと復讐心を抱えて策略を巡らせた結果がこのアベンジャーズの分裂だったのです。

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このソコヴィア協定の騒動に明確な悪はおらず、言うなれば全員被害者である事。自分が誤って罪のない人間を殺すところだったこと。復讐の鬼と化した男の姿を見て、ティ・チャラは全てを理解し、その男を殺すことなく生かして連れて帰るのでした。

ティ・チャラもまた、突然理由もなく敬愛していた父を奪われ、やり場のなり怒りと復讐心を抱えていましたが、彼はそれを鎮めるという英断を下したのです。これこそ、ワカンダの王を継ぐにふさわしい寛大さと聡明さを持つ男の姿ではないでしょうか。

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また、未だにテロ組織ヒドラの元暗殺者として指名手配されているバッキーを、ティ・チャラは放置することなく自国でかくまうことにしたのです。「追手が来るぞ」と忠告するキャプテンに対して、「来させれば良い」という不敵な態度をとります。

父を殺した犯人として追っかけまわしてきたことにより、多少のわだかまりや躊躇があっていいものの、リスクをとってまでわざわざバッキーを引き取る器の大きさ。まさに王を継ぐものとして(ry

……と、ここまでが現在明らかになっている、ブラック・パンサーことティ・チャラの足跡です。その彼を待ち受ける新しい試練、待望の続きを描くのが『ブラック・パンサー』なのですね。その『ブラック・パンサー』のティーザー予告分析もちゃちゃっとやってしまおうと思います。

 

ティーザー予告映像分析

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「ワカンダについて、何を知っている?」というセリフから始まる映像。

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で登場した不敵な武器商人ユリシーズ・クロウが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場したCIA職員エヴェレット・ロスに尋問を受けています。なぜかここは韓国らしいですが……

クロウは原作コミックでブラック・パンサー絡みのヴィランなので再登場を期待されていました。大胆にもワカンダから大量のヴィブラニウムを盗み出し(一度捕まって「盗人」というメチャメチャ痛い焼き印を押される)、ウルトロンに理不尽な理由で左腕を切断されました。コミック通りの展開ならトンデモギミックを内蔵した義手をつけてほしいところ。f:id:the-Writer:20170612212638p:plain

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ヴィブラニウムの強奪に侵入した際、ワカンダの「真の姿」を見たという彼はブラック・パンサーの攻撃を受けた唯一の生存者のようです。国を守るため、闇に潜んで容赦なく敵を狩る姿は、まさにクロヒョウそのものですね。

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王位継承を巡って課される試練でしょうか?ティ・チャラと今回のヴィランとなるエリック・キルモンガーが戦っています。ティ・チャラの王位を狙って暗躍するキルモンガーがヴィランなのですね。

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また、今作でヴィランはもう一人います。マン・エイプというキャラクターで、原作コミックではホワイトゴリラ教の復活をもくろみ、神秘の白サルのスーパー・パワーを持ったキャラクターだそうです。

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他にも何枚か気になるカット。f:id:the-Writer:20170612215309p:plain

↑『シビル・ウォー』にも登場していましたが、ティ・チャラのボディ・ガードの女性ですね。ブラック・ウィドウに「どきなさい」と強気な態度をとったあの人です。

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↑この男性の口の強烈な装飾、エチオピアに住む少数民族のムルシ族と思われます。ワカンダにムルシ族がいるとは少々意外ですが、どういう背景なのでしょうか。

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ウィーンの爆破テロで急逝した父を継ぎ、ワカンダを治める王となったティ・チャラ。長らく鎖国していた国を開き、外交や内政をうまく行っていけるのか。現実でも王としての能力が問われます。

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『シビル・ウォー』よりスーツのデザインが変わっています!作品毎にヒーローのスーツが変わっていくのも楽しみの一つですが、具体的にはどんなアップグレードが施されたりしたのでしょうか?個人的には今回の新しいスーツも好みです。

 

 

更なる詳しい分析はコチラ↓の記事をご覧ください。

映像中では確認できない、監督などによる重要な情報やキャラクターたちの詳しい解説が載っていますよ~

 

 

さてさて……ようやくです。

 

f:id:the-Writer:20170612220204j:plainキャプテン・アメリカは今どこに?

シベリアでバッキーを守るため、アイアンマンとの死闘の末に何とかその場は勝利したキャプテン。バッキーをワカンダに預け、ティ・チャラと短い言葉を交わします。その後、海上のラフト刑務所に単身殴り込みをかけ、仲間たちを救出します。(このシチュエーションが『キャテプン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』にて、ヒドラにつかまった仲間を助けるのと同じなんですよね)f:id:the-Writer:20170612220130j:plain

個人的にはキャプテンに『ブラック・パンサー』に出演してもらいたいのです。アベンジャーズ分裂をはじめとして対立せざるを得ない状況下におかれたものの、彼らはどことなく似ているのです。国の象徴そのものである事(スーツがそれを体現している)・肉弾戦主体の超人・ヴィブラニウム製の装備を持つ・高潔な精神の持ち主 といったところでしょうか。

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しかし、おそらくそれは実現しないものと思われます。

まず、キャプテン・アメリカを演じるクリス・エヴァンスの出演作品の契約数です。彼はマーベル・スタジオと「6本の作品に出演する」という契約を結びました。『キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー』『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と、ここまで5作品です(なお、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』や『スパイダーマン/ホームカミング』のカメオ出演は含みません)。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で最後ですが、つい先日に本人がアベンジャーズ第4弾である『アンタイトルド・アベンジャーズ(仮)』にも出演すると述べています。

もし『ブラック・パンサー』に出演するとしたら、『シビル・ウォー』で描かれた通り重く入り組んだ背景を背負ったキャラクターなので、とてもカメオ出演では扱いきれないはずなのです。しかし、本筋にガッツリ絡むのも上記の出演本数的にはなさそうです。したがって、キャプテン・アメリカは『ブラック・パンサー』には登場せず、ラフト刑務所から脱獄させた仲間たちと共に逃亡生活を送っていることでしょう。

 

また、バッキー。f:id:the-Writer:20170612220137j:plainアイアンマンにトレードマークともいえる金属の左腕を吹き飛ばされ、自身に残されたヒドラの洗脳を危惧して冬眠カプセルに入ることになりましたが……

先ほどのクリス・エヴァンスの例と同じく、バッキーを演じるセバスチャン・スタンの出演作品の契約数に注目してみましょう。何と彼は「9本の作品に出演する」というクリス・エヴァンス以上の出演本数なのです。キャプテン・アメリカ3部作にすべて出演し、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』への出演も確定していますが、まだ5本分残っています。

ここからは推測になるのですが、これだけまだ出演するならば、『ブラック・パンサー』に出演していてもおかしくないと思うのです。今のうちにバッキーというキャラクターを復活させておけば、『インフィニティ・ウォー』への導入も多少はスムーズになるはずです。

 

トーリー面からも考えてみましょう。そもそもなぜワカンダで眠りにつく必要があったのか?彼はキャプテンの無二の親友なので、一緒についていって逃亡生活を送ってもよかったはずです。僕には、このワカンダでの冬眠シーンが何とも伏線のように感じられてなりません。

ところで『シビル・ウォー』序盤でスタークがセプテンバー基金の発表の際、「脳の海馬をハッキングしてトラウマとなっている記憶を望みどおりに再現、心の傷を癒す」というB.A.R.Fシステムを覚えているでしょうか。僕には洗脳がどういうものかよくわからず、劇中でバッキーがある特定の組み合わせの単語を聞いた際にその洗脳が発動する、などどの程度現実に基づいているのかわからないですが……f:id:the-Writer:20170612224201p:plain

このB.A.R.Fがバッキーの脳に刻み込まれたヒドラの洗脳を解くのに一役買うとすれば?ただし、一度スタークは復讐に駆られて本気でバッキーを殺そうとしており、それがキャプテンとの深い溝にも繋がっています。大金を投じて開発したB.A.R.Fを、自分の両親を殺した人物に貸し出すのは大きな葛藤を要することでしょう。

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何とかそこを乗り越え、70年以上もずっと付きまとってきた呪縛から、ついにバッキーが解放されるとすれば、『ブラック・パンサー』はバッキーにとっても重要な転機になります。『スパイダーマン/ホームカミング』にピーターのメンターとしてアイアンマンことスタークが登場するように、『ブラック・パンサー』にはかつて追うものと追われるものだった二人が共闘するのです。

さらに、吹き飛ばされてしまった義手を、ワカンダの高度な技術を用いてヴィブラニウム製の新しい義手に付け替える、という展開もないでしょうか?ヴィブラニウムの加工と、高度な科学技術を併せ持つワカンダなら十分あり得ます。この義手はティ・チャラからバッキーへのお詫びの贈り物であり、親愛の情としての役割も果たしてもよいでしょう。このように、ヒドラに取り付けられ、大勢の人間を殺めてきた金属の義手を失い、洗脳からも解放されることで、バッキーは「ウィンター・ソルジャー」という呪われた人格から解放されます。彼はようやく、キャプテンことスティーブ・ロジャースの親友バッキー・バーンズに晴れて戻れるのです。

劇中では、襲い来るヴィラン達に対して『シビル・ウォー』で熾烈な肉弾戦を繰り広げたブラック・パンサーとバッキーの二人の共闘を期待したいところ。

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ヒドラに課された「十字架」から解放され、髪を切り、ヒゲもそったらこんな爽やかなバッキーが見られたり……?かつて女の子を口説きまくっていたバッキー・バーンズに戻ってきてほしいですね~

もしかすると、以上に書いた展開は『インフィニティ・ウォー』で起こるのかもしれませんが、あまりにも盛りだくさんな内容になりそうなのでやはり『ブラック・パンサー』で済ませておいた方が良い気がします。

 

本作に期待したい事

まず挙げるとしたら、

1作目なのでティ・チャラというキャラクターを描いてほしい・新鮮なアクションを観たい・充実したストーリーを・MCUとの巧妙なクロスオーバー

といった点です。

しかし、それ以上に重視してほしいことが「アフリカ」である事。

マーベル・スタジオはウォルト・ディズニーに買収されましたが、近年のディズニーは「多様性」を重視し、そのメッセージを根底に様々な作品を世に送り出しています。中でも、『ズートピア』は顕著な例だと思います。

昔、アフリカ系の人々は奴隷として売買され、それが禁止されてもなお根付いた差別意識によって残酷な悪意の標的となっていました。現在でもそれが完全になくなったとは言えないものの、今や多くのアフリカ系の人々が世界の表舞台で活躍しており、それはとても喜ばしいことでしょう。

マーベル・スタジオは、自社のアメコミヒーロー達の作品を大量に製作しながら、ある一定の高いクオリティを保つ事に成功しています。そしてその懐の広さと言いますか、様々な作品をそろえているのです。今年の作品だけでも、『ドクター・ストレンジ』は異次元の魔法バトル、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はノリが楽しいSFアクションコメディ、『スパイダーマン/ホームカミング』は誰もが知るスパイダーマンとアイアンマンのコラボで送る青春です。『マイティ・ソー/バトルロイヤル』はやはりSFアクションコメディでしょうか。

特に『ドクター・ストレンジ』は東洋のスピリチュアルな要素や思想をMCUの「形式」に解釈し、作品内に落とし込んできました。そこにアフリカの文化を色濃く持つ『ブラックパンサー』の参戦は必須でしょう。

願わくば、マーベル・ヒーローとしてアフリカのブラック・パンサーをやるというよりは、ブラック・パンサーをマーベルの技術で映像化してほしい……言い換えるなら、ブラック・パンサーを適当な文化描写で片付けず、アメリカから見たアフリカといった鋳型に押し込めようとしないでほしいということです。

ワカンダのハイテク技術など、一般の観客が喜び受け入れやすい要素を随所に入れつつ、アフリカの文化というものを伝えてほしいと僕は思います。アメリカやヨーロッパなど欧州の文化は日本人の間では憧れの対象となったりしていますが(日常生活のいたるところで見かける英語なんてその表れですよね)、「アフリカだってこんな面白い文化があるし、こういう考え方だってあるんだ」ということを教えてもらいたいのです。予告編にエチオピアのムルシ族は、その試みの伏線であると思っています。そしてブラック・パンサーというキャラクターが、キャプテン・アメリカやソー、アントマンなどのヒーローと共に日本に爪痕を残してくれることを願います。

 

 

 

 

以上、『ブラック・パンサー』についていろいろ書いてみました。

恐ろしくてんこ盛りな記事となってしまいましたが……ブラック・パンサーという新キャラクター、そしてアフリカに注目してここまで中心に据えたヒーロー映画は、マーベル・スタジオ内には留まらない「大きな一歩」だと思います。

チャドウィック・ボーズマン主演、ライアン・クーグラー監督が贈る『ブラック・パンサー』、僕はとても楽しみにしています。

『ブラック・パンサー』は2018年2月18日、全米公開。

僕が好きなこと

僕が好きなこと、やっていて情熱や興奮を感じるのは、何かを創り出すことです。「創り出す」にも様々な分野が存在しますが、僕が創り出すのでより好きなのは「物語」でしょうか。

時々、何かポッと断片的なアイデアが浮かんできます。それはある光景であったり、概念であったり。そのどれにも共通するのは前述の情熱や興奮を感じることです。僕はそれに従って、創り出したい・形にしたいものを、ペンをとる、あるいはPCのキーボードで文字に起こすのです。

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僕は机に向かい、必要なものを並べます。紙,ペン,飲み物、これくらいでしょうか。「さあ書くぞ」と未だ真っ白な紙を目の前にしたときの、これから形になっていくものへのワクワクにはえもいえぬものがあります。

 

ちょっと思い出話

このようなやりたい事,やっていて楽しいことに一番近いことができた時が一度だけあります。高校時代の文化祭です。

後輩たちの上に立つ先輩として、僕は計画を主導できる立場にありました。その時の計画とは、お化け屋敷でした。ボロボロの廃墟で貞子のような女が~とありきたりなものにするつもりは全くなくて。SFの方向性を取り入れた、高校の文化祭としては恐らく斬新な方向性で、コンセプト・ストーリー・設定・仕掛けの考案・設計など、様々な部門を主導しました。あれは楽しかったですね~

 

日常にはない「秘密基地」

ところで、文化祭のアトラクションタイプの教室催事によくあると思うのですが、ダンボールや机を駆使して壁を作り、それで通路やスタッフコーナー、小部屋なんかを作りませんでしたか?まだ小さかったころ、友達とどこかに「秘密基地」なんて作った経験はないですか?

僕はあのような、日常にない「隠し部屋」のような空間がたまらなく大好きなのです。

それに似たような感覚が、旧スターツアーズの記事で述べたものでして。独特の世界観を持つアトラクションで、ライドに乗るまでの通路の内装などで感じる人は感じるあの興奮です。作りこまれた空間の中に、自分がいるんです。そして、ディズニーランドにいられる時間に限りがあり、長くはそこにいられずいつかは帰らなければいけないように、文化祭で作り上げた「世界」も数日で取り壊されます。それは、ちょうど夢から現実へ引き戻されるような感覚です。限りがあるという事、それは一層僕の情熱を掻き立て、思い出を素敵なものにします。僕の創造への熱意は、夢を追い求めるエネルギーなのです。

 

 

ここで僕が見ていて何かチラチラと熱を感じる写真をいくつか。

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(↑『スターウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』より、キャストの脚本読み合わせ)

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(↑『スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』より舞台裏。『フォースの覚醒』の写真含め、モノクロというのも独特の味や奥行きを感じさせて好きです)

f:id:the-Writer:20170603104129p:plain(↑『ジャスティス・リーグ』ロンドン撮影の舞台裏映像より。この舞台裏≒文化祭感溢れるのも良いのです……)f:id:the-Writer:20170611165354j:plainf:id:the-Writer:20170614185802j:plain

(↑ゲーム『エイリアン:アイソレーション』のセヴァストポリ・ステーション。内装がツボで結構好み、できればここで時間を過ごしたい……エイリアンさえいなければ)

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(↑『10クローバーフィールド・レーン』より、ハワードの地下シェルター。これも、ハワードという怪物さえいなければ、ちょっと狭めの隠れ家的な感じが最高です)

閑話休題( ´・ω・)y─┛

 

脚本を書くという作業自体も好き

「物を書く」という行動を通じて、クリエイティブな活動が好きな僕ですが。たとえば面白そう、興味がある、という映画を見つけたとしますよね。映画に詳しい人なら監督やキャストに目が行くと思います。しかし、僕がそれ以上に目が行ってしまうのが脚本です。僕は脚本を書く人にも憧れや期待を抱きます。前述の通り、僕は物を書くという行為が好きで慣れ親しんでいるため、脚本関係のニュースも映画の製作進捗ニュース並みに楽しめるのです。具体的に例を一つ上げますと、『スターウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』を監督するライアン・ジョンソンが以前エピソード8の脚本が書けたという旨のツイートをしましたが、それだけであれこれ色々な想像をしてしまう引き金になりました。

また、脚本関係で興味を惹かれることの一つに「二人体制」というのがあります。それは元々活躍しているコンビだったり、一方が書いた脚本をリライトするためにもう一方が雇われたり、と様々な事情がありますね。僕にとって脚本関係のニュースは、撮影状況やポスト・プロダクションの進捗状況のニュース以上に、ワクワクを感じさせてくれるものです。

 

もしもチャンスがあれば

ということで、僕が新しくやってみたい事。それは、2人で何か創り出したり、ストーリーや脚本を考えたいのです。それも意気投合する人と。沢山意見を出し合って、何か濃密な世界を作り上げたい。それを読んで自分自身で興奮を覚えるほどの楽しいものです。

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ここに、先ほど参考としていくつか挙げた好きな写真に共通するもの「隠し部屋」が関係します。だだっ広い清潔感のある会議室ではだめなんですよ。狭い小部屋が良いのです。「隠し部屋」がだめなら、簡素な仕切りで作った空間でもよいし、大量の貨物箱が積まれた使われていない倉庫でも良いです。そこで、僕ら自身が楽しめるような、そして人々にインスピレーションや興奮、情熱などを与えられるものを、楽しんで作り上げたいのです。その空間にコーヒーメーカーでもあれば最高ですね~

 

 

 

 

以上、僕の創造への情熱、僕のやりたいことでした。それは僕が抱える「夢」を追い求めることでもあります。そんなことができるチャンスを、僕は日々の生活の中で密かに心待ちにしているのです。